岬の兄妹のレビュー・感想・評価
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兄妹の演技力がすごい
WOWOWでやってたので観てみた。
目を覆いたくなるような本当の貧困と救いのなさが2人の兄弟の抜群の演技力によって倍増して見せられた。
自閉症の妹は明るく自分の欲望にとても忠実だ。そして逆に兄はその抑圧された気持ちから荒んだ性格になっている。妹が楽しそうに売春する姿にちょっと救われてるのかもしれない。いなくなれば必死に探し、暴れれば一生懸命なだめる様子には肉親としても愛もあるのかもしれない。
ただ、ひたすら無知なのが腹立たしい。
妹が大切な貯金箱を壊して中絶したあとのラストシーン。電話がなった時の兄の顔には全く意志がない。また同じことが起きることを連想してしまいなんとも言いようのない気分になった。
ストーリー的にちょっと好きになれないけれど、演技力は凄かった。
生きるためには
生きるためにはこの道を選ぶしか無かった。
その道を選べば自ずとこの結果になることはわかってる。
でも、生きていかなければならない。
最後の岬のシーンのその後は、観る人それぞれの結末になるのだろう。
私の結末は真理子は悲しくもその命を終えてしまったのではと考える。
衝撃的すぎてやめられなかった。
たまたまWOWOWつけっぱなしにしてたら始まって、観出したら止まらない。
なんですか?これは・・・
障害者の兄と自閉症の妹の話。
ここは日本やのに。生活保護なんで受けないんだろう。
妹を売春させるなんて、兄が馬鹿でろくでなし過ぎてヘドが出る。
警察官の友達もなんで市役所に連れて行かない?
最後は身投げなのだろうか。
謎ですが、私なら死ぬ。
すみません。こういう映画見るとしんどくなるんです。
万引き家族の方が数百倍救われたのに。
和田光沙が凄すぎる!!!!
なんと言ったら良いか、、、
とにかく凄かった。目を背けていた事を突きつけられた様な感覚。
なんと言っても和田光沙さんが素晴らしいの一言!
唯一無二の女優さんです。
自分の賞賛の言葉が陳腐すぎて情けないです、、、!
「誰のせいでこうなったと思ってんだぁ!!」
というセリフに、スゴく重みがあった。
彼に頼るのは心苦しい!
でも、彼に頼れば元の生活に戻る事ができる。
そういった、プライド(これまでの境遇)と将来の安寧の間での葛藤は、とても痛々しく、とても素晴らしい。
セックス描写や障害者の表現など、インディ映画だからこそ表現できている部分でもあり、その荒々しさがこの映画の持ち味にもなっている。
最高でした。
ふたつの風力発電。岬の兄妹。
生(せい)の実感を得て、妹からお金と命をもらっていく兄の容貌の変化が美しい。
花火をする二人の、特に兄の表情がまことに幸せな面持ちなのだ。
ギャグがちりばめられていて、この映画を暗いだけのものにさせないのだが、妹と共に冒険してみる兄ちゃんの表情に次第に明かりが差していく流れが、鑑賞者を重たいストーリーにくじけさせずに引き留めてくれる鍵なのだろう。
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カメラと照明が秀逸。
新人監督に見られがちな編集の破綻もない。
監督はよく作ったなぁ。
「ティッシュは食べると甘い」
これ、監督はホントに知っているね・・
新聞紙を食べて飢えをしのいだ女の子を、僕の両親は里子として引き取りました。
極限状況を監督はよく撮った。
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コビトさんに捨てられた妹のために怒号する兄。
兄と妹の支え合う度合いが急速に接近して、よもや保護者逆転かというところまで至って映画は終わる。
実際のケースでは監禁されたまま物置や座敷牢で繋がれて死んでいく“妹”たちは世に少なくないのだ。
岬は陸地の終わる所。希望と生命のついえるゼロの地点。
ラストで、映りはしなかったのだが、もしも冒頭の風車が画面に現れたのなら今度はふたつとも風を受けて回っていたであろうと、僕にはその幻の風景が見える。
ポンジュノの弟子?
ポンジュノの作品に助監督として加わっていた日本人片山慎三がメガホンをとった作品。日本でこんな作品はないしダメでしょう。イカれてます。だけど衝撃的です。観なくてもいい作品です。けれど観たら揺さぶられます。誰一人有名な役者が出てません。出たくないでしょう。
さすがポンジュノの弟子です。底辺の底辺、格差社会どころではない救われない人たちを描いています。胸糞悪いけど眼をそむけてはいけない問題作です。
リアル感が少し…
兄妹の演技は良く
全体的に良かったと思うのですが、
障害者年金とか
生活保護とか
失業手当とか
もっと追い込まれるところをリアルに描いてくれたらなと思いました。
物語以前の状況でノイローゼ気味になっていたとか、推測は出来るのですが、周囲や行政の助けが得られず八方塞がりで事に及んでしまった感がもっとあればなぁと…
落ちた後は良かったので
落ちるまでのストロークが△
友達警官に言われてますが、
上記が無いとお兄さんが頭悪過ぎに見えて…
大前提の設定便りだと、一体何を描きたかったのか?と思ってしまって安易にシチュエーションを持ってきたのかなと、こういう題材なんで、、、、、
泣いた
兄の演技に
恐る恐るトラックの運ちゃんに話しかけてる姿、ウンチ出して学生に立ち向かう姿、妹の妊娠を知り結婚してやってくれないかと頼みにいった姿…
売春とか兄妹だとか社会保障とか、あたりまえの倫理みたいなの全部取っ払ってみえたものは「覚悟」
2人で生きるという覚悟が見えたから泣いた
兄は妹を施設に預けることなく絶望感から殺してしまおうなどと考えることもなく…狡さや醜さや馬鹿っぽいところもあるけれど、ただ真っ直ぐに2人で生きていこうとしてるように見えた…だから泣いた
きっとこの映画を毛嫌いする人はいっぱいいると思う
一般的にはおかしなところあるし
でも私にはドンピシャ
人間のあらゆる欲を混ぜ合わせて、性欲、食欲、排泄欲…ぐちゃぐちゃにした中の唯一混ざらないピュアで健気で心えぐられるものを見せてもらった
兄の演技に⭐︎5つ
好みの作品ではある
トンガっていた頃の、
山田洋次監督の馬鹿三部作、
キム・ギドクやイ・チャンドン、ポン・ジュノ、その他、
似た設定の作品は数多くある。
好みとしては、
ど真ん中の作品だ。
設定の向こう側に見えそうなものが、
見えなかった。
作品の奥の方に見えても良さそうなものが、
自分には見えなかった。
難しい表現、描写が必要なテーマに不器用なまま、
ぶつかっていく姿に、
『神戸国際ギャング』で姉に客を取らせる弟に向かって菅原文太が放つセリフを思い出した。
スピーチレス…
お勧めの映画を聞かれた時にこの作品を進めたいけど、何て言って勧めたら良いか言葉が見つからない…それくらい見終わった後は衝撃的過ぎて何も出てこなかった。
ある程度大人で精神状態が良い人(悪い時に観るとダメージ受けます)是非観て下さい。
和田光沙さん、もっと色んな作品に出て沢山の人に知ってもらいたい女優さんです!!
和田光沙さん!
日本映画にオスカー的なものがあるなら、
主演女優賞間違いなしと思います。
障害のある女の子が性に対してあまりに無知なところ、知らないがゆえの限界なき無邪気さ
どうやって自分のものにされたかは分かりませんが
とにかくものすごい演技でした。
脚本、画面の構図で時々兄弟をものすごく小さく見せるところなど、
作り手の思い入れを感じる
すごい映画でした。
現実はジョーカーよりも残酷で…
パラサイトや万引き家族よりも生々しい。
もはや"エンタメ"としての枠すらかなぐり捨てた本作は、これら3作とは全く異なる魅力に溢れていた。
邦画インディーズでこれだけパンチのある作品は"野火"以来だ。
あれ程旨そうにハンバーガーを貪り食う人間を見たのは初めてだ。
格差社会の貧困を描いた名作は数あれど、これほどまで"生"を描いた作品は他にない。
障害というハンディキャップを負いながら社会から切り捨てられ。職を失い電気ガス水道も止められた2人。
それでも生きたいと願った。
生きる為の手段が理性的にどんなに間違っていようとも、誰が生への渇望を否定することができよう。
どん詰まりの人生。どんなにみっともなくても我武者羅に生きろ!
偽善にまみれたこの世界で"生"への希求は鮮やかに輝いている。
社会派じゃない所が良い
気になる箇所は幾つかあった。特に警官の友人から社会保障を巡る話が一度も出てこない所はモヤモヤを残す。ティッシュの銘柄がKYなのもちょっと寒い。
その辺を差し引いても近年の日本映画でこれをやってる人多分いないんじゃっていう意味でも傑作。とことん貧乏でバカで、人間としては欠陥だらけなんだけど、最後の最後の所でギリギリ憎めない兄貴。精神障害の負の部分を観る人に突きつけながらもどこか明るく癒しさえもたらす妹。
性的な過去を巡る兄と妹の微妙な関係性も含めて今村昌平の映画のようだった。
ラストは妹が死ぬとしたい気もする所だけど、予算的に無理だろうな。決して悪いラストじゃないけど、代替品な感じは否めなかった。
白眉は妹がヤクザとセックスしてるのを見せられると同時に少年時代に妹のオナニーを目撃した事を思い出すというくだり。このシークエンスがあるから、社会保障に頼らないという筋がギリギリ成立している。
「兄は妹の幸福のために売春をやめなかった」とも取れるし、「自分もそんな事で興奮するクソ野郎だから踏ん切りがはっきりついたのだ」とも取れる。共感させるのではなく、目を見開かせるという手段の映画がもっと観たい!
私は無理
ぬるま湯コンプライアンスの中で目が腐っていたのだろうか?
かつて活劇はこんなに自由だっただろうか?
足の悪い兄と、自閉症で知的障害者の妹を売春させて生きていく生活。
そこに福祉という日本の生きる温情が全くない。
友人の警察官ですら、犯罪と知りつつ止めさせない。
こんなのは日本じゃない。
いっそ日本じゃなかったのなら、こんな不憫な国がまだあるんだなぁと傍観できたのかもしれない。
ただただ、怒りと憐みの感情しか湧かず、
いやいやこれはアンチテーゼで、最後は絶対にハッピーエンドに違いないと、
ただそれだけに期待していた90分、
それは儚く打ち破れた。
演じた俳優さんは本当に素晴らしかったし、
予算をかけずにこんな濃い90分を作りあげたのはすごいと思う。
ただ…。
もっと他にもできたんじゃない?
この内容に福祉入れて、120分にしたって良かったと思う。
観ている側に何かを考えさせるならまだしも、
救いがない気持ちにさせてどうしようというのかと思ったりもした。
監督の狙いがいまいち伝わってこない。
それだけで、この作品はどんなに賞賛されても私は手放しで喜ぶわけにはいかない。
加えていえば、友人を警察官にすべきではなかった。
警察官ならそういった人たちを守る法律があることを知っているはずだ。
だからどうしても違和感しか残らない。
一蹴させる
数年前に「最貧困女子」という本が出版されましたが、その解説にセックスワーカーは知的障害や精神障害を抱えている女性が多いとありました。今作を鑑賞して本の解説を思い出したと同時に、なぜ最貧困になるのかという理由が理解できました。私は最貧困の人達が障害者手帳や生活保護等で生活していると思っていたのですが、そうではありませんでした。良夫と真理子は、そもそも福祉の存在を知りません。彼らの周りには説教をする人間はいますが、福祉に繋げてくれる様な良識のある人間がいません。頭が悪いと言いますが、賢く生存する術を教えてくれる人も皆無です。PCやスマホを使ったり、何かを調べたり、そういった私が普通にできていることも生活環境に左右されるものだと知りました。
女性は身体を売れば何とか生きていけるという意見がありますが、今作はその意見を一蹴させる作品です。また、良夫の視点から真理子を描いているので、女性やセックスワーカーが受ける痛みを男性でも想像しやすい作品だと思います。性的な表現で女性蔑視を感じさせる邦画が多い中、今作はそんなことを感じることもありませんでした。鑑賞後、どうしようもない居心地の悪さが取れないのですが、この感覚は、イ・チャンドンを鑑賞した後に近い感覚です。
油断して観ると大ダメージを食らう映画
TSUTAYAでずっと貸し出し中だったので中々観れなかったけど、やっとレンタルできた。
公開時、話題になった作品なので、それなりの覚悟を決めて観たつもりだったけど、それでもかなりのダメージを受けたので、油断して観たら大ダメージを食らうと思う。
障害を持ち貧困に喘ぐ兄妹という題材から、社会的な映画だと思われそうだし、実際そういう一面もあるけど、この映画の本質は「心」について描いた作品なのだと感じた。
フィクションと分かっていても、観終わったあと「どうすればよかったのか」を考えずにいられない。
この岬から
時々日本のインディーズ界から、韓国映画に匹敵するような力作が生まれる事がある。
あのポン・ジュノや山下敦弘の下で学び、低予算で90分ほどながらまるで3時間の重量映画を見たようなKO級、日本映画も捨てたもんじゃないと思わせてくれる、俊英・片山慎三監督の鮮烈デビュー作。
ある寂れた港町。
造船所で働きながら自閉症の妹・真理子を養う良夫だったが、不自由な片足を理由に解雇されてしまう。
そんな時良夫は、真理子が町の男相手に体でお金を得ていた事を知る。
最初は激しく叱責するが、生活はド困窮。妹を使って、売春の斡旋を始める…。
とにかく描かれている題材全てがえげつない。
貧困。生活は底辺どころか、クソ溜め。
障害。片足が不自由な兄と、自閉症の妹。
犯罪。法に反する売春の斡旋。
暴力。他の売春斡旋業者から袋叩き。
性。客から連絡を受け、体で稼ぐ。
他にもいじめやとあるシーンでのう○こ攻撃のお下劣描写。
それらを生々しく、赤裸々に。
人によっては反吐が出るほど受け付けないだろう。
確かに不快で胸クソ悪いが、ズシンと重苦しく響く題材、監督の入魂、無名のキャストの熱演で引き込まれた。
良夫は典型的なクズだ。
自分より“下”の立場の者には強く出、自分より“上”の立場の者にはペコペコ弱々しく。
ズル賢く、何より妹に売春を斡旋させるという人道外れ。
でもクズなだけであって、悪人ではない。
不自由な片足で解雇されたのは同情に値するし、妹を使って売春斡旋させている事に少なからず葛藤や罪の意識も滲ませている。
兄として人として、道から外れた事をしているのは分かっている。だけど、こうでもしなきゃ生きていけない…。
自閉症の妹・真理子は無垢で天真爛漫だが、ただそれだけではない。
鍵を掛けておかないと一人で勝手に家を出てふらふらする事はしょっちゅう。
本当に手を焼き、その無垢で天真爛漫さが見てて時折イライラもさせ、良夫の苦労も分かる。
一方がクズ人間で、一方が同情出来るのではなく、両者にそれぞれがある人物描写が秀逸。
無名ながら、それらを体現した松浦祐也と和田光沙の迫真の熱演は言うまでもなく。
人間の醜さをさらけ出した松浦も素晴らしいが、自閉症という難役に加え、際どい濡れ場の数々も体当たりで披露した和田に圧巻。
また、兄妹をよく知る友人の警官役で、『男はつらいよ』の三瓶ちゃんこと北山雅康が好助演。良夫に対して言う、「お前は足が悪いんじゃない、頭が悪いんだ!」の台詞が辛辣ながらも友を思い、響く。
売春で食っていく中で、兄妹の心に変化が。
斡旋を続けながらも罪悪感を感じる良夫に対し、真理子は「お仕事する!お仕事する!」と積極的に。ある一人の客に好意を抱いたような素振りも。
また、真理子の売春は何でもOK。本番や最後まで、アレも付けず、○出しも。故に…。
妊娠が発覚。
こんなクソ溜めのような最低最悪の中でも宿った“生命”。
良夫は藁にもすがる思いである客の下に頼み赴くが…。
突き付けられる痛々しい現実。
障害持ちの兄妹、明日の身も分からない困窮…無理もない。
選択肢は一つしかなかった。
一体、どうしてこんな惨めな人生を…?
何処で道を踏み外した?
売春の斡旋を始めた時から?
解雇された時から?
地方の貧困地で生まれたから?
自分たちの人生はそう生きていくしかない宿命(さだめ)なのか…?
生きていく事は辛く、苦しい。
それでも生きていきたい。
生きていかなければならない。
生きていれば…
宙に舞う売春斡旋のチラシの美しさ、段ボールを剥がし薄暗かった部屋を差す眩い陽光、夢で見た走れる嬉しさ…。
こんな人生を照らす光や希望が、いずれ、きっと…。
でも、今はまだ。
また変わらぬ日々が始まる。
この岬から。
それはまるで、これから日本映画界に挑んでいく片山監督の姿そのものに見えた。
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