岬の兄妹のレビュー・感想・評価
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一線を越える
窓にぶら下がってまで積極的に越えてしまっている。まるでそこに線が引かれていることを判別する思慮すらないようだ。ハンデのありすぎるこのふたりであれば、どの時代にあっても社会の底辺に追いやられるのかもしれない。社会保障に頼る術すら得ない、社会に生きる場所が見出せない。こちらもどうやったら救い出せるか、方法が思いつかない。現代の貧困がテーマというよりも、もがき生きる人の様を描いているように感じた。これでも生きるべきか、生が与えられるべきかという問いかけに呼応する堕胎シーンは、こちらの倫理観を揺さぶってくる。
不正な金を得て、自らに日の目を与えたり、中学生相手に優越感を得たり。しかし勝手な期待に社会は応えない。矛盾が増幅する。終始騒ぐ妹はそのノイズの中で感情が届きにくいが、そこは見事に演技、演出されていて、彼女の機微が伝わってきて実に切なかった。
ブランコに股がる少女のシーンは、このシーンを撮ること自体の倫理性に疑問を感じた。
片岡監督、新星であることは間違いない。
ムービーウォッチメンで本作を知り、調べると片岡監督は、ポンジュノ、山下敦弘の助監を経験してると!これは一刻も早く観ねば!と新百合ヶ丘まで遠征しました。
観終わっての感想は、⬆︎の事前情報が若干のノイズになってしまったかも。。「(俺が思う)ポンジュノ監督っぽい」っていう部分と「(俺が思う)山下監督っぽい」っていう部分を僕自身が勝手に汲み取ってしまい、作品全体としてかなり歪な作品に感じた。もし、事前情報無しで「片岡作品」としてまっさら状態で観たら、衝撃がもっと強かったかも。まあ、その事前情報を知らなかったら映画自体観てなかっただろうけど笑何度か繰り返し観たら「片岡監督っぽさ」というのがわかるかもな。。いやそれもダメだ。。何故ならこの作品、もう一度見たいという気が起きない。。
しなしながら、片岡監督、これから目が離せない、これだけは確かだろう。
「生活保護を何故受けない?その時点でリアリティが無い」という感想を見かけたが、負のスパイラルってそういうものでは無いだろうか。側から見て「こうすれば良いのに」ってことも中々出来ないような状況だったり環境だったり。まして良男さんは卑屈方面に相当我が強そうだし。。
そして最後の着信、あれは希望なのだろうか?あの状況で良男さんが出ちゃうのは大事な電話だから、おそらくあの人からであろう。しかし、その前に起こった絶望を思うと、決して希望とは言えない。
とにかくイカれてる。そして、見た後自分に襲いかかる罪悪感のようなもの。最近傑作ばかり観てるので言葉の重みが無くなってるが、やっぱり言いたい、傑作だ💩
面白いのだけれど、映像、俳優陣の華がない
映画を作成する上での基本条件、予算。
メジャー作品でない限り、制限があるのは承知している。
しかし、その壁を乗り越えるカタルシスをどのように観客に伝えるか、感じさせるかが映画製作者としての課せられた課題であろう。
この作品は、それを感じることが出来た。それは見事である。
が、矢張り作品としての華が無い(綺麗な女優さんがいないとかそういう事ではない。)
映画とは、観客に対してあるレベルを保ったレベルで社会派映画であれば問題提起をすべきであり、この作品はメッセージ性のレベルは高いが訴求感という観点では、些か弱い。
自主制作作品であれば、成程と思うが、この作品はシネコン系で掛かった映画である。
この映画の作製に関わった方々にはもうひと踏ん張りして、これでどうだ!という映画を是非、低予算で見せていただきたい。
応援する気持ちを込めて、記します。
<2019年4月5日 劇場にて鑑賞 車で1時間半かけて観に行きました>
どん底生活の底なし感に胸が潰れそうでした
ある港町に暮らす足に障碍を持つ兄・良夫と自閉症の妹・真理子の二人のどん底のような生活を描いた人間ドラマ。仕事を失い生活苦に陥った人々の行き着く先をこの作品は容赦なく見せつけてくれます。そんな兄が選んだ方策は人の道から外れたものでした。しかし、罪悪感に苛みながらそのような決断をしたにも拘らず、彼らは救われるどころか、更に余計な厄介事を抱え込んでしまうとは何と運命の皮肉で苛酷なことか。しかしそれでも兄妹は自ら死を選ばぬ限り生き続けなければならない... 最後の場面はそのような暗澹たる運命を受け入れる兄の覚悟を写していたように思いました。真理子役・和田光沙さんの体当たりの迫真の演技はこの作品に無くてはならなかったもの、本当にお見事でした。
泣き笑いがとまらない
あまりの悲惨に視てられなくてなんど席を立とうとしたか、その度にスクリーンに魅いってしまい機を逸し、終劇まで釘付けで泣き笑いが止まらない。醜悲笑涙とへヴィ級の拳がコンビネーションブローの固め撃ち。エモい、エモすぎて心が痛い。痛みを伴う忘れ得ぬ映画体験でありました。魂砕きの凄玉を見るときは心身のコンディションを整えて!トラウマ覚悟で!物凄いから。
貧困と障害という負のスパイラル
京都の出町座に初めて行って、すごく雰囲気のある映画館で好きな感じ。
引きずる足の障害を持つ兄と発達障害!?自閉症!?の妹と文化住宅で暮らしており、兄が障害を理由に解雇され金回りが苦しくなって、お試しでやってみて味をしめた売春で生活費の補てんをしようとする。
一発逆転のような収入があるわけでもないし、かと言って資格や能力があるわけでもない。ましてや、発達障害の妹養っていかなくてはならないだけに、自由に動けるわけでもない。
もう八方塞がりで閉塞感と、不法行為と分かっていながらも売春をしないといけないほどに追い込まれた状況では、全面的にダメとも言い難い、答えのない解決方法を鑑賞者はあれこれと想像しながらみれた。
妹の体当たり演技とはまさにこのことで、主演女優賞にノミネートしてもおかしくないのでは、と。自閉症の発声や同じ言葉を繰り返す癖、落ち着きがなく頭を振りながら焦点が合っていないような表情、役作りは完璧だった。
痛々しく、つらい。救われない?
自閉症の妹と身体障がい者の兄、他に身寄りがなく生きるのに精一杯の兄妹。まだ若いのが救いとはいえ、これからの人生どうやって生き抜いていくのか、生きる術は見つかるのだろうか、なぜ二人ともと思うと、辛さだけが残る。
心身にハンデキャップを背負った人を弱者と言うつもりはないが、この映画では、活路が見いだせないままのエンディングなので救われない。最後のシーンは何を暗示していたのかがわからずじまい。何を見せたかったのか。ジ・エンドなのか?
現実世界でも類似の境遇の家族がいるだろうということが想像され、後味の悪さだけが残る。
妹役の女優が体を張りながら、自閉症の演技をやり抜いたことにプラス一点かな。
映像がエグかった。 エグいものをエグいまま見せるのは、 あんまりい...
映像がエグかった。
エグいものをエグいまま見せるのは、
あんまりいいと思わない。
思考停止してしまう。
考える力を奪われる。
それが、
真実かのような顔をされると困る。
いろんなエピソードは、
実際に取材されたのかなと思う。
見事な世界観
105席シアターを独占鑑賞。昭和の名作感が漂うような作品。刺激が強いため皆にお勧め出来る内容ではないが独自の世界観は見事です。主演2人の演技も抜群で観るものをグイグイ引き込む。着信音や水道水など効果音も印象的で感心した。高山監督には今後も要注目。
2019-103
真理子の存在が私の心を打つ
タイトルのあるように 兄妹の物語
その兄は右足が不自由で足を引きずり歩いている
妹は自閉症で兄は彼女の面倒を見ながら生活をしている
部屋は散らかり放題で 暮らしもままならない様子だ
そして兄も職を失い 明日の食事もままならない
電気代も払えず 電気も止められ・・・
とこれでもか これでもかと 貧困の様子を見せつけられ
見ていてつらかった
そして 兄は妹に売春をさせ暮らすことになるが・・・
とまあ話は進んでいくのですが
毎日の生活に追われ苦しむ兄 良夫
兄はこれからのことや みじめな暮らしや
妹に売春をされる罪悪感や 会社を首にされた恨みなど
毎日がつらくてたまらない
それに対して妹 真理子は苦しんでる様子はなく
兄との暮らしを楽しんでいるかのようだ
男との関係も「冒険!冒険しよう!」と
はしゃいでいる姿がなぜかかわいかった
真理子は今を生きている
この貧しいどん底の暮らしでも
真理子はたくましく生きている
その彼女の強さ純粋さに心を打たれた
しかし見ていて本当にきつかった
胃まで痛くなってしまった
しかし 観るに値する作品だ
Tシャツ欲しかった
凄い映画だった。インモラルな内容故、決してデートで観に行く内容では無いが、心をえぐられるような内容であった。主演女優は初めてスクリーンで観る方だったが、もの凄い演技。私は仕事柄、ああいう方と接することもあるが、まさに、彼女はそれとしか見えない。社会的な援助を受けるべきという意見も散見するが、それはこの映画においては意味をなさない。実際に制度を知らない方もいれば、制度を受けるにもハードルが高いのが事実(身寄りのない発達障害の方などで、こういう件を経験したことがある)。売店で売っていたTシャツが可愛かった、買っておけば良かった。
胸クソ映画
自閉症の妹を持つ足の悪い兄が、仕事をクビになってお金のために妹に売春させる話。
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ここにサクッと売春させるって書いたけど、この映画ちゃんと見ると、お金が無くてゴミ漁ったりしてほんとにどうしようもなくなって最後の最後に売春っていう手を使ったって感じ。
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妹自分がやってることを理解してるのか分からないけど、結構喜んでやってるし、しょうがないんじゃないかなって思ってしまう。
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悪いとかダメだって言うのは簡単だけど、じゃあ誰がこの人たちを救えるのかって話だし。そういうの言う人は言うだけ言って助けてはくれないしね。
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結構見るに堪えないキツいシーンが多いけど、面白かった。
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唯一笑えたシーンは少年達にお金とられそうになって自分のうんこを少年たちに投げつけるとこ。あの必殺うんこアタックはどんな必殺技よりも強いだろうな(笑).
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昭和の薫り
令和元年最初の映画館での鑑賞。しかし、東映ヤクザ映画風のタイトルといい、思いっきり昭和テイストで、今作られた映画という感じがしない。生活保護の話が出てこないのは引っかかる。警察官の幼なじみもいるのに。役所に行ったけど、働けることを理由に認められなかった(または後回しにされた)のならリアルだけど。
妻に先立たれた爺さんと一人暮らしの「こびと」はリアルだった。「こびと」のアパートの前で幼子のように泣きわめく妹の姿は胸に迫る。
ラストはどういう意味だろうか。妹を買う客からの電話か。妹は身を投げてしまうのか。
主演ふたりは出色
今村昌平的というよりは井筒和幸的な気がした。
主演のふたりはメチャクチャいいキャラクターアプローチ。そしてこの映画にはドンピシャで、アジアのほかの国の映画を観ているようだった。
個人的には脚本での最初の経済的追い込まれ具合がもっとぎゅうぎゅうになってないと、あの行動は理解できないかな〜。セットアップのゆるさが俳優の破壊力でカバーされてる感じがする。ただ、妹役がもっと脳裏にこびりつくような撮り方はあったんではないか、なぜか少し流れていってるような、、というのを何度かイ・チャンドン「オアシス」を思い出しながら見ていた
救いようのない、現実。
観に行こうか行くまいか、重たいテーマだけにためらっていたが、タイミング合って鑑賞。
ちょっとした非現実感を期待して行ったが、よもやこれが世の現実かと思い知らされたような90分。
それほど生々しくリアルな描写に、目をつむりたくなりながらも、気づけば「現実から目を背けてはいけない」という意識で息を止めていた。
女として生まれた幸せと不幸。それは表裏一体らしい。
最後の最後まで救いようのない兄妹がそこにはいて、ハッピーエンドかバッドエンドか想像しえない胸糞悪さが、結局私には心地よく観終えることができた。
2人には、最期は笑っていて欲しい。
限られた人にはしっかりおススメしたい映画。
どうしょうもない、人間だから
嫌悪感すら抱く描写の連続にのめり込んでゆく。人間はここまで堕ち様が人間を続けていく他無いのなら、人の道すら外れる他無し。この瀬戸際を、矛盾を、光を遮断した隔離拘束を、例えば自殺防止を唱える者なら、優に全肯定しなくてはならない。偽善抜きに、それを容易く出来るのか。排除社会の強烈な暗部奇劇である。
全く救いが無い、これはすごいこと
救いの無いまま終わりました。どこかで救いを入れてしまう映画がほとんどなので、すごい監督だと思います。最高評価を付けました。特に和田さんの演技は秀逸です。
ただし、二度と見たくないと思います。
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