ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

劇場公開日:

解説

「緯度0大作戦」の関沢新一が脚本を執筆し、本多猪四郎が監督した怪獣もの。特技監督は円谷英二、撮影は富岡素敬が担当した。

1969年製作/69分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1969年12月20日

ストーリー

三木一郎は鍵っ子小学生、両親の帰るまでの退屈を大好きな玩具づくりで紛らわせていた。一郎は遊び相手になってくれる玩具アイディアマンの南信平が好きだった。彼は今“ちびっ子コンピューター”を作成していたが、一郎の興味をひくのはただ一つ、怪獣島のコンピューターだった。今日も両親は夜勤。一郎はガラクタを集めて作った手製のコンピューターを眺めているうちに、夢の怪獣島に誘われた。怪獣島、そこでは一郎の好きなミニラが悪怪獣ガバラにいじめられていた。一郎はゴジラを呼ぼうとしたが、信平に起こされてしまった。一郎はまた空ビルヘガラクタ集めに行った。が、そこに三千万円強奪犯人がひそんでおり、二人組に狙われるようになってしまった。その晩、一郎はふたたび怪獣島の夢をみた。その時、ミニラは強く生きられるようにとゴジラの特訓を受けていた。一郎が二人組に補ったのはそれから間もなく、だが、一郎は怪獣島でガバラをやっつけたミニラを思い起して発憤した。凶悪な犯人にかみつき、消化器をまきちらして大活躍。そこへ信平の通報でパトカーが到着、犯人は逮捕された。一郎はもう弱い子ではなかったのだ。

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映画レビュー

3.0ゴジラシリーズの中でも屈指の重要作

2020年3月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1969年12月公開
東宝怪獣映画としては、前年1968年8月の怪獣総進撃以来で1年4ヶ月も間隔が空いています
怪獣映画はフィナーレを終えた筈でした

1968年の年末公開の怪獣映画はなし
1969年7月公開は緯度ゼロ大作戦の特撮映画です
しかしながら大コケでした

一方、大映のガメラシリーズは人気を維持して1969年の3月に例年通りガメラ対大悪獣ギロンを出しています

ということで、やはり怪獣映画がないと興行成績が不安だとなったのが製作動機かと思われます
ガメラ映画みたいなゴジラ映画をだせ!という事かと思います
それは子供向け、超低予算という意味です

まず主題歌が怪獣マーチです
主人公は10歳程度の小学生
子供の味方の怪獣としてミニラを大きく取り上げる
予算削減の方策としては
過去作のシーンを積極的に再利用する
新撮りの特撮は極力減らす
なおかつガメラ同様に本編特撮1班編成とする

このようにガメラを良く研究して手本にしています
ガメラ映画をゴジラに置き換えたものと言ってよいと思います

特技監修に円谷英二の名前が有りますが、これは名前だけのことでしょう
彼は翌年1970年1月に死去するのです

本編は急遽製作された割には良くできております
ウルトラQのエピソードの風味があります
公害、鍵っ子、児童誘拐といった当時の問題をさり気なく取り上げています

メガトンスモッグ、排気ガス、これが本当の怪獣だ!と冒頭の主題歌で歌っています
そして舞台は高度成長期の川崎の臨海工業地帯のどこか
ホコリぽく、排気ガス、工場の煤煙、ダンプだらけの国道
子供達はそんな光景の中、車に轢かれそうな狭い歩道、歩道橋に追いやられながら下校しています
遊び場はいずれ新しい工場に建て替えらるのであろう荒涼とした古い工場跡です
子供達が拾って宝物にしているのは真空管です
その工場が生産していた製品かも知れません

これらは皆、暗喩です

核戦争の恐怖がゴジラを生んだように、交通戦争、公害問題、子供など弱者への人間阻害といった高度成長が生み出した新しい恐怖こそ、新しい時代のゴジラを生み出すのだとの本多猪四郎監督のメッセージなのです

荒れ果てたビルの廃墟、広大な空き地
これらは東宝特撮を象徴しているのです

そして子供が広い上げて宝物にする真空管
この当時でも真空管は最早時代遅れの部品です
トランジスタの時代となりつつありました
世界初のオールトランジスタのカラーテレビが発売され大ヒットしたのはこの1969年5月のことです
つまり、真空管とは怪獣のことです

本作は確かに番外編の超低予算のゴジラ映画です
やっつけ仕事の映画に見えて当然です
事実そうでしょう
しかし本多猪四郎監督はこのようなメッセージを込めていたのです

私達の心の中にはあの真空管の輝きのように、怪獣映画への期待は失われてはいない
新しい時代には、新しい時代の恐怖を体現する、新しいゴジラ映画が必要なのだと

素晴らしいメッセージだと思います
その思いは、ゴジラ映画の全編新作の製作となって結実するのです
本作から1年8ヶ月後、1971年7月のことです
それはゴジラ対ヘドラです

本作がなければ、それもなく以降のゴジラ映画も無かったかも知れません
本作から47年後のシン・ゴジラすらこのメッセージの延長線上にあるのです
故に本作はゴジラシリーズの中でも屈指の重要作といえると思います

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あき240

4.0ストレスフリーで良き

2019年7月14日
iPhoneアプリから投稿

半世紀以上前。良き時代だったんだねー、きっと。
みんながおおらかで、でも、社会風刺はてんこ盛り。

鍵っ子、3億円強奪事件、公害問題、今も続くイジメ問題、街が鉄だらけ、札束は聖徳太子だし、時代を感じるよ。ボンネットのトラックがバンバン走って交通問題もかな。それと仮面ライダーの死神博士のヒゲが黒い!親ゴジラはスパルタ教育で、子どものミニラが強くなってイジメに負けるな!ってゆーメッセージ性でしょう。でも、半世紀以上経ってもイジメ問題は解決出来てないもんな。イジメが原因で自ら命を絶つ子も。本当に根深いね。

そうそう、ご飯は畳の上にちゃぶ台、正座して食べる。「いぃーーだ!」や「べぇーーだ!」「やったぜベイビー!」って、やんちゃな子供らの声。ランドセルは今も続いてるけど、今は家の中でテレビゲームやスマホ、公園で遊ぶ声はあまり聞こえない。昔は、子供が悪さしたら大人が叱るし、迷惑かけた人には親がちゃんと謝る。今は親が逆ギレとかだもんな。

昭和のゴジラシリーズは、専ら子どもがターゲット。だから楽しくて面白い。この映画は、子どもの夢の映像だから、辻褄とかリアリティとかどうでもいい。むしろ、子供らが観たいシーンばかり。子供の希望、願望を大人達が映像化した映画だ。だから、ミニラはしゃべる。人間の子供と同じ身長だったり、大人の怪獣の半分くらいに大きくなったり。面白ければいい。

それにしても、エビラとカマキラスの造形が気に入った。素晴らしいよ。エビラは海老というよりザリガニだ。うん、アメリカザリガニだよ。昆虫と甲殻類は直線的でカッコいい。

はぁ、なんて面白くて楽しいんだ。

令和の日本製ゴジラは、あの頃に戻って、リアリティとか辻褄合わせとか全部吹っ飛ばして、子どもが楽しめる怪獣映画にして欲しい。

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totechinsyan

3.0これは思いの外、面白かった。

2019年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

これは思いの外、面白かった。

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Mr. Planty
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