男はつらいよ 望郷篇

劇場公開日:

解説

ひさびさにこのシリーズが生みの親、山田洋次のもとに帰っての五作目。脚本は「新・男はつらいよ」でコンビを組んだ山田洋次と宮崎晃。監督は「続男はつらいよ」の山田洋次。撮影は高羽哲夫が担当。

1970年製作/88分/日本
原題:Tora-san's Runaway
配給:松竹
劇場公開日:1970年8月26日

ストーリー

寅さんは旅先で、おいちゃんが病気で倒れる夢を見てそのことが気にかかり、故郷の葛飾・柴又に帰ってくる。おいちゃんの車竜造は、たまたま遊びに来た隣家の工場主の梅太郎の横で、暑さのために、グッタリして、横になっているが、これを見た寅さんは「やっばりあの夢はほんとうだった」と手まわしよろしく帝釈天の御前様はじめ近所の人や、葬儀屋まで集めてしまう。悪意がないとは知りながらも、生き仏にされてしまったおいちゃんの怒りは常にもまして激しく、一方心の底からおいちゃんのことを心配してやった行為がどうしてこんな結果を招いてしまったのか理解に苦しむ寅さんは口論の末、大喧嘩となってしまった。そこへ寅さんの舎弟登が、昔寅さんが世話になった札幌の竜岡親分が重病で、寅さんに逢いたがっていることを知らせに訪ねてくる。義理と人情を信条とする寅さんは、さっそく登を連れて札幌に向かった。病院についてみると、親分にはもう昔の華やかな面影はなく医療保護にすがって生きている今にも枯れはててしまいそうな老人と変っていた。身よりもなくたった一人の親分は寅さんの来道に涙を流して喜こんだ。そして寅さんを男と見こみ、最後の願いとして二十年前、旅館の女中に生ませた息子を探がしてくれるよう頼むのだった。二つ返事で引き受けた寅さんと登は息子探がしに奔走し、やっとの思いで居場所をつきとめたが、親分の息子澄雄から返ってくる返事は意外に冷めたかった。「二十年もほったらかしておいて今さら親子などと虫のいいことを言うな」という澄雄の言葉も考えてみれば当然のことであるが、義理、人情だけでは割り切れない人間心理の複雑さに寅さんは大きく動かされる。そして病院に帰ってみるとすでに親分は息を引きとり、ここでもやくざ渡世の末路のみじめさを思い知らされる。このことが原因で寅さんはやくざ稼業から足を洗うことを決意し、いやがる登を田舎に帰し再び柴又へ帰って来た。寅さんの突如の変貌ぶりにおいちゃんたちは目を丸くして驚ろくのだが、地道に、額に汗して働こうと、心に誓った寅さんは柴又とは目と鼻の先の浦安の町の豆腐屋「三七十屋」に住み込みで働くようになる。この店は、母親のとみと娘の節子の二人暮しだが、寅さんの働きぶりに二人ともすっかり感心し、次第に心を許すようになってくる。ところがいつの間にか寅さんの節子に対する片想いが始まりこの噂さはいつともなく浦安から柴又まで広がっていくが結局、節子の恋人木村の出現によって、寅さんは失恋してしまう。夢破れたあまりのいたたまれなさに耐えきれず江戸川の花火大会の夜、寅さんはひとり淋しく浦安を後にするのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0戻ってきた監督

2021年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

旅先で不吉な夢を見た寅さんは柴又に電話、するとおいちゃんが死にそうだという。
これで大騒動、みんなから嫌われているとスネていたところ、船で眠ってしまい浦安へ。
マドンナは長山藍子、寅さんの勘違いは仕方がないよ。

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いやよセブン

3.0C622号が映っていた

2021年8月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

小樽機関区のツバメのシロクニ2が一瞬映った。急行ニセコを引っ張っていた晩年にあたるんやね。
劇中登場する貨物列車はD51ですが全体にSLの登場頻度が高い回でした。

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桑畑五十郎

3.0ダチョウ倶楽部の原点ここにあり

2021年2月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

「止めるなよ!止めるなよ!」
(止めて欲しいくせに😅)

この昭和40年ごろはまだ蒸気機関車が当たり前のように走ってたのかぁ。なんとも印象的な時代。
走り去る機関車が見えなくなるような煙を撒き散らし、地球温暖化なんかどこ吹く風って感じですな😅

毎度毎度、さくらのしっかりものぶりは頭が下がる。
この両極端がこのシリーズのおもしろさでもある。
高度成長期の最中、本作のテーマでもある汗水垂らして油まみれで地道に働くという日本人美学。
国民のほとんどが豊かさを求めて地道こそ正解と信じきっていた時代。
その反面、寅さんのように自由に生きてみたい、自由に言葉にしたい、そんな抑圧から時放たれたらと想像して生きてきた人達の心の逃げ道がこの寅さんシリーズのポイントなんだろう。

サブタイトルの望郷編。
どこが望郷なのか、
しっくりこなかった。

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零式五二型

4.0名作のようですね、今作。山田監督が完結作として制作。確かにいろいろ...

2020年5月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

名作のようですね、今作。山田監督が完結作として制作。確かにいろいろ詰まってます。
・夢から始まる。そしておいちゃん葬式騒動。
・さくらの愛ある説教。こたえているのか、いないのか(笑)
・堅気を目指す寅。もう一歩だった。そりゃあないよ、マドンナ長山洋子。
・ラストの登との掛け合い、なんかほっこり。

なんといっても良かったのは、さくらが本筋に復帰したこと。それだけで名作だ。
気になるのは
・源公は豆腐屋で飼い殺しになったのか(笑)

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