劇場公開日 2023年10月13日

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月のレビュー・感想・評価

全219件中、1~20件目を表示

4.0匂いは映像で伝わらない

2023年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

生産性、という言葉が定着して久しい。いや、製造や仕事の成果という点で昔からあった言葉だと思うのだけど、人間を評価する尺度としてこれが定着してしまった。そのことをどう考えるべきか、過酷な競争社会に煽られてしっかりした議論ができないままに社会は動き続けている。あらゆる人間の評価が数字に置き換えられていきそうな時代になってしまった。
本作の題材となった事件は、そんな人間を生産性で判断してしまう社会の行き着く先を示したようで、大きな衝撃を与えた。だが、ニュースが出た時多くの人は、単純にクレイジーな人間がクレイジーな行動に出たという風にしか受け止めていなかったのではないか。

しかし、多くの人も、どこかにあの犯人にように、生産性を尺度に人間を評価する心情を抱えているのではないか。本作は犯人をクレイジーな人間として描かず、周囲の人間にも一歩間違えれば同じようになりそうな危険性も混ぜつつ描いている。
そして、現実を知るということの困難さも本作は浮き彫りにする。カメラは真実を映せるだろうかとこの映画は問うている。

カメラを通じてニュースを見るだけでは現実を知ることはできない。典型的なのが匂いだ。匂いはカメラに映らない。この映画はそのことに自覚的だ。きっとこの映画の作り手は、「誰も挑まない社会の現実を見せた」という自惚れはないと思う。津波直後の匂いも排泄物の匂いも映像では伝えられない、その限界をきちんと自覚しているのだと思う。

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杉本穂高

1.0二元論しかない、思考の貧しさ

善、悪、正義、不正義、イエス、ノーの二択しかない、感情論だけの思考、
いったい知能とはなんだろう?
曖昧な普通基準とした群集心理による、その他への排除と攻撃、
自分、自分たちとは違う人への
誹謗中傷やいじめ、
行き過ぎた営利優先の労働問題
行き過ぎた動物愛護と虐待、
自然環境を無視した都市開発、
人間社会の問題だけの戦争、
多元論、少数、違う人、物、事に寛容で広い心根が人間社会の豊かさを生む。

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全国連加盟国不可侵条約締結推進派、武装中立推進派、多様性男女平等自由推進派、5世界的名作4世界的良作3国内レベル

3.0彼が切り取って残した「あの部分」は、彼の心中そのものなのか。

2024年4月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

どうして…、あるいは、どんなことがきっかけで彼が介護士という仕事を(結果として)選び取ることになったのかは、本作では明確には描かれていなかったと思いますけれども。
いずれにしても、最初から志して就いた職ではなかったことは、間違いがなかろうかと思います。

そうして、本当の自分の気持ち押し殺して就職はしたものの、さと君がもともと持っていた優生思想的な側面が前面に出てしまった結果ではなかったのかと思うのです。評論子は。彼の…あの恐るべき所為は。

自分なりに苦心してきた取組みを、介護士仲間からあっさりと否定されてしまった(程度のこと)が直接のきっかけで、恐るべき所為に出た彼の内実は、そう考えなければ理解できないのではないでしょうか。

そして、そう理解しなければ、事前に「あなたには心はありますか」と確認するのだから、自分の所為は無差別殺戮でも、大量虐殺ではないなどと公言はできないだろうと思うからです。

つまり、彼の「独自の取組み」は、彼がこの仕事を続けていくための、いわば「安全弁」としての役割を果たして来ていたところ、同僚介護士の心ない言動によって、これが、すっかり外されてしまった―。

ただ、どうしても自分の「独自の取組み」の全部を否定し去ることはできなかったので、その「独自の取組み」のとある部分だけを切り取って残し、それが本作の題名としてら彼の心中を象徴する―。
評論子には、そう思えてなりません。

同じく「照らし出すもの」ではあっても、物事の表裏・陰陽・霽(は)れと褻(け)に例えて言えば、さと君の他人から見える外面という「表側・陽・霽れ」を象徴する太陽に対し、月は、さと君の心の内面という「裏側・陰・褻」を象徴するものとして。
その、さと君の象徴が、彼の所為によって血潮に塗(まみれ)るシーンは、本当に耐え難いほど強烈なものだったと思います。

背景には介護産業の、過重労働や慢性的な人手不足もあるでしょうし、世間一般の「障がいのある方々を見る目」というものも、根深く関わっているように、評論子には思われます。

本作は、評論子が入っている映画サークルが2022年に札幌地区で公開されたものの中からベストテン作品として選んだものだったので、鑑賞することにしたものでした。

その期待に違(たが)うことのない重厚な一本として、佳作であったことは疑いがないと思います。

(追記)
評論子が生まれた頃は、田舎では、まだまだ自宅での出産が珍しくはなかったようで。
お産婆さん(今ふうに言えば「助産師」?)のサポートを受けながらということで。

今は地方でも病院での出産が当たり前の時代でしょうし、エコー始め検診機器も充実しているので「子供の障害の有無は、産まれてみなければわからない」と言った時代ではなくなっているので、出産の安全性は格段に高くなっているはずですけれども。

それでもお産に伴う事故は皆無ではないでしょうし、後天的な事故・病気で、思わぬ後遺障害を負ってしまうこともあり得ない話ではないはずです。

そういう意味では、生きていく上で障がいを負ってしまうことは、「神の御業」にも匹敵するような、本当はいつ、誰に起きても不思議でないことなのかも知れません。

日本の社会は、徳川幕府の長い長い鎖国政策から目覚め、(経済的に)欧米列強に「追いつき、追い越す」ことだけを考え、また敗戦というダメージからの戦後復興、そして高度経済成長と、経済の階段を駆け上ってきました。
そして、その駆け上がりのスピードが、世界のどの国も経験したことのないようなものであった故に、その過程で「積み落としてきたもの」も、少なくはないようです。

その一つが、人格的にはまったく対等であるはずなのに、労働面(経済面)では社会に対する貢献度が高くはなかったが故に障がいのある方々を、ややもすれば対等に見ない風潮も否定できないことと思います。

経済の成長だけを過大に重要視してきたこれまでについて、見直すべきことの一つであると思うのは、独り評論子だけではないこととも思います。

(追記)
いかに「明るい」とは言え、やはり月明かりは月明かり。
太陽の明るさと比べれば、そもそも比較になりません。
本作の題名は、やっぱり、これでなければならなかったのだろうと思います。
本作の全体的な画面の「暗さ」も、月明かりを象徴するものと受け止めました。評論子は。

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talkie

4.0ずっと記憶に残るであろう映画

2024年3月28日
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鑑賞方法:映画館

鑑賞前は余り気乗りしない感じだったが、鑑賞後は(観ておいて良かった)と思えた映画だった。

自分の中の暗い部分について色々と考えさせてくれる映画だった。

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はなてん

3.0スターサンズだし、凄く期待してた故不完全燃焼

2024年3月23日
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2023年劇場鑑賞62本目 良作 61点

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サスペンス西島

4.0「見えない」と「見ない」は違う!

2024年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

公開から随分経って、やっと観れた本作。

相模原障害者施設での大量殺人事件を下地にした話なので
観ていて心が苦しくなりそうですが
そこは映画なので、主演の宮沢りえと
オダギリジョーが演じる夫婦の
ささやかな幸せへ焔を消さない様に無くさない様に
丁寧に丁寧に優しさのステップを
重ねて行くシーンがとても心に残りました。

で、なんと言っても、磯村勇斗!!
優しい青年が少しづつダークサイドに落ちてゆく〜〜
こ〜〜〜わ!!

多分、配信とかで観ると逃げ出したくなると思います。
こういう映画こそ、ぜひ、映画館で!!

で、月に8回ほど
映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては

映画的に、この障害者施設が、
ヘビが出る様な深い森の中の安物のオカルト廃病院とか
捕虜収容所跡みたいに描かれていることが
ちょっとやりすぎ感があった。
それは、世間の人々つまり「私たち」が目を向けない事、
「私たち」に見せない様にしている事の象徴だとは
理解しているのですが、とても怖い、とても悪い場所
という感じを強調し過ぎててちょっとなんだかな〜〜
と思いました。

事件自体が悲惨だし、実際、意思疎通ができない障害者も
「私たち」が知らないだけで実は沢山いるのかもしれない。
そういう人たちと日々接する施設の職員の人々が
「自身の心を守る為」に「障害者を人として見ない」様に
一種の「鎧」を心に付けるのかもしれない。

その実情を「見もしない私たち」が職員の人々を批判なんか出来ない。

でも、もちろん他人が勝手に殺して良いはずも無い。

そんな重い重い映画でしたが、あえて
この作品を作られた皆さんに感謝と敬意を捧げます。

こういう映画は海外でもあるでしょうか?
こういう映画に英語字幕を付けて海外で上映して
海外の反応が知りたいと思う。

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星のナターシャnova

3.5とにかく暗い場面の映像が多い。

2024年3月5日
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泣ける

怖い

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キッスィ

4.0障害を持つ子供さんの家族は…

2024年2月29日
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鑑賞方法:映画館

難しい

コミュニケーションできないお子さんを持つ両親だからこそ、頑張れる 日々仕事して施設代など稼いで生きていく…障害者家族は彼 彼女がいるから生きていける…
だから、気づける事だってある。
五体満足で、何処にでも存在する家族より、大事なもの…大切な事が見え気づけるのなら、蓋をしたがり、目を背ける人こそ、人間ではないなと思う。

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山本益英子

3.0やりすぎ感は否めない

2024年2月25日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

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亞lex

5.0とんねるずの頃が懐かしいね

2024年2月20日
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こんな大人になるなんて(´꒳`🧨なんて?トホホ

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ミスター

4.0考えたくないものを見せつけてくる

2024年2月11日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

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エンデ

4.5ん〜

2024年2月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

なかなか評価しずらい作品ですがわたしは観てよかった。あの事件のことも改めて調べたり考えさせられるきっかけになりました。
この作品に出演されてる全ての俳優さんはなかなか大変だっただろうなと思いますがだからこそ沢山の人に見ていただきたい。

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chidk55.

3.0現実?悪意?

2024年2月3日
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鑑賞方法:映画館

実話を元にした作品ということだが、施設の描き方が異常に悪意を感じた。
現実というより、誘導したいのだろうか?

反面、宮沢さん、オダギリさん、磯村さん、二階堂さんの演技は真に迫っており、作品に深みを感じた。
反動が心配になるくらい。

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ダルメシアン07

4.5もっと広く

2024年1月26日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

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nik1954

4.0重い

2024年1月24日
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WELOVEMOVIES

4.0疲労により目の下に三日月型のクマが出来る

2024年1月11日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

幸せ

重度の介護施設的な所で働く者の話。
人間のダークサイドの本質を言葉でえぐっていく。

良い点
・人は不都合な真実は見たがらない

悪い点
・やや長い

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猪古都

5.0恐怖の中に垣間見える現実

2024年1月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

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takaポン

5.0目を背けちゃいけない問題

2024年1月4日
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鑑賞方法:映画館

 貴方はどう思う?と襟首掴まれながら問われる痛み。 さぁ答えてみろ と後ろ手に縛られているような恐さ。 決して逃してくれない時間が淡々と進む。

 観なきゃ観なきゃと思いながらなかなかに敷居の高い介護施設モノは自身に向けた匕首でもあった。

皆んなが観なきゃね。

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すったもんだだよ

3.0とにかく救われない映画

2024年1月1日
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プライア

3.5自分をゼロクリアして油をさすべき作品

2023年12月31日
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心がないなら人間じゃないのか。動けない障碍者は心がないのか。
障害で生まれてくるとわかったら中絶すべきなのか。
この二つを一緒にする考え方が犯罪を生んだというのか。
命がある限り生きるという意志が置き忘れられている。
短絡的な発想が闊歩している。
観る側は混乱する。
もしかしたら自分も、その短絡的な発想に誘導される可能性があるのではないかと。
障碍者殺しの犯罪者と自分が、実は距離が近かったりするのではないかと。
合理的で効率的な自分であろうとあせるあまり、そうでない人たちを排除する意識がないだろうかと。
考えさせられる。いや、錯覚せずに考えるべきなのだ。
いったん自分をゼロクリアして見つめ直す。そして自分のこだわりに油をさす。
突きつけられたものに、ただ呆然としないように。

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ジョー