あのこは貴族のレビュー・感想・評価
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脚本、演出がよく、キャスティングも本当に良くて個人的に非常に好きな...
脚本、演出がよく、キャスティングも本当に良くて個人的に非常に好きな作品だった。グッと引き込まれた良作だった。
「でも、それだけじゃない」まで目が行き届いた作品
たいへんよかった。
基本は「女性の生きづらさ」の話で、結論としては「女同士の連帯かもしれない」のだけれど(それだけなら「アナ雪」と同じ)、しかし、「それだけじゃないよね」という部分がストーリーの中に細かく配置されて、とても目の行き届いた脚本だと思いました。
女性がいつでも離婚できるように自立することが大事と考える人がいれば、やはり主婦として働かずに生きたいという人もいる。
将来に夢を持ち、自己実現が大事という人もいれば、生まれた家の論理からはみ出されずに生きることを選ぶ人もいる。
男性社会の無意識の暴力性もきちんと描かれているが、それを告発したり糾弾したりすることに終始するのではなく、その中での女性の可能性や、男性側の辛さまで取り入れる。丁寧なつくりになっています。
主体を持たなかった主人公(門脇麦)と、外部の要因で主体的にならざるを得ない主人公(水原希子)が、いかに自らの望む主体に少しでも近づくかという思考実験的な展開も、リアリティを失わずに描かれていました。
何より、現実世界では出会うこともないような二人が出会い、心を通わせるシーンは、暖かいと同時にスリリングでもあり、この映画を見てよかったと思わせてくれました。
水原希子と門脇麦の二人が本当によかったですね。
東京の貴族って、斬新だな
東京の街がきれい。まさに、外から見た東京という感じでかっこいい。特に東京タワーはいいね。
あんな部屋に住んでみたい。
貴族階級というのも新しい目線だった。
そうか、日本にも階級があるのね。
どうしても平民目線でみてしまうので、平民が幸せになって欲しいし、貴族は不幸になればと思ってしまうけど、両方からの目線が良かったです。
門脇麦と水原希子は良かったです。
予告を見た時に、個人的には、水原希子が貴族、門脇麦が平民というイメージでした。
見てみると、なるほど、門脇麦が貴族で正しいですね。
また、少しずつすれ違っていく様子や、言葉のは裏腹の感情などがとても良かったです。
また、高良健吾がハイスペックながら、思いやりの無い言葉を連打します。
それを言ったらおしまいだ。
女心の話でもある。原作も女性。監督も脚本も女性。
こういうのは、ながらでは伝わらない良さなので、映画館で見るべし。
水原希子のあのセリフは刺さってしまたった。やばい、私にも居ないな、、、今日の出来事話す相手。泣きそうになった。
派手さは無いけど、染みる良い映画でした。
説明セリフはいらないのだ
説明セリフがほとんどなくても、門脇さんがどういう役柄で、水原さんが、、高良さんが、、と予備知識なくてもすぐ理解できる分かりやすい脚本。
心の動きが阿吽の呼吸で認識でき、住む世界が違うのに物語にのめり込んだ。
それでも映画的なラストはしっかりあり好印象。
いい作品に出会えた。
期待以上に楽しめた。
あまり期待せずに観ましたが
とても楽しめました。
上級国民と一般国民の違いを斜めに観て、皮肉たっぷり。
常識や作法は同じコミュニティーの人間の間だけの勝手なルールだと再確認しました。和室に入るのに膝を擦ってましたが洋服では毛玉ができそう。
しっとりとした映像とセリフの静謐な間で語られるメッセージ
映像が雨上がりのようにしっとり感あって情緒感ある。ライティングもシックな灯りが中心。セリフにもゆったりした静謐な間があって、表情で心情を読める。まさに映像で語る映画で、入り込める。
女性の心情を描いていて、人はすぐにカテゴライズするけれど、しがらみを取り払って自分の人生を生きようと前向きなメッセージが込めあれている感じがした。
恋愛映画でも対立も描いていない。それぞれの視点で淡々と過ぎてく時間を映しとっているようで、映像が残像として残る、映画を観たという感覚になれる。
K大学はまさにこういった対比を描くにはもってこいの大学だ。都内の裕福層の内部生と、地方の外部生は入学時点でまったく違う。内部生はすでによく知った旧知の仲。外部生はそこになじんでいくひと、なじめないひと、模様が違う。
セリフもなかなか印象的でセンスある。
最高の日も泣きたくなる日もある。そんなとき誰か言える相手がいるのはとても大切なこと。案外出会えないよ、そういう人。
美樹は同じ地方で同じK大学を出た何でも言い合える友達がいて、とても羨ましかった。
華子はそういう友達がいないようで、なんだかずっと寂しげ。だけど健気。
二人の女性もそれぞれ愛し、愛されるような公平に描いている。
女性監督ならではの女性の描き方でとても印象的だった。
水原希子さん最高!
彼女の自然体の演技に魅了され同性ながらキュンキュンしました。綺麗な方はたとえジャージ部屋着でも美しい!今後の活躍がとても楽しみです。
内容は全体的に展開がとても良かったです。飽きさせないですね。けしてハラハラドキドキは無いですが不思議なぐらい夢中で観てました。
女性なら共感すること沢山あるんじゃないかと思います。若い頃の自分が重なってジーンと目頭が熱くなる場面もありました。東京に憧れて見栄張って都内で働いたけど現実は孤独で、毎日同じルートしか歩かないから実際はその景色しか知らない、妙に寂しくなる夜があった事を思い出しました。
素敵な友情関係に最後まで心温まる作品です。
男性の意見が聞いてみたい映画
原作、監督が女性だからこそ表現できたものではないか?
昔よりは無くなったように思える、日常で感じられなくなったように見えるが実際には存在している
境界線を明確に表現できていると思う。
世代と性別、経験がわたしにはドンピシャ(とても自然に描かれていた)な映画だったけれど、違う人から見たらどう解釈されるのか感想が聞きたくなる映画だった。
終盤、どこで終わるのか間の取り方が微妙だった。
うねる様な物語ではないが気持ち宜し
いやぁ、メインの二人と高良くんは勿論の事、映画で出会う度に(個人的に)嫌悪感満載な役どころが多かった静河さんも、気負いのない感じが素敵だった。ボンボンふってるCM好きだったのよね。
女の子を脱却出来ない感じが雰囲気と声のトーンにある麦さんはビタッと嵌まってたし、希子さんも自身とのシンクロ率が高いのかお見事でございました。「奥田民生ボーイ…」の時も好きだったけど、こちらの肩の力が抜けた格好良さもいいですな。
そして、ちょこちょこと出てくる男性陣が男の視聴者として視ていると「んん?」なんて感じもあるのだけれど、女性目線の物語として男性がどの様に見えているのか?という、男性諸君には永遠の命題とでも言える視点が興味深く、良い学びになったきがします。活かせるかは甚だ疑問ではありますが(苦笑)。
「生きる」という事にどう向き合うかが大事。ただし、悩み過ぎたってしゃーないよね。そんな感じにそっと優しく背中を押してくれる作品でした。
人生のパートナー
結婚と友情と仕事の話
なかなか興味深い話でした。
自分にはなじみがないけれども、住む世界が違う人っているのですね。
家柄、お金、いろんな壁で出会えないけど意外と近くに居たりするのでしょうか。
この作品で振る舞いから生き方、考え方まで違う上級国民の人々が見れて勉強になった。
大人になってから気づいたけど、小学生の時とか育ちが違う子っていたなと思い出した。
家や親が偉いだけで、学校も遊んでる場所も同じなはずだけれど、無意識のうちに優劣がついていた。
小学校、中学校までは一緒でもその先、疎遠になってずっと会ってない友人、会いたくなくなってる友人が結構いる。
身分ってあるんだなって思った、悲しいけど。
いや、この作品のテーマは身分や貴族ではなくて、生き方や幸せについてだ。
主人公たちは貴族にかかわっていく話しですが、一般人にも共通する悩みが多い。
田舎暮らし、家族、同級生、将来、お金、結婚。
田舎は嫌だけど、東京の養分になっているだけの自分に感じる不安。
名家に嫁いで王子様のお嫁さんになれたけれど、存在意義が見いだせない不安。
二人の主人公にはそれぞれたくましい友人がいてとてもそれが魅力的だった。
自分の力で生きている、自分の意思を貫いている。かっこいい。
ひとりだけでは難しい道のりでも、一緒に歩んでくれる相方が居ればきっと道は開ける、希望の有る物語は見ていて心にしみるし勇気をくれる。
今の生き方に悩んでいる人はぜひ見ていただきたい、何かしら得る物があると思う。
いいシーンだと思ったのは、門脇麦と水原希子が石橋静河を接点に繋がり、レストランで会うシーン。
修羅場になるであろう場面が予想外の展開でいい意味で期待を裏切られてよかった。
高良健吾の王子様感よかったですね、クズな性格ではないけど、根本的に住む世界が違う人間って感じがぴったりでした。
門脇麦と水原希子は言わずもがなです。
主演二人よりもキャラクターとして美味しいかったのは石橋静河と山下リオですね。
芯のしっかりした人間性や頼りがい、人懐っこさとか素晴らしかったです。この二人を見るだけでもこの映画を鑑賞する価値ありです。
全体として雰囲気もキャストも素晴らしかったし自分の将来について考えるきっかけになったいい作品でした。
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劇中セリフより
「そう言ってくれるの、待ってた気がする」
自分に先頭を行く力がなくても、だれかの支えになれる。
互いが必要とされる関係、これが生きる意味ってやつですかね。
まんまの映画で、自分とは縁遠かったけど
まさにハイソな、いやそれ以上の天井人のお話で、自分とは異世界の事柄ながらも、非常に見入ってしまいました。
確かに、知らない世界への興味というところもあったけれど、細かな描写とか脚本の妙というべきなのか、演者の仕草や対話が相当良かったです。
演者の実際の出自など知っているわけじゃなかったけれど、まるで門脇麦とか高良健吾を筆頭に全ての演者の実際の出自が劇中と一緒のような印象を受けるくらいの配役とパフォーンマンスで、貴族という“設定”も違和感なく受け入れることができた気がします。
遠い存在の華子の気持ちがひしひしと伝わってくる感じが、何とも言えず、感動的でした。
終わり方も好きで、文字通りの作品なのに、意外と予想を超えた良作でした。
東京の クラース を描く
英国と違って日本には明確な クラース というモノがない
だから ケン・ローチの描く世界のシンパシーが少ないのだが、それを描こうとしたのが、この映画
差別のボーダーは 地方出身 東京に来ると、彼ら彼女らには あっちとこっち という棲み分けを意識させられる そこに起こる人生の交錯を描いていて、 芝居の妙味が楽しめる佳作
門脇麦もいいが水原希子の成長が感じられる。 様々な差別に遭って来たが、それを乗り越えて、女優への覚悟が座ったように感じた。
そんな虚実の皮膜に、この映画の不安定な面白さが根付いているようだ。
深淵に届くことなき視点
汚れや毒素を排除して描いては、感受性に作用する刺激は薄いのだ。貴族主義が主軸であっても、映画で「東京」を題材の一つに据えた時、描き方一つで“この街の何を見てきているのか”が露となり、印象も決定付けてしまうだろう。その意味では、危険なテーマである。住み分けされているが故に交わらない階級の人種、確かにそのことは存在する都市、TOKYO。何方にせよ、街の景観や社会構造は片一方の視点から構築され、路を隔てそびえ立つ。生きる場所が異なる者がこの街で交差する瞬間、其れ等の奇妙な合流が心に残り消えず、人生の変化に作用する。感情の起伏に影響するその刺激を、如何様にでも掘り下げられた筈だ。上層階級の視野がこの程度故に描き方としては満点なのだろうが、このキャスティングにしては平面一辺倒で退屈な小説の様だった。演者のみせる表情に惹きつけられる持味が映し出され、それなりに観入る事は出来るものの、原作に忠実ならば皮肉な話である。
貴族という偶像を生きる。
日本の中心。東京。
友人と高額なアフタヌーンティーを楽しむ。高級バッグも普段使いで移動はタクシー。医者の家系で育った箱入り娘の華子。
一方、地方から上京したものの学費が払えず大学を中退。捨て身で働き生きてきた美紀。同郷の友人と自転車でニケツ。大都会の夜空に愚痴を吐き出す。私達はこの街の養分だと。
華子の運命の相手、幸一郎。更にグレードの高い上流階級のご子息だ。家柄の良いお嬢様と結婚し跡取りを生み政治の道へと進むことが生まれた時から決まっている。誰かが決めた道を当然のように歩く幸一郎と華子。違和感に気が付きながらも目を背けて。
あることをきっかけに知り合った華子と美紀。まるで違う東京を生きてきた2人がビルに切り取られた東京タワーを並んで見上げている。力強く輝く美紀の言葉に自分自身を生きようと勇気をもらう華子。東京タワーがめっちゃ綺麗で素敵なシーンでした。
門脇麦と水原希子が好演!特に水原希子が都会で地に足をつけて生きる女性を体現していてかっこよかったです!
幸一郎も悪い人ちゃうけど打算的やなぁって思ってたけどラストの表情がグッときた。不器用だけど華子への愛情はちゃんとあったんやねって安心しました。
数年前東京へ嫁ぐ友人に「知らんけど、って言ったらあかんで!」「オチを求めたらあかんで!」「地下鉄が深いから気を付けてな!」「迷子にならんとってな!」ってみんなで送り出したことを思い出しました(笑)同じ日本なのにやっぱり東京って特別な気がする。
最後に「邂逅」が読めなくてちょっと損しました。そういう意味だったんですね(笑)あ~情けない。
男の種類
夕暮れや夜、雨の東京の空気を感じられる映画だった。
水原希子の時代時代の表情の違いもとてもよかった。『ココット』のミシェルファイファーみたいだなとも思った。影によって美しくも醜くもなれる。
結婚を焦って華子が出会う男たちの種類が、店や場面にそれぞれとてもよく合っていて、過去の自分の思い出ともマッチして苦笑した。
欲望を抱くのは、品のない行為なのだろうか。
自分で選んだり、選ばれたりしながら東京に居場所を作っていく美紀の部屋に居心地の良さを感じる華子は、欲望を持つことを尊く思わない家柄に育ちながらも、とても素晴らしい感性の持ち主なのだろう。
あと、華子のお姉さん(皮膚科医じゃない方)の居かたや、美紀の弟の「アピタ寄ってく?」もすごくよかった。
エンディングにもう少し余韻がほしかったが、そんな欲を抱くのは品がないのかもしれない。
「すばらしき世界」を観るつもりが、上映時間を間違えていた為、急遽こ...
「すばらしき世界」を観るつもりが、上映時間を間違えていた為、急遽こちらを鑑賞。
結果、観てよかった!
個人的に好きなポイントは、大きな展開は無いにしても、登場人物のやりとりが自然であること。
またお見合いでの連写シーンや、関西弁の居酒屋シーンは笑ってしまった。(芸人さん起用で関西弁のイントネーションにハラハラしなくていいのも、関西人からして高ポイント!笑)
なんてことないシーンの登場人物も、何だか愛おしいってイイ。
何より同じ女性から見て、主人公達が自分を見つけてゆく姿が、嬉しかった。
終盤、橋のシーンも、なんってことないんだけどね…自分が経験した事のある記憶みたいな気がして。
本当に些細だけど、何かを少し変えたり、踏み出せた時、なんだ、まだ頑張れるかも、ってフワッと思う、あの気持ちだ。
終わり方も好きです。
あんなコンサート行きたいなぁ
【時代の雰囲気、フィクションのピースを生きる人、生きたい人】
この作品のテーマは、女性の生きづらさなのだろうか。
このレビューは、実は、映画を観終わった後で考えれば考えるほど、堂々巡りになるものだった。
逆説的な意味もメッセージにはあるのではないかと考えたが、世の中の評価がどうなのかは全く想像はつかない。
実は、生きづらくさせているのは、もしかしたら、僕達自身なのではないだろうか。
僕達は、皆、それぞれのフィクションのピースを生きているのかもしれない。
この映画がフィクションだからと云う意味ではない。
都会、田舎、階層…。
これらのカテゴリーに応じて作り上げられたイメージがフィクションではないのかと思うのだ。
美紀が、東京タワー見上げるベランダで、華子に、あなたの世界とうちらの田舎はおんなじだね、と笑って言う。
そう、よく考えたら、大差ないのだ。
予告映像でも使われていた、華子が自転車の美紀を呼び止め、美紀がキッと急ブレーキをかけるシーンは象徴的だ。
一度立ち止まって、周りを見渡してみれば、きっと、自分たちの作り上げたフィクションの世界が、そこかしこに転がっていて、大した意味もないことに気付くかもしれないし、そして、自分自身を再び見つめ直すことも出来るかもしれないのだ。
「貴族」という言葉のギクっとさせられる響きの一方、日本には貴族なんて存在していない。
カズオイシグロの「日の名残」に出て来る執事が仕えているのは貴族だが、ここに出てくる貴族は、実は、ちょっとしたお金持ちっていう程度のはずだ。
玉の輿に乗りたいとか、セレブになりたいとか、そんな幻想の上に立ったイメージが、ここで云う貴族なのではないのか。
自分より裕福な人をいちいち貴族と呼んで、自分の境遇を蔑んでも意味はないように思う。
南禅寺界隈の別荘地だって、個人じゃ維持は出来なくて、企業所有になったり、外国人の大金持ちに売却されたりする時代なのだ。
僕はいろんな家族を見てきた。
余談も交えて話すと…、
具体的には言えないが、ものすごく長い歴史を刻んだ家族は極めて常識的な人達で、人を蔑むような発言をしたのを聞いたことはないし、世の変化に翻弄されながらも、必死で生きている気がする。
一方、政治に深入りした家族の方が、この映画でもそうだが、どちらかというと貴族的に振る舞いたがる傾向が強いように思う。
過去に事業で成功したものの、その後の新たな事業展開や投資など上手く行っておらず、政治に接近して、自らも政治の世界に足を踏み入れたような感じだ。
財産分与の争いもあるし、大事件に発展した事柄だってあった。
華子が婚約の挨拶で、会食の部屋に詰(にじ)り入るシーン。
あの作法は、もともとは茶道のもののはずだ。
茶道のお手前としてならまだしも、普段から、あんなので自分が値踏みされたら面倒臭いだろう。
まあ、僕のくだらない余談は横に置いておいて、この映画を観た人が、アフタヌーンティーをする人に、「貴族ぅ〜」とか言うようなことがないように祈る。
これは、女性や田舎出身者の生きづらさではなく、フィクションの世界を自分で作り上げて、その中で生きづらいと思っている人の物語だと、だから、踏み出してみなよというメッセージなのだと、僕は改めて思う。
作者の本当の意図が何なのか見えづらかったが、門脇麦さん、水原希子さん、石橋静河さん、山下リオさんは、なんか良かったのでプラス。
今いる世界から一歩踏み出す
原作未読ですが、主演の門脇麦さんが気になり、それなりに注目していた作品です。彼女を知ったのは何年か前のテレビドラマです。不思議な空気感をもった女優さんで、以来ずっと気になってました。最近では大河ドラマにも出演していましたが、そこでの役は彼女のよさが生かされてない感じで、いささか残念な出演作となってしまいました。さて本作では、貴族の令嬢役で、主演としてどんな演技を見せてくれるのかと、不安と期待混じりで鑑賞してきました。
失礼ながら、正直、門脇麦さんは令嬢のイメージとはちょっと違うなと思っていたのですが、これがなかなかどうしてよくハマっていました。話し方から立居振る舞い、細かな所作まで、きちんとしていて一部の隙もありませんでした。一方、田舎から上京して必死で生きる女性を、水原希子さんが演じます。これまたイメージとのギャップを跳ね除け、ピタッとハマっていました。都会で気を張って踏ん張る姿と、田舎で素顔の自分に戻ってリラックスした姿との演じ分けが絶妙でした。
そんな主演二人の見事なキャスティングのおかげで、大きな事件も起きずに静かに展開していくストーリーなのに、いつのまにか作品世界に引き込まれていきます。本来なら出会うはずのない華子と美紀は、着飾って料亭で高級料理を楽しむ上流階級と、ジャージに身を包み自宅で煮物を頬張る庶民。その生活は天と地ほどの差があります。
しかし、本質的な部分では同じなのかもしれないと思わされました。生まれた場所や立場によって、求められるものや制約があり、階級は違えど何かに縛られながら生きていることに変わりはありません。それが女性であるなら、なおさらなのかもしれません。そんな現代女性の生きづらさをリアルに描くとともに、同じような思いを抱える女性の背中をそっと後押ししてくれるような作品だと感じました。東京を舞台に描かれるため、田舎者の自分には想像で補うしかないところもありましたが、共感できる部分が多かったです。
互いの生き方に触れ、新しい一歩を踏み出した華子と美紀を心から応援したくなりました。
全229件中、141~160件目を表示