シンドラーのリスト

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劇場公開日:

解説

スティーブン・スピルバーグ監督が、ナチスによるユダヤ人大虐殺から多くの命を救った実在のドイツ人実業家オスカー・シンドラーを描いた名作。1939年、ナチスドイツ占領下のポーランド。戦争を利用して一儲けしようと狙うドイツ人実業家シンドラーは、軍の幹部に取り入り、ユダヤ人の所有していた工場を払い下げてもらう。軍用ホーロー容器工場を立ち上げた彼は、安価な労働力としてユダヤ人たちを雇い入れ、事業を軌道に乗せていく。しかしナチスによるユダヤ人の迫害は日ごとにエスカレートし、ついに虐殺が始まる。凄惨な光景を目の当たりにしたシンドラーは、私財を投じて彼らの命を救うことを決意する。リーアム・ニーソンが主演を務め、レイフ・ファインズ、ベン・キングズレーが共演。第66回アカデミー賞で作品賞など7部門を受賞し、スピルバーグは初の監督賞を獲得した。

1993年製作/アメリカ
原題:Schindler's List
配給:UIP
劇場公開日:1994年2月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第66回 アカデミー賞(1994年)

ノミネート

主演男優賞 リーアム・ニーソン
助演男優賞 レイフ・ファインズ
衣装デザイン賞 アンナ・B・シェパード
音響賞  
メイクアップ賞  

第51回 ゴールデングローブ賞(1994年)

受賞

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀監督賞 スティーブン・スピルバーグ
最優秀脚本賞 スティーブン・ザイリアン

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) リーアム・ニーソン
最優秀助演男優賞 レイフ・ファインズ
最優秀作曲賞 ジョン・ウィリアムズ
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写真:Photofest/アフロ

映画レビュー

4.0死者は語ることができるのか

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

悲しい

スティーブン・スピルバーグ監督作品。

第二次世界大戦時、ナチス・ドイツが主導したユダヤ人へのホローコースト。その最中、ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーが、自身が経営する軍需工場に雇うという名目で1100人以上のポーランド系ユダヤ人を絶滅収容所送りにすることを阻止した実話に基づいた作品。

オスカー・シンドラーは、生まれながらの人道主義者ではない。彼はむしろ社交に明け暮れ、金儲けしか考えてないような人物だ。軍需工場を営むのもそれが金になるからで、ユダヤ人を雇うのも人件費削減のためである。しかしホロコーストの惨禍を目の当たりにして、ユダヤ人を救おうと決心するのである。このように神のような善人ではなく、私たちと同じ人間味溢れる人物として描かれているからこそ、本作は多くの人の心に響くのだと思う。

しかし物語でホロコーストを扱うのは困難を極める。なぜなら死者の出来事を簒奪して物語ることにもなり得るからだ。ホロコーストという歴史的事実はある。ではそこで起こった出来事は、どのように語られるのだろうか。もちろんホロコーストを生き残った人からの証言に基づいて語られることは十分ある。だが証言には限界があるから、映画のようにフィクションを用いて、事実の想像的拡張を行うのである。それによって私たちは、ホロコーストの事実を目撃できる。死が目前に迫って怯える顔を、培われる絆を、そして無根拠に殺戮される現場を。

このようにホロコーストによって死んだ人々の事実を、映画的手法で語ることはできる。それは私たちに理解可能な物語として解釈することにもなり得るから有効な手段である。しかし死者の出来事は十全に語り尽くされたのだろうか。私はそうは思わない。それは本作が不十分であると言っているわけでもない。つまり語りには、騙りが付き纏うということである。語りにはフィクションが含まれる。それは事実の拡張にもなるが、嘘にもなり得るということだ。この嘘、例えば人物の過度な美化や出来事の伝説化は、事実を歪曲させ、声を上げられない死者を蹂躙する行為にもなってしまう。それは避けなければならない。だから出来事を物語るのはとても危うい。

このような困難さを理解しているからスピルバーグ監督は、本作を監督することを躊躇したのだろう。しかし本作は完成され、多くの人が鑑賞した。それによって、ホロコーストとその惨禍に巻き込まれたユダヤ人の出来事を理解可能にした。それは後世に残る偉大な功績だと私は思う。

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abokado0329

4.0スピルバーグ監督にとっていろんな意味で転機となった作品‼️

2024年4月6日
スマートフォンから投稿

泣ける

悲しい

怖い

1000人以上のユダヤ人をガス室行きから救った実業家、オスカー・シンドラーの物語をスピルバーグ監督が映画化した作品‼️リーアム・ニーソンの演技は素晴らしいし、歪んだ悪魔なレイフ・ファインズの存在感、美しいモノクロ映像‼️確かに優れた作品ではあると思います‼️ただ私的に言わせてもらえればスピルバーグ監督が撮る必要はなかった‼️この作品はある程度優れた監督であれば、誰にでも撮れる作品‼️ロマン・ポランスキーやアンジェイ・ワイダ、そして映画化を熱望したビリー・ワイルダー監督‼️ひょっとしたら、彼らの方がスピルバーグ監督よりも上手く撮ったかも‼️我々映画ファンがスピルバーグ監督に求めるのは、スピルバーグ監督でなくては撮れない作品‼️「激突!!」「ジョーズ」「未知との遭遇」「インディ・ジョーンズ」三部作、「E.T.」といった作品群なのです‼️そういう意味でスピルバーグ監督がこの「シンドラーのリスト」でオスカーを撮った事は本人以上に我々映画ファンには不幸な事で、この「シンドラーのリスト」以降、スピルバーグ監督はエンタメ作品も撮ってはいるけれど、明らかにドラマ作品に重きを置いている・・・‼️

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活動写真愛好家

4.0あまり感心しない営利目的優先のシンドラーから

スタート、これがいい、誰だって最初から聖人君子ではないと言いたげ、
事業拡大のため、優秀なユダヤ人たちを集める内に、彼らの能力と1人でも多くの同胞を救おうとする人間としての魅力に感化されて目覚めていくシンドラー、
映画では描かれていなかったが、ドイツで再び事業を起こすも従業員から、裏切り者と殴られ不遇な晩年を、
イスラエルで勲章を、
救われアメリカに渡って成功したユダヤ人たちはシンドラーの功績を顕彰するためシンドラーstを命名、癒されたであろうか?
報われたのであろうか?そうあってほしい。

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全国連加盟国不可侵条約締結、武装中立主義、多様性男女平等自由主義、5名作4良作3いい作品なので他は2以下です。

5.0世界中が心に留め置くべき1作

2024年3月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

シンドラーのリスト、公開されてからもう30年も経つんですね
いつか観なくてはと思いつつ今になった

きっとスピルバーグが世界中が観るべきだと詰め込んだシーンばかりなんだろう
怒りと理不尽さと苦しさで画面の中に掴みかかりたくなるような気持ちが絶えなかった
が観るのを止められなかった

イエスへの断罪などが元で2000年経った今も世界各地で起こる争いは無宗教で戦争の放棄を憲法に定められた国に生まれ育った私には理解が難しい

信仰やその神を逸れて自分たちが優れていると錯覚してしまうのは逆に自信のなさに見えるけど違うのだろうか

外国では日本よりも他人の意見を尊重するイメージが強いのに異国や異民族が相手になると途端に殺し合いになるほど他を自分の思いのままにしたがるのは、小さい単位にすればDVをする人と何が違うのか
なぜ他人の世界を牛耳ろうと考えるのか
穏やかにそれぞれが暮らせればいいと思わないのか

あんなに悲惨な戦争を経ても未だに諜報活動も戦争も無くならない世界に本当の平和が訪れる気がしない

シンドラーが終戦後にまだ助けられたと後悔の念で泣き崩れるシーンには意表を突かれ胸を打たれた
シュターンとの長くかけて育まれた信頼と友情にも…

戦争で殺された人々とシンドラーは天国では穏やかに見守ってくれているはず

そうでなければ私は神の存在を疑う

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