劇場公開日 2019年9月20日

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「みんな一途」アイネクライネナハトムジーク kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5みんな一途

2020年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 仙台が舞台となる作品が多い伊坂幸太郎。やはり今回も仙台が中心で駅前の歩道橋での出会いや、数々のエピソードにおける人間関係や伏線が見事にまとまっていた。個性がぶつかりあう作風の今泉力哉監督作品というより、むしろ伊坂幸太郎らしさが目立っていたと感じました。

 10年という時の隔たりは人の心をも変えてしまいがちだけど、今作ではむしろ1人の異性を思い続けたり、1人のボクサーに憧れ続けたり、親子でDNAが受け継がれるといった、人間の良い面が浮き彫りにされていたようにも思った。その10年の歳月の中に東日本大震災があるのですが、これも人との固い絆をより強固なものにしたのかもしれません。

 その群像劇の中心にいるのは三浦春馬演ずる佐藤であり、ウィンストン小野だったりするのですが、結びつけるキューピッド役となるストリートミュージシャン。これは斉藤和義?と目を凝らしてみたりしたけど、この「斉藤さん」はこだまたいちという人。雰囲気あるなぁ~

 普通の群像劇だと、様々な人が最後に一点で結ばれていることがわかる作品が多いけれど、このドラマは最初から繋がりが見えているのが斬新といえば斬新。意外性を求めず、様々な伏線が後からじわじわ思い出されるのもいいものだ。耳が悪くいじめられていた少年のエピソードが素敵でした。

kossy