ゴジラVSビオランテ

劇場公開日:

解説

大怪獣ゴジラと謎の新怪獣ビオランテの対決を描く。小林晋一郎のゴジラ・ストーリー応募作品を基に、脚本・監督は「花の降る午後」の大森一樹、特技監督は「ガンヘッド」の川北紘一、撮影は「ピラミッドの彼方に ホワイト・ライオン伝説」の加藤雄大がそれぞれ担当。

1989年製作/105分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1989年12月16日

ストーリー

ゴジラにより破壊され尽くした新宿副都心。そこに残ったG(ゴジラ)細胞をめぐり激しい争奪戦が展開していた。G細胞は争奪戦の末、一つは日本の大河内財団に保管され、もう一つはサラジア共和国の手に渡った。そしてサラジアでは遺伝子工学の世界的権威、白神博士の手で分析がなされていた。しかし、バイオメジャーの工作により研究所は爆破され、白神は長年に渡る研究成果と共にG細胞、さらに愛娘の英理加をも失ってしまった。それから5年、ゴジラ復活の兆候ありとの情報を得た権藤一佐は、超能力を持つ少女、未希のテレパシーを頼りに三原山火口捜査を行っていた。そして、未希はゴジラが動いていることを感じ取ったのだった。英理加の友人であり、大河内誠剛の娘・明日香、その恋人であり生命科学研究所のホープである桐島一人は抗核バクテリアがゴシラに対し最も有力な武器になり得ることを説いたがその生成にはG細胞と白神の協力が必要であった。最初は断っていた白神だったが、G細胞を一週間預かることを条件に抗核バクテリアの研究に協力する。数日後、芦の湖の中央に巨大な怪植物が出現した。それは、白神が英理加とバラ、そしてG細胞を組み込んで生まれたビオランテだった。その頃、三原山火口が爆発し、ゴジラも姿を現わした。スーパーX2が他の自衛隊機と共に発進、攻撃に向かうがゴジラはビオランテに吸い寄せられるように小田原に上陸。英理加の心を持つビオランテもゴジラの熱線を吸収し狂暴になっていった。ゴジラは駿河湾から海に入った。そして、今度は大阪に向かっていった。大阪の街は破壊され、ゴジラはさらに原発の集中する福井県若狭に向かっていく。そこに再びビオランテが現われ、2大怪獣の死闘が繰り広げられる。ところが抗核バクテリアの効果が効いたのかゴジラは海岸に倒れこんだ。ビオランテも光の花に姿を変えて、夜空を高く昇っていった。その時、未希はビオランテの中に潜む英理加の「あ・り・が・と・う」というメッセージを受け取った。そして、再び動き始めたゴジラも弱々しく日本海へと去っていったのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
特技監督
川北紘一
脚本
大森一樹
原案
小林晋一郎
製作
田中友幸
プロデューサー
富山省吾
絵コンテ
杉田篤彦
鈴木典孝
破李拳竜
デザインワークス
松原裕志
創一機
福地仁
西川伸司
横山宏
ヤン・チュン
撮影
加藤雄大
美術
育野重一
装置
鈴木栄二
組付
笠原良樹
装飾
田代昭男
電飾
稲畑秀男
音楽
すぎやまこういち
音楽プロデューサー
岩瀬政雄
ゴジラ・テーマ曲
伊福部昭
録音
宮内一男
音響効果
伊藤進一
照明
栗木原毅
編集
池田美千子
ネガ編集
大橋まさみ
編曲
デビッド・ハウエル
製作担当者
森知貴秀
助監督
井上英之
スチール
石月美徳
特技撮影
江口憲一
特技美術
大澤哲三
長沼孝
特技照明
斉藤薫
特技スチール
中尾孝
特技編集
八木沼由加里
繰演
松本光司
特殊効果
渡辺忠昭
久米攻
特技装置
野村安雄
オプチカルエフェクト
岸本義幸
北條則明
モーションコントロール
木下良仁
阿部健一
ビデオエフェクト
荻原賢治
エフェクトアニメーション
橋本満明
松本肇
斉藤雅和
アニメーション
毛利和昭
山懸亜紀
赤堀隆一
マットペインティング
三瓶一信
マットペインター
石井義雄
視覚効果コーディネート
小川利弘
三沢勝治
視覚効果プロデュース
山辺崇
馬野光晴
特技協力撮影
野沢善夫
特技照明機材
棚網恒夫
背景
小島耕司
模型電飾
高木明法
CG
大屋哲男
亀谷久
水端聡
特技助監督
松本清孝
造型
安丸信行
品田冬樹
造形
荻原晶
荻原篤
小川正晴
造形助手
小林知己
山部拓也
擬斗
宇仁貫三
特殊機械
宮川光男
鹿山和男
照明機材
中谷孝正
宣伝プロデューサー
山根秀吉
宣伝担当
堀内實三
中西陽一郎
市川南
製作宣伝
大門一男
宣伝ポスターイラスト
生頼範義
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受賞歴

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映画レビュー

3.5人気上位は伊達じゃない

2023年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

楽しい

興奮

萌える

序盤はG細胞をめぐる人間ドラマ、ゴジラ出現後は自衛隊の対ゴジラ作戦が中心になる。
自衛隊の切り札『スーパーX2』やゴジラと薔薇と沢口靖子を遺伝子レベルで融合したライバル怪獣『ビオランテ』など魅力的なガジェットが登場する。
ゴジラによる放射線被害の描写は無く、単純に観て楽しい娯楽作品に振り切った印象。
ゴジラを追い返す超能力少女とか有名芸能人による賑やかしなどが若干鼻につく。
久しぶりに観たらゴジラの着ぐるみ感がめっちゃ気になったが実写とミニチュアが入り混じった戦闘シーンの胸熱感は変わりなかった。

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ジョン・ドゥ

3.0大森一樹盛り込みすぎ

2023年11月9日
Androidアプリから投稿

この映画は前作から少しタイムラグがあった。
17億円と言うそれなりの興行成績を挙げた前作ではあるが、満を持してゴジラを復活させた当初の期待にはどうももの足ら無かったのである。

この期待外れの要因として今まで子供には最強と言えた特撮物の映画やテレビなどに対し80年代は「ガンダム」や「マクロス」などのロボットアニメが強力なライバルとして出現したことがあると思う。実写と違ってアニメは人が入らない分、複雑な造形やアクションが可能であり(要するにカッコいい)さらに動きも素早く作画やストーリーなども格段に進化していったので特撮物は少々分が悪かったのではないかと思っている。
また映画好きにはたまらなかった怪獣が出現するまでの独特の「間」などもTVアニメに慣れた子供たちにはスピード感の無さに思えこの辺りを改善したいと考えていたのではないか。

東宝もここで今までとは違うゴジラを作りたいと考え、ゴジラシリーズとしては初めての外部から大森一樹を起用した。
大森一樹は前年の斉藤由貴主演の窓際のトットちゃんなどで日本アカデミー賞監督賞を取っていた。
大森一樹はたいそうな意気込みで医師免許を持つという知見を生かし、ゴジラの対戦相手をバイオテクノロジーによってゴジラの細胞(G細胞)と植物の合成怪獣「ビオランテ」に設定。また配役についても「黒い雨」で名だたる映画賞を総なめにしていた「キャンディーズのスーちゃん」田中好子を起用した。ストーリーについても舞台を中東に設定したりG細胞の奪取を図る国際的バイオメジャーを登場させたりして今までとは一味違うゴジラを目指した。

こうして満を持して公開された「ゴジラ対ビオランテ」であったが興行成績は10億円と前作を下回る結果となってしまった。

理由についてはいろいろあるが個人的には単純に「あまり面白くなかった」事だと思っている。

本来メインのストーリーはせっかく連れて来た田中好子と相手役三田村邦彦の二人のストーリーになるはずであるが二人がそれぞれ研究員でメインのストーリーにからみづらかった。その上に、怪獣と心が通わせられる少女、異常に存在感の濃ゆいマッドサイエンティストの高橋幸次やバイオメジャーのエージェントまでが現れテンポの良いストーリー目指したつもりが生煮えの角切りニンジンのてんこ盛りで消化不良を起こしてしまったように思う。
またビオランテも余り魅力的ではなかった。あり得ない生命力を持つG細胞をベースにしたのは良しとしてそこにマッドサイエンティストの高橋幸次がバラの細胞にさらに娘(沢口靖子)の細胞まで突っ込んだために正直何が何やらわからない怪獣になってしまった。
そしてどうしても植物由来の怪獣のため空を飛ぶでもなく動きもほとんど少なく怪獣ファンが一番期待する怪獣のバトルシーンが単調になってしまった。要するに大森一樹がゴジラを好きすぎていろいろ詰め込みすぎ自爆してしまったのだと思う。

とは言えこの作品は自衛隊の全面的な協力の上で自衛隊の攻撃シーンも迫力満点であり前作に引き続いて登場した陸上自衛隊のスーパーXがなかなかの良い動きをしてゴジラを序盤追い詰めていったことが印象に残った。ちなみにスーパーXのオペレーターの一人として21歳の鈴木京香が出演している。

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カンパク薬局

5.0ゴジラVSビオランテ

2023年10月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

興奮

知的

面白かった。

ゴジラシリーズの中で一番好きな作品です。

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Y&M

4.01954年のゴジラを本当にリブートして、さらに30年後まで続く永遠のコンテンツにしたのは1984年版と本作です 特に本作の功績は巨大なもので有ったのです

2022年5月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1989年12月公開
平成は同年1月8日から始まりました
つまり文字通り平成ゴジラシリーズは本作から始まりました

前作の1984年版のゴジラは30周年記念として製作されましたが、まだ昔のゴジラシリーズの残滓を色濃く残していました
しかし、本作は全く新しいシリーズに一新されたと納得出来る内容になりました

超ひさびさに観て色々と新たに感じる事がありました

ゴジラという存在は、やはりなんらかの大きな不安の暗喩であるということ

1984年版にはそれが欠如していたのです
一応、核戦争の恐怖で製作されていますが、日常生活を一皮むいた下にある切実な不安では、なかったのです

では本作品は何の不安であったのでしょうか?
今なら良く分かります
それはバブル景気への漠然とした不安です
本作公開の1989年はバブルのピークに突入しようという時です
「24時間働けますか?」なんてCM が流行語に、なったのはこの年です
こんな空前の繁栄はいつまでつづくのか?
高く登れば登るほど、落ちる高さは高くなりだんだんと怖くなってくるのです

次作の「ゴジラvsキングギドラ」は1991年の正にバブルのピークに公開され、以降バブル崩壊局面の中、次々にシリーズが公開されて行ったのです

だからバブル崩壊が誰の目にも明らかになった1995年に平成ゴジラシリーズは打ち止めとなったのです
もはやゴジラは日常生活にあって、破壊をしていたのですから、もう映画で観たい存在ではなくなってしまったのです

本作は商都大阪のビジネスの中心部をゴジラが破壊する
まさにバブルを破壊しにゴジラは来るのです
水面下の漠然とした不安を暗喩しているのです

適当なミニチュアセットではなく、きちんと実際の街並みをミニチュアセットで再現してあります
それを破壊し燃やす
バブルが最高潮に向かおうという時に、目もくらむほどに繁栄しているシンボルとして超高層ビルが登場して破壊されるのです

特技監督は川北紘一
円谷英二、中野昭慶に連なる正統なる後継者です
その人が思う存分に、見知った街並みを破壊してくれるのです

劇中で、我々の時代は終わったという台詞があります

それを言う白神博士役の高橋幸治は公開時54歳、特技監督の川北紘一は47歳
黒木三等特佐役の高嶋政伸23歳

本作とは関係は有りませんが、庵野秀明は29歳
樋口真嗣は24歳でした

特撮の世代交代がもう直ぐあると予告しています

多用されるワイヤーフレームのコンピューターグラフィクスは、特撮の今日の在り方を予言しています

若狭湾での決戦で一列に多数の戦車が並ぶ構図は、もちろんエヴァンゲリオンの第一話に引用されたあれです
続く原発からの電源供給の光景も、エヴァンゲリオンのヤシマ作戦の元ネタになったものです

そして改めて思うのは、ゴジラという侵略者への自衛戦闘の映画であり、自衛隊が大災害に対処する映画でもあったのです

防衛庁(当時)の全面協力で実際の戦車やヘリや部隊が、伊福部昭の軽快な音楽で展開されるワクワク感は大変に優れています

また30年後の近未来の戦いを見事に予言しているのです

スーパーX2 は、ウクライナ戦争の最中の私たちには、ドローンそのものに見えます
シン・ゴジラに米軍のドローン攻撃機が登場するのはこれに由来していたのかも知れません

ゴジラの熱線に撃墜されるヘリは、ウクライナのミサイルで撃墜される光景に重なります

抗核エネルギーバクテリアを仕込んだ肩打ちミサイルはジャベリンを連想するものです

口にも撃ち込まれる抗核エネルギーバクテリアはシン・ゴジラで血液凝固促進剤の経口投与の元ネタでしょう

シン・ゴジラにまで続く、ゴジラ細胞の設定は本作から始まったものです

ゴジラの皮膚に撃ち込まれるミサイルは、シン・ゴジラではステルス爆撃機から投下されるバンカーバスターになっていました

そのように考えれば、シン・ゴジラが形態を変えていくのはビオランテから来ているのだと思えて来ます

このようにシン・ゴジラは本作からかなり由来していたのだと気付かされました

1954年のゴジラを本当にリブートして、さらに30年後まで続く永遠のコンテンツにしたのは1984年版と本作です
特に本作の功績は巨大なもので有ったのです

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