ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー

劇場公開日:

解説

マーベル・シネマティック・ユニバースの一作として世界的大ヒットを記録し、コミックヒーロー映画として史上初めてアカデミー作品賞を含む7部門にノミネート、3部門で受賞を果たした「ブラックパンサー」の続編。主人公ティ・チャラ/ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年8月に死去したが、代役を立てずに続編を製作した。

国王ティ・チャラが病により命を落とし、悲しみに包まれるワカンダ。先代の王ティ・チャカの妻であり、ティ・チャラの母でもあるラモンダが玉座に着き、悲しみを乗り越えて新たな一歩を踏み出そうとしていた。そんな大きな岐路に立たされたワカンダに、新たな敵となる海の帝国タロカンの脅威が迫っていた。

監督・脚本は前作から引き続きライアン・クーグラーが担当。ティ・チャラの妹シュリ役のレティーシャ・ライト、母ラモンダを演じるアンジェラ・バセットをはじめ、ルピタ・ニョンゴ、マーティン・フリーマン、ダナイ・グリラ、ウィンストン・デューク、フローレンス・カスンバら前作キャストが再登場。海の帝国タロカンを率いるネイモア役で、「フォーエバー・パージ」などで知られるテノッチ・ウエルタが参加した。第95回アカデミー賞では計5部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞。アンジェラ・バセットが助演女優賞にノミネートされ、MCU作品で初めて俳優部門にノミネートを果たした。

2022年製作/161分/G/アメリカ
原題:Black Panther: Wakanda Forever
配給:ディズニー
劇場公開日:2022年11月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第95回 アカデミー賞(2023年)

受賞

衣装デザイン賞  

ノミネート

助演女優賞 アンジェラ・バセット
視覚効果賞  
メイクアップ&ヘアスタイリング賞  
主題歌賞

第80回 ゴールデングローブ賞(2023年)

受賞

最優秀助演女優賞 アンジェラ・バセット

ノミネート

最優秀主題歌賞
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(C)Marvel Studios 2022

映画レビュー

4.0制作上の困難と物語上の困難が重なる

2022年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

主役の死というアクシデントを乗り越えて制作された本作。物語もチャドウィックの死をなぞるようにティ・チャラ国王の病死から幕を開ける。役者にはペルソナがあり、あらゆるキャスティングは役者の持つペルソナを考慮しながらされるが、ティ・チャラというキャラクターはチャドウィックのペルソナなしでは成り立たないと判断したからこそ、こういう展開しかなかったのだろう。
本作は誰が主役なのか、曖昧な状態からスタートする。複数の女性キャラクターが中心となって国王不在のワカンダを立て直そうと奮闘し、新たな脅威に対応せねばならない状況を描く。次の主役が立ち上がり成長するまでの過程をたっぷり時間を使って描いているのが良かった。主役の死というのは、簡単に代替できるものではないのだ。チャドウィックはそれぐらい大きな存在だったのだ。
圧倒的な資源とテクノロジーを持つワカンダと世界は上手くやっていけるのか、その課題は次に持ち越しとなった。この困難な課題に対して、どんな回答を示すのか。

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杉本穂高

4.5悲しみを乗り越え各々が力強く躍動する

2022年11月12日
PCから投稿

この映画は悲しみと共に幕を開ける。主役を失ったシリーズは果たして機能しうるのか。かつてない制約を抱えながら、登場人物たちは「自分には何ができるだろう」と葛藤を続ける。そうやって国家の守護者ブラックパンサーが果たしてきた重責を共に担おうとする女性たちに光が当たる本作は、前作とは色彩やテンポや流れを大きく変え、もはやヒーロー物であること以上に一つの国家を主人公にした物語として勢いがある。強さがある。答えなきところから何かを掴み取ろうとする意欲に満ちている。そしてアバターかと見まごうほどの海の民がフィーチャーされるのも面白い。彼らの生態、戦い方、文化、歴史、境遇。なるほど、このシリーズが決してアフリカだけにスポットを当てたものではないのを示す巧みな展開部である。一場面でふと映し出される「鎖」が印象的だ。これはいわばあらゆる意味で解き放たれ、自らの意志で生き方を決断する物語と言えるのかもしれない。

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牛津厚信

4.0映画と現実をリンクさせ、新たな道へと進む「ブラックパンサー」。そしてMCUのフェーズ4のラストを飾る作品。

2022年11月12日
PCから投稿

本作の上映時間は161分となっていて、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)関連の映画では、「アベンジャーズ エンドゲーム」の181分に次いで2番目の長さに。
ただ、この長さには意味があり、何といっても前作の「ブラックパンサー」の主人公を演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年8月に病死してしまったことがあるでしょう。
普通であれば、かつて「アイアンマン」の脇役のキャストが何事もなかったように代わっていたりした如く代役を立てるものなのかもしれません。しかしチャドウィック・ボーズマンの存在感はあまりに大きく、映画では現実社会とリンクさせる決断をしました。
そして、「スーパーヒーロー映画」として初めてアカデミー賞で「作品賞にノミネート」という快挙を成し遂げた前作に続く作品として、物語を展開する必要もあります。
さらには、「MCUのフェーズ4のラストを飾る作品」としての役割もあるわけです。
この大きな3つの柱を背負い、新たな船出です。
前作のラストでは、高度な科学技術を持つベールに包まれていた文明国家「ワカンダ」を明らかにすることを国連で演説していました。そうなると、希少でパワーの源である鉱石「ヴィブラニウム」の存在も明らかになります。
その結果、世界はどのように動くのか?
また、映画の中でも「ブラックパンサー」が亡くなり、次の「ブラックパンサー」はどうなるのか?
さらには、「本作の後」の話として、ディズニープラスでドラマ化が決まっている「アイアンハート」が登場するなど、フェーズ5への方向性を示す役割もあり、これらの流れをフルで展開していくのです。ちなみに、この「アイアンハート」はコミックでは、次の「アイアンマン」とされていますが、映画の中ではどうなるのかも今後の注目点となります。
前作の知識があれば本作は丁寧に分かりやすく作られていると思います。
強いて言えば、「ワンダヴィジョン」という配信ドラマから始まったMCUのフェーズ4は、世界感がどんどん大きくなり収拾がつくのか分からなくなりつつありますが。
そんな中、「ブラックパンサー」については、地に足のついた物語を構築していて、映画と現実がリンクし、サブタイトルの「ワカンダ・フォーエバー」は名優「チャドウィック・ボーズマン」の存在を意味しているように思えます。

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細野真宏

4.5Chadwick Boseman Forever

2024年4月9日
iPhoneアプリから投稿
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