波紋のレビュー・感想・評価
全148件中、21~40件目を表示
痛快爽快の絶望エンタメ
社会問題になっている題材を中心にコメディも交えながら描いた痛快爽快の絶望エンタメ。主演の筒井真理子を中心に実力派揃いのキャスト陣の素晴らしい演技に引き込まれる。テンポが良くて誰もが共感できるような見応えある作品。
2023-105
なんとも気持ち悪い感じでした
なんとも気持ち悪い映画だった。面白くないというわけじゃないけど、後味が悪い。
人間的な気持ちと、宗教的な気持ちが、大きくズレている事が、人間らしいのかもしれませんが、あまりに乖離しているのではないかという気がしています。
ブラックユーモア
荻上さんの作品は良い所にも手が届くし、嫌な所も掘る感じ。そこを面白く皮肉たっぷりに仕上げる。
とある家族。震災があり、夫が失踪。息子は九州に就職。離散して行く家族とは裏腹に家を守り抜く妻。
そりゃ何かすがり付きたくなるし、新興宗教にも
入信するし不思議な水も買うよね。何故か枯山水を庭に。精神的支柱なのかも。
何年か振りに夫が帰宅すると癌と伝えられる。
義父のお世話までし、お葬式も独りでしたのに。
それでもお金を貪る夫。
久々の食卓は食べ方が、矢張気になる。意外と勝手に出て行った方が無神経だからね。
息子は聴覚障がいの彼女を連れてくると結婚すると伝えられるが、自分の嫌な気持ちを彼女と息子から見透かされる。
全体的に誰しもが持つ、人の嫌な本質と行動の心理を捉えてるよね。根本的に自分本位で身勝手だから。
夫も亡くなりお供えと清める水も消え、最後は
雨の中でフラメンコ。シュール過ぎる…。かなり。
この奥さんに降りかかった社会の縮図の波紋が
スッキリしてくれればと願う舞いでした。
劇中の新興宗教のお祈りの振り付けは笑います。
波紋は人の数と同数で発生する
荻上直子監督作品。公開時見逃したが、予想通り直ぐにサンサン劇場で再映されたので鑑賞。
去年見た『川っぺりムコリッタ』が思っていた以上に心に残り好きだったので、本作はどのように料理されているのか興味津々で鑑賞しました。
個人的には『川っぺり~』の方が好きなテーマでしたが、本作は映画単体として面白く興味深く見させて貰いました。
よくあるハートウォーミング作品の紹介というか感想で「悪人が登場しない映画」とか「登場人物全て善人」とかの定型文がありますが、それを裏側から見たような皮肉を込めたブラックコメディという印象の作品でした。
人間なんて、全てが極悪非道の人間なんていないし、その逆の品行方正・清廉潔白な人間も現実では見たことないのに、映画の中ではどちらも存在します。
少し前に見た『パリタクシー』もそんな映画ではありましたが、節度が保たれていましたので良かったのですが、極端だと逆に鑑賞者のストレスにもなってしまいます。
そういう意味で本作はそうしたストレス解消の為の、悪人とは呼べないまでも、鈍感で空気を読めず自分勝手で自分の欲得優先の偽悪的・偽善的な日常の振る舞いに対しての摘発映画の様な気がしました。
本作ではそれがあくまでも主婦(主人公)目線ではありましたが、そうした自分に対する攻撃(暴力)的波動のことを本作では“波紋”として具象化していて、それは、鑑賞者の誰しもが実生活で経験することなのである程度共感出来て面白かったです。
私も見ていて(主人公の周辺にいる)こういう人達は絶対に心から信じられないし、私の実際の人生の中にも登場人物のような人間は一杯いたなぁ~って、次々と思い出していましたよ。
但し本作では、主人公も含め波紋は全ての登場人物から発生し他者に影響しているという事を映像で見せていました。
なので、相手にとっては自分が波紋を起こしている円の中心であるのかも知れないのだという事も気づかせてもくれていました。
正直言って私も決して多くの人に好かれるタイプでもないし、自分でも気づかない部分で人を傷つけているのかも知れないという自信のなさも強くある人間なので、本作は波紋のシーンで共感と反省と半々の作品となりましたよ。
ということで、本作は“大好きな作品”とは言いませんが、大いに刺激的で勉強にもなり、今後ますます荻上直子監督作品から目が離せなくなりました。
いくつかの波紋が人生をいろどる。
やはり、みんなそれぞれ、自分の地獄を持っているんだな。
波紋がたくさんあった。
見える波紋と。見えないけど、心情の中の波紋が。
自分の中に差別や、自分が忌み嫌っていたものが、思わぬ事態で突然現れてくる。そしてそれを抑えられなくなる自分が一番怖いかも。
常識的な反応の仕方はわかっているのに、もう以前のようにはふるまえない自分。
何が変わってしまったのか、なぜこうなってしまったのか…
でも掃除のおばさんの本当の姿を知った時、彼女の中にある地獄を見た時、主人公は自分の素直な感情を出す事ができた。
それが救いだ。
主人公の中で何かが終わったのか。
波紋の輪の広がりが、静かにおさまっていくような…
ラストのフラメンコは圧巻。
彼女の中の全てをほとばしらせながら夢中で自分の感情のままに熱く踊るさまは美しかった。
過去に情熱的な踊りを習っていたような、感情が激しい内面を持ち合わせている女性だったのね。
何か人生、一回、二回、回って戻ったような。
本来の自分自身に戻ってきたような。
波紋が何回か起こり、そして静かな水面に戻るような…
人生ってなんだろう。
なかなかうまくいかないね。
何かにすがってしまったり、自分はそういう人ではない、と思っていたのに実はそういう人になっていたり。私もあるな。
メビウスの輪のような…波紋のような。
それでもなんとなく終わっていく人生。
その時は地獄だったのに、なんでもないように終わっていく人生。
だからこそ、「今」を生きていかなければ。
もう、「今」しかない。「今」のあなたしかないんだ。と言われてる気がした。
自分の周りでも静かに起こっていそうな出来事に、なんだか安堵したのはなぜ?
みんな少なからず似たもの同士なのかも。
にしても、宗教の踊りのバージョンが何バージョンあるのか?何度も吹き出しそうになってしまって楽しかったです。
何に生きがいを見出すか
幸せとは何か、、。
新興宗教、蒸発した夫、その夫の残した義父の介護、一人息子が久々の帰省で突然連れて帰ってきた恋人、日常とどう向き合ってどう生きるか。
孤独な主人公が出会うパート先の清掃のおばちゃん。
どこからか澱んでいた水が少しづつ流れ始める。
いい映画でした。
水繋がり❔共鳴はしないのか…
女性的目線でつくられていて、勉強になりました
一つ一つの言葉や行動が波紋を発生させ、どう波及していくのかが、とても面白かった
カマキリにホースで水をかけるシーンは、旦那の心境を如実に表現してた
奥さんはあのあと自由をつかめたのか
作品の中でもいろんな所で波紋の起きる姿が描かれますが、観ている側の心情にも少なからず波紋を巻き起こしてくれる、そんな人間のエゴや弱さを見事に描いた作品です。
予告を観て気になったものの、自分には合わない
気がしたので当初鑑賞予定がありませんでした。・_・;
昨年鑑賞した「観て良かった」作品の監督作と知って
上映期間ギリギリに滑り込んで鑑賞してきました。
◇
舞台は、たぶん東京。
始まりは、東日本大震災が起きた年の春。
親子と祖父の4人で暮らしているごく普通の家。
「雨に放射能が混じっていて危ない」
TVを見てそう言っていた父(光石研)が失踪する。
特段、宣言して出て行ったワケではなく
食事時に呼びに行った息子が母に知らせる。
「父さん、居ないよ」 「…え?」
庭を探す依子(筒井真理子)。
水やりの途中。ホースから水を出したまま。
そのまま、父は戻ってこなかった。
そして10年と少しの時間が流れる。
再び家族の暮らしていた家。ゴミ出しをする依子。
かつて植物がびっしり植えられていた庭は
草木が全く無い、「枯山水」の庭となっていた。
リビングには立派な祭壇。
その前に座り、手を合わせ拝む依子。
次に引出しから遺影を取り出し卓上に。祖父だ。
申し訳程度に手を合わせ、また引き出しに放り込む。
立派な祭壇には「緑命会」の御神体。
緑命会は、依子が入信した新興宗教だ。
遺影は祖父。失踪中に亡くなったようだ。
立派な祭壇に比べ、扱いの程度が知れる。 うむ…
10年前は高校生だった息子(磯村勇斗)。
高校卒業と同時に家を出て、九州で進学・就職した。
依子ひとり、この家で暮らし続けている。
心の支えは「緑命会」そして「緑名水」。
そんなある日。 「父帰る」
恐る恐る、依子に声をかける父。
” 祖父の位牌に手を合わせたい”
” 家に上がってもいいか ”
依子の心中にドス黒い感情が湧き起こる。
感情を押し殺し、般若面のようなカオで家に入れる。
” 拝んだらすぐに出て行ってもらう ”
依子の気持ちを察しているのかいないのか
食事を要求し、泊まっていくと寝床までも求める父。
黒い感情を抑えるには「緑名水」だ。 飲んで一息。ふー。
御神体に手を合わせ、感情を押さえつける。
父が切り出す。
「俺、実はガンなんだ」
「この家で最期を迎えたい」
「ガンの治療にカネがかかる」
” 何を勝手なことを…!”
依子の中に「我慢ならない」感情がどんどん増えていく。
それは、夫との間の事だけにとどまらない。
・パート先スーパーの客の図々しいジジイ(柄本明♡)
・庭に侵入してくるネコの飼い主
・突然、交際中の女性を連れて帰省する息子
依子が縋るのは「緑命会」。
困ったときには「緑命水」。
この家族の行く末、果たしてどうなるのか…
◇
と、まあ
現代の世の中が抱えている問題を
これでもかと言わんばかりに詰め込んで
お話は進みます。
「 鑑賞後、愉快な気分とは言い難い 」 けれど
「 あるある、と強烈に共感してしまう 」
そんな不思議な味わいの作品でした。
見応えは充分なのですが
疲れている時 とか 気持が沈んでいる時 などには
観ない方が無難かも とも思います。 (…ホントです)
私は元気なときに観たので、観て良かった。 ・_・
満足です。
◇あれこれ
■親子ねぇ
介護されながら、依子の胸に手を伸ばす祖父。…(無言で排除)
介護されながら、依子の胸に手を伸ばす父…。…(フっ と笑い)
「…親子ねぇ」
「…えっ?」 と父
平穏ではいられなくなったような気が…。(⇒父)
■あの寺は?
息子から頼まれ、息子が連れてきた女性を連れて
観光案内に出かけた依子。
スカイツリーの次に「どこかの寺」を訪れているのですが
どこの寺だったのか。
※もしかして、「縁切寺」に連れて行ったのでは?
などと考えてしまいました…。・_・;
■あの手話は?
息子と共に家を訪ねてきた女性タマミ。
耳が不自由だが、声と手話で息子と会話している。
「水が欲しい」 と
依子が出した「緑名水」を飲んだ直後だけ
息子と「手話」だけで会話をしていました。
※手話で緩和した内容はなんだったのか…。気になってます。
(聞かれたくない内容なのでしょうけれど…)
■ムロツヨシ
観ている最中にはムロツヨシがどこにいるのか
見つけられませんでした。 …無念。
※緑命会の信者メンバーの誰かかな?
とか思ったのですが… 違う気がする…。
ムロツヨシはいったいどこに…。
■場面展開時のタップ音
カスタネットのような「タタタタッタタッ」 という音。
何か意味があるのか気になっていたのですが
最後になって ” フラメンコ ” のリズムかと思い当たりました。
ラストシーンへと繋がると綿密な仕込みなのかも。
そう考えたら、すごい構成だと感心。
■嫌なジジイ
商品に難クセをつけては「半額にしろ」と
値引きを要求する爺さん。
柄本明ならではの存在感と迫力に拍手。♡
※現実に目の前にこの爺さんがいたらイヤかも…
◇最後に
ストーリーの前半(というか序盤)
返ってきた父を、ゴミを見るように扱いながらも
何となく迎え入れてしまっている依子。
そこにずっと違和感を感じながら観ていました。
それが、
「貴方のした事が、無かったことにはできない」
の発言になり、
出棺の際、落とした柩の中から「手」が出てくる場面での
「大笑い」となり、
出棺後の庭先、雨の中での
「フラメンコ」へと
繋がって行った気がします。
依子はやっと開放されたのだろうか と
何故かほっとする気持ちにもなりました。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
主人公が人生を生き直す、これからを感じさせるラスト
これまでと作風をガラリと変え、ブラックユーモア万歳に人間の醜い面を、ドミノ倒し的に描き出す
無害に見えて性根の腐ったクズ旦那の光石研、健気な息子と見せてただの甘ったれの磯村勇斗、逞しい老女かと思いきや孤独に潰されかけていた木野花ら、役者陣がみんな素晴らしい
そんな中で、主人公がどこまでも報われないパターンのストーリーながら、ラストシーンには不思議な爽快感を与える筒井真理子の女優魂は圧巻
ムロツヨシが、一見ムロツヨシとわからない姿で出演してるのは、前作の「川っぺりムコリッタ」に出演した際監督に、今までのムロツヨシを無くして演じろ、みたいなこと言われたからだと勝手に推測
女性俳優筒井真理子をとことん味わうための映画
2023年映画館鑑賞34作品目
6月21日(水)イオンシネマ新利府
ACチケット1000円
監督と脚本は『バーバー吉野』『恋は五・七・五!』『かもめ食堂 』『川っぺりムコリッタ』の荻上直子
夫の蒸発後に新興宗教にハマった主婦の話
そんなある日に夫が戻ってきた
癌で長くないという
東京を離れ九州で就職した長男が恋人を連れて帰省した
恋人は6歳年上で聾唖者だった
監督初のブラックコメディーという意欲作
なにかしら思うところがあったのだろう
インタビュー記事を読んでもよくわからないけど
とにかく主演の筒井真理子の芝居に尽きる
とことん味わってもらいたい
サウナで水木さんが依子に「男を甘やかしてダメ」などと説教していたら男性客がどんどん席を立つシーンが面白かった
時折何かしら叩く音がうざかった
必要性を全く感じなかった
ラストで何の音がわかった
フラメンコだ
荻上直子監督にとっては重要だったのだろう
都内の庭で枯山水とはなんと贅沢な
しかし棺桶を運ぶときは歩きにくいったらありゃしない
ほらいわんこっちゃない
落ちた棺桶から出てきた夫の遺体を見て大笑いする依子とそれを見てドン引きする息子は印象的なシーン
あのホームレスがムロツヨシだったとはあとでわかったことでエンドロールでは「あれ?ムロツヨシ出てたっけ」と思ったくらい
福島原発事故のエピソードはどうしても必要だったのかな
あと妻が6歳年上ってなにがいけないのか自分は理解できなかった
生まれつきの難聴に関してはわからないではないが遺伝するとは限らないだろう
配役
スーパーのレジ係としてパートをしている須藤依子に筒井真理子
蒸発後戻ってきて再び共同生活を始めた依子の夫の須藤修に光石研
依子と修の息子で宗教にハマる母に嫌気がさして九州の大学に進学しそのまま就職した須藤拓哉に磯村勇斗
須藤家の隣に住む主婦に安藤玉恵
依子がハマる宗教団体の信者の小笠原ひとみに江口のりこ
依子がハマる宗教団体の信者の伊藤節子に平岩紙
拓哉の子供を身篭り結婚する予定の珠美に津田絵理奈
寝たきりの修の父に花王おさむ
レジで半額を要求するカスハラ常習犯の門倉太郎に柄本明
依子が働くスーパーの清掃係の水木さんに木野花
依子がハマる宗教団体のリーダーで教祖と信者のパイプ役の橋本昌子にキムラ緑子
修に話しかけるホームレスにムロツヨシ
総じて滑稽
いやー、ジワジワとくるわー。
喪服で力強く踊る 筒井真理子が頭から離れん。
最高っす!
そして、この俳優たちを集められる監督が、スゴい!!!
平岩紙と江口のりこの宗教にハマっている人の目が上手すぎて震えた。
そして、笑えた。
木野花の近所のおぼちゃんにいそうな感じで
人生経験の深さを体現しているところに感服。
とにもかくにも、人の弱さと強さ、
総じて滑稽さがテンポ良く描かれていて、
とても面白かったです。
生きること
逃げてた夫が癌を宣告され家に戻ることで、波紋の如く広がる主人公の心情の起伏。
いろいろなものに縋りながら生きる女性たちの心情を描き、聖人君子ではない人間を描く。
そこに倫理観だけでは表せない生きることを清々しく描いている。
閉塞した女性の感情
疑問に思ったのは、介護を押し付けた夫が失踪した後、義父が亡くなりやっと介護の重圧が無くなった後に、なぜ新興宗教に傾倒したのか、という点。
夫の支えが無くなった後が一番辛かったはずなのに、その時では無く、少し解放されてから新興宗教にハマったのだよね。そこは納得できなかった。
まぁでもウチの妻も夫である私の行動にいちいちイライラしてるので、観ていて主人公がイライラするのはさせている立場からも判る判ると思えて、失笑を禁じ得なかった。
ラストシーンは、圧巻かつ印象的。レッド、アンド、ブラック。カッコイい、けど、ズルい。終わってない、よね。
憎悪と狂気の波紋
なのだろう。
あれほど嫌悪感を抱かされた修も、やがて死期が近づくとすべてを達観したような態度になり、不思議と観ていて安らかな気持ちにさせられる。
依子は突如倒れてしまった水木の世話をするうちに、少しずつ心が穏やかになっていく。
清掃員であるにも関わらず彼女の部屋はゴミ屋敷なのだが、震災が起こった日から彼女は部屋を片付けられなくなってしまったらしい。
不当な値引きを迫る老人にも、切羽詰まった理由があるのかもしれない。
その人のことを知れば、実は人は簡単に人を許すことが出来るのだろう。
人の醜い部分を描いた作品なので、とてもドロドロとした印象の映画になってもおかしくないのだが、やはり荻上監督はコメディのセンスがある。
間の取り方や空気の壊し方が絶妙で思わず笑ってしまう場面が多かった。
ラストの雨の降る中、喪服姿でフラメンコを踊る依子の姿が印象的だが、筒井真理子はいつ観ても不思議な色気を感じさせる女優だなと思う。
胡散臭い信者役の江口のりこと平岩紙の存在感も絶妙だ。
一滴の水〜♪大海に〜♪
「はもんしっそうだとォーッ!!」
あ、大丈夫です。カーズ様は出てきません笑 結構好きなんだけどなぁ。で、「波紋てなに??」が拭えなかった。全員気持ち悪い(でもたぶんこれが一般社会)のも良かったし、唯一のマトモな人が終盤のキモで心を掻き回されたりと色々とあったのだけれども、ラストのラストでどーでも良くなる稀有な作品でした。「怪物」でも思ったけれども、」視点の違いと色眼鏡で袋叩き」は最近の美味しいファクターなんでしょうかね。まぁでも、昔から変わらないとも言える「業」に近いもんな気もしたりするけども。
「推し活」に対する風刺が一番面白かったかな。
色んな社会問題をつっついてて興味深い。
原発、差別、宗教、精神疾患などなど
ただ、どれも深入りもしていないし
正解もない。
むしろ誰が悪い訳でもない。
だから鑑賞後、答えが見いだせている訳では無いけど
考えさせられる。
うわ・・外へ出ちゃうんだ・・
「怪物」の造り手が軟弱に感じる図太さ。一人でハマって、一人で枯山水、一人で出ていき勝手に帰る、たくましく妊娠、ストレートに差別。実際の社会で生きるにはこれ位じゃないと駄目なのかも。笑えるシーンも有って、ジョジョみたいな効果も面白い。
フラメンコ💃
ストーリーの説明にあるように信仰宗教、介護、障がい者差別、ご近所トラブル⁈、老害案件。
皆、誰にでもあるはずなのに、他人事のうちは「大変だなぁ」くらいに捉えてる。
自分に降りかかると、とたんに被害者面。
そんな一面(起こる事はてんこ盛りだけど😓)を静かに徳を積むように鎮める(決して受け入れてはない)主婦のお話し。
めちゃくちゃ面白かったか?と言われれば、そうでもない。
ではめちゃくちゃつまらなかったか?とも思わない。
現代社会において、必ずどこかで起きている物語。
こういう役をやらせたら筒井さんは抜群にいいね。
たぶん、最後のフラメンコの件は全てを昇華した「達観の舞」を表現してるんだろうけど、なんか強引な〆に感じた。
せめて、息子が開いたアルバムに「昔習っていた」体の布石でもあればもう少しすんなり受け入れらたと思う。
0.5単位の評価だからできないけど、気持ち的に3.2くらいの評価です。
「お客さんに波紋のように伝われば」
今年85本目。
波紋のタイトルから見える、お客さんに波紋のように伝わればと俳優さんも思われて自分も感じました。今の時代女性の方が強い、納得です。まだ御覧になられていない方もいるので息子さんが彼で良かった。抑圧からの解放もテーマだと思いますが、自分は解放した時に気を引き締めるようにしていて、作品は解放がいかに美しいか描いています。
平安を得るために自分を否定するという矛盾
記憶が正しければ、ですが
修(光石研)が「癌なんだ」と言うと、依子(筒井真理子)が「ごはんたべてく?」と返したような。チグハグにも思える返球に、修はちょっと戸惑いながらも、「うん」と答えたような。
つまり、父に線香を上げに、と帰ってきただけの修を、留めたのは依子だったのでは?違っていたら、すみません。
でも、もしそうなら、荻上直子監督の意図的な、そして本質を突く描写が、そこにあったように思います。
あれほど嫌悪し、あれほど憎み、あれほど拒絶しているはずの修に、いてほしかった、という矛盾。
いてほしかったからこそ、夫の失踪の喪失感を埋めるために、緑命会に入信せざるを得なかった。そして緑命会では、ひたすらに自分の心を抑圧することで、かりそめの平安を求めた。夫が帰ってきてからもそれは続き、しかし、同時に水木(木野花)の共感に支えられて、恨みを解放していく矛盾。
その矛盾の中で、依子を本当に救ったのは、宗教ではなく、水木の共感。水木もまた、誰も踏み込ませなかった自分の部屋を依子に解放することで、心を解き放った。
自分を救ってくれるのは、宗教ではなく水木の共感、それはある意味の赦しなのだ、と徐々に依子は気付き、だから、依子は特別な緑命水を買わない選択ができたのでしょう。
しかし、息子も自分の意にそぐわない女に盗られ、夫も亡くなり、家庭という彼女のこだわり、すなわち業が消えた。だから、出棺のその時、枯山水に夫のなきがらが転げ、その両方が本来の在り方から逸脱した姿を見せた瞬間、笑わずにはいられなかったのでしょう。かけがえのないものだ、と思い込んでいた自分のおろかさに気付き、込み上げるばかばかしさが爆発したのでしょう。
そして、フラメンコは命の肯定。
一人の平安に閉じこもることなく、互いの心に波を立て合う他者が、私たちには不可欠な存在。その他者がいてこそ、自分を確認でき、自分を肯定できる。波紋は自分の存在証明です。
こんな映画に出会えることを、本当に幸せを感じます。この映画づくりに関わったスタッフのみなさんに感謝です。
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