ローン・サバイバーのレビュー・感想・評価
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とことん戦場を描き切った作品
映画の序盤から最後まで緊迫した戦いが続き、画面に釘づけになった。
とことん戦場を描き切った作品である。
200人のタリバンに対して4人のアメリカ兵、
ほとんど死の淵に立たされたような極限状態から、どうして一人だけ生還することができたのか?
そんな問いを抱き続けると、面白く映画が観れる。
ただ残念であったのは、兵士たちが兵士でしかない描かれ方だったことだ。
それぞれの兵士が人間であり、愛する者や家族がいる。だからこそ、戦いもドラマ的であるのだ。
もちろん、家族を語るシーンも少しはあったのだが、戦場のシーンに重点が置かれ過ぎて、映画の深みが足りない様に感じた。
“パシュトゥーン”の勇気と死んでいった仲間たちを忘れない
アフガニスタンでタリバン高官の補足もしくは殺害の任務を遂行していた4人のネイビーシールズ隊員だったが、ある決断により失敗。200人を越すタリバン兵に包囲されてしまう…。
ネイビーシールズ最大の惨事と言われる“レッド・ウィング作戦”を、唯一の生還兵士の回顧録を基に映画化。
「バトルシップ」で大コケしたピーター・バーグ、汚名返上の一作!
最近の軍事アクションは、やれリアリティだのやれ臨場感だのが主流だが、本レベルほどの力作を撮ってから言って欲しい。
この臨場感!この緊迫感!
壮絶なサバイバル…。
大多数対少人数の圧倒的劣勢下、応戦しながら逃げるも、みるみる傷付いていく。
攻撃を受けた時の痛々しさ、傷口の痛々しさ…。
逃げ道が無く、崖から落下。転がり落ち、岩に叩きつけられた時のあの音!痛っ!
実話なのがまたキツい…。
ネイビーシールズを主人公にしたハリウッドアクションとなると、アメリカ万歳になりがちだが、そうはならず。
サバイバル〜救出までをあくまでシビアに描いている。
後半〜エンディングで一気に感情を揺さぶられる。
それはたった一人どう助かったかの理由でもあり、ラストの一番良い所のネタバレでもあるので詳しくは言えないが、敢えて言えるとすれば、アフガニスタン人全員がタリバンではないという事。
タリバンと戦っているのは、何も米軍だけではない。
戦っている現地人も居る。
ハリウッドアクションにおいて、そんな彼らの姿、勇気を知り得ただけでも、見るべき価値があった。
序盤の4人の家族のような絆。
死んでいった仲間たちへの思いが伝わるエンディング…。
たった一人生き残った事は辛くもあり、仲間の事は決して忘れない。
"生き残った者"、或いは"生き残ってしまった者"…。
最後のウォルバーグの表情と台詞、本編が無事に終わった後の脱力感は、あの『プライベート・ライアン』と『ブラックホーク・ダウン』に間違いなく匹敵してるのに、明らかにこの作品が突出してるのは、"目の前の死"に対する描き方。主要人物は家族もいて、父親であり、"兵士"って装備をすぐに下ろせば、どこにでもいるはずのありふれた"一人"。しかも他愛ない話に盛り上がってるわけだから、余計に役を"役"に見れない…。だから次々と死んでいくの見る度に正視するのが辛いんだよね…。
だからこそ後半の"助け合い"が問答無用に熱くなって、やっと救われた瞬間は観客を"体験者"に錯覚させるぐらい、真に迫ってて泣きそうになった。ここまで感情を揺さぶられたのは、先に述べた二本以来。
早々お目にかかれない、"21世紀の戦争映画"ですね。
悲哀
この世の中はあまりに、残酷ですね。
彼らの選択は、軍隊として、人間としては決して間違いではないと思います。
しかし結果として、仲間の多くを失いました。どちらに転んでも後悔しかない、そんな選択肢でした。内容としては、実話を元にということで、つっこむこともないです。
アクションに関しては、崖のシーンは凄いですね。常に緊張感があり、大満足でした。
戦闘シーンは圧巻。撤退の苦難が十二分に表れていました。
良かった。
ネイビーシールズ創設以来の惨事「レッド・ウィング作戦」を題材とした本作。
中盤以降は山岳地を舞台にした隊員達の撤退が濃密に描かれています。
この戦闘/撤退シーンが特に素晴らしかった。
舞台は山岳地。
山林とは異なり身を隠す場所が極端に少ない。
また生還するためには撤退、つまり下山しかないため常に相手に優位な高場を支配されてしまう。
加えて荒立つ岩場を移動するノウハウも十分には持たず機動力でも劣る。
不利な条件が重なった結果、武器の扱いに秀でた特殊部隊ネイビーシールズとはいえ絶体絶命な局面に。
その絶望的な状況下で隊員達が死力を尽くす姿に息を呑みました。
局面が大きく変わるシーンも壮絶。
山地であるため当然追い詰められれば退路の選択肢が限られてくる。
通常のアクション映画では偶然が味方して一つの見せ場となる場面ですが。
本作では行動と結果が直結する現実が待っています。
リアルな音も相まって壮絶な場面になっていました。
また撤退に至るまでの過程の描き方も良かった。
冒頭から特殊部隊ネイビーシールズの紹介から始まり。
中盤までは作戦の進捗を通して登場人物達の性格や関係性を丁寧に描いています。
観る側は彼等のファミリー感を強く受け止める…が故に中盤以降の展開に感情を揺さぶられます。
戦闘の壮絶さを濃密に描いた本作。
敵味方関わらず戦闘に伴う緊張感や痛みが観る側に伝わる作品だと思います。
中盤の或る決断、また終盤の或る展開について行動の理由とその結末を踏まえて自身なら…と考える切欠としても良い機会だと思います。
オススメです。
厳しすぎる選択
アメリカのシールズが、多勢に無勢でコテンパンにやられてしまう。
厳しい岩場での戦い、崖から転げ落ちる様は本当に見ていて痛々しかった。
結末は題名からも分かる通りで、それを分かった上で観ているにも関わらずこの面白さ(不謹慎な言い方で恐縮だが) は素晴らしい。
選び抜かれた精鋭でも右も左も敵だらけではさすがに厳しすぎる。これは一体どうやって生還できたのか?疑問を抱いて観ていたが、なるほどそういうことだったのかと溜飲を下げた。
本作のポイントとなるのは選択だろう…。
地元の民間人に姿を見られた時点で迫られたあの選択である。
彼らは人道的な、そして勿論自国内の世論を気にしたであろうひとつの選択をした。
私はその選択に賛辞と敬意を贈りたい。
しかしその一方で戦場という非情な状況下でのそれは甘く危険な選択なことも確かだ。それを理解した上での彼らの選択だからこそ絶賛したいのだ。
そしてそんな選択をせねばならないアメリカの言う正義というものを考えてしまう。
そもそも戦場に正義なんてあるのだろうか?あったところでなんの意味もないのではないか?
私には映画を観て考えることしか出来ないが、本作が世に出て残っていくことで、そして我々が彼らの選択について考えることが彼らの尊い命を無駄にしないことではないだろうか…。
正義の名の元に伝統や文化を踏みにじるようなことをするアメリカがその土地の伝統によって救われたというのも、なんとも皮肉な話である。
凄い現実
同じ時間の中で、幸せに生きてる私と同じ時にあんな経験をしている人達がいることが、凄いと思う、なんとしても勝つという強さ。あの心の強さは、生半可なものではない、凄いという言葉も軽く感じるぐらい凄いと思う。本当の男を見た。
受け手次第
マイケルサンデル教授の著書で見た実話が映画化ということで前から気になっていましたが、やっと見られました。ロクに戦争映画も見たことがないのですが、簡単に感想を。
単純に良いと思ったのはアクションは勿論音楽と演出。音楽は「お、かっこいいな」と思いつつシーンと調和してるし、隊員が死ぬシーンの演出は特に好き。そしてなんといっても音!この点だけでも映画館で見るべき理由になります。迫力がすごい。
わざわざ実写化しただけあって、全体に製作陣の真摯な思いが伝わってくる作品でした。以前『ラッシュ』か何かの時に「実写化はオチが読めてつまらない」というようなことを言った気がしたのですが、それだけじゃないですよね。すみません。その先にある我々の受け止め方が重要なのかなと。
そして大義を振りかざして他国に踏み込み人を殺す者達と、終盤に出てくるとある人物の対比の皮肉っぷりがたまらない。前から多少疑問ではあったのですが、他国に出向いてまでする自警活動の意義について考えさせられました。『フルートベール駅で』に続いて価値ある映画化作品。今年実話の映画化多いですね。
戦争映画というジャンルの中でも観る人を選ぶ
アメリカ海軍特殊部隊の下士官が、アフガニスタンで経験した事実をもとにした映画です。
アメリカ側の一人の兵士からみた作戦なので、戦略的なことは語られていません。
一つの作戦と、それに従事した兵士。予期せぬ事故。最低限の倫理としての交戦法規。正義の代償。激しい戦闘。文化に根差した掟。それぞれの生き方、そして誇り。
政治や軍事やアメリカ映画界の予備知識がないと良いかもしれません。戦闘の場面は大音量で迫力があり、痛々しい場面が平気な人は映画館で観た方が楽しめると思います。グロはありません。
観る側の山成分の濃度によって評価が変わってくるでしょう。山岳での戦闘シーンの強烈さは良いサプライズでした。公式サイトにある池上某の「パシュトゥーンの掟」についての寄稿は観賞後に読むべき。
この手のアメリカ作品では「マッチポンプじゃないの?」という思いが常にあるので感情移入は極めて難しい。それでも泣けてしまったのはあの凄惨な戦闘シーンの迫力と強固な仲間意識、そして高潔なアフガン人の勇気が強く響いたから。子供のシーンとかあざとすぎるんだけどやっぱ泣けたなあ‥
冒頭のシールズの訓練シーンも壮絶で“凄い”というより“怖い”ですね。ある意味洗脳ともいえる殺戮マシーン製造工場を観るにつけ、『フルメタルジャケット』を思い出したりもする。
秀逸だった山岳戦闘シーンだけど、個人的にはここ数年、登山を趣味にしているのであのようなガレ地での行動が容易ではないことがわかっている。だから逃がした山羊飼いの少年がとんでもない身のこなしで岩場を駆け下りていく描写を観て、この後に訪れる戦闘の厳しさを予想できた。屈強なシールズ隊員をして「俺たちよりも早く行動してるぞ!」と言わせているほどにアフガンの男たちは山岳地帯での行動、戦いに慣れているのだろう。
そして何と言っても繰り返される「落下」シーン。あれは辛い。これから岩場や崖に遭遇するたびにこの作品とあのシーンを思い出すだろう‥。あのシーンで驚かされたのは退路がないはずの状況で「よし落下だ」と当たり前のように決断するところ。凄すぎる。スタントマン、頑張ったんだろうな。
序盤のヌルい描写からのギャップも効果的だった。そして【マーク・ウォールバーグ】の主演はかなり微妙だったけど彼がいなかったらこの作品制作も実現しなかったらしいから仕方ないか。
エンディングの「Heroes」は考えさせられた。
どの角度観ても、スッキリしない感じ…
事実を元に製作された作品であるが故に、観終わってもスッキリする事がなく、心にザラ付いた感覚が残る。
作戦中に戦死した仲間の家族の悲しみ、生き残った兵士が背負ってしまった責任…。
その悲しみと責任は誰が背負わせてしまったのか?
考えると恐ろしい。
戦争での潜入作戦をありのまま
アフガン戦争での潜入作戦に参加した兵士たちの事実をつづるストーリー。映画っぽい超人的活躍もなく、敵地に潜入した兵士たちの顛末が淡々と進む。兵士たちの希望や期待は現実の流れに抗えない。それがもの悲しくもあるが、絶対的な現実感を出している。
戦闘は痛いくらいの迫力
タリバンは人間として扱われず、ゲームのように死んでいくのはちょっと違和感。アメリカの国威高揚気味過ぎるというか。痛々しい怪我をするのはアメリカ人のみ。他は死ぬか軽傷。映画だからそんなものと言われればそれまでだけど、これは事実に基づく話しなんだとアピールされるとそういうとこが気になってしまう。
戦闘は痛いくらい迫力がある。タイミングとかドラマ性を付け足してる感はあるけど、見ていてハラハラはする。
戦争での出来事を映画にしたのであって、その戦争の始まりや終わりは無関係と割り切ると楽しく観れそう。
孤独な生存者
リアリティある戦闘シーンは只ならぬ意欲を感じます。実際に起こった事件、しかもその体験者までそばに居合わせているのだからスタッフの意気込みとと責任感は相当なものだったに違いありません。
ゆえに画面から感じる緊迫感に、凶弾に倒れていくネイビーシールズ4人の痛々しさと絶望感は凄まじかった。映画を見て久々に見るに堪えない思いをした気がする。
オープニングクレジットで映し出されるネイビーシールズを目指す青年たちの姿。生き残ったマーカスさん含むこの事件の犠牲者も同じように厳しい訓練に耐えて、入隊したのでしょう。その訓練に耐えた間柄こそ、仲間意識も相当高かったはず。
「俺の一部は、あの山で死んだ」という最後のセリフ。マーカスさんにとって、あの部隊がどれだけのものだったかがにじみ出ている一言だったと思います。
多少娯楽作としての味付けはされてはいるでしょうが、この「レッドウィング作戦」の真実を世間一般に知ってもらおうとするスタッフの意欲が感じ取れる作品だったと思います。
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