アイネクライネナハトムジークのレビュー・感想・評価
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本当の面白さは後からじわじわ来るもの
幸せは後から振り返って気づくものと同じように。
そんな日常のささやかな幸せのかたちを、身近にいそうな人たちの群像劇で丁寧に描いた作品。
なので絵に描いたようなドラマチックな展開があるわけではない。(ボクサーの話は除き)世界のどこにでもあるようなエピソードばかりだ。ただそれが時間を超えてつながってきて気持ちいい。
主人公のふたりの恋愛期間を潔く飛ばして、こういう伏線回収の構成も珍しい。
今泉力哉監督っぽくないBGMを多用したポップな演出。でもそれがリズム良く心地いい。
幸せの連鎖
原作は未読です。
出てくるのはみんな普通の人達で日常的な風景なのですが、その中に小さな幸せや奇跡を感じました。
ヘビー級の試合を観て明日も頑張ろうと思えたり、同じ歌を同じようにいいなと思って一緒に聴いてくれる誰かがいたり・・・、何気ない事ですが、それって幸せな事だなと改めて感じます。
人はみんな少しずつ繋がっていて、知らぬ間に支え合ったり背中を押し合ったりして生きている。赤の他人だと思っていても実はどこかで助けられているかもしれない。また、自分の何気ない行動が誰かの背を押しているかもしれない。生きていれば辛い事もあるけど、それを乗り越える姿が誰かの勇気になるのなら・・・見えてないだけで、世の中はそんな嬉しい連鎖で満ちているのかもしれません。
普通に恋愛映画?
正直、そこまで面白くなかったかな。
伊坂幸太郎の小説は以前は好きでよく読んでいました。
が、どんどんエンタメ化してきて、それもまあいいのですが、読まなくなってしまいました。
以前の伊坂幸太郎の小説は、エグい中にいい話がホロホロと滲み出てくる感じが好きで、
さらに、ちょっとしたトリックというか、
時間軸がズレてたりして、最後にあってなるのが
楽しいのに、これはそうゆうのないんですね。
(原作読んでないので、小説の方は分かりませんが)
単なるかわいい恋愛映画だったかなーと、
ちょびっとがっかりです。
伊坂幸太郎作品の醍醐味がする丁寧な作品、少しだけ出会いを信じられる予感
小中と伊坂幸太郎作品を読んでいた私にとって、今泉力哉監督がどうマジックをかけたのか、気になっていた。この原作は読んだことなかったのだが、伊坂幸太郎の気持ち良い伏線回収が見事に生きていて、最後はボロボロ来てしまった。
この作品のポイントでもある"劇的ではない出会い"。それが、あらゆるところで作用して大きな輪になってゆく。ウィンストン小野をやたら願掛けに使うくせ、自分に置き換えると自信がなくなるような人たちばかりなのに、不思議と胸にじんわりと染みる。10年かけた意味があったのかは分からないが、時間をかけて築かれるもの、崩れていたもの、振り返った時に「良かった」と思えるもの…。今分からなくとも、それが奇跡だったのだと寄りかかれることがなによりの幸せなのかもしれない…。決して考え方が上手いとかではなく、どこかに落ちたものを拾い忘れているのかも、と思わせる暖かさを、ぬくぬく感じられることができた。
キャストも豪華だが、何より良いのはやっぱり三浦春馬。聞いた話をそのまま繰り返して他人に念を送る一方、自分に置き換えられない拙さが、心をヒリヒリとさせる。
他にも今泉監督史上最も豪華なキャストが集っているわけだが、そもそもこの原作は短編小説集である。それでいながら、よくまとまっていているのがスゴい。ストーリーの幹がしっかりとしているので、枝分かれしたエピソードもそれぞれ完結していくので、全く違和感がない。強いて言うなら、それぞれの10年後も見たかったというところくらいか。
今泉力哉監督にしては珍しい、場面のカット数と少ない長回しだったが、個々の内心が透けるように見えて、プラスに写った。この先の人生、少しだけ出会いが奇跡になって見える気がする。
幸せボックスな映画
一度観た時は何となく優しい映画だったなで終わり、二度観た後にズーンと胸に響いてきました。
何気ない出会いが何気ない幸せになり温かい気持ちになる。小さな幸せがたくさん入った箱のような映画でした。探せばもっと色々な幸せが出てくるんだろうな~。
今まで映画を一度観ただけで観たような気持になっていましたが違うんですね。いい映画は二度観て三度観てどんどん心に響いてくるものなのかもしれません。俳優の方々も皆さんとてもステキでした。
洒落た会話が横溢する登場人物全員が魅力的な傑作
WOWOWで放映されたので見ました。
予想以上に素晴らしく、三浦と多部も良いのですが、矢本と森、その娘の恒松の家族が素晴らしい。
本線ではありませんが三浦が結婚について尋ねる原田泰造のエピソードもなかなか味わいがありました。
どこを切り取っても楽しく見ることができる傑作だと思いました。
アイネクライネナハトムジーク
三浦春馬君と多部未華子さんの二人が演じる出会いから、佐藤の絶妙な間合いの演技がとてもアンニュイな感じを醸し出している。
この二人だから出せる雰囲気と、恋愛映画なのにドキドキ感はまるでないところがなぜかまた見たくなる映画だ。
つながり具合が気持ちいい群像劇
たまたま鑑賞したのだが、これは好きなタイプ。
原作未読だが伊坂幸太郎なので色々仕込んでるとは思ったが。
あと出てくるご飯がことごとく美味しそうで、お腹減った。
人物設定として美味しい役どころの矢本悠馬と萩原利久が目についた。派手さはないがじんわりしみるよい映画だった。
なんだか幸せになれる映画
ありきたりの普通の人の普通の出来事風に映画にしているけど、かなり非日常。
でも、主演の三浦春馬さんと多部未華子さんが「普通」っぽく見せてくれている。
観終わって、一瞬「つまらない映画を観てしまったかな」と思ったのだけど、お茶飲みながら思い返すとなんだかほっこりして、良い映画だと思った。
思い返すと全ての役が良い人だと思った。
なんだか幸せになれる。
劇中のストーリートミュージシャンの歌う歌が良かった。
三浦春馬がもういないことがとても哀しい🥺
原作を読んでから観ようと思ったけど、待てずに鑑賞。ほっこり、ほんわかする場面もあり、クスッと笑えるところもあり、面白かった。
主人公ではないボクシング🥊の選手ウェストン小野の試合を軸にして、主人公の佐藤や友人の織田、会社の先輩の日常が展開する。
一気に10年後に話が跳ぶが、やはり小野の試合を軸に(私にはそう感じる)話が展開している。今度は織田の娘や友達も関係してきて見事な伏線の回収。
このセリフ、きっと原作の中にもあるんだろうな〜と思えるようなクスッ笑える会話も良い。(久留米のお父さんが自転車置き場で駐車券ドロボーに言ったセリフとか、久留米がファミレスのクレーマーに言ったセリフとか本の中にありそう)
小野の試合終了後、織田親子と一緒に行った友達が、耳の障害がある少年(青年)の棒切れを拾ったのは、新たな出会いということなのかな☺️
佐藤をはじめ、小野の奥さん、織田の奥さんも優しい人たちが多い爽快な映画。10年経っても路上で変わらず歌っている斎藤さんやセコンドなのにポッチャリしてるサンドイッチマンがちょっとファンタジー!
三浦春馬がとても自然で良かった〜なのにもう、新しい彼を観ることが出来ないんだってことを改めて感じてしまった。寂しい😞
みんな一途
仙台が舞台となる作品が多い伊坂幸太郎。やはり今回も仙台が中心で駅前の歩道橋での出会いや、数々のエピソードにおける人間関係や伏線が見事にまとまっていた。個性がぶつかりあう作風の今泉力哉監督作品というより、むしろ伊坂幸太郎らしさが目立っていたと感じました。
10年という時の隔たりは人の心をも変えてしまいがちだけど、今作ではむしろ1人の異性を思い続けたり、1人のボクサーに憧れ続けたり、親子でDNAが受け継がれるといった、人間の良い面が浮き彫りにされていたようにも思った。その10年の歳月の中に東日本大震災があるのですが、これも人との固い絆をより強固なものにしたのかもしれません。
その群像劇の中心にいるのは三浦春馬演ずる佐藤であり、ウィンストン小野だったりするのですが、結びつけるキューピッド役となるストリートミュージシャン。これは斉藤和義?と目を凝らしてみたりしたけど、この「斉藤さん」はこだまたいちという人。雰囲気あるなぁ~
普通の群像劇だと、様々な人が最後に一点で結ばれていることがわかる作品が多いけれど、このドラマは最初から繋がりが見えているのが斬新といえば斬新。意外性を求めず、様々な伏線が後からじわじわ思い出されるのもいいものだ。耳が悪くいじめられていた少年のエピソードが素敵でした。
アイネクライネナハトムジーク
出会いの物語。
10年という時間経過をうまく使ってロマンチックに。同じセリフや同じシチュエーション。それは親から子へも受け継がれる。
この10年だけでなく、これからの10年にもつながりそうな展開も良い。
良い映画はその映画で全てが終わるのではなく、登場人物のその後を想像できる映画。そして、それは登場人物だけでなく鑑賞者のその後にも影響を与えるような映画。これは見終わった後にポジティブになれるところが良い。
だからこそ三浦春馬のニュースは悲しい。出演者の未来にもつながりうる作品だから。
シンプルにこういう群集劇が好き。いろいろな人が絡み合う展開。スポーツが様々な人に勇気を与えている様子も良かった。
何年か後に、好きになった人やあの時出会った人がこの人で良かったと思えるように。
じわ〜っと心があったまる
伊坂幸太郎の小説は初期の頃のものはかなり読んだけれど、この話は原作は知らなかった。ただ、いきなり仙台駅前が出てきて、ふふっと思った。
話は本当に驚くほど日常の中で普通に暮らす何人かの若い男女の群像劇だ。出会いがあって時がたっていろんな思いが膨らんで、静かに流れていく。
今泉監督がいいのか、原作がいいのか、脚本がいいのかわからないけれど、沢山の心に響く言葉がでてくる。出会いが後になってから、あなたでよかったと思えることが1番幸せなんだ。
出会いを掴むのか見逃すのか、全ての人にチャンスはあるんだと思う。次に向かって一歩踏み出したくなる映画だった。
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