先生、私の隣に座っていただけませんか?のレビュー・感想・評価
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面白いと面白そうの隙間。
安定の黒木華も、コメディリリーフとして情けない男を全身で演じる柄本佑もいいし、奈緒演じる腹の座った若い編集者のキャラも良かった。マンガのネームを読むことで自分の浮気の発覚と妻の浮気疑惑に取り込まれていく夫、というアイデアも面白い。いや、面白い、はずなんだが、シーンのひとつひとつはそこまで面白くなく、クライマックスは予定調和のためにずいぶんと時間を取られるのも、いささか退屈に感じてしまう。「あれ、面白そうだけど、これ本当に面白いっけ?」と、もっと面白くなるであろう伸びしろばかりを観ていたような感覚だった。つまらないわけではない。ポテンシャルのその先までたどり着けなかったことが歯がゆい。
これは、書いてある事が現実化する恐怖新聞、いや恐怖漫画? あるいは人間関係を改善に向かわす手段の漫画か?
本作は2015年からスタートした「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018」において準グランプリ受賞作品の映画化です。
初代グランプリを受賞した「嘘を愛する女」は、長澤まさみ×高橋一生の主演で2018年に大規模公開されています。本作は、4回目の2018年で受賞し、黒木華×柄本佑の主演で映画用に映像化された作品なのです。
この新しい試みは、今のところ映像化された作品を見ると、まだまだ当たりと外れの落差が大きく「現状では未知数な面が強いコンテスト」というのが率直な感想です。
ただ、本作を見ると、少し希望のようなものが見えてきました。
それは単純に、この作品が面白かったからです。
まず、本作の主人公の佐和子と夫の俊夫は同じ漫画家です。
連載が終了し、次の作品の構想を考えるタイミングで佐和子の母親が事故にあいます。
そこで免許証を持っていない佐和子を車に乗せて夫婦で実家に行くのですが、佐和子はこの機会を使って自動車教習所に通います。
そして、新作漫画のネーム(さっと描く下描き)をどんどん思いついて描きあげていきます。
それを夫の俊夫が覗くと、自分たちの話が描かれてあり驚きます。
「果たして、この漫画は、空想の話なのか、あるいはリアルな話なのか?」
この問いかけがずっと続き、どこからが本当でどこまでが空想なのかが夫だけでなく、見ている私たちにも分からなくなるのです。
このパターンだと、割と抽象的に終わるケースが多いのですが、本作ではキチンと結末も描かれている点が評価できます。
本作の良さは、「登場人物のシンプルさ」にもあって、舞台が実家なだけあって不自然ではないのです。そして、黒木華と柄本佑の演技に加え、2人の担当編集者役の奈緒も、あっけらかんとした上手い演技をしています。
このチャレンジングな試みはオリジナル企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM」だからこそ生まれたと言えそうです。見る価値は十分にあると思います。
2019年の「ジョーカー」に通じる、現実と妄想を曖昧化する仕掛けで楽しませる“大人の恋愛”ミステリー
本作はオリジナル脚本(TSUTAYA主催のオリジナル企画コンテストで準グランプリ)の映画化だが、たとえば「イニシエーション・ラブ」や「去年の冬、きみと別れ」など、高評価のミステリ小説のトリックと種明かしを巧みに映像化した秀作群に肩を並べるほど、鮮やかな仕掛けにうならされた。
連載を完結し次の企画を思案中の売れっ子漫画家・佐和子(黒木華)と、元人気漫画家で今は佐和子のアシと主夫業が中心の俊夫(柄本佑)。佐和子を担当する女性編集者と俊夫は不倫の仲だが、佐和子が自動車教習所に通い始めた直後に書き出した次回作のネームを俊夫が盗み見ると、そこには俊夫の不倫現場がリアルに描かれ、さらには佐和子と教習所の先生の恋の芽生えをほのめかす描写も…。
ネームの内容を俊夫が目にして脳内で再現する妄想の映像が、最初のうちは現実パートの映像と分かりやすく区別されているが、映画が進むにつれて次第に曖昧になっていく構成は、トッド・フィリップス監督・ホアキン・フェニックス主演作「ジョーカー」を思い出させる。黒木華は表向きにこやかで柔和で、しかし裏で何かを考え企んでいる佐和子を魅惑的に演じた。
不倫に対する道義的な視点や批評性はほぼゼロで、悪く言えば重みや深みに欠けるが、良く言えば軽やかさをもたらしている。目くじらを立てず、大人の恋愛ミステリーと割り切って楽しむのがよさそうだ。
☆☆☆(前半) ☆☆☆★★(中盤) ☆☆★★(後半・但し男目線での...
☆☆☆(前半)
☆☆☆★★(中盤)
☆☆★★(後半・但し男目線での採点)
????(後半の女性目線での採点は不明)
簡単に。
登場人物僅かに5人+1人の低予算映画。
そして…
映画全編で溢れる黒木華の可愛らしさ。
しかし…
最後は「何だかな〜!」…と、心の中に天国から阿藤快が降りて来てしまった。
最後の展開も、先が直ぐに読めてしまうのも少し、、、
今日は何本か映画を梯子した中で、最初にこの作品。最後に『シンプルな情熱』を観たのですが。
決して比べるモノでは無いのを承知の上で一言だけ言ってしまうと…
何だろう、人間観察眼の違いでしょうか?薄っぺらさが覗いてくるんですよね〜。
尤も、女性目線で見た際にどの様な評価になるのか?は、こちらが男だけに全然予想が付かないのですが💧
描いていた漫画の、その中身と同じ世界に引っ張られて行く…とゆう内容の作品としては。全く全然違う世界観の作品で、真利子哲也の低予算商業デビュー作品の『イエローキッズ』がありました。
『イエローキッズ』には、静かな中にとてつもない暴力性が潜んでいて、見ていてもゾクゾクするくらいに刺激的な作品でした。
決して比較するモノでもないのですが。どうしてもこの映画本編には、そんなゾクゾクさせてくれる刺激性には欠けていたかなあ〜と言ったところでした。何となく〝 こなれてしまっている 〟感が強いと言うか、、、
内容的には、ピンク映画として作り直したならかなり面白くなりそうな気も…
2021年 9月26日 MOVIX亀有/スクリーン7
大いに笑える前半と巧妙に仕組まれた脚本
前半は柄本佑演じる夫の俊夫の狼狽えっぷりにとにかく笑った。へたなコメディなんかよりよっぽど笑った。
事実だからこそ妻の佐和子に問えないギリギリ感が絶妙なのである。自分は浮気をしているのに妻の「疑惑」に対して慌てる覚悟のなさも面白い。
佐和子が書く漫画と現実がクロスしていく中盤以後の展開もいい。映画ならではの表現といえる。
漫画の内容が実際の人物に置き換わっていく始まりから、徐々にその境界は曖昧になっていく。後半はもう事実なのか漫画なのか判別が出来ないほどに。
漫画の内容が事実だとは誰も一言も言っていない。最後までフィクションかどうか書いている佐和子以外には分からない。
この事実はエンディングを面白くする。つまり、私達が見た、佐和子が教習所の先生と出ていってしまうラストは漫画の内容でしかないかもしれないのだ。
どこまでが現実で、どこからがフィクションかもしれない漫画なのか分からない。最後までずっと現実なのかもしれないし、最初からずっと漫画なのかもしれない。そんな現実と虚構が入り混じった脚本は巧妙。
もう何年も漫画を書いていない俊夫に対して、尊敬しているからこそ作画を任せ復帰させたいという俊夫に対する愛情かもしれないし、出ていったあとの自分を強制的に見せることで苦しみを与えようとする復讐なのかもしれない。
どちらともとれる物語は、タイトルになっている「先生」が本当は誰を指すのかで変わってくるが、これまた曖昧なままだ。
結局、答えのないラストに向けて観ている私達も翻弄されたわけだが、そこが面白い。
俊夫を演じた柄本佑の慌てぶりは最高。
佐和子を演じた黒木華の、明らかに現実であるパートでの感情が読めない演技もいい。
何か不満を抱えていることは確かだが、その原因が浮気によるものなのか漫画を書かないことなのか定かではない不穏さが絶妙。
まあ普通に考えたら浮気が理由だろうが、たとえ僅かだとしても絶対にそうだと言い切れないところがいい。
凄く好きな作品のはずだった
不倫は許さなくていいと思っているので、最後の終わり方が嫌いなわけではないんだけど
その直前に佐和子ちゃんの見事な復讐と、
感動できなくなった夫の心を動かし(しかも自分に対してというのがまた良い)再び「先生」にしたことへ夫に対する揺るがない愛を感じて、感激、すっきり、最高と思っていたので
最後の最後にまた主人公の気持ちが見えなくなってしまったように感じた。
このお話だと、私は↑ここで終わっていた方が好きだった。そうだったらかなり好きだった。
主人公も結局不倫していたのでは、何だか復讐の意味が軽くなってしまう気がする。
許さない決断をするのであれば、もうすっぱり関係を断つ方が良かった。再びペンを握らせてから終わりにする→自分の爪痕を永遠に残してやるという風に捉えられた。
これからもFAXのやり取りで共同の作品を作っていくというのが、主人公が何を求めているのか分からない。引き続きメガネのお兄さんとの関係を見せつけて復讐継続ということなのか…それとも、やっぱり先生としての夫への尊敬や愛情からの複雑な行動なのか。
恐ろしくもあり、面白かった
漫画で見せていくという新たな手法、演出が面白かった。
そしてラストは「不倫の恨みは深い」と改めて思いました。
徹底的にやってやったんだなと。
教習所の先生との出来事はフェイクで、旦那を許して終わるんかと思いましたが、見事に騙されました。
不倫してる事実を問い詰め…というよくあるそれではなく、新たな方法での復讐。徹底的に。
恐ろしいなとも思いましたが、それくらいの恨みなんですよね。
ちょっと想像と違っていた
終盤まできて、なんだかもっとスリリングなの期待してしまっていたなぁとほのぼのとした展開に飽きがきてしまっているとき、最後にちょっと刺激的な展開きた。けど、全体評価がひっくり返るほどのものじゃなかったなぁという感じだった。不倫ものなのにどこか爽やかさを感じてしまう作品。それはそれでなかなか珍しさはあるんだけれど、個人的には昼ドラのようなドロドロした内容の方が観たかった。しかもそれを黒木華さんがやってたら面白い映像だったんじゃないかと勝手な妄想をしてしまう。
テンポよくシンプルに楽しめる
漫画家とアシスタントの夫婦
よくある話なんだろう。
夫の不倫現場を見て、自分も復讐(と言っても過激ではなく)するお話。
しかしそれは直接的ではなく自分の技量のマンガで間接的に伝える、というか伝わるところがおもしろい!
さてさてどうなる?
ど完全にこのマンガの読者気取りで見ています。
そしてオチは!!
やったね!
スッキリします😊
インスパイア
ネタ的にはとても面白い。
ラストなんかは飛び上がる程、驚く。
ただ…映像的には食い足りなく、韓国でリメイクしてくんないかなあ。記憶に残る名作になるかもしれない。
ラスト以降の時間軸を思うと地獄絵図しか思い浮かばず…漫画家であるからこその復讐の仕方に唸るし、こんなにも業が深いのかと身の毛がよだつ。
最後まで見てよかった。
2次元と3次元、空想と現実を行ったりきたりする構成も面白くて、このシーン、このカットは果たしてどちら側の話なのだろうかと推察しながら見る事になる。
騙されないぞと思いながらも騙してほしいと期待するような感覚。
話の展開は好きだったのだけど…演出が好みに合わなかった。もっとなんか色々とエピソードぶっ込んで、掻き乱して欲しかったなぁ。
黒木華さんがとてもあどけない外見で…その内面との差に恐れ慄くのだけれど、まぁ女性側から見たら会心の一撃でもあるのだろう。
毎回送られてくるネーム。
メシの種で、描くのが仕事ではあるけれど、想像を絶する程の罰だなぁ…怖い怖い。
男性が思うほど
「妻に限って」と男性が思っても、割と妻も不倫を楽しんでいると思いますよ。40才を過ぎると恋愛が面倒になるので、絶対数は減るとは思いますが。自分が浮気をしても妻の浮気は気になるものなんですね。そんな夫を柄本佑が上手く演じていました。
脚本構成が面白い
「ブラックスワン」系の構成。
漫画家さんとのコラボと聞いて商業色強めな各企業のPR映画だと思っていましたが、視聴すると驚くほどちゃんと面白かった。
脚本だけが面白いわけでもなく、照明の使い方、映像の撮り方も意味を持たせた丁寧な作品。
全201件中、1~20件目を表示