劇場公開日 2021年4月9日

  • 予告編を見る

「“下北沢の精”のような4人のヒロイン」街の上で 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0“下北沢の精”のような4人のヒロイン

2021年4月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

幸せ

本作の評論を当サイトに寄稿したので、ここでは補完的な論点を中心に書いてみたい。「登場人物の職場や属性に音楽、文学、映画、ファッションといった要素を振り分け、彼らの日常を追うことでサブカルの街・下北沢の魅力をさりげなく多面的に紹介する仕掛け」と書いたが、古川琴音が演じる古書店員、萩原みのり扮する自主映画監督、中田青渚による衣装係は、サブカル的属性が分かりやすく託された精霊のような存在として機能しているとも言えそうだ。穂志もえかが演じる雪だけは何をしている人か明示されないが、分類できない混沌とした魅力、純粋な愛として、やはり“下北沢の精”と解釈できよう。

サブカルの精霊たちに愛される(または好意を寄せられるか、少なくとも関心を寄せられる)青は、Tシャツにコットンパンツという自然体の格好が似合う、まさに下北沢を体現する存在だ。よそ行き感のジャケットが浮いてしまうのも、若者の街なら当然か。人が出会いや別れを通じて少しずつ成長するように、街もその景観を変えながら成熟してゆく。

英題は「Over the Town」となっている。地に足がつく"on"ではなく、浮遊する感じの"over"がこの映画にぴったりだ。街を回遊する青と、どこか生き方を模索しているような女性4人。

下北沢映画祭からの依頼がきっかけで、シモキタを舞台に製作された本作。典型的なご当地映画とは趣を異にするが、絶妙な手法で街の魅力を伝えている。

高森 郁哉