岬の兄妹のレビュー・感想・評価
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何が正しいのかね
脚の悪い兄と自閉症の妹がギリギリの生活の中で必死に生きる話
道徳がなんだ!法律がなんだ!生きるために必要なことして何が悪いって思わせてしまう。
きっともっと賢ければ、生活保護の援助など受けながら生き抜く術は他にあるのかもしれない。
でも、誰が手を差し伸べてくれる?
真面目に仕事しても、妹の病気が治るわけではなく、ずっと家に閉じ込められ、鎖で繋がれてる。
それって生きてる意味あるのかって疑問。
どうにもならない怒りを妹にぶつけて、孤独な兄
彼らにとって、これは本当に冒険なんだと思う。
体を売ることで、人と繋がり、喜びや悲しみを知っていく妹は幸せそう。
普通の幸せを与えたいと思っても、障害者にも拒絶されてしまい、勝手に絶望感じてる兄
ラストの兄は何を期待するのか、妹はどこまで兄の気持ちに気付いているのか。
岬の先端でギリギリ踏み止まるのか、それとも、、。
映画の始まりとラストどちらも行方不明の妹を探す。
いつも岬に行く、何かを期待しているかの様に感じる。
死んだ方がましなのか
兄弟役どちらも、演技が上手過ぎて、演技とは思えませんでした。
くそくらえ。
港町、ドス黒い港町、黒い海、曇天。
貧しさの極限。絶望するような無知。
なのに、なのにちょっぴりエンターテイメント。
たくましい。食べる、食べる。
まぐわう、まぐわう。笑いもある。
生きようとする。生きる意思がある。だからズレる、生きようとするから、常識から逸脱する。
スクリーンに写し出されるのは、たくましい、いや、間違いなくたくましい兄妹。
社会的弱者?くそ食らえ!ほんとに食わせてるし!
生きようとする意思が画面にみなぎる。
食って食って、まぐわってまぐわって。
ジタバタジタバタする。
まったく困った兄妹。でも生命が生きようとうごめいている。
生活保護?ふざけるな。血の通わない制度で
この兄妹を抱えられるものか。
もうちょっと別の喜びも兄妹に伝えてやりたくなる。同じ人間として。限られた命を持つもの同士として。一歩間違えれば同じような境遇に陥りかねない暮らしを営むもの同士として。
貧困と無知と矛盾を題材にして、しっかりしっかり映画になっている。
すごい手腕だと思う。
衝撃の映画体験だった。
ひと言で絶望、とも言えない
前評判を聞いていて、かなりの重さを覚悟して行ったので、観た印象は「あれ、意外と優しい」だった。
もちろん扱ってる問題は重くて辛くてキツい。
ただ、この映画で特徴的だったのは、主人公がそれなりの優しさや葛藤を持っていること、ときどき明るさや、ほんのり愛情めいたものを感じるシーンがあること、ひとりは心配してくれる友達がいることなど、まだ共感できる余地があることだったと思う。
日頃ニュースを見ていて、ほんの数行の記事にめためたに絶望的な気分にさせられる時がある。
多分この兄妹と似たような状況で起こってる事件も沢山あると思う。
普段ならその数行で目を逸らしたくなってしまうけど、この映画はなんとか見ていられる形で(しんどいけど)その行間を埋めてくれていてすごい、と思った。
私は友達の警官役と同じような距離感で、大丈夫?と言いたくなった。
完成度高い作品
面白かった。
人間存在の両義性というか、神聖と汚穢について、見る者の見方が試される作品。
障害、売春、堕胎、排便をどストレートで撮った作品。
「それでも人間か?」という問いは偽善的であり、「これが人間だ!」という叫び声が聞こえる。聖なるものだけが、この世界の成り立ちじゃない。
光と音へのこだわりが印象的。
部屋の明るさ(特に太陽光と照明)の表現の仕方や波、水道水、着信音、等々の溢れる音が効果的。
和田光沙さんの作品をこうして見れて良かったなぁ〜。
殴られた
頭をがつんと殴られた気分。長い映画でもないのに観終わったら疲弊しきっていた。
どこからどう見ても救いのない兄妹。所々のコミカルさが余計に殴られ感を増すというか、この兄妹を前にして私に何か言えることなんてあるんだろうか。何を言っても偽善者になってしまうのではないか。こうやってこの映画を映画館で観ていること自体に恐ろしい程の葛藤を感じてしまうような作品であった。
多分理性的な、穏当な意見はいくらでも言える。言えるけど、絶対にそれが届かない何かがある。それをものすごく怖いと感じた。新聞記事やWeb記事を読むよりも生々しい。怖い。
余りの映像、演技の生々しさと、音楽の哀しい美しさ。生きることの滑稽さ。恐ろしさ。無情。
多くの人に観てほしい。
あまりお薦めできないが傑作
観たい映画がたくさんあるのだが、しょうがないので「岬の兄妹」を観た。去年が慎一郎で今年が慎三かよと思う。「カメ止め」と違ってあまり皆さんに薦めたくなる映画では無いのだが、観ずに通り過ぎることが許されない映画なのだ。81年生まれの若い監督である。自前の金で妥協をせずに2年間掛けて作ったというのだが、時代は変わった(良い時代になった)とつくづく思う。フィルムの時代にこんな自主制作映画は絶対に作り得なかったからだ。その意味ではSKIPのDシネを目指してこれからも才能ある監督がどんどん出て来るのだろう。主演の松浦祐也と和田光沙はもちろん良いのだが、撮影(池田直矢)が素晴らしい。冒頭の波止場の風景でまずグッとくるし、真理子が道に転がって泣きわめく二人にず〜っと寄ってく長回しには恐れ入りました。が、浜辺でずっと手持ちでトラックバックしていくカットだけが不満(寄るのはいいのだ。下がっていくとカメラアイを意識してしまうだけ)。間違いなく傑作なのだが、堂々とお薦めできる映画でないことがただただ残念!
今までにないくらい強烈な作品
こんな劣悪な事柄ばかりを見せられて、受け入れられるかどうか、耐えられるかどうか─。差別的であり、インモラルであり、汚物のようなこの映画。敢えて言うと、暴力あり障害者がやりまくり小人と嘲笑したりウンコが出たり老人や未成年の性的欲求がリアルに表現されていたり・・・どこかで必ず目を背けたくなるところがあるはずだ。それでも、自分は受け入れる。そして、その衝撃はこれまでにないものだった。
ありがちな薬物や酒、殺しなどによる転落などとはまるで違った最底辺の人間模様が展開されている。あらゆるメディアで避けられてきたようなヤバイ表現を、この世の中を生き抜くという究極的なテーマのために、臆することなくストレートにぶちまける。あんなにまで悲惨な状況を提示されても、同情や悲哀といった感情を全く寄せ付けず、ただただこの文明社会での一種の命の形を見せつけられた。
この作品を受け入れられない人・もの・場所は、少なくないはず。内容は間違いなく酷い。しかし、衝撃や共感を受ける人もまた少なくないはずだ。
凄い、衝撃作。
映像、音楽、演技、ストーリーなどの全てが素晴らしい映画でした。そしてあまりにショッキングな内容!
この映画を映画館で観れたことを心から嬉しく思います。
邦画にうんざりした映画ファンの方に是非!
汚いモノだらけ
外見もやってることも服も家の中も家の外も人間も、画面に映るものだいたい全部汚くて、饐えた臭いが漂ってくるようだった。
真理子の笑顔だけずっと可愛かった。それを痛々しく思う気持ちも正直あるが。
リストラされた身体的障碍者の兄と自閉症の妹、家族も頼れる隣人も特におらずかなり詰んでいる。
自力で生きるのは無理に等しい妹はまだしも、生活保護申請するとか頑張れば何かしらやりようのあるはずの兄が本当に頭が悪くて惨めで気持ち悪くて、キツいとかしんどいとか以前に嫌悪感が強くてどうしようもなかった。
ただ、その「やりよう」を見つける頭も探す手段も助言してくれる人も無くて、抜け出す術を思いつく前に追い詰められてどうしようもないのも痛いほどわかる。
ここまでの状況ではないにしても、小さなことでも、どうしようもなくなって負のスパイラルに陥ることって珍しくないじゃない。
お願いだからもう止めて、頼むから勘弁して、の連続連続で最初はものすごく落ち込んでいた。
しかしそのうちだんだん開き直りが移って、なんだか楽しくなってしまうのが不思議。
そりゃあんな杜撰に売ってたら妊娠するでしょうよ。
どういう選択をするのかとハラハラしていたけど、まあ堕ろすしかないよな。
こんな状況でも小さい人間の塊は生きようとしている。どうしようもない。
「逃げないで」の言葉に辛くなった。
最後の真理子の表情、あれがどんな感情なのかずっと考えているけど全くわからない。
ティッシュの甘さを見つけるように、小さな歓びを日々拾っていた真理子にも塞ぎようのない傷が付いたのか。
かなり嫌な考えだけど、あの後最悪なことになれば良いんじゃないかなんて思ってしまった。
二人の気持ちは終始理解しきれずにすごくモヤモヤしていて、こんなんならもういっそ消えてしまった方がマシなんじゃないかと。
取り返しのつかない事態になった時、良夫がどうするのか気になる。
復職の希望なんて脆すぎる。
真理子を平気で買える男性達に終始引いていた。
小人さんと良い感じになれるのかな?なんて一瞬でも思ってしまった私は甘かったか。
愛はなくても癒しと楽しさはあったとは思うけど。
それにしてもどうしても嫌悪感がある。良夫にも客にも。なんでだろうな。
いじめられっ子の笑顔は可愛くて笑った。
小人さんに対しての真理子の言葉や、突然のウンチ攻撃に笑う。いやウンチ攻撃ヤバすぎる。本当キモいよ。
ちょくちょくコミカルをぶち込んでくるのズルい。
そういう所でキャラの愛嬌を感じさせられた。
マクドナルドのハンバーガー食べたくなる。
やっと稼いだお金で買うのがマックかよとか、もっと有り難く食べれば良いのにとか思うけれど。汚かったな。
面白かった。シゲル好き。
非商業映画
70年代のATG映画の様な趣のある作品でした。
平成も終わる時代にこういう作品が作られ、しかもイオンシネマで上映されることが驚きと共に関係者に感謝です。
大昔、10代の頃に「初恋・地獄篇」を観た時のような不思議なやるせなさを感じた作品でした。
胸が痛くなる、でも
例によって、紹介記事も映画に関するニュースも全く、
読まないで見に行きました。
障がい者の方が、主人公の一人とだけは知ってしまっていました。
本当に、見続けるのが辛かった。
何で、あの兄妹があそこまで、追い詰められなければならないのか!!
偶然、見ていた関西テレビ(フジテレビ)の「ケンカツ(健康で文化的な最低限度の生活)」を思い出してしまい、誰か、身近な人が、「生活保護」について教えてやることくらいできなかったのかと悔しかった。
兄が、妹を「殺さなかった」だけでも救いだったかな。
あの後、二人はどう生きていくのだろう。
これは、日本の現実なんでしょうね。
良い映画
あらすじ…
兄貴は"ビッコ"で、鎖で繋がれた妹は"白痴"である。会社をクビになった兄貴は、妹に1時間1万円で売春させ、ゴミ漁りの日々から抜け出そうとする。妹は"小人"の客に気に入られるが、腹を孕まされてしまう。堕胎費用を捻出出来ない兄貴は、妹と小人を結婚させようとするが、上手くいかず…云々。
このストーリーを聞いて、不快と思われた方は観ない方が良いでしょう…SEX描写もまあまあ生々しいです(笑)
↑差別用語を少し使って書きましたが、この映画から感じた空気感は正にそんな感じでした…ですので、これを読んで不快と思われた方には、あまりオススメしません(笑)
*ハッピーエンドなんか糞食らえ!予定調和なんかしてやらない!…そんな絶望的な物語の映画です(笑)
*70年代には、こんな物語いっぱいありましたなぁ…(笑)
絶望の一歩手前
お話自体は絶望的な話なのに不思議と笑えたり、瞬間ホッコリしたりして
救いとは違うんですが完全に絶望感に襲われる作りにはなってなくてそこが
この作品の凄味になってるような気がしました
それはやはり兄が一歩手前(半歩手前?)で踏みとどまってる姿にあるんじゃないかと思います。
あんまり人に勧めるような作品じゃないけどみてよかったです。
束の間の線香花火
売春婦は世界最古の職業と言われている。現在の日本では男女の貧富の差が一定ではないから、必ずしも男が女を買うだけとは限らない。最近では富んだ女が男を買う「娼年」という映画まで登場した。
男娼または娼婦が体を売るのは、売れるからである。需要のあるところには供給が生じる。そして価格との相関でそれぞれ増減する。一般の商品と同じである。だから品質がよければ需要は高まるが、同時に価格も上昇するので、需要はその価格に見合う程度に下がっていく。低品質でも低価格であれば、それなりの需要はある。
人間は理性によって自らを律することができるが、食欲と死の恐怖については簡単には律することができない。衣食足りて礼節を知るという諺の通りである。食欲に比べれば性欲は比較的に律しやすい煩悩だろうと思うが、それは痴漢やゴウカン(このサイトでは当該の漢字が使えない)の衝動を制御する程度のことで、性欲そのものを消し去ることができる訳ではない。人は常に性欲に振り回され続けている。ときには僧侶も国会議員もそれで信頼を失う。しかし人類が性欲から解脱したら、世界は一気に少子化となり、100年経たないうちに絶滅するだろう。それはそれでいいことなのかもしれない。
本作品は生活に行き詰まった兄妹が、あるきっかけから知恵遅れの妹に売春させる話である。いくつかの失敗を重ねると、兄は効率のいいやり方を見つけていく。場末の港町にも売春の需要はあるのだ。
兄も妹も障害者であるにもかかわらず、登場する行政は幼馴染の警官だけで、福祉関係については人も建物も何も出てこない。この兄妹みたいな人々は日本にたくさんいるのに、行政は彼らが自分で手続きしない限り何もしない。それどころか、小田原市の職員のように「生活保護なめんな」とプリントされたジャンパーを着て、保護申請をした人々に対して不正な申請と決めつけて威圧するような役人ばかりである。大抵の役人と政治家は、国民から預かった税金を自分たちのものと勘違いしている。
兄妹にとって頼れるのは自分たちだけ、そして資本は体だけだ。妹を売春させるのは必然の成り行きである。兄は妹がいつまでも若くないことを知っている。行き詰まれば妹を殺して自分も死ぬしかない。そういった事例は、全国にたくさんある。報道はされないが、WHOによると日本では毎日200人が自殺している。アベノミクスで生活が向上したと言い張っている日本は、確実に貧しくなっている。ヨシオとマリコは日本中にいるのだ。そして確実に増加している。
兄妹は売春の金で一息つくと線香花火を見て束の間の幸せを味わう。これまでも、これから先もいいことは何もないだろう。しかしときどきはハンバーガーとポテトを食べられるかもしれない。祭の縁日を歩けるかもしれない。また線香花火を楽しめるかもしれない。
まさに線香花火のように儚い二人の人生だが、彼らの人生を否定することは、人間そのものを否定することになる。人は束の間の線香花火を楽しむために、長くて辛い人生を歩むのだ。
無情である、そのことに尽きる。 障害者の性の問題、金銭的な問題の背...
無情である、そのことに尽きる。
障害者の性の問題、金銭的な問題の背景に潜む心の問題も、強烈に描かれていて、べったりと心に張り付いてしまった。
どん底の中の一瞬の楽しい時間、キラキラと微笑ましくも、現状を明瞭にしていて更に辛く感じた。それでもなお、微かな愛と快楽が同じように繰り返すのか?
上手すぎる演技と演出に圧倒された。
滑稽と悲哀が複雑
困窮した悲惨な状況ながら生活してゆこうとする様を、泥臭く生々しく笑いを交えて描いており、主人公兄妹のリアルな体当たり過ぎる演技も素晴らしいと思います。
また、泥臭い生活感の中にも、明け方の港や空を舞うピンクの紙切れなど、美しい場面や表情があり印象的です。
障害者やその性など繊細な部分が題材となっていますが、滑稽と悲哀のバランスも絶妙で、重くなり過ぎず、とは言え、やはり複雑な思いも残す、考えさせられる作品でした。
ラストの表情も、個人的には、元には戻れないというように感じました。
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