岬の兄妹のレビュー・感想・評価
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あのぉ。どうですか、一万円で。
問題作だ。これほどきついテーマをまっ正面から押し付けてくる。そこにあるのは自分とは無縁の世界、いや、知っていても知らんぷりしてきた世界。「万引き家族」が心暖かなホームドラマに思えてくる。
スクリーンの中にいる兄妹は自分ではないのに、まるであの段ボールで目隠ししたボロ屋に一緒に住まわされているような感覚が芽生える。そう、ヨシオが目をひん剥かれんばかりに妹の行為を見せつけられていたあの気持ちのように。そして、友人の警官のように、気遣いをみせているようでやはり他人事としか見ていない自分の目の前に、等身大の鏡を立てかけられて、この映画を見ている自分を見せられているような嫌悪。そりゃあ生活保護を受けろよ、という意見だってあるだろう。だいたい、そこに考えが至らないのかもしれない。でもその発想が起きる前に、もがいてもがいてしがみつくような生き方しかできないこの兄妹の、薄汚いド根性に激しく心揺さぶられるしかない。
ヨシオの腹をくくった後の表情の見事さ、マリコの体当たりの迫真の熱演に、惜しみない拍手を送ります。
震えながら流されていく
障害者の性とか、残飯をあさるほどの貧困だとかに目を向けてしまうと、1800円払って映画を観ることのできる自分には、途端に別の世界の話になりましたが。
何人か書いてらっしゃるかたもいますが、ハロワに行くとか、障害者申請もしないのをみて、「生きることにも死ぬことにも何にもしがみつかず流されるままに生きた過程」として観たら、他人事じゃねーぞ、と思いました。
妹がしていたことが、「売春」にあたると、たまたま知った兄。これは稼げると思ってしまって、流されるように妹を道連れにその道を進んでしまう兄。
あそこで例えば、「全うに生きる」ことにしがみついたとしたら?
妹は「私のこと好き?」と聞く意思を持ち、おそらくコビトさんへの「恋」を知る。兄を置き去りにして。
兄に手を引かれながらも、自ら道を選んでいたのは妹の方だったんじゃないかと思う。
たしかに映画は、しがみつく気力も起きないほどの逆境だけど、「息をするだけの生きている」をしていると、私もいつ引っ張られてもおかしくないと思いました。
映画でしか表現出来ないおぞましさ
これは映画じゃないと表現出来ないですね。
テレビで放送出来ないけど、放送すれば苦情が殺到しそう。
自閉症と知的障害の妹も、その妹の性の部分を利用しないと生きていけたい兄もどちらも、直視できないほど辛い。
可哀想だとか、頑張って、なんて言えないくらい。
兄も客たちも、男として最低。女性が見るともっとおぞましい物に見えると思います。ただ、男の自分には大なり小なり同じ最低な部分もあり、まったく理解できない訳では無いところが辛いところ。
見たくもないし考えたくもないけど、映画ならそれが表現できるのだと思う。救いのない絶望だけど、見方によってはほんの少しだけ希望もある。
後味は悪い。なんとも言葉にしにくい。
ポン ジュノ監督の推薦文
デビュー作、ポン ジュノの推薦文。
何故?山下監督・ポンジュノ監督の助監督。納得。
決して綺麗でも胸がときめくわけでもなく、逆に貧しく、汚く、辛く、苦しい でも愛がある話。
両監督のDNAをしっかり受けづいている。
私的映画史で言えば、青春の殺人者以来の衝撃。
ありがとう。2作目楽しみ。
上映してくれた、イオン映画の配給にも感謝。
本日、ROMA/ローマ も鑑賞。
大満足の1日!
3*9 イオン桂川 9*25~
このまま終わらないでほしいと願ってしまう
あんまり軽く感想も言いにくい映画。
兄や、他の登場人物も、色んな可能性の幅を狭いって認識してて、それを辛いとか悲しいとか感じながら生きてる。
そういう人に、そうでない人の理論で、人として・兄としてっていうところで、正そうとしても、それは偽善でしかなく。映画の最初のシーンで警察官の友人があっさりと言った「わからないよ」の言葉が印象的で、それが兄弟を壁で囲い、そうでない人の理論でいう正しい道から外させる大きな原因の1つでもあるのかなと考えさせられる。
ずっと目の前に壁がある状態というか、窓や扉が少しも手が届きそうと思えない高い場所にある状態というか。前に進めない映画だった。
映画のなかで垣間見れる幸せは、寝ている時の夢や、わずかな可能性の中だけで、すぐに引き戻されて、辛い・悲しいと感じてる現実へ。
妹のまりこの妊娠という事実に、もしかしたらと、兄がわずかな幸せの可能性を感じても、現実としては、障害のある妹の売春の中での妊娠で、それを受け入れてもらうことはできず。
また辛い・悲しい現実へ。
まりこの相手へ芽生えた感情も叶わず、まりこが泣き叫ぶ姿が、兄を責める。
障害がないひと側の普通の考えは、まりこの頭の中にはないから、障害がないひと側の思う幸せは、手に入れることができないのかな、なんでこんなに辛いのかなと感情が連鎖する。
まりこの存在のせいか、そこまで真っ暗闇の映画ではないけども、途方もない映画。
もちろんすっきりすることはなく、終盤を迎えはじめても、まだ終わらないでほしいという気持ちがありました。
ハッピーエンドを望んでた訳ではないですが、幸せでも不幸でも終止符をうってほしいと願ってしまう。
終止符をうたないことが、一番のバットエンドだと思ってしまう映画。
感動ポルノの進化系
エンターテイメントとしてはおもしろかった。
主演2人の熱演も素晴らしいし、結構笑えた。
でも、内容は薄いかな。
「感動ポルノ」(障害者=感動をくれてありがとう、の図式)という言葉が以前流行ったけど、この映画は感動ポルノの進化系?変化球?
リアリティがあるようで…?
私は高機能自閉症なのですが、予告編で「障害」「自閉症」というようなワードをそんなに強調して宣伝する必要があるのか、とちょっと不思議に思いました。
実際に作品を見て、映画としてはうまいと思いました。
一方、「タブー」「センセーショナル」「衝撃的」とか評されそうなシーンを、ただただ見せられたという感覚も受けました。
何を描きたいのかあまり伝わってきませんでした。
演出や役者さんの演技は良かったです。
生活の細かな描写、閉塞感や怒りの表現にはリアリティを感じました。
しかし、人物や状況の設定には全くリアリティを感じなかったので、何も心に残りませんでした。
只者じゃない この監督
久しぶりの邦画の衝撃作。深刻なストーリーをユニークなカラーで最後まで維持して全て昇華しています。カメラを止めるな に通じる切羽詰まった連中がとんでもない映画を作った感じ。この監督只者じゃないです。全く女性向けではないとは思いますが男性にはかなりオススメです^_^ ちゃんと娯楽作品になってる空気感が評価できます。風祭ゆきさんが特別出演で出てるのはまいりました。主役の二人もとても魅力的でした。
まったく共感できない。
まったくリアリティがない。
あの状況なら生活保護を申請するでしょ普通は。
もし無知だったとしても、一番の友達が警察官なんだからアドバイスしますよね。
自分の中では、ここで終わった映画です。
あとは演出の稚拙さが目立ってイライラしながら観てました。
自分の感覚ですと、本当にお腹がすいてるときって
ハンバーガーでも、この世の物とは思えない位に美味しいんじゃないかなって思うんです。
あんなガツガツ食べるの勿体無いって
味わって味わって食べるんじゃないかなって
いちいち書いてるときりがないので止めときますけど。
なんか自分に酔っちゃってますよね脚本が
ぜんぜん現実的じゃないです。
著名な方々がこぞって誉めるので、みなさん引っ張られちゃってるんじゃないかなって思ってしまいます。
自分としては0点の映画です。
本トに久しぶりです0点なんて
最後までおきてましたけど、余裕で寝られる映画でした。
パンチがあって、におってきちゃうイイ映画!!
エネルギッシュでパンチがあって、画面からいろんなニオイが出てきちゃってるイイ映画!
ラストシーンもイイ!あれがイイ!
ああでなくっちゃ!
賞をいくつもとった作品と比べる人がいるが、あちらよりこちらのがずっとイイ!!
におってくるものがある!
しげる
海辺の町で2人で暮らす脚の悪い兄と自閉症の妹の話。
妹は無職、兄は造船所で働いていたが不景気に伴ってクビになり、妹に売春をさせて暮らす様になるストーリー。
重く悲しくやり切れない話ではあるのだけれど、同情を買う様な発言だったり嘘だったり言い訳だったり見栄だったりと兄の甘えや不誠実さが目につき素直に受け入れられない。
序盤のやり取りで警察官の発した「何もわからないよ」が正にその通りだし、これをどう受け止めるかということに尽きると思う。
情があったり本当に必要なら最初から切られないだろうし、枠が空いたからと復職出来ても何も変わらなければ次も候補の筆頭だとは気付けないんだろうなあ…と考えてしまうぐらいにハマった。
生き続けることこそが尊い
日曜の朝から悲劇を観てしまう自分がいる。まだ「アリータ」も「グリーンブック」も観ていないというのに……
これは「赤い雪 Red Snow」に続く圧倒的な悲劇だった。悲劇しかなかった。
自閉症の妹とふたりで暮らす兄。足が悪く職を失い家賃を払う金も無く電気を止められ生ゴミをあさる。兄はふたりで生きていくために訳も分からぬ妹に売春をさせる。
葛藤しながらもそれを続ける兄、そして妹。まったく出口のない閉塞感に息苦しくなる。
彼らのしていることは確かに「犯罪」なのだが、生き続けるための「正しい行為」だと思う。誰に迷惑をかけるわけでもない。
「万引き家族」と同様、観る我々に善悪の彼岸を突きつける秀作。
兄の「罪の意識」が今作を決定的な悲劇とした。
僕に問いかけるもの
この映画の感想を表現するには、僕には言葉が足りない。
社会の片隅とか、社会的弱者といった表現も軽すぎる。
僕が目を背けているものが、そこにはあった。
敢えて、「僕が」と言ったのは、主語が、「私達は」、とか、「社会が」、とか言ったら、自分が逃げているように感じたからだ。
映画を観て、嫌悪感を抱く人もいるに違いない。
そんな圧倒的なストーリーが、そこにはある。
映画の最中は、僕も、二人の結末は悲しいものに違いないと感じていた。
でも、良夫が振り上げたブロックを叩きつけるのを思いとどまったことや、真理子が良夫の苦悩に気付いたこと、エンディングが冒頭のデジャヴのようだが、良夫が造船所の作業着を着ていて、仕事に戻れたんだなと分かったこと、そして、真理子が大人の女性の表情を見せたところに、希望を垣間見て、二人に対して祈らずにはいられなくなる。
生きるとは何なのか意識させられる作品だと思う。
気分が悪くなるほど辛い
映画って色々な表現が出来、色々な事が伝えられる手段でもあります、しかし、また違う言い方をすれば、虚構の世界でもあります。
本作品、制作側が本作品を作り何を言いたく、何を表現したかったのか分かりませんが、私的には、あまりにも見ていて「辛く」、例えば本作品に関する「怒り」や「哀しみ」「切なさ」を何処にぶつけて良いのか・・・・「神様」なのか、「国」なのか、「兄」なにか、「妹」なのか・・・・・
また、見方を変えれば、「自分より下はいる」だとか、「虚構の話」と目を伏せる事も出来る・・・・
私自身、本作品に対して、何と評価すればよいか、どう考えていいのか分かりません・・・・・
勿論、同情もありますが、何ともいいがいたい・・・・
役者さんの演技は大変に素晴らしく、大変にリアリティがあります。
しかし、本作品って実話じゃないですよね・・・・・
私自身、本作品、最初から終わりまで、ある意味、気分が悪くなるほど辛い気持ちになりました。
笑えた瞬間から、別の映画に見えてくる
タブーに切り込んで人間の本質をあぶり出す衝撃作!そんな韓国映画に驚かされる度に
「70年代ならともかく、今の日本の映画界ではまず作れないなぁ。。」と感じていましたが
ついに肝の座った監督登場!かなり深々と斬り込んでくださいました。
クラウドファンディングさえ利用せず全て自費とは驚きましたが、誤解を恐れず逃げが無い作品を撮り切ったストイックさにも痺れました。
張り切って鑑賞させていただきましたが、やはり、文化の違う隣の国のお話と、実際に日本が舞台で日本語で語られる物語とは全く違っていて、思っていた以上に生々しかったです。(^◇^;)
でも、胸をえぐられるようなシーンや、思わず目を背けたくなるシーンのなかに、笑えるシーンも沢山あって…
正直、最初は笑って良いのか戸惑いました。
このシチュエーションで笑ってしまうのは不謹慎なのでは??
そんな思いが心のどこかでブレーキをかけていたのだと思います。
でも、思わず吹き出して、声に出して笑ってしまった瞬間を境に、それまでとは全く違った映画に見えてきました。
ネタバレしない程度で例えると…
「必死なお兄ちゃんを尻目に、マイペースな妹との噛み合わない会話」で笑えなかったのは、どこかで私が二人を社会的弱者だと思っていたから。
お年を召した方に妹が「シワシワ」と言うシーンで笑えなかったのは、そんな事を言っては相手に失礼だと思っていたから。
でも、わざわざ口に出す事はなくても、そもそもシワがあるのは悪い事なの?
健康であることは大切だけれど、必要以上なアンチエイジングで、シミシワを無くそうとする風潮で、自分の中に変な価値観が植え付けられている事に気づかされました。
そんなペラペラな固定概念への問いかけは各エピソードに散りばめられていて、その一つ一つが無理矢理剥がさていく事で、初めて固定概念とは別の世界に生きている妹の喜びや悲しみに気づくことが出来る。
“社会的弱者=気の毒な人、可愛そうな人、助けてあげなくてはいけない人”ではなく一人の人間として身近に感じる事ができたタイミングで、笑えた気がします。
本作は、決して福祉や支援の届かない社会を憂う映画ではない。
むしろ社会やマスコミが植え付けた上辺だけの固定概念を捨て去ったところで、「人間が生きるということはどういう事なのか?」をとことん描いている作品だと思います。
それはシンプルな欲求。“食欲、性欲、睡眠欲”だったり、一緒にいる心地良さだったり。
かなりの荒療治ですが、心のリハビリになりました。
もちろん映画としても素晴らしく
今は亡き安西水丸さんが「2、3秒でも良いシーンがあればいい。」とおっしゃっていましたが、
ピンクのチラシ
窓ガラス越しの会話
女医の一言
そして何と言ってもラストの表情
私の中では、一生忘れられないシーンとなることでしょう。
今年の話題作になりそう
障碍者の性に関してはどこまで本当のところなのか自分には分からないが、いろいろと問題と話題を呼ぶであろう作品。
テーマは重いのに笑っちゃう場面が多く、それは兄妹の生命力と無垢さゆえなのだろう。松浦祐也さん、和田光沙さんの演技がキラキラしていて釘づけになる。
光の使い方、映像の力強さ、ディテールの細かさなども心に残る。
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