aftersun アフターサン

劇場公開日:

aftersun アフターサン

解説

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。

11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。

テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

2022年製作/101分/G/アメリカ
原題:Aftersun
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2023年5月26日

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(C)Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022

映画レビュー

4.5記憶や映像のフレームを超えて想いが沁み渡っていく

2023年5月27日
PCから投稿

かつての父親と同じ年齢になった女性ソフィが、あの灼熱の陽光が照りつけるトルコで父と過ごした幼少期のバカンスを思い出すーーーこれは想像していた以上にシンプルな物語。だが味わいはとてつもなく深い。日頃は離れ離れの父娘が仲睦まじく時を刻む様に、まるでずっとホームビデオを見続けるような感覚を覚える人もいるかもしれないが、しかし時折「20年後の私」が挟み込まれることで、本作は味わい方がガラッと変わる。今だからこそわかる「父の想い」がソフィを介して我々の身にも切なく流れ込んでくるのだ。最愛の娘の成長に寄り添えない痛み。煌めきのバカンスが終わってしまう悲しみ。ありったけの愛を抱えながらうまくかたちにできないこの気持ち。記憶や映像をきっかけに、むしろそのフレームを超えたところにまで想いを馳せようとする創造的な試みがこの作品にはある。ダンスフロア。そしてラストのささやかな旋回。涙があふれて止まらなくなった。

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牛津厚信

4.5アカデミー賞がなければスルーしていたかもしれない「隠れた名作」。何だかんだとアカデミー賞は凄いと感じる。

2023年5月27日
PCから投稿

まず本作は、構成が面白い作品です。
基本は、「11才の思春期の娘と、31才になる父親との夏休みの風景」を描いています。
ただ、これらの映像は「20年前のモノ」なのです。
当時11才の娘が、20年後に「父親と同じ31才になった時」に、20年前に撮ったビデオカメラを再生し、楽しかった父親との思い出を振り返る構成になっています。
途中に巻き戻すような乱れた映像が出てくるのは、そのような背景があるからです。

この親子のやり取りが、妙に微笑ましくて、リアルな存在となっていて、ずっと眺めていたくなるレベルなのです。
それは、本作で監督・脚本を手掛け、長編映画デビューとなるシャーロット・ウェルズ監督の自叙伝的な要素があるからかもしれません。
加えて、父親と娘の演技が驚くほど「自然体」なのです。
父親役は、2000年に公開されアカデミー賞の作品賞と主演男優賞を受賞した「グラディエーター」の続編「グラディエーター2」で主役に抜擢されたポール・メスカルです。
そして、この何気ない自然な演技が評価されて、第95回アカデミー賞で「主演男優賞」にノミネートされたのです!
個人的には、娘役の新人フランキー・コリオも負けていないかと。
「ジュリア・ロバーツの子役時代」と言われたら信じてしまうほど女優然としていて、良い役者になりそうです。
さらに本作で鮮烈なデビューを飾ったシャーロット・ウェルズ監督。
この3つの才能が詰まった作品として見ると、より味わい深い作品になるかと思います。

いずれにしてもアカデミー賞に絡んだ作品は、何だかんだと出来の良い作品が多く、見る作品を選ぶ上での指標にした方が良さそうです。

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細野真宏

4.52度と戻らない父親との時間へ観客諸共誘う

2023年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

自分が親と過ごした記憶は、その後の人生で繰り返し蘇るもの。あの時、父はなぜそんなことを言ったのか?なぜそんな表情をしていたのか?子供の目には謎でしかなかった親の言動が、大人になって、何となく理解できることがある。でも、過ぎ去った時間は2度と戻らない。

これが長編デビュー作になる監督、シャーロット・ウェルズの自伝的作品と言われる本作は、父親と娘が互いにカメラを向け合い、撮り合った他愛のないトルコでの夏の映像から、謎めいた父親の姿が浮かび上がる。人目には父親というより兄にも見える若い父親は、表面的には屈託がないが、全裸で夜の海に飛び込んだかと思えば、人知れず号泣することがある。

ウェルズの演出は理由を明確にせず、観客に想像を促す。まるで、一緒にあの夏の日へ、父親と過ごした楽しく、ミステリアスな時間へ飛ぼうと言わんばかりに。

これは、近頃多くなった余白を楽しむべき映画の代表作。見終わった後、気になったショットの意味を誰かと語り合うことで、その楽しさが増幅する映画。そして、親との関係を改めて思い出させる映画。

震える肩の演技で父親の苦悩を表現するポール・メスカルが、さりげなく強烈過ぎてしばらく脳裏から離れない。つくづく俳優のクリエイティビティって凄いと思う。

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清藤秀人

5.0カットバックで時空を行き来する

2024年4月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

とても悲しいと思うし、
愛にあふれた温もりも感じる。
誰かにおすすめしたい訳でもないけど、
映画として視覚的にも脚本としても
残る作品。

いつだったか
短編でオスカーを受賞したCURFEWが大好きで、
ちょっとシンクロするところがあるように感じた。

大人のソフィが思い出す記憶は鮮明で、
実際に残っている映像はザラザラで粗い。
この2つと、現在のソフィ、現在に存在する父の跡形を
カットバックをはさみながら重ねていく
父と娘の数日間。

家族を思うとき、
色々あったはずなのに、
思い出すのはいつも同じことだったりする。

何の遮りもなく互いだけに向き合った瞬間があれば
過去や未来のあれこれも全部包みこむ
引力となって、
ずっとつながっていけるのかもしれないと
2回鑑賞した後にはそんな希望が生まれていた。

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ひかりすぎ
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