あのこは貴族

劇場公開日:

あのこは貴族

解説

山内マリコの同名小説を原作に、同じ都会に暮らしながら全く異なる生き方をする2人の女性が自分の人生を切り開こうとする姿を描いた人間ドラマ。都会に生まれ、箱入り娘として育てられた20代後半の華子。「結婚=幸せ」と信じて疑わない彼女は、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。あらゆる手段でお相手探しに奔走し、ハンサムで家柄も良い弁護士・幸一郎との結婚が決まるが……。一方、富山から上京し東京で働く美紀は、恋人もおらず仕事にやりがいもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。そんな2人の人生が交錯したことで、それぞれに思いも寄らない世界がひらけていく。「愛の渦」の門脇麦が箱入り娘の華子、「ノルウェイの森」の水原希子が自力で都会を生き抜く美紀を演じる。監督は「グッド・ストライプス」の岨手由貴子。

2021年製作/124分/G/日本
配給:東京テアトル、バンダイナムコアーツ
劇場公開日:2021年2月26日

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(C)山内マリコ/集英社・「あのこは貴族」製作委員会

映画レビュー

4.0フラットというよりニュートラル

2021年3月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画のどこに進んでいるのかわからない、それでいて忘れがたい瞬間を確実に重ねていくような語り口に、最初は戸惑い、やがてなんとかペースをつかめるようになり、なんとも言えない心地よさが余韻として残った。

地方出身者としては水原希子が演じた田舎からの上京組に感情移入してしまうのだが、並行して描かれる上流(という言葉自体がすでに問題をはらんでいるが)の世界もまた、あるがままに並走していて、ほんのわずかな瞬間にだけ、ふたつの世界が交錯する。かといって格差社会に物申す映画ではなくて、厳然と存在する格差の中で、それぞれに生き方を見つけようとする人たちを描いている。

フラットというと公平な視線を指している気がしてしまうが、公平とも違う。どちらかというとニュートラルという言葉が近い。岨手監督が『グッド・ストライプ』を撮った人だと後から気づいて、納得した。あれも、どこに収めていいのかよくわからないけれど、とてもニュートラルでいい空気の映画だった。

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村山章

4.5東京は時折、自転車の方が車より速い

2021年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画は東京に生きる2人の女性を描く作品だ。東京という街は面白いところだと思う。ロサンゼルスほど貧富の差や人種で分断されておらず、かといって金持ちと貧困層の住む世界ははっきりと異なる。それでも東京は時折、違う世界に住む住人がまじりあう時がある。本作はそんな間隙のような瞬間を描いた作品と言えるかもしれない。
もう一つ、東京が面白いなと思うのは、混雑しているが故に車よりも自転車で移動した方が早い時があるということだ。主人公の華子はいつもタクシーで移動する。誰かが行き先を告げてくれたタクシーの後部座席に乗っているだけのような人生を彼女は送っている。彼女の人生の行き先は誰かに決められてしまっていることの象徴だ。もう一人の主人公、美紀は、自分の足と手で自転車を漕いで移動する。美紀は、自らの意思で人生の向かう先を決めている。そんな彼女の乗った自転車が、華子の乗ったタクシーを追い抜いていく。その時、初めて華子は自らの意思でタクシーの後部座席を降りる。
自転車がタクシーを追い越すのは東京ではしばしば見かける「東京あるあるネタ」にすぎないが、そんなあるあるネタを最も重要なシーンに活かされている。「東京の映画」として大変秀逸だ。

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杉本穂高

4.0キャスティングの妙 門脇麦と水原希子の役への寄り添い方に喝采

2021年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「うーん、これは素晴らしい作品」。
鑑賞後の第一声。
山内マリコの小説を原作に、全く異なる生き方をする2人の女性が自分の人生を切り開こうとする姿を描いており、門脇麦が箱入り娘の華子、水原希子が自力で都会を生き抜く美紀を演じている。

このキャスティングの妙に、今作の伝えたいことが詰まっているような気がする。
おそらくパブリックイメージから考察すると、役どころが逆でも違和感は抱かれないはず。
それを製作サイドは承知のうえで、あえて今回のキャスティングで押し通している。
ふたりとも見事に役を生き、寄り添い方がとても繊細かつ美しい。
これこそ新境地開拓といえる役どころではないだろうか。

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大塚史貴

4.0素晴らしかった

2024年2月26日
iPhoneアプリから投稿

門脇麦も水原希子もとても良かったのだが、
その友人たちを演じる石橋静河と山下リオが凄く良かった!!
というのも、おそらく彼女らが
階級のグラデーションでいうところの中央付近にいるからっていうのもあると思う。親近感があって、本作中では陽だまりのような存在。

その4人の関係性がどこをとってもシスターフッドに見えて、とっても良かったです。ドラマで観たい!

特に好きだったシーンを2つ挙げると、
一つ目は、パーティにてバイオリンを演奏した石橋静河が、マカロンを食べるシーン。これが非常に良くて。
トップのマカロンを取って代わりに花を挿すのだけど、
それを遠くから見ていた水原希子が笑うのよね。
一般的には"いやしい"と思える行動を、水原希子は(おそらくは)"愛おしい"と思い親近感あったのよね。
グザヴィエ・ドランの『マティアス&マキシム』にも、一方が途中で火を消した煙草を大事そうにポケットに入れて、もう一方がそれを見て微笑むっていうシーンがあって、もんのすごく大好きなシーンなんだけど、それに近しいものを感じた。
もうね、"いやしさ"のようなものまで引っくるめて、その人を好きになるのが良くて。それを遠くから見て笑っているのもいいのよね。当人は気づいていないっていう。

あと二つ目が、
水原希子を起業に誘う山下リオ。
もうここの喫茶店シーンが全て良かった!!!!
台詞が刺さる刺さる。
子供を見て、独身で子供が嫌われないように、とか。
水原希子が、誘いに対して即答したのが良かったですな。しかも、そう言って欲しかったって……!熱いぜ…!
特にイガイガする事ない二人の関係が暖かかったですな。互いが都会のオアシスですよ。

というか、この二人のシーンは全部いいんですよ…。
ニケツとかマウントレーニアとか。
とくにニケツ!!!!!
私なんてまさに「地方組」ですから、めちゃくちゃノスタルジーなシーンでもあり、希望も感じました。
きっと、誰にも奪えないというか、二人にしか経験できない瞬間ですもんね。うん、本当に良かった。

原作もそうらしいんだが、衣装もたのしめた。
年齢とともに変わっていくバッグやアクセサリー。
特に、社会人時代の水原希子のカルティエのショルダーバッグがとってもかわいかった。
あと、門脇麦が"アールグレイ"とか"ダージリン"とか、もう注文の仕方にまで、育ちが出るのね〜って感じで新鮮だった。

やっぱり、とても上手よね。
声色とか普段と違ったし、あと表情ですよ!!
表情で全てを語ってたから、この物語はこんなにも説明が少なく済んだんだと思いますよ。(時系列がいつのまにか変わってて、割と追いにくいけど、すっと入ってきた!)

ラストシーンは正直、腑に落ちなかったけど、
久しぶりにいいもの観たな〜と思いました。
邦画、全然捨てたもんじゃないです。
本当に素晴らしかったです。

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JYARI
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