来るのレビュー・感想・評価
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そして何かがやってくる
キャスト良し。脚本良し。
人の心の闇に巣食う何か、
その何かを祓うのは全国から集まりし霊能者たち。
その心の闇をどう見せるかがこの映画の真骨頂なのですが、
俳優陣が素晴らしい。
とりわけ黒木華と、祓う側の柴田理恵がすごいです。
人は誰もが虚栄心と利己心の塊なのです。
自身の中にあるそれが、一番大切なはずの誰かを傷つけ、
そして何かがやってくる。
残念ですが、話の展開の悪さにマイナス1.5です。
最後に。
ホラーが得意でも、芋虫が苦手な人は観に行ってはいけません。
期待はずれ
cmが超怖そうだなーと思ってみにいったが、
期待はずれだった。
序盤の秀樹パートでイライラさせられ、続いての香奈パートでも鬱々とし、いよいよ本命の除霊パートで盛大に笑ってしまった。お祭りでもする気か!
案の定たくさんの人が死んでようやく化け物倒せそうになってからの野崎の謎の暴走。お前そこまで知沙に感情移入してたの?てかもう知沙を救うと言ってる次元じゃないほど人死んでるねんで?!ファッ?!
真琴の姉もなぜ最終的にそれを受け入れたのかよくわかんなかった。あの状況だと多分お姉さん助からないと思うがどうなったのかは謎。マンション再起不能。トドメのオムライスの国。
意味がわからなすぎて逆に興味を持ったので原作小説を買って読んだが、映画と話が結構違うのね...。
原作はアレがなんなのかを淡々と調べててわかりやすくてよかった。なぜ映画はあんなお祭りするみたいな改悪に走ったんだろう。
ちなみに自分が行ったのは公開からそんなに経っていない中だったが、シアターはその映画館で一番でかい所だったのに見てたのは自分を含め数組のみ。ガラッガラだった。
「来ます」「え、いま?」
白昼堂々、人がたくさんいようが御構いなしに襲ってくる霊現象!人体破壊!ぽんぽんと攻撃してくるわりに"来る"ときは劇中霊能力者が来ますと言ってくれる親切!けど人体破壊!
圧倒的な強さを誇ってやって"来る"霊現象に私的には細かい理屈など考える必要なく楽しめました。テンションで押し切ってくる感じ、嫌いじゃないです。むしろ好き。
全編通して醜悪な人間の心の闇が描かれますが、ここら辺の受け取り方は人それぞれかな、と。私はハイテンションな霊現象に夢中であまり深く考えませんでしたが、同行者は登場人物たちの心中を気にしてついて行けていませんでした。
多くの人が言っているラストの除霊パーティに関しては文句なしです。全国から召集される霊能力者たちの除霊に慣れてる感が面白おかしくなっちゃいます。
何度も強大な除霊を乗り越えてきたんだろうな。沖縄から呼び出されたおばちゃん霊媒師たちの東京に来てはしゃいでる姿は、「この人たちなら倒してくれる」と思わせてくれます。
「何しに東京来たんですか?」
「バケモン退治や!!アッハッハ!」
新幹線から来るおじちゃんたちもいい味出してます。新幹線での会話はこの映画の五本の指には入る名シーン。
しかしそんなおばちゃんたちさえも苦戦する霊現象が"来る"わけです。
見てるだけで楽しい。霊現象も霊能力者もどっちも強者なのがわかるこそラストバトルが映えます。
ハイテンション除霊合戦というワードを聞いて気にならない人はそもそも性癖が合わないと思うので見る必要はないかなと。
気になる人、すぐに映画館行きましょう。
最初の1時間は寝てて良い
何故そんな絶賛されてるのか分からないほど話のテンポが絶望的に悪い。途中退席を考えたほどホラーとしてもエンタメとしても面白くなかった。何故か知らないけどシンゴジラと重ねる人がいるけど、一緒にすんじゃねぇふざけんなってかんじ。ならもっとお祓いのシーンきっちり描いて「アレ」についての考察盛り込め。テーマも色んなものに手を出しすぎて話の収拾がつかなくなってるのが見ていられない。金払って見る価値はないと思う。でも黒木華の怪演には目を見張るものがあったのでそこだけが救い。この監督の作品はもう見ないかな。
正しい事は同時に正しくない事でもあるってこと?
私にとっては、「無駄の無い、完璧な映画」で最高でした。あくまで私にとっては、で あなたにとってはではありません。
内容とは関係ないですが、誰かが最高と言ってるのに観たら最高じゃなかった、なんてなんの評価でも無いし意味もないですよね。
だから、私が「最高!」って思ったと言うことも本当に私にとってしか意味は無いんですが最高でした。笑
宣伝上どうしようも無いんだと思いますが、ホラー映画のジャンルに縛るのは明らかに誤解を生んでて、強いて言うならオカルト社会派エンターテイメント!だと思います。
というかジャンルを分けたがるのは、ほんとに人間の悪い癖で、分からないものを分類して分かった気になりたい欲の現れだと思います。自分もやりがちですが、、
主人公は誰だ、とか、これはホラーじゃない、バケモノの正体はなんだ?とか。その“分からなさ“がいいのに!
色んな事は、分からないものを分からないまま受け入れる事の方が必要ですよ!
男っぽい女の人は男っぽい女の人だし、犬っぽい猫は犬っぽい猫ですよ。
きっとこの映画は、こんなに素晴らしいキャスト選びをしていて、演技もほとんど最高で、お金を掛けまくっていて、監督の力量が高すぎるのに、多分大衆には評価されません。そこがまた良い。
けどそれが今の社会レベルだと。
ほんとに面白かったなぁ。
人間の裏の顔
ホラーは苦手なので迷ったのですが、キャストがよかったので観に行きました。
ホラーの部分はさておき、内容はよかったです。
人間の表の顔と裏の顔を、絶妙にとらえていたと思います。
ホラー嫌いの人も、是非観に行ってください。
人生で一番怖かった映画でした。
私自身、ホラーが苦手なのもあってかすごく怖かったです。R12指定ですが、R18でも良いと思います。
グロテスク・性的描写があるため、初デート等気まずくなりたくない方は避けた方が良いかなぁと。
映画を観終わって、回収しきれていない伏線は多々ありましたが「怖い」ものを見たい方は本当にオススメです。
グロさ・ビックリ・人間味・オカルトなどのホラーの特徴において全て網羅している作品だと思います。
ただ、うやむやになっていたり、「あれ?結局あれはなんだったんだ?」という点も複数あった為満点をつけることはできませんでした。
が、非常に面白い作品でした。
ジャンルに嵌めず漂う時間
不思議な作品だった。家族の物語であり、人の繋がりの物語であり、自我と犠牲の話でもあったりするのだろうか。
賛否はっきり分かれる感想も、監督の手腕に依るところが大きいのだと思う。既読の方々には辛いかもしれないが、自分はお陰さまで原作に興味が沸いてきた。怖いのは苦手だけれども。
とにもかくにも、不思議な何かが自分の中にポツンと見つかる、そんな映画でした。
人間の方が怖い
原作未読。ホラーとしては、血がブシャーっと飛び散るグロだけでホラー耐性があれば、そんなに怖くないです。ラストの壮大な除霊は苦笑。
それよりも、アレを呼びこむ、人間の心の闇が怖いですね。その辺は中島哲也監督の告白を思わせます。なんか、ホラー演出のお陰で、少しボヤけた感がありますが。まあ、なんだかんだで、ちえちゃんが一番怖い!それと、ラストの終わり方が曖昧で。
中島哲也流ホラー。本気でホラー撮りたかったら、中田秀夫監督あたりに、オファーすれば良いのです。
心の闇に忍び寄る。斬新な音楽と色彩が織り成す、至極のホラー。
【賛否両論チェック】
賛:人間が持つ心の闇につけ入るように、恐怖が少しずつ忍び寄ってくる様に、ゾッとしながらも思わず考えさせられる。音楽や色彩等の斬新な演出にも注目。
否:かなりグロテスクな描写が多いので、苦手な人には全く向かない。
ホラー映画ですが、どちらかというと怖いというよりは、グロいシーンの方が多いので、その辺りの好き嫌いは分かれそうです。
一見幸せそうに見える新婚夫婦。しかし現実には、育児を手伝わないくせにイクメンパパを標榜する夫・秀樹と、彼のせいで疲れ果ててしまう妻・香奈の姿があり、そんな2人の心の闇の狭間で居場所をなくした知紗の下へ、不気味な影が忍び寄ってくるところに、何といえない切なさというか、苦々しさが残ります。
そして野崎や津田を始め、2人を取り巻く様々な人物の様相にも、また人間の持つ浅ましさや醜さが垣間見えるようで、思わず考えさせられてしまいます。
ただただ不気味さをあおるだけではなく、斬新な音楽や色彩で場面転換をしていく演出も、この映画ならではの見どころの1つです。普段はホラー映画を観ない方も、是非怖いもの観たさでご覧になってみて下さい。
雨は夜更けすぎに雪へとかわり池の水は全部抜かれた・・・silent night holy night
雨は夜更けすぎに雪へとかわり池の水は全部抜かれた・・・silent night holy night
災
『エクソシスト3』か『エクソシスト・ビギニング』または邦題だけがエクソシスト関連のワードのタイトルで原題は全くちがう作品だったかどうかはっきりと記憶にないがその作品は悪霊退散、除霊、厄除けという行為を信じるか信じないかはあなたしだいではなくて、はっきりと実存として生活に密着しているのだからロジカルに対応、解決しようという内容だった。(ような記憶がある。)
災
悪魔(その作品では)は実在すると考えよう、迷信を無理に信じるのではなく、その原因が【何か】を明らかにして、対応法を日常的に準備しておこうというアプローチは充分に納得、いい感じのホラー映画の体裁だった。
災
古くから、土地や人々に災いをもたらす天変地異、それぞれの【何か】への対応法が、伝説、言い伝え(迷信含)として継承され、行事や風習、祭礼など個人レベルでは能や舞いなどあらゆる言葉や形となって伝承されてきた。
災
例えば暴風雨の夜から祈祷開始、翌朝には悪霊(例えば【何か】の正体は台風)が退散。不吉じゃ、などと言いながら悪霊退散に貢献したヒトや団体は崇められ貴重な存在となっていった。【何か】を明らかにしたり、時には聖なる【何か】をあえて明らかにしないで対応していく事が、太陽や海、山、森林などの過酷な自然の驚異と共存していく生活の知恵のひとつだったのかもしれない。
災
自然の脅威をやり過ごすという解決法は習慣化していき、【何か】の原因が科学的にも解明されてきた。
が、
どうにも対処法がわからない災いのパターンがある。その要因がどうやらヒトの内面に【何か】あるようだとうすうす感じてきた少し昔のヒトたちの対応法。
そんな対応法をロジカルに映画にしていたのは先程書いたが、通常の映画のパターンだと、【何か】を明らかにして<敵>とみなし、迎え撃つ主人公達を<味方>として勝か負かを楽しむ。もちろん<敵の正体、スペックは等は明らかになり><味方のウェポン&タクティクスもきっちり描く>[その時の味方チームは、スペシャルではない不安感バリバリにしておく]エンタテインメント作品の王道だ。
災い転じて福?
しかし本作は、来る【何か】を明らかにしないで、その【対応法】が適切かどうか不明のまま観客を圧倒していく。
勝負を楽しむ作品にすると、勝利して終了、本当の【何か】の怖さを観客は考えない。災い転じて福なんか甘いんじゃ~悪~霊退散~
どうするか?
勝負そのものの舞台を破壊する、つまり
池の水を(観客の思考の前提を)全部抜いて、【何か】を規定しないで、itが日常に潜んでいる事を考えてくれ~というメッセージなのか、
ホラー映画またはエンタメの[型]破りにただただ圧倒はされた・・・不吉じゃ・・卑弥呼もいて、ジャンヌダルクもいて、祈りで始まり、呪いで終わる(キュウべぇ)『とむらい師たち』を見たくなった。
錯乱筆坊
来る
面白かったです。邦画見直しました。お金かけた次に続く 的な洋画より。起承転結があり。この同時期の上映されてる映画の中では。満足感のある映画です。ただ原作が濃いので、映画に短縮するとフラッシュアップ的な物語の取り上げ方になるかなと思いましたが、まあ仕方なしとし、期待してた以上でした。
ストーリーホラー
鑑賞後、「日本版エクソシスト。中島哲也監督の放つ、新感覚ホラー!」なんていう陳腐なコピーが浮かんで来た。おどろおどろしい、日本風のホラーとも違い、悪霊退散をベースとしたストーリーは名作エクソシストだが、それとも異なるテイストの物語だ。
メインストリーは、悪霊退治を職業とする人々と、強力な何か「あれ」の戦いとなるわけだが、そこは単なる舞台。見応えがあるのは、そこに関係する人々の腹の底にとぐろを巻く悪意だ。時事刻々と明かされていく悪意が「あれ」を呼び、人を殺していく。実はその媒介も、悪意により作り出されたものである。
岡田准一、松たか子、妻夫木聡、黒木華など、豪華な役者陣。その中でも、別人のように髪をピンクに染めた、小松菜奈が光っていた。
最後は爆笑して席を立てるよ!
たしかに賛否両論あると思う。
でも、そもそもホラー映画だと期待したり、映画には感情移入したい人、起承転結大事、と思ってる人は見ちゃダメ!!
最初は社会問題や心の闇が具現化した幻的なホラーだと思わせといて、途中で主人公変わるし、松たか子も笑わせにくるし、最後の最後で怒涛の爆笑シーンがてんこもり!
映画は何も語ってませんw
そこに期待しちゃダメですw
妻夫木氏は、イラっとさせる役やらせるとピカイチ!
柴田理恵!
うしおととらとシンゴジラが悪魔合体したような映画だった。
ホラー映画が苦手な僕でも、すらっと観れたので、「ホラー映画」というくくりで予告されているのが、いまひとつ評価の低い理由だと考えられる。
一年の終わりに
日本人の穢れを集め
うやうやしく奉り
祓い清める儀式
としてこの映画を観に行くというのはかなりアリだと個人的に思う。
あと柴田理恵が超絶かっこいい
中島監督作品は私には不向きです。
多くのシネコンで上映されている。見方によっては「R-18」ではないかと思う。
香奈の公衆便所での死にざまは、そう思ったのだが。
中島監督の作品は初めて。う~ん、陳腐な作品だなと感じる。キャストに恐れられている監督らしい。作品自体、一つの線が入り組んでいて、細部まで理解不能な点が多くみられた。岡田准一がオカルトライターの役であるのもいまひとつ。野崎の髭の長さまで要求してくる監督の拘りまでもが全く伝わってこない。多くの映画館を満席にするほど監督らしいが、CM上がりの映画監督の「作品づくり」にたいする姿勢、下品さも垣間見え不快でさえ感じる。
「オムライスの国」も観客を小馬鹿にしているようで、笑っていいのか。怒っていいのか。
彼の作品の知名度の高さが、全くわからなかった。結局のところ、秀樹と香奈がどうして結婚に至ったのか。
マコトの必要性、琴子の奇抜な服装。ビルの1階に秀樹を呼び出した高梨が会った人間は誰か。除霊のための壮大な儀式。琴子と警察・政府の関係は。マンションには誰も住んでいないのか。エキストラのあまりの少なさ。「●●日後」というモノクロ画面もストーリーの流れを完全にぶっ潰している。
悪い親には“あれ”が来る
“ホラー映画”とひとくちに言っても世の中にゃ色んなホラー映画があるわけで、
例えば『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』も『エクソシスト』も
『13日の金曜日』も『リング』もホラーだが怖さの方向性がまるで違う。
その方向性ごとの物語のフォーマットもある程度は存在すると思うけど、
『回路』や『イレイザーヘッド』等のとんでもなくエグい角度を攻めてくる変化球もある。
(先日の『ヘレディタリー/継承』もまた既存の手法や観点に縛られない魔球だった)
『来る』もそう。既存のホラー映画のフォーマットなんぞどこ吹く風の変化球。
監督が中島哲也という時点で普通のホラーにはならないとは思っていたが、それでも
『告白』『渇き。』のテンポを多少ホラー的テンポに落としてくるかと思っていた。
いえいえノンノンですよ。まぁとにかくスピーディでカットも多くてキレが良いですよ。
なので通常の幽霊ホラーのようにじわじわ恐怖を煽るような怖がらせ方は
しない……というか手法上できない訳で、この映画の怖さはまた方向性が違う。
怪異そのものではなく、その根幹にある人の心に焦点を当てている印象。
構成や語り口のテンポはエンタメ性が高く、登場キャラの個性も強い為、
総じて“怖い”というより“怖面白い”映画に仕上がっていた。
賛否両論ありますが、個人的にゃ大満足の4..0判定で。
...
まず登場人物について。
承認欲求を満たすことしか頭にない秀樹、恋人に堕胎させた後悔に苦しむ野崎、
ゲッスい津田さんなど、情けない男性陣に対して女性陣の強いことカッコいいこと。
松たか子演じる琴子はユタでありながら国家権力すら動かす、霊能界の
ゴルゴ13みたいなスゴイ人。淡々と冷徹に仕事をこなす姿がカッコ良すぎ!
生死は不明だけど、そう簡単に死にそうにないよねえ、彼女。
その妹・真琴を演じたのは小松菜奈……ん、へ? 小松菜奈? いや嘘でしょ、
誰このパンクガール?! 「あたしバカなんで」と言うが、自分の身も
顧みずに他人の子を守れる、登場人物中で一番優しい彼女が素敵。
そして意外や柴田理恵もカッコイイ。方言丸出しの田舎のばあちゃん
なのに(「すんずられるのはいだみだげ」)、存在感と胆力の凄いこと!
女性陣でも黒木華はカッコ良くはないが、人の業深さという恐怖を
一番見せ付けたのは彼女。どんどん疲弊し壊れていく様の説得力。
トイレで血溜まりに横たわる彼女の表情は笑っているように見え、そこが僕は
本作で最も恐ろしかった。彼女はもう母であること、自身が憎む母へ近付く
ことに悩むことは無くなった。あれはそんな安堵の笑みだったのだろうか。
...
そして、“ぼぎわん”または“あれ”と呼ばれる怪異。
一般にホラー映画の幽霊や怪異って、序盤ジワジワ攻めて最後に畳み掛ける
持久型ボクサー的なお方が多い印象だが(ホラー感台無し表現)、
“あれ”はゴングが鳴るや全力疾走で飛び膝蹴りを食らわす山本KID徳郁的な
超アグレッシヴ妖怪さんで、こちらが対処を考える暇も与えてくれない。
「来る」と思った瞬間には肩切られたり腕もがれたりと容赦ナシ。
特定の獲物に執着し、邪魔者も手当たり次第に襲う怒り狂った獣のようだが、
襲う相手の恐怖を読み取って声や姿を変えて巧みに騙す狡猾さもある。
“あれ”が見せる恐怖はどれも親子に起因するものだった。
自由に生きたい、責任が怖い、様々な理由で子を愛せない親。
親からの身的/心的暴力に怯え、恨み、それでも愛情を求める子ども。
今でこそ“DV”や“ネグレクト”等の単語が一般的になりつつあるが、思うに
そういう事例は大昔から存在していたんだろう。集落や大家族で子育てを支援
する環境が減り、そういう事例が目立つようになってきた、という話だと思う。
劇中で語られる“子捨て・子殺し”の風習も、根底にあるものは同じだ。
土地としての世間体や後ろめたさから表に出ないだけで、日本各地に
そんな事例は存在するはず。その後ろめたさを負ってもらおうという
意思から生まれたのが、本作で言うところの“ぼぎわん”伝承だ。
...
映画内では明確な姿も正体も曖昧だった怪異。原作ではそこがもっと
詳細に記述されてるようだが(カミツレさんのレビューを参照されたし)、
原作未読の僕は、この映画において猛威を振るった“あれ”は、
端的に書けば「妖怪ではなく人の怨念である」と解釈した。
“子捨て・子殺し”で死んだ幼い子ども達の無数の怨念。
愛してほしいのにどうして怒鳴るのか、虐めるのか、捨てるのか、殺すのか。
行き場のないその怨恨が、まるで実在するかのように伝承された“ぼぎわん”
という名を依り代に凝縮され顕在化したのが“あれ”だったのではないか。
だから“あれ”は特定の姿を持たない。
“あれ”は無数の子どもたちの凝縮体だから。
だから“あれ”は子どもをさらう。
親に愛されない子どもを憐れみ、一緒になってあげたいから。
だから“あれ”は親を無残に殺す。
子どもの残酷さは時として無尽蔵で、そして“あれ”は
子どもを愛さない親たちを恨みに恨んでいるから。
だから“あれ”は強力無比だ。
子が親に向ける愛憎という複雑で強烈な感情の無数の凝縮。
そんな恐ろしいものに生半可な理屈が通用するだろうか?
...
野崎と真琴が助かったのはそこだと思う。琴子なら強力な
“あれ”を殺すことも可能だが、それが嫌なら方法はひとつ。
その子を普通に愛してあげること。
野崎と真琴と知紗のちぐはぐ親子がこの先どうなるかはわからないが、
あの子を“オムライスの国”に居させてあげたいと努力する内は安泰だろう。
野崎も真琴も、他人だからこそあの子の苦境に気付けたし、
他人だけれどあの子を守ろうと命懸けになれるほど優しい。
思えばあの夜、父と母と一緒にオムライスを食べていられれば、
“あれ”があんな急速にあの子に取り憑くことも無かったんだろうか。
「親の愛は偉大」なんてテンプレのように言われるけれど、
子どもを愛せない親を脊髄反射的になじる人もいるけれど、
初めから悪い親になりたくて子を生む親なんていない。けど誰だって、
自分が傷付いたり苦しんだりするのは怖いし、親が子を愛し続けるのは、
人や環境によっては言うほど当たり前でも簡単でもないことなんだと思う。
“ぼぎわん”を生まないようにするには、親が親になれるよう、
気付いた周囲も少しでも助けてあげることが大事なのかも。
ううむ、そう偉そうに書く自分も我が子をしっかり守ってあげなきゃね……
……あれ? ああ、そうだった、僕には娘も息子もいませんでしたよ。
あ! それどころか奥さんもいないね! 失敬失敬、アッハハハハハ!
ハハ……ハ……
……誰か幸せ家族を崩壊させる妖怪の魔導符とか持ってませんかね!?
ほんの100枚くらいでいいんで!!(津田さんよりゲスい)
<2018.12.08鑑賞>
.
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余談:
秀樹はホントにダメな夫/父だったが、娘を守るというその気概
だけはいっぱしの父親だった。それに、彼がかつて仲の良かった
少女の名前を娘に無意識に付けたのは、あの少女を救ってあげたい、
守ってあげたいという後悔の念からだったのかもしれない。
未だ疑問が残る
怖いのが苦手な私にも ギリ楽しんで観ることが出来ました。色んな課題が残る内容で 妻夫木くんが よくこの嫌な役を引き受けたな・・と感心しました
ドラえもんの のび太のキャラとダブって観ていました
私だけかもしれませんが 内容事態も グレーゾーンが多くて100%理解出来ませんでした
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