あのこは貴族のレビュー・感想・評価
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想像を超えて面白かったです😊
「上流階級」と、まあまあの「お家柄」と、その他一般の世界が微妙に混じり合いながら話しが進んでいきます。
たぶん殆どの方は「その他一般」に属しているのだと思いますが、映画の冒頭は見事に「上流階級」と「まあまあのお家柄」の日常を突き付けてきます!
キャストが最高で、役者陣が上手でした!
「上流階級」に高良健吾、まあまあの「お家柄」に門脇麦、「その他一般」に水原希子なのですが、各々がまぁ見事に演じています。そして、門脇麦には石橋静香、水原希子には山下リオという、素晴らしい友人(シスターフッド!)が存在してくれていることが、何とも映画に良い味付けをしてくれています。
そして「上流階級」の高良健吾演じる、慶應幼稚舎→東大大学院→弁護士という絵にかいたようなスーパーエリートですが、「上流階級」の「ムラ」ならではの何とも言えない背負った苦しみがあり考えさせられました。
僕がお気に入りだったのは、水原希子と山下リオの関係性。地方出身者が東京で生き抜くための、なんとも逞しいサバイバーとして描かれていますが、地方出身者にもそれなりの「ムラ」があり、それはそれで背負っているものがあります。
そして「あのこ」を演じた門脇麦の前半と後半の演技。素晴らしかったです。人によっては金持ち描写に不快感があるかもしれませんが、結構おすすめの作品でした。
女性二人が出逢った化学反応
「生まれも育ちも暮らす環境も全く異なる女性二人が出逢うと、どんな反応が起きるのか?」、そんな思いで鑑賞。「門脇麦:榛原華子」と「水原希子:時岡美紀」はホンマに好対照、異なる二人の化学反応は好結果でした。
岨手監督は、「華子と美紀の関係はある種のシスターフッドとも言えますが、ポイントは2人が決して“親友”にはならないところです。(パンフレット【監督インタビュー】より)」、“親友”にならなかった事が良かったのかも?
あのお爺ちゃん恐ろしかった。。。
ああいう政治家の家系っていうのにリアリティを感じた。戦前から続いている財閥出身のおうちなんだろうなあと。
あの影にはいろんな悪事があったんだろうなあと想像する余白が楽しかった。あの爺さん、二号さんとか三号さんとかいたんだろうなあと。
個人的にはきっこさんの方に近いので、きっこさんたちの成功を応援したい。
自転車が自由の象徴として扱われているのには拍手したい。
車連中よりよっぽどかっこいいんだと自信になった。
すごかった
主人公が当たり前のようにタクシー移動することや、結婚をするにしても全く恋をしないことに、なんだこいつと思う。主人公の空っぽぶりがすごくて、いけ好かない映画を見たなと思ったのだけど、後から思い返すとだんだんすごいものを見たような気になってくる。
当たり前のようにタクシーに乗ったり、高そうな服を着ていることなどなんの説明もなく、当たり前のように描かれ、現実も当たり前にそのような暮らしぶりの人が存在し、身分に合わせて恋愛などせず、主人公のように離婚しないまま年老いて死んでいく人がいることが垣間見えるような気がする。映画では描かれなかった立場での責任感などもあるのだろう。そういったものを省いて描いて堂々としているのもすごい。
恋愛映画のような体なのに、誰も恋愛をしていない。映画では最後の最後、主人公に高良健吾が未練たっぷりな感じで幸福な未来を感じさせる。高橋ひとみが怖い。
静かな良作。
静かな作品ながらずっと不思議な緊張感があり、特に主演2人からは目が離せず、ずっと惹き込まれて観た。
私たちは、あらゆるところで私たちを取り巻く見えない「格差」と、「こうあるべき」「こうあらねば」といった「呪い」の中を生きている。
生まれや家柄。学歴や経歴、収入。
既婚か未婚か。結婚相手の学歴や収入。
子どもがいるかいないか。
年齢やライフステージに合わせて変わっていく周囲からの勝手な期待や常識を押し付けられながら。
でも本作で美紀が言っていたように、誰もが自分の置かれた世界の中で最高の日があったり、ままならなくて打ちひしがれたりする日があったりする。
宇垣美里さんの言葉を借りるなら「私には私の地獄がある」だ。
観終わった時は女性の「呪い」がリアルでホラーだったなあと思ったけど、でもよく考えたらこれって女性に限らないよなあ。
本作では幸一郎がおそらく本人の望んだ形ではない人生を生きていたけれど、男性も同じなんだろうな。
とはいえ作中の逸子の言葉は印象的だった。
私たち女って敵対関係になるようになってるじゃないですか(おおよそこんな意味だったと記憶)。って言葉。
この逸子の言葉へのアンサーとして、男性とか家庭とかそういうものから解放されたら、個人としての女性同士ってうまく笑い合えるんじゃないだろうか、ということを本作は見せてくれてたような気がする。
ラストの華子と逸子や、美紀と里英のように。
美紀たちから見たら、レストランで4500円のお茶を当然のように飲んでいた「あのこは貴族」なんだろうし、生活水準の違いではわかり合えないかもしれない。
でも気持ちはある部分ではちゃんと通じ合えるんじゃないだろうか。
ベランダでアイスを食べながら話していた時の、華子と美紀のように。
この映画の彼女たちを見た今、物事や誰かの一面を切り取って簡単に相手に対して線引きをしないニュートラルさはちゃんと持っていたいなと思う。
ストーリー以外の部分では、本作は東京の風景が綺麗で哀しくてでも優しくて素敵だった。
あと富山出身としては、美紀の地元が出た時は「魚津(富山県)だー!」とテンション上がったけど、あの田舎の寂しくてガサツな感じも、「アピタ行く?」のセリフも、なんというとてもわかってしまって少し切なかった(苦笑)。
あと門脇麦ちゃんと水原希子ちゃんは、前情報見た時は「役柄のイメージ逆じゃない?」と思ったけど、ピタリとハマっていたし、2人ともとても良かった。
東京
どこの階級、階層にもそれなりに悩みはあるという単純な話ではないようで、でもそんな単純なストーリー。
面白くない理由を探せと言われても特に思い浮かばないんだけど、いや、というか面白かったんだけど、岨手監督はグッド・ストライプスのときもそうだったけど絶妙に僕の好みじゃないんだと思う。
主演の二人、キャストをそっくり入れ替えてもまた別の雰囲気で成立すると思う。
ガールズ映画?と思っての食わず嫌いはもったいない
原作者山内マリコさんはトークイベントで”インターネットは自分と同等または見下ろす文化”といったニュアンスの発言をしていたそうだ。
決して自分より上の階層にはアクセスできず、その実態はわからない。
貴族の生活を覗き見する好奇心もあって映画館に足を運んだ。
なるほど、現代の貴族はこういう生活をしていて、こういうプレッシャーがあるのかと。
ただ、そんなこと以上に群像劇として心地よい余韻の残る映画だった。
水原希子さんはモデルの印象ばかりだったが、門脇麦さんに負けない俳優として存在感があった。
雨男という独白で単なるイヤな奴でなく描かれる高良健吾さんも何か丁度いい。
果たしてラストシーンでの天気はどうだったか。
オヤジからしてみるとポスタービジュアルで損をしてしまっていないか心配になる。
ガールズ映画だと思っての食わず嫌いであればもったいない。
前を向いて歩いて行こうと思わせてくれる映画だった。
麦ちゃんは貴族顔
女優さんはやっぱり凄いですね。
何にでもなっちゃいます。
ラストのシーンからすると、別れても好きなんだね〜、再婚しちゃう?
皆さんのレビューは高かったようですが、自分には入らなかった。
目線の違いかな?
自分らしく頑張ろうと思える作品
どのシーンだったかは忘れてしまったが、
水原希子演じる時岡美紀が言っていた「地元から出なければ両親のトレースになってしまう」的なセリフが刺さった気がした。
あと、石橋静河演じる相良逸子のバランス感覚がすごくよかった。
観賞後にラジオ番組、東京ポッド許可局での各々の感想を聴くとより作品を味わえた。
いつでもやっぱり隣芝生は青い
上京してきてなんとか東京の自由にしがみつく希子ちゃんの感じる東京の自由さと、東京の家柄に縛れて窮屈に暮らす麦ちゃんの関わり合いが絶妙。そして、周りの友達たちも丁寧に描かれていてとても良かったです。
映画後半で、希子ちゃんの部屋に遊びに行ったときに麦ちゃんが感じた自分への絶望感と、希子ちゃんへの羨望感を表したあのセリフは秀逸だと思いました。
まっとうに毎日生きているのに、自分の人生を歩めてないことに気づいてしまった虚しさは見ていて胸がきゅっとなって。
自由があるはずの東京で、いい家柄に生まれてしまったばかりに、田舎で暮らすようながんじがらめになる感じがなんとも言えず酸っぱい気持ちになりました。
山内マリコさんのインタビューか何かでみた、東京には匿名性よりも、より一層深い自由がある、という言葉は深く頷いてしまった。
実は知っていた事
東京で生まれ育った人と地方から東京に住み着いた人。実は越えられない透明な壁がある。それは昔から変わらず今も現存していると言う事実。それを棲み分けと表現しているが、この事象はリアルに存在しているのだか敢えて誰もが口にしない皮肉なデリカシーと言うものが東京には在る。それをあからさまに映像にした社会風刺的な作品である。現代の大都市東京の街作りは、東京人が作ったモノではなく、東京に憧れている地方出身者の、かく在るべき東京の姿…であった。それらを独自の切口で映像化したドキュメント的要素をもった映画であると言える。全体を通して大変良くできている作品だと思います。
残酷かつ魅惑の街、東京
映画が語るように、東京は沢山の人々が集まりながら、実は交流のないクラスターが幾つも重なっているのだけど、どこかに小さな接点はないわけでなく、他の世界が垣間見えるときはある。
私も、お金持ちにはお金持ちの辛さがあることを若いときに知った。某社の御曹司が同じ部署に武者修行をしていて、土日も実家の人間関係を維持するために色々な行事に出て月曜の朝から疲れていた。
私は作中の人物と同じく富山から上京した。映画でも実家の弟が暇を持て余したのか、やたら大きいクルマを買っていたり、シャッター商店街など田舎の閉塞感もリアルである。
残酷なまでの格差もあり、誰もがそれなりの行き詰まり感を感じながらも、刹那的な喜びはある、それが生きていることだと感じられるのが東京という街なのだろう。
生まれた階層が与える幸福と不幸、自分が決めた生き方が運んでくれるシアワセのお話。
今日あった事を話せる、話を聞いてくれる人が居るシアワセ。もっと言うと、誰かに話して聞かせたいことが、自分自身が行動することで身の回りに起きると言う生活を送る事が出来るシアワセ。
例えば。貴族の頂点である皇族には、居住地選択の自由が無い。職業選択の自由も、事実上、発言の自由も婚姻の自由も、全部無い。それ、シアワセって言える?
誰にも頼らずに、自分自身の脚で立って生きている華子も美紀も、親の地盤に縛られ、逃れる事を許されない幸一郎よりはシアワセだと。
私、生き方を見つけました。
そうみたいだね。頑張って。
ラストカットの微笑みのやり取りは、そう見えました。
しかし、またまた女性監督ですよ。映画界に関して言うと、俺の中では完全に女性優位ですよ。大上段に構えず、大仰にもならず、身の丈の問題を地味な演出と、良い脚本と良い役者さんで撮る。
2ケツJKに、躊躇しながら手を振る華子。貴族だとか、そうでないとかの潜在下にあった華子の意識が消えるシーン。こんな描写が好き。なんか最近、そういうのが刺さるみたいです、俺的には。
良かった。とっても。
普通な面白さ
なかなか面白い展開だったから期待したけど、まぁまぁな着地点でした。
小説が原作だけあって、印象的なセリフがたくさんありメモしたい位だった。
東京は棲み分けが出来ている
地方からの上京者は東京に搾取させる
そうかもしれないと頷いてしまったが、ユニクロ柳井のように、若者に低賃金で深夜まで残業させながら「定時で終わる仕事だ」と言い張り、自分は渋谷一等地に住む地方からの東京進出搾取者も数多いことを認識しておいて欲しいと願う。
原作には細かい描写があったのかも知れないが、映画だと結婚から離婚までの経緯がいまいち解りづらいので、ラストをアッサリ目に感じたのは、もしかしたらそのせいかも知れない。
役者に関しては、ちょい役まで含め何気ない日常会話における細かい言い回し、仕草まで非常にリアリティーがあって好感。
ただ水原希子の田舎生活やキャバ嬢は違和感しかなく、他にいなかったんかと思った。
門脇麦は水原の役でも良かったと思う。
健気にしなやかに生きる
松濤で生まれ育った開業医の娘華子を門脇麦さんが楚々とした演技で、富山から慶応大学に進学した美紀を水原希子さんが、のびやかな演技で好演。
三人での待ち合わせ、華子の重大な決断、という展開に戸惑いましたが、姉妹間で交わされる気の置けないやり取り、人の好い義兄の台詞、美紀が呟く本音がいい。
夜の東京、そして女の子達の弾けるような笑顔が印象的な作品でした。
映画館での観賞
ありのままでいいってこういうことかな
「ありのままでいい」って言葉が嫌いだ。
どんな人間だって平等だし、自由であるべきだし、正解なんてないし、どんな個性でも認められるべきってのは分かる。
でも、長年かけて構成された「ありのままの自分」は育った環境や価値観で無意識に固められている。勇気が出なかったり人と比べてしまったり自分の立場を認識したり、そういう仕方なさも自分なのに、「ありのままでいいんだよ」という一見甘い囁きは、そういった「自分のバックボーンや性格を受け入れ、決別して、ウジウジ人と比べないでいい加減自立せよ」という厳しい言葉に聞こえてしまうのだ。少なくともありのままの私は。
原作は未読だけれど半年前の予告からずっと惹かれていた「あの子は貴族」は、楽しみにしていた以上に素敵な映画だった。
生まれも育ちも東京のお嬢様、華子の門脇麦(いい意味で泥臭い役のイメージがあったのだけれど、完璧に上品で世間知らずのお嬢様で、頭からつま先までこんなに可愛らしかったの!)と
地方から上京したけれど大学を中退、夜の仕事をしながら強く生き抜いてきた美紀の水原希子(顔面もスタイルも美しすぎ、、それでいて実家でジャージに履き替える自然さが素敵でした笑)
東京で生活しながらも本当に正反対の2人は、羨ましがられるところも、惨めさを感じるところも正反対。
1人の男を通じて出会うという構図にはハラハラしたけれど、2人は喧嘩する訳でも見下し合う訳でもない。更に良いなと思ったのは、特別親友になる訳でもなく、静かにお互いと自分を認め合いながら、大事な友達はそれぞれ同じ世界にいるというところだった。
逸子の言う通り、とかくカテゴライズされ、対立させられがちな20-30歳代の女性たちだけれど、戦う必要なんて無いし、ぶつかって自尊心をすり減らす必要なんて全然ない。で、ついていけないならお互いが必要以上に歩み寄ったりする必要もないんだという優しさをしみじみと感じた。
形は違えど懸命に生きる2人や女性たちの一つ一つのシーンがたまらなく愛おしくて美しかった。
私は田舎の微妙に裕福な家庭で育ち、親のお金で上京して、今は安月給でなんとか東京で生きている。
偉そうだけれど、どちらの世界のコンプレックスや窮屈さも分かるような気がして、どちらも美しく立派な女性だと感じた。
人種や性別や宗教や、世界的に見ればもっと大きな違いなんていくらでもあるけれど、分かり合って皆がシェイクハンズする日なんてこないけれど、東京の片隅で、女性同士がこんな風に弱さを抱えながら自分を生きることができたら、それが「ありのままでいい」に繋がるのかな、と思った。
一瞬の音楽や光景も大事にしたい、素敵な作品でした。
東京で暮らす人に存在する見えない階級制度
東京生まれ東京育ちのお嬢様と、地方出身の叩き上げ女子の2人を中心に描く、リアルな東京ヒエラルキーが見事です。
私は東京寄りの横浜に生まれて、物心ついた頃から遊ぶ場所は東京、祖父母の家も東京という育ちで、幼稚舎からあるお嬢様おぼっちゃまが通う私立高校に高校から外部入学したので、劇中で描かれる「見えない階級」や「同じくらいの階級の人としか出会わない」ということに物凄く共感しました。
主人公の女性2人が選んだ道を、この先後悔しないかは正直分かりません。レールに乗った人生でも、歳をとってから分かる有難みは絶対にあると思うのです。
それでも、特に華子にとっては人生初の自分で決めた決断が彼女を成長させることは間違いないので、切り拓いた未来が明るいものであればいいなと思いました。
生まれの違いはもちろんある
原作を読んでようやく分かってきた。
生まれは違うけど、それでもライフステージを上げたいと思うか、こういう感覚、階層構造を認識できない人が多いかもしれない。もしくは諦観に浸ってしまう。
もちろん、頑張って覆るものではないけれど、自分の幸せをひたすらに指向する。ということでは一生ライフステージが上がることはない。
そんなところにフロンティア精神は宿らない。
普通はそんな風には思わないのかもしれないが。
~「みんなの憧れで作られていく・・・幻の東京だよ。」~
【賛否両論チェック】
賛:正反対な生い立ちにあって、「本当の幸せとは?」という同じ問いに悩む2人のヒロインが、無機質な東京の街で出逢い、心温まる人間ドラマが生まれていくのがステキ。
否:時間軸が結構分かりにくく、ストーリーも非常に淡々と進んでいく感がある。上流階級のシーンは共感しづらい部分も(笑)。
門脇麦さん演じる生粋のお嬢様・華子が葛藤することになる、「『結婚=幸せ』なのか?」という、普遍的な問い。一方で、水原希子さん演じる苦労人・美紀もまた、「女性の幸せとは?」という自問自答にぶつかります。そんな2人の運命が、東京という異質な街で交錯した時、思いもよらない温かな物語が生まれていくのが印象的です。
とはいうものの、物語の時間軸は結構分かりにくいほか、上流階級の生活のシーンは、我々庶民ではなかなか共感しにくい部分もあったり(笑)するのが、たまにきずでもあります。
それでも淡々と進む物語には、気になるようなラブシーンもありませんので、人生について改めて見つめ直すのにはうってつけの、そんな作品といえそうです。
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