ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書のレビュー・感想・評価
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神がかった同時代意識
一本の映画を作るには、撮影や編集だけでなくかなりの時間を要するが、スピルバーグは本作を『レディ・プレイヤー1』の製作期間中にポロっと撮ってしまったという。そんな突貫スケジュールが可能なスピルバーグの処理能力にはアタマが下がるが、スピルバーグの発言によると、これはいま作られるべき内容だからと強引にスケジュールを押し込んだらしい。
結果、メディアと権力という今の現実そのものを描くようなテーマを前面に押し出した作品ができあがった。スピルバーグに特に日本について描く意図はなかっただろうが、日本の2018年の現実とも不気味なくらいピタリと符合した。
思えばスピルバーグは『リンカーン』では憲法改正の是非だけでなく、推し進めるのがいかに大変かを描く作品も作っている。本作も『リンカーン』も過去の話だが、スピルバーグというフィルターを通すと、どんな社会派映画より同時代的な訴求力が生まれてしまう。偶然か、嗅覚か。いずれにせよスピルバーグに何かしら神がかったものが宿っているのは間違いないと思う。
その文書を残すのはなぜか
本作は報道の自由を守る戦いを描いた作品であり、ビジネスとしてのメディアと社会正義としてのメディアの葛藤を描いた作品である。
同時に、公的な記録を残すのはなぜなのかを描く作品でもある。
ベトナム戦争の戦況に関する分析・記録した最高機密文書を報じるか否かの駆け引きが物語の主軸で、夫から会社を引き継いだ(ことで軽んじられている)女性社主の葛藤と、報道の自由、ひいては合衆国の理念のために戦う編集主幹を軸にストーリーが進む。
IPO直後で、差止めをくらえば会社が吹き飛ぶ状況下というシチュエーションが、メディアビジネスの本質をえぐり出す。会社と従業員に対する責任と報道の自由の責任をメディアは負わねばならない。
もう一つ重要なのは、国防長官がなぜここまで詳細な記録を書かせたのかということだ。記録がなければ「完全犯罪」だったのに。記録を出さなかった政治家と、記録を命じた政治家は同じ人物である。わかりやすい記者の正義の裏に、ねじれた(ねじらざるを得ない)正義の姿がある。
The post
2024年3月19日
映画 #ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (2017年)鑑賞
機密文書“ペンタゴン・ペーパーズ”を公開し、ベトナム戦争の欺瞞を暴き出したワシントン・ポストの話
女性発行人が政府を敵に回してでも記事にすべきか葛藤
#メリル・ストリープ と #トム・ハンクス のベテラン共演が見物
演技派俳優の神演技で満足
やっと観られました!
驚くことでもないけどメリル・ストリープが珍しく弱気な女社長の役でした
当たり前にどんな役でもやれちゃうわね
ドキュメンタリー映画をもっと観たいなと思えました
単純なんですけど、この世界、機密がわんさかあるんだろうな
新味に欠ける
ひとことで言って新味に欠ける内容だった。
トム・ハンクスとメリル・ストリープの顔合わせにも特別なケミストリーは感じないまま、さすがに二人とも上手いなと思うがそれ以上の何かは生まれない。本当は逆だけど私にとってはトムが一番に来る特別な存在だ。ある意味監督が誰でも、共演者がオスカーに何度ノミネートされていようと、トムはトム。今後、まだ見せていない顔を引き出せる機会はあるのだろうか。
スピルバーグは映像表現を極めたので一切の無駄がない。というより『レディ・プレイヤー1』とほぼ同時進行で製作された背景があるので、くっきり色分けされてしまったのだろう。見比べるまでもなく両作品には共通点がない。あらゆるオタク的こだわりを満載した『レディ――』に吸い尽くされたように、カロリーの低いシンプルな画面が続く。それでもテレビ中継を編集部一同が固唾を飲んで見守るシーンなどは、当然CGの出番だ。とにかく、ワクワクするような画作りはこの映画には無い。
『E.T.』や『ジュラシック・パーク』の延長線上にある『レディ――』と『プライベート・ライアン』や『シンドラーのリスト』の延長線上にある本作。スピルバーグの未来志向と歴史スペクタクル路線は、もはや同時進行でも齟齬を来たさないほどのプロジェクト化に成功した。もちろん皮肉だ。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」一本に入魂して仕上げなければ、どっちつかずの出来損ないが量産されるだけだ。
それにしても近頃のハリウッドは1965年~95年を描いた作品が非常に多い。ぱっと思いつく限りでも『フォードVSフェラーリ』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『ジョーカー』『キャプテン・マーベル』『リチャード・ジュエル』枚挙にいとまがない。いろいろな理由はあると思うが、製作者の思い入れが自分の原体験に回帰していることのあらわれだろう。
それにしてもこの映画はなぜ撮ったのか動機が弱い。
すでに『大統領の陰謀』という名画があり、トランプの暴政を警告するにしてもちょっと的外れな印象が強い。ニクソンとトランプは似ていない。のちの回顧から「この時代の決断こそが、実に英雄的に成された。それも女性によって、時の政府を覆すきっかけになる一太刀になった」と言いたいのなら、もっとそこを強調するべきだ。弱い。
そして致命的に作劇場のカタルシスが無い。
例えば倒れかけた弱小の地方紙を、最後には町ゆく人々がみな手に取って歩く姿を見守り、達成感に浸るようなストーリーをシンプルに展開できたはずだ。そして観客はそれを見たかった。ところが監督は妙なピースを最後に詰めてきた。ニクソンの背中を。
トランプを倒す、ひとつのピースにしたかったのだろう。だから、2本同時進行で撮り進めた。
失われている報道の自由
今は、すでに米も日も、多くの国が失われている報道の自由。政治家、金持ち連中への忖度、利益誘導、行政指導が中心で、国民が本当に必要な情報が様々な視点から報道されているか?って問うたら「否」だろう。
この映画を文字通りに取ると、ベトナム戦争を停戦に導いた一つの大きな要素となるが、Wikiでペンタゴンペーパーズを読んでみると、本当の「最高機密文書」ではないらしい。当時、ベトナム戦争が泥沼化しており、撤退するための良い口実を策略的に作った可能性もある。
それにしても、国民である我々は、マスコミや専門家が伝える情報に頼らなければ、国の政治や経済、安全保障などについて知ることができない。現代では、マスコミが立法・行政・司法以上に国民を洗脳し、嘘を隠蔽する力を持つ第4の権力と目されるだけに、国民目線であってほしい。しかし、米も日も、現在は政治的な圧力に脆弱で、利益を上げるために大株主や金融、財界に忖度をせざるを得ないであろうから、報道は彼らに都合のよいような情報しか流れてこないと思っておいた方がよい。
監督がスピルバーグと聞いて、ユダヤ系の資本に良いように作っているのだろうと思う。事実に基づいて制作した映画と謳いながら、真実はもっと別なところにある可能性大。
レビューの低い方で、ベトナム戦争は反共のドミノ理論のため行ったというように印象操作しているという指摘があったが、ホ―・チミンに言わせると、民族独立戦争であって、反帝国主義のため中ソの支援が必要だったというのが本当のところだろう。米の帝国主義を隠蔽しているのだ。
現在の国際情勢を見ると、帝国主義や資本主義を進めたことで到来したグローバリズムを進める国が、世界が統一した政策で課題にあたる必要性を説くことで、実質は共産化が進んでいるらしい。共産主義とグローバリズムは双子の兄弟だということだ。動画を見る限り、米国などは酷い惨状だ。メールも電話も盗聴・検閲され、メディアは完全に統制されている。
それに抗うとしたら、ナショナリズム、国の伝統的な価値観、国民の生活や利益、価値観や充足感、従属感を大切にする生き方ということになる。トランプやプーチンが、そちら側ということだ。
この映画自体は、脚色されているだろうが、報道の自由を守るという、ただこの一点において、重要な映画だと思う。
女にだってやれます!
終始面白くて、「スポットライト 世紀のスクープ」みたいだなと感じていたら同じ脚本家だった。この人は才能ありそう。
スピルバーグ監督のドラマチックな演出も良かったね。最近のスピルバーグ監督は初期の頃のようなドラマチックさが戻ってきていて良い。
内容は、報道の自由をかけた戦いの社会派ドラマだと思っていた。一応それで間違いではないけれど、トム・ハンクス演じるベンは野心家の編集長で、とにかくデカい記事を扱いたい。メリル・ストリープ演じるキャサリンは今の自分の立場を脱したい。そんな二人が(タイムズもだが)報道の自由を盾に裁判を戦い、やりたいことをやったという作品。
報道の自由どうのと言っているのは彼らの弁護士であって、ベンもキャサリンもタイムズもそんなことは言ってもいない。
メリル・ストリープのイメージは強い女性、独立した女性、実際にそういった役が多い。
本作では、最初の頃に銀行?との話し合いの場面で、上記のイメージとは全く違うキャラクターであることが露呈し、珍しく弱々しげな役なんだなと、作品のイメージである国家権力と戦う二人ともズレていたので少々ビックリした。
女性の立場が弱かった時代、キャサリンもまた見下されていた。それを跳ね返したい彼女は次第に強くなっていくが、この徐々に変化していき、最後にとても強く決断を下す場面は、さすがメリル・ストリープという貫禄だった。
勝訴のあと裁判所からキャサリンが出てくる場面で、階段の脇にズラリと並んだ女性たちが、大きな決断をして大きな裁判を戦ったキャサリンを、女王様を眺めるように羨望の眼差しで見上げる。とても印象的なシーン。
彼女たちは私もキャサリンのように、と考えたに違いない。
この瞬間に、これは女性たちの戦いの作品なのだなと理解した。
今、最前線で戦う強い独立した女性はキャサリンだ。あれれ?最初に書いたメリル・ストリープのイメージのまんまじゃないか。やっぱりメリルは強くないとね!
緊張感あるサスペンスにの中に「大統領=国、ではない」とか「抵抗に与したかった」とか、反体制的な要素で味付けしているけど、やっぱり一番は「女性の立場の向上」だったと思うね。
それと、ニクソン大統領についてちょっと知識があった方がより楽しめると思う。
報道の自由 VS 政府 熱き社会派ドラマ
観るまではちょっと堅めな印象だったが、観てみると結構くだけたシーンあり熱く魂を揺さぶられるシーンありで、十分楽しめた。
そういう狙いを強く押したわけでもないと思うが、女性陣の活躍も印象的。ケイの決断シーンは言わずもがなだが、職場での女性の活躍も目立つし、法廷から出てきたケイを出待ちする様々な年齢の女性達の熱いまなざしも、ふいにグッときた。
ストーリー以外でも、当時の新聞を発行するまでの工程は迫力があり活力を感じ、本作の見所のひとつと言っていいだろう。当時の新聞配送の粗っぽさは、迫力を通り越してドン引きレベルだったが…(笑)
うまく言えないが、本作はさすがスピルバーグ作品、というだけでは片付けられない様々な魅力があると思う。
それにしても、この手の女性を演じさせれば、メリル・ストリープの右に出る者はいないのではないだろうか。
社会的なテーマであっても一流のエンターテインメントに仕立てる、こ...
社会的なテーマであっても一流のエンターテインメントに仕立てる、これこそがいわゆるハリウッド映画に見たいもの。スピルバーグと意識せず録画してあったものを何気なく視聴、途切れることなく鑑賞、やっぱり彼は素晴らしい。
歴史の勉強
ベトナム戦争を
ちゃんと知るきっかけになった作品。
20年もやってたんだ😱
勝ち目が無いのに。
そら、怒るでしかし❗️💢
そして、ラストカット。
かのウォーターゲート事件も、
ワシントンポストが
すっぱ抜いたんですってね‼️
勉強になるなー😳
「スポットライト 世紀のスクープ」
を思い出す人も多いでしょう。
あの件と比べると、
規模も対象も違い過ぎますが、
どちらも
新聞報道の気概を感じる、
熱い作品でした。
意外と泣けました😭
邦画「新聞記者」も
これくらいやって欲しかった。
強いて言えば、
元々文書を持ち出した彼らが英雄なので、
もっと光を当てて欲しいし、
法廷の結果を、
ワシントンポスト社内で聞くのも良いが、
実際の法廷内での結審の瞬間も
見たかった気がする。
スピルバーグらしい映画でした。
そもそもなんで政府がトップシークレットの情報を残す必要があるのかと...
そもそもなんで政府がトップシークレットの情報を残す必要があるのかとかその辺がわからないの
多分そのあたりの事が知識がないから腑に落ちないスッキリしなかったのかな
とはいえ構成や細かいところを気にしなくても何をやっているかはわかるので感動はする
報道の自由は、統治する側ではなく、統治される側に奉仕するためにある。
多分見たことあるかな?と思って見ていたらやっぱり既に見ていた。
でも最後まで見てしまった。つまり、いい映画ということ。
2022/06/08 NHK BSプレミアム
よくぞ上映した!
こんな黒歴史をよく上映できた監督の勇気に賞賛。冷戦の代理戦争であるベトナム戦争が背景にある簡単に言えば、報道の自由 vs 国家権力です。
自分が新聞社ならどうするか?みたいな究極の選択もスリルがあって面白い。
ぜひとも冷戦下のアメリカの情勢を抑えて見ると良いかと思います。
そして最後の布石、、。
圧巻です。
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