街の上でのレビュー・感想・評価
全190件中、1~20件目を表示
下北沢らしい舞台やガジェットが楽しい男女の群像劇
古着屋、古本屋、お洒落カフェ、自主映画撮影……若者のサブカルの街・下北沢らしい舞台やガジェットをふんだんに使いながら、1人の青年と4人の女性たちの群像劇が描かれます。恋愛要素もありますが、あっさり目な印象で、ふだん見落としがちなちょっとした心の変化や何気ない会話が丁寧にすくいとられています。長回しが多くて演劇っぽい雰囲気があり、終盤の17分ワンカットのシーンがとても心に残りました。
人生のいたたまれない時間を肯定してくれる群像劇
いたたまれなさ、みたいなものが素晴らしく映像に置き換わっている映画だと思う。生きてることはいたたまれない。もちろん楽しいことや喜びもあるけれど、それも含めていたたまれないものである、という感覚を信じている者として、そうですよね、生きてるってこういうことですよねというエピソードや感情や感傷が詰まっている。
確かどこかで今泉監督が『街の上で』と『サッドティー』の相似について語っていらしたと思うのだが、『サッドティー』の喜劇に振り切れるクライマックスともシンクロしながら、同時に叙情的で、ベタベタしてないのにロマンチックな仕上がりになっている。
あとまあ女性のキャラクターたちの魅力的なこと。ひとりひとりが主人公で一本の映画ができてもいいくらいなのに、惜しげもなく群像劇の中に放り込まれており、『あみこ』の春原愛良がチラリと出てくるくだりも含め脇にいたるまで捨てキャラなし。映画の贅沢とは、製作費だけのことではないのだなあと、当たり前のことを改めて考えさせられた。
“下北沢の精”のような4人のヒロイン
本作の評論を当サイトに寄稿したので、ここでは補完的な論点を中心に書いてみたい。「登場人物の職場や属性に音楽、文学、映画、ファッションといった要素を振り分け、彼らの日常を追うことでサブカルの街・下北沢の魅力をさりげなく多面的に紹介する仕掛け」と書いたが、古川琴音が演じる古書店員、萩原みのり扮する自主映画監督、中田青渚による衣装係は、サブカル的属性が分かりやすく託された精霊のような存在として機能しているとも言えそうだ。穂志もえかが演じる雪だけは何をしている人か明示されないが、分類できない混沌とした魅力、純粋な愛として、やはり“下北沢の精”と解釈できよう。
サブカルの精霊たちに愛される(または好意を寄せられるか、少なくとも関心を寄せられる)青は、Tシャツにコットンパンツという自然体の格好が似合う、まさに下北沢を体現する存在だ。よそ行き感のジャケットが浮いてしまうのも、若者の街なら当然か。人が出会いや別れを通じて少しずつ成長するように、街もその景観を変えながら成熟してゆく。
英題は「Over the Town」となっている。地に足がつく"on"ではなく、浮遊する感じの"over"がこの映画にぴったりだ。街を回遊する青と、どこか生き方を模索しているような女性4人。
下北沢映画祭からの依頼がきっかけで、シモキタを舞台に製作された本作。典型的なご当地映画とは趣を異にするが、絶妙な手法で街の魅力を伝えている。
人気がある作品と知っていたがスルーしてた作品
内容は全く知らなかったがついに鑑賞。
緩やかに話が進むが、ハマるポイントが幾つかあって、思わず声に出してテレビに突っ込みを叫ぶシーンがあってドハマり。
鑑賞後に下北沢での撮影理由や秘話を調べて更に楽しくなった。
1年後か2年後にまた観よう。
最後の30分間は秀逸なコメディー。
全部良かったです
この映画だとずっと受けの芝居しか許されていない若葉竜也さん、それなのにめちゃくちゃ上手くて、すごいです!!!!!!!!!ほんとに荒川くんは今日も下北沢で暮らしてると思わせてくれるほどでした。突拍子もないことの起こらない作品で結構長いのに、ずっと面白かったです。出てくる人全員、魅力的だった。すぐもう一回見ようと思うほどです。
一瞬の成田さんのカッコ悪く恋するイケメン俳優っぽさも、最高にスパイシーでした。
あとは、女優陣。素晴らしすぎて泣いちゃいます…イハちゃんとわたしも友達になりたい。
生きてるし、そこに感情があるし、ここは下北沢。な、ずっと夕方から夜にかけての空みたいな何も決められない空気感、と、真っ昼間に陽に顔を晒しながら恋をする若者の空気を久しぶりに拝みました。
ほんとに最高でした。今泉監督の作品これまであまり観てきてないので、ちゃんと追おうと思います。
今泉力哉節
今泉力哉節炸裂の作品。
映画館で何回も観て、何回も笑った。
今泉監督は、監督としての能力もあるけど、何より脚本家としての能力は抜群だと思う。
独特のセリフ回しと、即興性ある長回しで、コメディー演劇の要素が強い。
今泉力哉テイストというか、作品を観て、ああこれは今泉力哉だな、と分かる数少ない演出家。
とにかく笑える作品。
紙タバコ吸いたくなった。
主役の方の会話が全部自然で、とても心地よかったです。
街のお店も綺麗すぎずリアルだし、
もう本当に言うことがありません。
彼女が芸能人と浮気して、別れて戻ってきたら
どうするん?自分だったら。。
変わらない想いと変わりゆく街並み
今泉力哉監督が下北沢映画祭から依頼を受け製作された本作。
なぜかいつも行くシネコンでかかっていたので、前のめりで着席♪
若い頃ずっっっと住んでいた下北。
今は大規模開発によりかなり姿を変えましたが、それでもサブカルの街、下北沢の魅力が溢れていました!
何度もの断捨離から生き残り、今も手元にある"南瓜とマヨネーズ"が出てきた時はひゃお♡となりました。魚喃キリコ先生、今の子は知らないかな??
下北といえばの珉亭!!ヒッコリーもビビビもCCCもトリウッドもにしんばもTHREEも数えきれない程行った!
劇団白鳥座の前で自転車の2人乗りでお巡りさんに止められた事もありました。
南口でもよく止められましたw
恋バナは聞いた事ないですが、チャリお巡りさん、多かったです。あの頃。
すみません。時効だから許して。
自分と馴染みの街や場所がスクリーンで見られると嬉しいですよね♪
長くなりましたが、ストーリーは。。
古着屋で働く青(若葉竜也君)が恋人の雪(穂志もえかちゃん)に浮気された上に振られて落ち込んでいる。
そんな中、店にやって来た学生の高橋町子(萩原みのりちゃん)に自主制作映画への出演を依頼される所から、青の日常が少し変わっていき、様々な人々と交わっていく様子と街の風景を描いた作品です。
青をはじめ、登場人物のちょっとしたモヤモヤやおかしみ、切なさなど、全員に共感出来る所があり皆んな愛おしい。
CCCでの会話。
「文化ってすごいよな。マンガとか小説とか映画って残るけど、街はどんどん変わってしまうなぁ」と少し悲観して外の工事現場を眺める店長。
「街もすごくないっすか?変わってもあった事は事実だから」と青が答える。
私は駅前開発前の下北にいたし、その頃の街に愛着があったので、店長の気持ちも良くわかり、しかし、青が言っている事もその通りで、寂しがってばかりいなくてもいいなと思えました。
そしてビックリのマヒトゥ!!
「エンドロールに名前がなかった」と歌う次の歌詞に涙出るやんか!深過ぎてヤバめ!!まるで私達ですね。
スクリーンの向こう側でした。
極めつけはあの5人勢揃い!!
あり得ないけど、あってほしいw
超笑っちゃった。雪がキレてイハに突っかかり、チャリパクして逃げるなんてサイコーなんだがww
ラストも雪に未練たらたらの青が
「いいの追わなくて?!間宮武だよ!!」ってww いい奴かww
とても良く練られた脚本がお見事!
今泉監督の底力を見せつけられました。
大きな事件など起こらなくても、こんなにも目が離せず、ずっと観ていたくなる秀逸な作品でした。
登場人物も全員同じような愛情を込めて、丁寧に作り上げられていたので人物像が浮かび上がっていました。
みんな愛せて高評価でした。
キャスティングもばっちり!
イハ(中田青渚ちゃん)も可愛かったし、田辺さん(古川琴音ちゃん)はもう本当にビビビにいるよねw
間宮(成田凌君)登場もビックリ笑えた。うん。映画にメジャーもマイナーも無いよね!
同感だぜ!
下北にゆかりのある方は深〜く刺さる事間違いないし、街に縁がなくても、ストーリーがとても面白いので是非観てほしいです。
午前中に観たすずめで心が弱っていたので、本作でかなり癒されました。
良かった。大好きです。
シールももらえたヨ♡
映画館が今あってよかったと思える作品
映画館があってよかった。
退屈な、誰かの日常の一部分をのぞきみているような、
小さな画面ではものすごく陳腐に思えてくるようなひとつひとつを、
取りこぼさずに見られることが、映画館の醍醐味だなぁと思う。
ずっと見たかったのにウダウダしているうちに上映が終わってしまって、
でもレンタルやVODで見るのはなんとなく違うなと思っていた、街の上で。
リバイバル上映で、降りたこともない遠方の駅の小さなイオンシネマで、
この映画だけに向き合えてよかった。
下北沢を舞台に、主人公の退屈そうで刺激のある毎日を、気だるげに時に下世話なわくわくと一緒に過ごした2時間。
あー下北沢ってこういう人いるよね、みんなリアルでそのまま出てきたようなイメージ。
作られた感じのないセリフが延々と続いて、終わって欲しいような、ずっと見ていたいような不思議な気持ちになる。
誰かの人生はどこかできっとつながっていて、きっと今日みたわたしにもなにか影響していくのだろう。
街の上で、を見たわたしと見ていないわたしでは全く違うものなんだな、と感じる。
そして、そんな自分が、珍しく少し好きになれそうな。
それぞれの登場人物の生き方は、個々で見ると意味がないように思えても、
誰かにとってはピンポイントで意味があって、だけど全くセッションせずにすれ違うだけの人もいて。
それがおもしろくて、群像劇というものの懐の広さにびっくりする。
素直になれない人や、素直すぎる人、女々しい人。
誰かの過去や、後悔や、希望、少しの未来。
いやあなた役者じゃなくて本当にその役の人生生きてきてるよね?と言いたくなるような人たちばかり。
ひとりで見たけど、誰かにこの気持ちを伝えたくてたまらなくて、
でもやっぱり文字にすると100%が伝えきれなくてもどかしい。
それが少しくやしくて、でも自分の中にはたしかに見たぞという気持ちがあって、
それが誇らしくて。
恋愛っていいな。
誰かが誰かをすきで、
でもみんながみんな両思いにはなれなくて、
どこかであぶれる人は絶対にいて、
だけど、それでも恋愛って、いいな。
人との会話っていいな。
自分の話を聞いてもらうことって、
知ってもらうことって大事なんだな。
自分にも、誰かをすきになることで、何かができるのかもしれない、
この映画を見たことで、きっと何かが生まれていて、
それがいつか何かになるのかもしれない。
そんな風に思えた作品。
映画ってやっぱりいいですね。
これからもできるだけ映画館で見よう。
こういう作品が細々とでもある限り、
わたしはずっと映画のファンで、
映画館で見ることにこだわっていくんだろうなと思う。
絶妙
とりあえず、全部良かったです!
下北沢で暮らす男性が彼女に振られてから未練タラタラのままいると、色んな女性との出会いの中で展開が広がっていく。
どこでも何気ない雰囲気がめちゃくちゃ大好きでした。
絶妙などこでもありそうな雰囲気でそれとなく女性の思わせぶりな態度に心踊らされていました。
イハが個人的に好きでした。
主人公をどこか励ましながらも想いを寄せている様な雰囲気に少しヤキモキする様な気持ちで、
一緒になればいいのにと願ってしまった。
この何とも言えない作品が良かったです!
これは素晴らしい
普通の精神状態なら恋愛映画なんて見ないが
Netflixだし、今泉力哉で評判も良いし
何となく見てみたら、とてつもなく良かった。
全員、良い。
古本屋の人(古川琴音)が特に良いが
古川琴音は、メタモルフォーゼもすごく良かった。
それに加えて、カフェで魚喃キリコを開いてる人の声が頭に残ったが
誰だかは分からなかった。
めちゃくちゃ知りたい。
ただ、何か下北沢の空気感が良いとかの評価を観たが
この映画の良さは非リアリティだと思う。
こんな奴は一人もリアルに存在しない。
もし存在するなら、自分自身が恵まれてなさ過ぎて
もう映画を観る事が出来ない。
映画は、非リアリティで全然良くて、リアルだとするなら
そのすべての登場人物より劣っている自分が映画を観れなくなってしまう。
それは、とても困る事なので
こんなリアルが存在しないように、こんな幸せな事柄は
宇宙の外側で行われているから許せる。
そんな風に映画を楽しんでいきたいので
普段は、SFかゾンビかアクションしか見ないんだと
再確認することができた。
この映画も、舞台は下北沢で撮影されてはいるが
月よりも3倍くらい離れた光の屈折の多い場所である事を願うばかりです。
次は、「愛がなんだ」的なのを見るつもりなので
どうか、異次元もしくはマルチバースの話であってください。
謎は深まるばかり
大筋では 男性を振り回すモテヒロインと、どんな女性とでも絶妙な気まずさを取れるモテ主人公との恋愛 の感想なのですが、もう一度オープニングシーンを観たらそこにリアルエンディングが! みたいに わざと考察出来る様に謎をちりばめて何度でも繰り返し観る映画だと感じました。
否が応でも 名前の明かされない女性(ラーメン風俗嬢・メンソール女性) と
名前や会話にしか登場しない女性たち(寺田さん スズキサエコ お巡りさんの姉・舞台女優姪)
を脳内で繋げよう としてしまいます。
パート2やスピンオフ 舞台版 を期待して良いのかも謎
逆にダウト
朝子の うまくいくといいね
バーで五叉路を待つ(元関取)は イハの2番目の彼氏(現役関取)ではない
イハの1番目の彼氏は叔父のお巡りさん
街にちりばめられたイベントたち
イースターエッグが至る所に散りばめられたような、MOTHER2みたいな作品だった。というか現実の「街」も自分のスタンス次第でそうなる可能性を持っているんだろう。実際自分にも青くんほどとは言わないまでも似たような時期もあったなあと懐かしくなった。
全体の空気感は観終わった後街に出て知らない人とランダムにエンカウントしてみたくなる様な素敵な感じだったんだけど、場面場面は終始クスクス笑えるしょーもなさ満載で、それまでのフリを一気に回収するクライマックス(?)の畳み掛けっぷりにはめちゃくちゃ笑った。
あそこは何度も見たい。
変なところでものの見方がスーパーフラットな青くんみたいなキャラクターが持つ主人公性はとても現代的だなと思った。その他の登場人物たちも、色んな「人間味」を持ったとても魅力的なキャラクター達で、現実の自分の身の回りの人達にも興味がわいて掘り下げたくなる様な気持ちにさせてくれる。
下北沢の世界観を味わえた
ちょうど今京都で所謂サブカル大学生をしていて、東のサブカル街下北沢に憧れがあり見てみました。
主人公の荒川はいかにもな古着屋の店主で、彼の言動に少しじれったさを感じつつもどこか親近感を感じるキャラクターだったかなと思います。そんな彼の周りを偶然か必然か、世界は狭いなあとついつい呟いてしまうような出会いが取り巻き、出てくる登場人物それぞれの個性豊かなキャラクターにまた楽しませてもらいました。しかし私にはユキさんの一体何がそんなにいいのか終始さっぱりわかりませんでした。私が女だからでしょうか?友達という関係性がベストなのかもしれませんが、いはちゃんとのラブストーリーの方が恋愛的な面では楽しめた気がします。とはいえそうしてしまうとこの映画のストーリーの軸とは離れてしまうのかもしれませんね。映画監督の女の人にも少しむっとなる場面がありましたが、彼女はただ映画監督という立場に真摯に向き合っているだけなんだろうなという気がしました。私も一度でいいので主人公みたいに、映画の役者としてゲスト出演してみたいものです。
それとストーリーとは関係ありませんが、いはちゃんが関西弁なところに少し親近感が湧きました。私は地元が大阪でそのまま京都の大学に行きましたが、もし上京していたらあんな感じに過ごしていたのかなあなどと想像を膨らますのもまた一興でした。
特に難しい事を考えず、楽しく見ることが出来た作品でした。
あるあるとプチ・ハプニングが終始いい塩梅。
会話のテンポと間が芝居とは思えないほどにリアルで自然体。そして、つい吹き出してしまうコミカルさ。元カノとマスター、友達になったばかりの女性と元彼氏との遭遇が、「ありえないんですけどー」ばりに、サイコーにウケる。
この世界観って、海外ではどこまで通じるんだろうか。少なくてもアジアではウケてほしい、かも。
丁度いい人
最後まで、何も自分の意思で決めなかった主人公。でもなんだかんだ、色々な人から必要とされている。彼は、人と人との微妙な隙間を埋めるのに丁度いい人なんだろう。嫌味とかではなく、本当に丁度いいって意味で。
なんとオシャレな─
淡々と、別に面白くもないお話がずーっと続いていくんですが、その日常よくあるような出来事が幾重にも重なることにより、不思議なおもしろさを生み出しているような印象で、つまらん!と思いつつも笑ってしまうような、地味でありつつも大いに楽しませてくれた映画でした。
それにしても、ロケーションをはじめ、出てくる人もみんなオシャレで、会話とか設定もなんかもイカした感じで、ちょっとずるいなーなんて思ったり・・・
なかなかいい作品でした。
下北沢を舞台とした素晴らしい恋愛映画
この映画は下北沢を舞台とした素晴らしい恋愛映画です。
主役の若葉竜也さんは「えっ」という声がとても素晴らしいです。また、古川琴音さんの声も趣があって素晴らしかったです。
私自身の話で恐縮ですが、昨年3月まで杉並区に住んでおり、下北沢は時折、訪問していました。懐かしく思い出しながら観させていただきました。
素晴らしい映画を作成した監督及び俳優さん、そして関係者のみなさまに深く感謝いたします。ありがとうございました。
全190件中、1~20件目を表示