北極百貨店のコンシェルジュさんのレビュー・感想・評価
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映画は70分でも豊かな世界が描ける
最近はハリウッド映画を中心に上映時間の長い作品が多いが、この作品はわずか70分で豊穣な世界を描くことに成功している。キャラクターデザインがシンプルで漫画的な心地いいデフォルメがすごく効果的で、アニメーションの芝居も素晴らしいものばかり。百貨店で働く人たちの所作が綺麗。動物キャラクターたちもそれぞれの特徴が生かしたアニメーションが堪能できる。
百貨店のお客は、絶滅動物ばかりで、そこで接客する人は人間。その構造の裏側にある意図は世界の理不尽について考えさせる。しかし、快活さは全く失われず、百貨店で客に歓びを届けることを誇りに思う一人の女性の成長劇として見事に完成されている。板津匡覧監督の長編映画デビューはとても嬉しい。今後もアニメーターとしてだけでなく監督として素晴らしい作品を発表し続けてほしい。
ふつうの小売店と百貨店との違い
両者の違いは、日常の生活に必要にして、かつ十分な品質の品を売るか(ふつうの小売店)、それを超えて人の欲望を満たす品質の品を売るか(百貨店)という違いのようです。
あまり百貨店(デパート)で買い物をする習慣のない評論子にしてみれば、初めて聞いた両者の棲み分けですけれど「なるほど」と改めて納得した次第。
言ってみれば、評論子らが住まう、この資本主義社会という世の中は人間の「際限のない欲」が原動力となっている社会。
人々は、その「欲」を原動力としてより良い生活、より豊かな生活をこれまで際限なく求めて、今の社会の経済水準を築いてきたことに、おそらく異論はないことと思います。
言葉は悪いのですけれども。日常に必要な以上の品質を商う百貨店は、まさに資本主義社会の「際限のない欲望」を象徴する業態で、それ故に本作の題名になっているということでしょう。
さて、その北極百貨店では、人間が自分たちの「欲」を満足させるために、もっぱら資源としてだけ利用して、利用し尽くした(絶滅させた)動物たちが顧客で、もっぱら彼・彼女らを消費してきた人間が、今度はスタッフ(コンシェルジュ)として、彼・彼女らに奉仕する立場なのだとか。
そういう設定が、なんとも胸に痛い一本でした。評論子には。
画面の色彩も華やかなかで美しく、キャラクターのデザインも親しみやすい作品なので、一見すると気軽に観られるアニメーション作品とも受け取れるのですけれども。
しかし、「必要以上の消費の悪」を静かに訴えかけるという点では、優秀作との評価にも値する一本だったと思います。
生涯ベストに並ぶ作品に出会ったのかも知れないとも思います。
評論子的には。
(追記1)
絶滅種の動物が数多く登場する本作。
実写では無理でしょう。やっぱり。
アニメーションならではの表現力をフルに活かした一本とも言えると思います。
こういう作品が数多く世に発表されて、表現が多様・多彩になると、楽しい映画鑑賞が、もっともっと楽しくなりそうです。
(追記2)
本作のアニメーションは、ジブリのようなリアルなものではなく(昔ながらの?)平面的なものでしたけれども。
それでも違和感なくストーリーを追うことができました。
こういうアニメーションも、それはそれで良いものかも知れません。
(追記3)
地球ができて、46億年くらい経つそうですけれども。
その46億年を1日に例えると、地球上に人類が登場したのは、一日の終わりの、ほんの数分前になるそうです。
しかし、人間は、その数分間で地球の環境を劇的に変えてしまった。
それゆえ、来るべき「明日」は、必然的に、その環境の修復を始める一日でなければならないことは自明です。
いかにそれが原動力となっている資本主義社会とはいえ、「行き過ぎた欲」は、諫(いさ)められなければならないのかとも思います。評論子は。
(追記4)
「吾唯足知」(われ、ただ足るを知る)というのは、禅の方面の箴言とかだそうで、京都・龍安寺の蹲踞(つくばい)に彫られた言葉と承知していますけれども。
まもなく年金生活に突入し、おのずと収入も限られてくる評論子は、なお(貪欲に映画を観る以外は?)足るを知る生活をしなければならないと思う今日この頃でした。(涙)
どうもてなすか、思い色々
前情報あまり入れずで面白かった。登場人物の表情がクレヨンしんちゃんに似たところがある印象、ペンギン?なエルルさんが登場する度に笑ってしまうのは自分だけでしょうか。
幾つものバタバタな出来事の中に気付きのある接客対応あるあるや、グッと泣きが入るシーンありと短い時間ながらも彩り充実なアニメ作品。
劇中、音楽がさりげなく入るのが心地良いです。
お客さまが動物ばかり、絶滅種 VIA (Very Importan...
お客さまが動物ばかり、絶滅種 VIA (Very Important Animals) のご来店も、という百貨店の従業員らの奮闘記。
それぞれ大切な目的をもってご来店されて、コンシェルジュが全力でかなえようとして、どたばたしたり、ホロっとしたり。
tofubeatsさんの音楽が心地よくて、耳が喜ぶ体験でした🎧
そういえば、
百貨店じたい、県によっては絶滅していたり。
百貨店のジングルを聴く機会も減りましたね…。
デパートという異空間での動物模様
新人コンシェルジュの奮闘記を人間たちで描くこではなく店側を人間、お客を動物で描くことで、それぞれの人物像を動物に置き換え、その立ち振る舞いに工夫をこらし観てるものにあきのこない作りをしている。
またそれぞれの動物の個性なども活かされてる点は面白く感じられた。
体感時間二時間以上
繊細な動きのあるキャラクター達、ユニークな運び、色彩豊かな画作り…。
本作品「北極百貨店のコンシェルジュさん」は、演出の行き届いた作品、に見える。
ぼくはこの作品を見ていて、ものすごく学びになった。
というのは、自分の中でも、言葉に出来ていなかった部分の、その示唆に溢れていた。
幾らか個人的な文章にもなるが、ぼくとしてはその示唆がこの作品から感じ取れた一番の部分だった。
その示唆というのは、〝慰み〟と〝自己慰安〟は異なる、ということだ。
本作品の主人公は、とても〝いい人〟に見える。
皆の気配りに一生懸命で、何事もよく頑張る。
おっちょこちょいな部分がとてもありつつも、〝よいコンシェルジュ〟になる為、必死である。
だが、と思う。
この主人公の〝いい人〟は何が楽しくて仕事をしているのだろう。
勿論、仕事そのものが楽しいのかもしれない。
それでは、何を喜びとして仕事にしているのだろう。
お客様の喜ぶ姿を喜びとしているのかもしれない。
では、何をもって、哀しみとし、何をもって、怒りとしていたのか。
こう考えると、この〝いい人〟というのは、出来事において喜怒哀楽において、一貫性を感じない。
ひとつの目的の為ならば、前にあった出来事のよくないとしたことでも、利用に走る。
ひとつの思いの為ならば、本来するべきでも無い約束を自らの決断で、勝手に行なってゆく。
この〝身勝手さ〟は〝いい人〟だから、と思う。
ただ、それは〝自らの慰みをよしとしたいい人〟だ。
決して〝傷つきたく無い人〟のように思う。
よって引き起こされる問題というのは、〝自分はいい人〟という前提のもと、あべこべの理屈で、ただ保身に走った道理を他者に投げかけ、よしとしている、と、とても感じる。
ここから、より少し悪く言う。
こうして、本作で描かれていた情緒不安定にも見える主人公は、もしかしたら見えない爆弾でも付けられてるのかと思うぐらいに、他者全てに自分なりの優しさで全力で応える。
その仕事しています、という過程を見せられる70分は、体感時間2時間以上のものに感じた。
ただ主人公の身勝手さをよしとした人々、動物を見せられる映像は、苦しかった。
演出において、細やかな動きがあった。
アニメーションとして見ても、ユニークな運び、があったようにも思う。
画作りにおいても、色彩溢れており、それはそれでいいとも思う。
それでも、ダメであるということを、本作品で分かった。
それは映画を長年でも観てきたという自分なりの自負をもっている自分に対しても、言葉に出来ていなかった所だった。
まるで映画そのものが〝慰み〟に見えた。
主人公や登場人物、もしくは全体から感じ取れるテーマなどの中から、作り手自身の〝傷〟、それに対しての〝自己慰安〟から、受け取るべきメッセージは皆無だった。
ラストの、憧れの人物が未来の自分だった、と言う所だけが伝わった。
それで、と思う。
作り手たち、監督も〝いい人〟なのだと思う。
だが、何をルールとしておもてなしをしているかも無いプロット作りから、〝いい人〟なだけではダメであるということを痛切に感じた。
100ゴミがあれば、100ゴミであると、その責任的立場のある人は言わなくてはならない。
それがプロではないのだろうか。
もしかしたら、それを伝えられない、言葉に出来ない、そうした業界は多いのかもしれない。
いささか、自分の思いが入ってしまった。
これを読む人には傷つく人も多々いることと思う。
ただ、ぼくにも学びがあったことを、とても思った。
やさしい色づかい シンプルな線 フォント可愛い 音楽も素敵 特にテ...
やさしい色づかい シンプルな線 フォント可愛い 音楽も素敵 特にテーマソング⭕️(澤部くん) 声優さんもしっくり
百貨店の吹き抜けの画はワクワクしちゃうな
出来ないは言わない でお客さまだけが満足するのならそういうのだいきらいだけど、従業員も皆んなしあわせそうでよかった
働いてるひとがその場所がすきってとっても大事なことだなとそんなことを思いました
★まとまりの良い作品★
な〜んでも揃う北極百貨店〜🎵
70分、サクッと見れて
ほっこり、じんわり、
最後にウルっと出来た作品でした。
お客様が全て動物、百貨店の従業員が
人間メインという世界観。
制作会社が(硬派な作品が多い)
プロダクションI・Gでいつもと
毛色の違う今回の作品でしたが…
主役のコンシェルジュさんの仕事への情熱、
ドジっ子感のあるキャラクターで可愛いかった!
動物達も絶滅危惧種〜ペットとして飼われる動物、動物園で出会える動物…様々で勉強になりました。
面白かったです
ペンギン?の人を踏んづけるちゃったり、お尻を押したら滑っていったり、神出鬼没の東堂さんとか、登場人物がコミカルで面白かったです。
よく、原作のある作品の映画化では映画の限られた上映時間に収めるために内容を削ったりして、やけにあっさりして感じることがあるものです。
僕は原作を見ていないけれど、「きっと、香水を探す場面なんか、実際はもうちょっと奮闘している描写があったんじゃないかなぁ」とか想像しています。
でも、絵本のようなかわいらしい作画で、子供でも楽しめそうな仕上がりを見ていると、そのあっさりしたところが分かりやすくて良いと感じたりもします。
百貨店の成り立ちのようなものを話している場面では少し暗い事情もありそうだったけれど、明るく楽しくお買い物を楽しめる百貨店のために、新人コンシェルジュが奮闘するお話は、面白かったです。
涙の背景
途中から隠しもせず涙を拭くアラカン親父。席は空いてるから問題ない。何が一番効いたかはわかっている。本作は見る気がなかったので普段は見てから聞くことにしてるアトロクの宇多丸さんレビューを先に聞いてしまったからだ。宇多丸さんの分析力言語化力によりすっかりポイントが頭に入ってしまっていた。改めて見るかもしれない作品のレビューは要注意と反省。しかし聞いてなかったら見なかった可能性も否定できない…。
ともあれ短いスジの積み重ねに過不足ない省略と心地よい成長譚。ヒーロー物でもジブリでも新海でもない本作、国内外での高評価を期待したい。
忙しそうな店員さんが懐かしく感じる。いまは昔の古き良きデパート。
現在のデパートはガラガラで、店員さんがポツンポツンと立っているんですが、昔は店員さんが積極的に話しかけて、売り込みをしていたような気がします。
ストーリーはわかりやすく、表現も魅力的だったんですが、主人公が何故コンシェルジュに憧れたのかという動機の説明が弱かったので、感情移入できなかった。
人間達によって絶滅させられた動物たちへの「罪滅ぼし」としてデパートが運営されている。
ということは、そこで働くコンシェルジュは、見方を変えれば奴隷のようなものなのだろうか。
最初の場面で、子供時代の主人公がデパートで迷子になって、声をかけてくれたコンシェルジュのお姉さん。その姿が、顔が隠れている上に影がかかっていたのがすごく気になった。
コンシェルジュがキラキラとした憧れの対象として現れる場面で、何故あんなに暗いのか。
伏線を回収しないまま、頑張る主人公とキラキラした百貨店の姿で、あっけなく終わってしまったのでモヤモヤ感が残りました。
視覚、聴覚面は大満足!ただどうしても…
まずは好きだったところから。
絵の落とし込み方、アニメのつけ方、SEの心地よさまで最高でした…!
こんなに“アニメーション”を楽しめたのは久々だったような気がします。
場面も多く、コロコロと展開していくので、子供が観ても飽きずに楽しめそうな作品でした。
細かいことを気にしたい大人には少し向かない面もあるかもしれません。。
私自身が百貨店という概念に対して強めのこだわりをもっているせいか、
「いくら新人でもこんなドタバタしたコンシェルジュいたらシンプルに落ち着かないし嫌なんだけど…」という感情が最後までどうしても拭えなくて困りました。
最初にもっと“主人公がどんな思いで頑張ろうとしているのか?”をもう少しでもいいのでこちらへ明確に見せてもらえていたらここまでモヤモヤはしなかったかも…と思ってしまいました…
“頑張る主人公”は当然応援したいんだけど、応援しようと思える“キャラクターの核”を見せてもらえないまま雰囲気でゴリ押しされたというか…
主人公が憧れたのは「淑やかでスマートに助けの手を差し伸べてくれるすてきなコンシェルジュさん」だったはずなわけで…
その姿を目指している人間の頑張り方、気の配り方をしているようには全く見えずでした。
このあたりの心地悪さが尾を引いて、どうしても邪魔をされてしまいましたね。
ラストのウーリーさんの泣けるセリフとか全体通して色々な長所があったのに、どうも惜しい感想になってしまった印象でした。
まぁでも、アニメーションとしての面白さはほんとうに十分に感じられたので
また観返したい日も来るだろうなぁと思います。
クスッと笑える場面が多くて、最後ではちょっと感動もしました
絶滅した動物ばかりが来店する百貨店で人間のコンシェルジュが接客をしていて、試験採用中の新人が奮闘する話だけれど、お尻を押したら滑っていくペンギン?とか、神出鬼没の東堂さんとか、個性的な登場人物が多くて、全体的にとても面白いと思いました。
人とぶつかりそうになったり、指輪のケースを持った狼の人を、彼女に約束をすっぽかされたと勘違いしてしまったり、ミンクの父娘に勧める商品を間違えて大慌てでフォローしたり、羽を広げたクジャクに口を滑らせたり、失敗の数々も面白かったし、絵も全体的にイラスト風で可愛いかった。
ひょっとしたら、生産終了した香水を探すところとか、ひとつひとつの問題を解決する部分で、詳しくは描かれないお話があったのだろうけれど、尺の限られた映画ではそういう部分を簡単に済ませてしまうのはよくあることだし、むしろそのあっさりしたところがいいと思いました。
今の時代にこの映画、というのが面白い。
50代の私は、日曜日に家族や親族とデパートで1日過ごす体験をした最後の世代かもしれません。
誕生日やクリスマスにはプレゼントを、行事やイベントの時にはよそいきの洋服を、買ってもらっていました。
屋上の遊び場やお子様ランチもすごくいい思い出です。
アニメは、パステルカラーでかわいくて、眺めているだけでほのぼの。
ストーリーも、山場はないけど、温かい気持ちになります。
ただ、実際にここまでの接客をされたら、私はしんどいですが(^-^;
主人公の、お客様を笑顔にしたいという気持ちは、まっすぐ刺さりました。
周りの人を笑顔にしたいという気持ちを持つ人が増えたらいいなと思いました。
まずは、自分からですね。
帰り道、阪急百貨店本店に立ち寄り、クリスマスのウィンドウディスプレイをしばらく眺めました。
冬間近、幸せな気分の帰り道でした。
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