プロミシング・ヤング・ウーマンのレビュー・感想・評価
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キャリー・マリガンの演技力
今まで、こういう役柄を演じてこなかった、
キャリー・マリガンが予想よりも役に
マッチしていて見事。
よく練られた脚本と単純に銃を使う復讐劇じゃない
展開に見入ってしまう。
キャシーの衣装も心情を表していて、変化に富んだ
色使いも目を引く。
でも、他の結末がなかったのか、どうしても
それだけが残念で。
ラスト30分
この作品は星をつけるのが難しい。満点にすると復讐してもオッケーって言ってるみたいになるし、だからって低い点にすると星の評価で観ない人が出るのも困るような。複雑なんです。
それだけ、メッセージ性が強いのでしょうね。
構成としては、終盤までありきたりな展開でラスト30分で真価が別れるところなのだけれど、安易に被害者を晒してないのに憤りや怒りと悲しみを表現してるというところが、私としては良かった。男性につくれない作品かな。
演技、構成、色彩、音楽的な面で星4です。
もう少し周りの人間が己の身勝手さを顧みる要素が出てたらなぁと。
どうせなら、スカッと復讐て欲しかったかな。そういう非現実的になり過ぎないように配慮されてたのも、本来の問題提起なのかもしれない。
誰かを陵辱、屈辱してのうのうの生きていられると思う方がサイコですよ。ってね。
プロミシング・ヤング・ウーマンから復讐(LOVE)を込めて
映画は最初のシーンで決まるとよく言うが、本作もまさにそう。
クラブで男たちが酒を飲みながら、女の事を話のつまみに。
ふと目をやると、泥酔した女が。ケラケラ笑う男たち。いかにもすぐヤレそう。
一人が女を誘い、ホテルへ。
女は嫌がりつつも、酔っている為、抵抗する事すら出来ない。
男にとって、これ以上ないご馳走。頂きま~す!
すると突然、女がシラフになって豹変。
「聞いてんだよ。何やってんだよ?」
監督が実際に目撃した現場が本作製作のきっかけ。
クラブで泥酔した若い女性を、男たちが嘲笑い。監督は女性を家に送りに…。
この時、もし男たちが女性が本当は酔っていなかったと知ったら…? どんな事が起こり、どんな結末になるか…?
…と、想像を膨らませたという。
誰もが気付きもしないような一コマ。特に男にとっては。
しかし、女性にとっては酷ければ心の傷になる。女性ならではの鋭く、シビアな視点。
それをパンチの効いたOPシーンとして描いたセンスと痛烈な風刺。
ここに、本作を作った意味合いが集約されている気がした。
でも、まだまだ! とにかく本作、色んな意味でブッ飛び!
女優や脚本家としても活躍し、本作で長編映画監督デビュー。才ある新たな女性監督がまた一人!
まさしく、“プロミシング・エメラルド・フェネル”!
カフェで働く30歳の平凡な女性、キャシー。
夜になるとバーに繰り出しては酔ったフリをして、自分をレイプしようとする男たちに制裁を与えていた。
…と言っても、殺しや暴力は一切ナシ。それも何だか本作の一つのメッセージのような気がした。
それでも不穏なスリラー・ムード充分。
OPタイトル・バック、クールな楽曲が流れる中の朝帰り、小バカにしてくる男どもへ一瞥を投げ掛ける彼女の姿が堪らなくカッコいい。
だけどやっぱり彼女はサイコ女…?
両親と実家暮らし。
両親は穏やかで優しい。娘を愛している。
部屋や普段着る服も、とても夜に毒女になるとは思えないほどキュート。ひょっとして、イタイ女…?
彼女も両親を愛しているけど、何処か窮屈そう…。
職場では、もはや仕事していると言うより暇を潰している感じ。
同僚のマディソンとは何でも言い合える仲。二人のやり取りがユーモラス。
そんなある日、医大時代の同級生ライアンと再会。徐々に惹かれ合って…。
スリラーから一転、コメディ、三十路女の恋物語。
しかし再び夜になると、スリラーへ。
ジャンル分け不能。
かと言って支離滅裂バラバラに全くなっておらず、見事な面白さの異色ヒロイン物語に。
この大胆不敵さ、オスカー脚本賞も納得。
そしてそれを体現したキャリー・マリガン。
『17歳の肖像』『華麗なるキャツビー』などで可憐なヒロインのイメージがあるキャリー。
大胆イメチェン!
覇気が無いような、ノーメイクのような三十路女。
“夜の顔”はケバく、恐ろしく!
その堂々たる凄み!
単なるクレイジー・ウーマンに留まらず、喜怒哀楽を巧みに。全ての感情が際立つ大熱演。
残念ながらオスカー主演女優賞は『ノマドランド』のフランシス・マクドーマンドに敗れたが、やっと本作を見て、個人的には彼女推し!
フェネルの才能とキャリーの怪演。
ポップでカラフルなファッション、明暗メリハリくっきりの映像。
作品を彩る楽曲の数々。
だけど一番はやはり、先読み出来ないストーリーの面白さ!
そもそも、何故キャシーはこんな恐ろしい事を…?
徐々に徐々にその秘密が明かされ、グイグイ引き込まれてもいく。
ライアンと再会した時、大学時代、医大生だった事が分かったキャシー。
将来は有望でもあった彼女…。
自室には、一枚の写真。自分と、もう一人の女性の姿が…。
ライアンとの会話から、特定の同級生の現在を聞き出す。
一人一人に接近。同級生ではなく、学長や弁護士にも。
その目的とは…
かつてキャシーには親友がいた。
ニーナ。
優秀で、地味なアタシと違って魅力溢れる存在。
でも二人で、“プロミシング・ヤング・ウーマンズ(前途有望な若い女性たち)”。
そんなある日…
酔った彼女を男どもが食い物に…。
告発したけど、大学は無き事に。
今、学長を問い詰めたら、“プロミシング・ヤング・マン”を擁護。学長も同じ女である筈なのに…。
弱く、日陰の女二人の事など誰も味方してくれない。学長は覚えてさえもいない。
そうだ。教えてあげる。ニーナは自殺したんだよ。
“プロミシング・ヤング・ウーマン”だった彼女が。
どうでもいいの? 彼女の事は。
酔って男にレイプされたのは彼女自身のせいなの?
男どもに罪はないの…?
絶対に許せない!
キャシーが夜な夜なバーに繰り出しては男に制裁を与えるのは、親友を自殺に追いやった“男たち”への復讐。
核心たる人物らに近付き、そして本当の復讐劇へと発展していくのだが…。
ニーナの母親から悲劇の事は忘れるよう忠告される。
亡き友やその家族を今も尚思う事は胸打たれるけど、時にそれは遺族や自分自身の時を止め、苦しめる。
両親からの心配。
ライアンとの出会い。
今が人生を変える時かもしれない…。
…しかし!
知ってしまった。
ニーナのレイプにまつわる衝撃的な真実。
思わぬ人物が関わり…。
この人物に関しては言うまでもないので、言う必要ないだろう。
平凡な幸せを手にしようとしていたけれど、その手は復讐に。
哀しい話かもしれないが、皮肉な事に、作品的にはその方がずっと面白い。
結ばれる筈だった“思わぬ人物”を脅迫し、“主犯”の現在の居所を聞き出す。
そいつは結婚を控え、プライベートや仕事共々恵まれたこれから。友人らと森林のハウスでバチェラー・パーティー。
医大生であったキャシー。ナース姿に身を包む。まるでそれは、亡き親友の無念も込めた戦闘装束のようだ。
怒りと悲しみを表した派手なヘアメイク。さながら、女ジョーカー。
遂に、この時。復讐。
関係ないバカ男どもはデリヘルナース嬢が来たと大ハッスル。
睡眠薬で眠らせ、ターゲットのアルを2階の部屋へ。
意外と紳士的でフィアンセ一途なアル。だからと言って許すつもりは微塵も無い。
どうせ忘れてる筈だからアルの方から思い出して貰うわ。
ニーナの名で名乗る。すると案の定、ビビり始める。
ニーナが自殺した事も知っていた。
じゃあ、彼女の無念は…?
アルが暴言を吐き出す。自分たちのような将来有望視されている男たちの前に於いて、女たちの告発は邪魔。
これで決定的に決定した。このクソ男に制裁を!
頭脳と言葉巧みに、沸き出す怒りを抑えつつも代わりにネチネチと追い詰めていく様は、痛快!…いや、怖い?
ハリウッドの男尊女卑。
セクハラ/パワハラ事件から始まった“#MeToo運動”。
今でこそ声を上げ、闘う女性たちが続く。
ほんのひと昔前までは、映画の中ではヒロインは悲鳴を上げ男の助けを待ち、ハリウッド社会では女性は隅に追いやられ、酷い場合は劇中のニーナのような立場にも…。
徐々にハリウッドに於ける女性の地位向上が尊重され、それは映画にも。
男社会と闘う女性の社会派ドラマは古くからあるが、アクション物…特にアメコミ物でヒロイン・アクションが盛んとなり、女性が監督が務めるまでに。
そんな中現れた本作は、これまでにない斬新さと、メッセージ性を含みつつ、エンタメ性も抜群。
パワフル・ウーマン・ムービー!
復讐を果たす時が!…と思いきや、
まさかの展開。
嘘でしょ…。
だけど、どんな理由であれ“復讐鬼”の哀しき末路。
救いようがない男の愚かさ。
一体、どんなオチに…?
最後の最後まで予測が付かない。
最終幕。
それぞれにとって、幸せとモヤモヤ凝りの結婚式。
復讐もあの時で…。
否! 終わっていなかった!
最後の最後に用意していた逆転リベンジ!
女性は怖い。
女性は強か。
女性は美しく。
女性は愛おしく。
世界中のプロミシング・ウーマンズへ。
復讐からの愛を込めて。
くだらない
これがアカデミー脚本賞?大した実績もない若い脚本家のストーリーが?ハリウッドもやっぱりコネの世界だなあ。
エピソードの一つ一つに斬新なものもなく主人公のキャラクターに惹かれることもなくストーリーの流れは全般的に退屈。きっとこういうどんでん返しがあるだろうな・・・でもベタすぎるのでまさかな・・と思ったらそうだったし。クライマックス部分だけが結構盛り上がってドキドキした。そこは良かった。(あと、全体的なそつのなさはあった)一番いけないのはラストシーンの音楽の使い方、醸し出されている雰囲気がテーマに合っていない。無理やりエンターテイメントにしてゴマかしたという感じがした。それが非常にくだらないと思った。
映画コムでもこの作品に高い得点与えてる人が多いようだが一言わせてもらおう。・・・伝えたい内容の真摯さと映画の評価は違う。
期待感と罪悪感
男が女性に抱く期待感と、過去の過ちに対する罪悪感かのごとく、
シーンの移り変わりのたびに、次のシーンの期待感、罪悪感を感じさせるつくりになっていると感じた。
映画をいくつか観ていれば、なんとなく話の展開に予想はつくが、
この映画はそういった舐めた観客をことごとく裏切り、嘲笑い、本当のエンターテイメントを教えてくれる
まじめなふしだら
活動家は冷静であってほしいが、環境保全や女権拡張や反捕鯨/イルカ漁や反体制や菜食主義や動物愛護のひとたちは、概してみんな過激である。
自分と違う意見をぜったいにゆるさない。とりわけフェミニズムを標榜している著名人はあたまのおかしい人ばかりだ。と思う。(偏見です。)
たとえばそんなフェミの集団が、ジェンダーにまつわる差別や迫害や不満や疑問を、一般大衆にもわかる創作物にしたいばあい、武闘派だけだとやっぱムリである。
世間に向けてプロパガンダするなら男は全員ケモノだ!と息巻いても効果はあがらない。映画なんて特にそう。冷静で頭のいい人がつくらないと、なんにも伝わらない。
クレジットを見たら監督は女性。女優で初長編とのこと。製作にマーゴットロビーがいて主演はキャリーマリガン。布陣からもタイトルからもジェンダーっぽいものを予想した。
とりわけ明確にフェミニズムの映画というわけではない。が、女性に対する侮辱や暴力を、ひねった方法でつたえている。
救われない展開をするのだが、なぜかみょうに笑える。イギリス人らしい。そして冷静。基本的に女性が女性の難や偏頗をうったえる映画なので、男の描写によって監督の理知を測ることができる。
──つまり、日本のフェミがフェミな映画をつくったら、男を抗日映画の日本兵のようにしか描かないだろう。冷静じゃないんだから。
女性がフェミな映画をつくって、そこにでてくる男の描写が冷静ならば、それをフェアな映画と見ることができる。──という話。
本作で冷静な描写をされる男はふたり。
Emerald Fennell監督心得たもので、どちらも名バイプレイヤーを充てている。
ひとりはキックアスなどに出てくるギーク役がとくいなChristopher Mintz-Plasse。カサンドラが酔っていないことを知って、かんぜんに怖じ気づく。状況に乗じただけの与太公で、女の敵となる真の捕食者じゃない。カサンドラはかれを見逃す。なお、このシークエンスは、すごく笑えた。
もうひとりがAlfred Molina。昔からよく見るバイプレイヤー。無罪にしたことで良心の呵責にさいなまれている弁護士役。かんぜんにまっとうな男で、死後を託された。
リーワネルの透明人間(2020)は凝ったSFだったが、DVに対する警笛になっていた。いや、むしろあれは女性のDV被害を申し立てる映画をつくろうとして、透明人間になったわけ──である。
本作も初動にはレイプ犯許すまじ──があったはずだが、そこへ猟奇色や復讐劇やなんとなく安っぽいスリラーの風合いを肉付けした。そもそも理知的なマリガンがへべれけな(ふりをする)だけで、すでにじゅうぶんなエンターテインメントたり得ていた。
すなわち。
世間に何か伝えたいことがあるならば、それを娯楽作品にトランスフォームする必要がある──という話。
今風の復習映画
プロミシング・ヤング・ウーマン、直訳すれば有望な若い女性といったところなんだけれど、気の利いた邦題を付ければよかったのに。80年代末の映画スリーメン&ベビー並に気の利かない題名じゃないの。
映画では、キャリー・マリガンのファッションや音楽も楽しみつつ、彼女の復習と調査が進んできいくのだけれど、それも終わりなのかなと思わせといて、さらにまたもう一段階という構成がうまい。
最後の方は、何だか既視感があるのだけれど、何だったかなぁ。女性目線で野郎の身勝手さをさらけ出すホラーサスペンスものとしておすすめです。
悩み苦しみ考えた‼️❓でも、答えは、まだ出ない‼️❓
さすが、アカデミー賞5部門で、脚本賞受賞のことだけはある。
最後まで、引き込まれたが、誰にでも推薦できるわけでもなく、感動すると簡単に割り切れるわけでもない、複雑な印象。
復讐は、身を滅ぼすが、そうせざるをえない気持ちもわかる。
レイプ犯がのさばるのは我が国も同じだ。
この映画が、みんなが考え、議論する、端緒になれば、そう思う。
ヒロインの演技は、多分、史上最高だった‼️
ミナリやノマドよりもアカデミー賞に相応しい、史上最高の映画の一つ🎞🎟🎬です、映画が好きなら、必ず是非。
既成概念を覆された
固定観念、既成概念をひっくり返されたときに映画が面白いと思う まさにそのお手本のよう 無意識に決めつけていた性別のロールモデルをぐらぐらと揺るがす前半、中盤からの展開も抜群のエンタメ性で目が離せない。どこか箱入り娘と感じさせる美しいカット構成と、夜の場面の対比など、いちいち印象に残るし刺さってくる
女だから笑え?
冒頭の股間ショットの気色悪いねちっこさからの、次々に素面で問い詰められる男たちの慌てる様がほんとに痛快!
ポップで「カワイイ」画面から滲み出る毒は、キャシーの復讐劇だけではない。
男たちから、親から投げかけられる言葉、行動の毒々しさ、それによってすり減らされる女。こんな構造には中指を突き立てて、バールでめった打ちだ!
ともいかないのがこの作品の本当の毒。
見せない演出が最後まで超絶うまい。
失うものが多すぎる
エンタメとして、大変痛快な作品でしたが、
その上、
中退して、
将来棒に振って、
彼女まで失わなくては、
正しさ、を認めさせられないのか、
という、絶望や憤りも感じました。
無理ありすぎて乗れない
最初の10分でこんな事してたら危ないでしょって感じで全く乗れなかった…考え方も偏りすぎだし、こういう考えが嫌だと思った。あと何でここまでやらなきゃならないのか理由がハッキリしないからカタルシスにもなってない。親友なのはわかるけど、自分の人生かけてそこまでやるかね?恋愛感情みたいな裏設定はありそうだけど、あるならそれをちゃんとやって欲しかった。ツレがモロにこういった考えにブレインウォッシュされてる人だったから見終わった後、めちゃくちゃ意見ぶつかったけど、男には理解できないで話は終わった。それじゃ最初から建設的な歩み寄りはこういう考えの人々には無いんだって事だけはハッキリした。機械じゃないんだから、世の中よくしたいなら調和を考えなさい!
脚本が素晴らしい。しかし、痛快さや爽快感は無くて残念。
親友を亡くした元医大生の女性キャシーが主人公。
今は何故かカフェで仕事をしている。
夜になるとバーで酔ったふりをして、獲物?の男を引き寄せてホテルへ・・・。
彼女には親友の復讐のために大きな企てがあるようです。
これからどういう動きをしていくのか、観ている側には予想がつかない展開に
目が離せず、どんどん引き込まれていきます。
その脚本力が実に見事で、観ていて終始、唸らされっぱなしでした。
2年前に観て、好きだった映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』、
その監督を務めたボー・バーナムが、主人公の恋人役として多くの場面で好演。
これはちょっと意外でした。
この映画、女性を性欲のはけ口としか見ない男性が、やたら多く出ています。
そんな男達への復讐劇がメインの映画なので、そういう設定なのでしょうが、
この映画を観ると「女はいつも被害者で、男はいつも加害者」みたいな、
女性尊重・男性蔑視の印象操作が入り込んでるような部分が気になりました。
純粋に主人公キャシーの事が好きで近づいてくるボー演じるライアンに対して、
キャシーは凄く失礼な態度で、彼を何度も傷つけているところが嫌でした。
女性が傷つく事に関しては敏感なのに、男性を傷つけている事には鈍感。
ちょっと身勝手過ぎる女性と感じます。
やがて良い関係にはなっていくのですが・・・。
ネタバレはしたくないので、この辺でやめておきます。
あくまでも娯楽作品として、スリリングな展開を楽しむのが良いでしょう。
本当に脚本が素晴らしく秀逸なので、高い評価をつけたいところなのですが、
映画として爽快さや痛快さには欠けるのがネックで、惜しいですが3つ星。
復讐心ばかりでは、人は幸福になれないと感じました。
痛快なのにモヤるのは、きっと弱者は弱者のままだから。
スカッとしきれないから、奥が深いというか、なんというか。
本作に思い出すのは、痴漢に遭うのは短いスカートなんかはいているからだ。
云々のやり取りである。
ならそうしたものを前にしたとき人の心から、
自制心や善悪の区別、良心なんてなくなっていても問題ないよ、
ということなのか。
社会の目という他人事と、当事者視点が交錯することで、
本質をあぶり出してゆくサイコ・ホラーのようで復讐劇のような本作。
キレ者主人公が単独行動、無双なだけにハラハラも止まらない。
加えて「正義を行っている」と信じて邁進する女性の
堂々たるたたずまいが痛快だ。
同時に、そうまで駆り立てる怒りや絶望はもの悲しさを誘い、
のっけからチープ感漂う楽曲に退廃的な雰囲気も重なれば、
醸し出されてくる破滅感に懐かしの「テルマ&ルイーズ」さえ思い出してしまった。
この辺り、弱者が誰なのか最初から示しているようで、
ただ中で主人公が頑張れば頑張るほどぐっときもする。
シナリオはアッ、と驚くようで案外、古典的でカタイ展開をなぞっていると感じている。
ただパンチがこれほどまでに効いているのはひとえに、
その弱者が最後まで救われることがないところにあるのだろう。
やっぱりそこは令和の「テルマ&ルイーズ」だからかも。
スカッとしきれずモヤモヤ残る。
ここが何よりいい本作だ、と思うのである。
後味の悪さが残る怪作
すごい評判の本作、やっと劇場で鑑賞できました。
結論から言うと、ストーリー自体もオチもよくあるサスペンスですが、演出と演技が一つ上のランクへ押し上げてます。
実際には女性一人でこんな危ない事を何度もやれるとも思えないし、怒りの持続も容易でない。しかし、中盤一度前に進もうとした時は、幸せの中にも何か物足りなさを感じてる風でした。彼女がナンシーにそこまで固執する理由が見えなく、サイコの片鱗を感じそこまで物語に入り込めない部分もありました。
にしても、なんともやりきれない問題で、こういうクズが許されてしまう世の中はどうしようもないのか?オリンピック小山田的なエスタブリッシュ問題もあるよなぁ。
自分が死んでも制裁を下すというのは納得出来なかった。彼女の両親や、ナンシーの母親はどう思うのか?なんとも後味が悪いラスト、彼女のあまりにも孤独な人生が哀れに思える。
スタッフはなかなか興味深い人達で固められていた。特に彼氏役の人はなかなかの才人ですね。クリストファー•ミンツ•プラッセが見れたのも嬉しかった。
将来有望な若者、本懐を遂げる
辛い内容でも、映画は見に行くようにしている。直視するのが厳しい時も痛みを忘れてはならないと思うからだ。
だから映画冒頭から正直主人公のキャシーに辛いことが起きるんじゃないかと悪い意味でドキドキしながら見た。あの流れで、キャッシーが殴るけるをされたりレイプされても驚かないからだ。
そのうちそれが何回か続くと、この主人公は自殺願望があるのか?と思うようになった。主人公の行動は騙す喜びより、殺されに行っているように思えた。彼女は死にたいし、できれば殺人罪を着せたい相手に殺されたい。だから親たちは「忘れて」「生きて」と彼女にいうのだ。
復讐?そうだろうか。前回も弁護士に守られた。なぜ今回は違うと思えるのか。彼女の死は事故ではなく、当初から彼女の成し遂げたかったことだ。彼女は殺人者をランダムに選ぶのではなく、確実に殺しそうな相手に照準を合わせて成し遂げた。
生きることに希望を見出せない将来有望な若い女性は、死に向かって疾走する。はっきりしているのはそのことだけだ。なんの希望もなくて本当に辛くなった。
女性監督だから、かな、なんて書くと顰蹙を買うかも
知れませんが、この映画がアカデミー最優秀脚本賞というのに驚きます。
まず、酔った振りして、言い寄って来る男どもにお仕置き?お説教?するというのは、無理でしょう。
相手が寄っていたとしても、男と女、それに、相手の家に行くんだから、武器持ってるかも知れないし、主人公かわ、余程の戦闘能力が超能力がないかぎり、少なくとも、頭の良い人がやってるとは思えません。
それに、手帳に何十、何百と戦果をメモってましたが、そんなにやってたら、噂になるし、逆にはめられたりするんでは。
ネタバレしないように書きたいので途中は端折りますが、最後のどんでん返し?も、この作品が初めてでもないし、、、
主人公はそれなりに良かったけど、脚本賞ってほどではないかなっていうのが率直な感想です。
ということで、普通よりちょっと良いくらいの星3つにしておきます。
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