ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書のレビュー・感想・評価
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「報道の自由」とは誰のもの
アカデミー賞 作品賞ほかノミネート作品
1971年 ニクソン政権下のアメリカ
ベトナム戦争で敗戦すると予測していながら、戦争を続けていたことを証明する文書を入手した新聞社 ワシントンポスト紙が、政府から訴えられるかもしれないという圧力の中で、その文書を記事にするかしないかの選択を迫られる
アカデミー賞作品賞ノミネートも納得の素晴らしい作品だった
「今、国民に伝えるべきこと」を記事にするために、どんな圧力にも屈することなく戦い続ける社主、編集長、記者たちの勇気に感動し、彼らを応援しながら観た作品だった
「『報道の自由』とは、一体誰のためのものなのか」
というテーマの中、スピルバーグ監督の素晴らしさは誰が見てもわかるように、監督の思いがストレートに伝わるように描くところにある
この映画では、その裏で起きていた政治的な駆け引きよりも、記者たちの戦いにフォーカスを当てて描いているため
たとえ、ニクソン元大統領を知らなくても、戦う記者たちの勇気に感動できる作品になっている
そして、主人公のキャサリンは、ついこの間まで「子供を育てることが生きがい」という主婦だったのに、思いがけずワシントンポスト紙の社主になり、会社の命運がかかった選択を迫られる
ついこの間まで「会社のことは主人に任せています」と言っていれば良かった彼女が、180度方向転換を余儀なくされ、会社を背負うことに
かと言って「私はわかりません」とは言って逃げ出せない立場にある
彼女の苦悩には、多くの女性たちが共感すると思う
彼女を主役にしたことで、この映画は「政治には無関心な人」や「ゴシップ記事にしか興味がない女性たち」でも理解でき、共感できるように作られている
それは、報道は国民のためにあり、国民は報道を通して政府を監視する義務があるからで、
無関心のまま、その監視を怠ると、いつのまにか政府にその自由を奪われてしまうのだ
これはフィクションではなく事実であり、大統領が報道各社を名指しで「フェイクニュースだ」と言う時代だからこそ、今、観るべき作品なのである
社会派ではあるけれど、エンターテイメント作品としてめ楽しめるので、全ての人にオススメの作品
35ミリのフィルム撮影が再現する当時の空気感が鮮烈な本作を敢えて今世に問うスピルバーグの作家性が眩しいです
1971年ベトナム戦争が泥沼化する中、ベトナム戦争を分析・報告した政府の極秘文書”ペンタゴン・ペーパーズ”をニューヨーク・タイムズがいち早くスクープするが、米国政府は即座に反応、同紙の記事を差し止めるべく起訴する。同じ頃同文書を入手したワシントン・ポストは編集主幹ベンのもとで記事を掲載すべく準備を進めるが、発行人のキャサリンは政府を敵に回し会社の存続危機を覚悟で報道の自由を貫くべきが苦悩する。
文書を公表するかしないかという日曜劇場でドラマになりそうな地味なサスペンスですが、そこはさすがにスピルバーグ、繰り返される会議の中で登場人物達の心情を炙り出し、輪転機を回す、回さないを決断する瞬間までをハイテンションで演出。35ミリのフィルム撮影による終始しっとりとした冷たいトーンの映像で当時の空気感もしっかり再現、最後のオチも実にシャレが効いていて、スピルバーグが何故今この題材を速攻で撮影して世に問うたかがずっと胸に落ちる快作でした。
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