男はつらいよ 寅次郎物語

劇場公開日:

解説

死んだ香具師仲間の遺児と母親探しの旅をする寅次郎の姿を描く「男はつらいよ」シリーズの第39作目。山田洋次原作の映画化で、脚本は「男はつらいよ 知床慕情」の山田と朝間義隆が共同で執筆。監督は同作の山田洋次、撮影は同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。

1987年製作/102分/日本
原題:Tora-san Plays Daddy
配給:松竹
劇場公開日:1987年12月26日

ストーリー

秋晴れの昼さがり「とらや」を秀吉という男の子が訪ねて来た。秀吉は寅次郎の香具師仲間“般若の政”とふでの子供だった。しかし政は女・酒・賭博に溺れたあげく、ふでに蒸発された。それからの政は秀吉を連れて放浪の生活を送っていたが、病に冒されこの世を去ってしまった。「俺が死んだら寅を頼れ」という遺言に従い、秀吉は郡山から柴又へやって来たのだ。事情を聞いて「とらや」の皆はびっくりするが、間もなく寅が帰ってきた。寅と秀吉の母親捜しの旅が始まった。大阪の天王寺では誘拐犯と間違えられて派出所に連行されたりしたが、おふでさんが新和歌浦のホテルで働いていることをつきとめた。しかし、訪ねるとそこにはおらず吉野に移ったという。寅は元気のない秀吉を励まし、吉野へ行くがそこにもふではいなかった。その晩、秀吉は旅の疲れから高熱を出し、旅館で寝込んでしまった。子供を扱い慣れない寅次郎は大あわてだが、たまたま隣室にいた高井隆子という女性が看病を手伝ってくれた。医者も往診に来て、翌朝、熱は下がり秀吉は元気になった。その日、3人は仲睦まじく近くの観光名所などをめぐった。寅は隆子に不思議な縁を感じた。旅館の主人の勘違いもあって2人はこの数日、「とうさん」「かあさん」と呼び合っていたのだ。隆子は化粧品のセールスマンとして働いていたが、美貌のわりには幸福とはいえない女だった。隆子と別れ、寅と秀吉の旅は続いた。吉野からふでが働いているという伊勢・志摩へやって来た。連絡船を降り、目当ての真珠店へ行くとふではいたが、病気のため海岸の病院で療養中とのことだった。久しぶりに対面する母と子を見て、寅はホッとするのだった。寅は引きとめられたが、秀吉が自分に未練をもってはいけないと連絡船の乗り場へと急いだ。そして心を鬼にして「おじさんと一緒に柴又へ帰りたい」という秀吉を叱るのだった。正月に隆子が「とらや」を訪ねてきた。秀吉をはさんで「とうさん」「かあさん」と呼び合っていた当時のエピソードで皆、盛り上がっている。ふでからは「秀吉と2人で幸せに暮らしています」と年賀状がきていた。年が明けて寅次郎は二見が浦で、露店を開いていた。仲間のポンシュウと雑談している寅の前をふでと秀吉と連絡船の船長が仲睦まじく歩いていた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

5.0いい話だねぇ

2024年1月13日
iPhoneアプリから投稿

泣ける

幸せ

寅さんの良い性格が全面に出てるストーリー。心が洗われる。

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あっちゃんのパパと

5.0シリーズの中でも特に良いですね。

2023年9月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

楽しい

この頃の寅さんシリーズは良い!いですね。明るく、人情の楽しさ、自然なエキストラ、楽しい会話や演技、稀な縁、等身大かつ目新しい日本。カッコいいストーリーもあり。優れた作品ですね、一つ一つの工夫も演技もいい味出しています。素晴らしい。ありがとう❤️✨。

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シャカ

5.0寅さんの名言ナンバーワンの元ネタ

2023年4月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1987年12月公開、第39作

寅さんの映画は第7作まではプログラムピクチャーとして数ヶ月毎に不定期での公開でした
それが尻上がりに興行成績が上がり、1971年12月公開の第8作から盆暮れの年2回興行になります
野球でいえば不動の4番の主砲となったわけです
それが1985年12月の第36作まで14年間も続きます
1986年夏の寅さんの映画は一回お休みになったのです

理由は「キネマの天地」の公開がお盆に入ったからです
松竹大船撮影所50周年記念作品なのですから致し方ありません
しかし山田洋次監督作品ですし、渥美清さんも脇役で出演されているのであたかも全編が寅さん映画恒例の冒頭の夢シーンだったかのような趣向になっています

そこから第37作は同年12月、第38作は翌年1987年8月、そして同年12月には第39作の本作が順調に公開され元の年2回興行に戻ります

ところが本作の次の第40作は1988年12月公開になり、また夏の公開がお休みになります
今度の理由は山田洋次監督が別の作品
「ダウンタウン・ヒーローズ」を公開することになったからです

次の第41作は翌年1989年8月公開、第42作は同年12月の公開となり、また元の年2回興行ペースに戻ったかのように見えます

しかし、寅さん映画のお盆興行は第41作が最後になってしまうのです

この頃すでに渥美清さんの体調が思わしくなくなっていたのです
だんだんと劇中の立って歩くシーンが減っていきます

第41作がロケ地がウィーンになったのは時代がバブル景気だったこともありますが、お盆興行はこれでお仕舞いという打ち上げ的な意味合いだったのだと思います

そして第42作からは満男がメインの物語となっていくのです

その意味でも本作はその満男の物語が始まる最初の発端が終盤にあるターニングポイントの作品だと言えます

マドンナは秋吉久美子
本作公開当時33歳
薄幸に疲れた巡回美容部員の風情が見事に表現された演技力をみせます

物語は観ての通り「母を訪ねて三千里」です
冒頭の夢シーンで寅さんが家出するいきさつを紹介して、秀吉が母を訪ねていく過程で、寅さんもまた母のこと、家族のこと、子供のこと、人生の幸せとは何かを考えるという物語です
だから「寅次郎物語」なのです

隆子は淡路島で生まれたという設定です
舞台は和歌山、吉野、伊勢志摩と移って行きます
地図で確かめて下さい
淡路島から伊勢志摩へ一直線に並ぶのです

つまり今は不幸のどん底だと思っていても、本当は幸せへと一直線に続く一本道の途中なのかも知れないのです

とうさん、かあさんと呼び合う喜び
小さな子供が二人の間であどけない寝顔を見せる幸せ

「大事な人生なのに粗末にしてしまった」と泣き崩れる隆子に寅さんはこう声をかけます
「大丈夫だよ、これからいいこと一杯待ってるよ、な」
そう言われて隆子はこう返すのです

「そうね、生きててよかった、そう思えるようなことがね」

そう、これが本作の終盤の寅さんの名言の元ネタだったのです

「生まれてきてよかったなって思うことが何べんかあるじゃない、そのために人間生きてんじゃねえのか」

この言葉が公開当時に、32年ものスーパーロングパスとなって、2019年の第50作につながるなんて誰が想像したでしょう

ラストシーンは伊勢の二見ヶ浦です
道開きの神・猿田彦大神を祀る「二見興玉神社」があります
海に浮かぶ、しめ縄で強く結ばれた大小二つの夫婦の岩が、夫婦円満や縁結びに効くパワースポットとして有名です

「そのうちお前にもそういう時が来るよ」と、道開きの神様が寅さんの口を借りて満男にそう言われたのかも知れません

素晴らしい余韻が残る名作だと思います

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共感した! 3件)
あき240

4.5優しい優しい寅次郎の優しい物語

2022年7月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

秋吉久美子、巧演でした。
背丈が寅次郎に追いついた満男の成長ぶりも印象的です。
とても良かったです。

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tuna
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