望みのレビュー・感想・評価
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重く、苦しく、それでも目が離せない
予告で、事件の真相をめぐるサスペンスのおもしろさを感じて、原作未読のまま鑑賞してきました。予想とは異なるテイストでしたが、家族が互いを思う気持ちや、真相が明らかになったときの切なさややるせなさを感じ、なかなかおもしろかったです。
ストーリーは、家を出たきり行方がわからなくなった息子が、殺人事件に関与した疑いがもたれ、残された両親と妹が、事件の真相をめぐって思い悩むというものです。息子は加害者として生還するのか、被害者として殺されてしまっているのか、どちらに転んでも不幸しかないという状況が、わりと早い段階からもたらされます。そんな中、父、母、妹がそれぞれの立場で、規士はこうあってほしいと望むのですが、その思いにはズレがあり、それが家族の関係をギクシャクさせていきます。そのさまが、重く、苦しく、それでもテンポよく描かれ、最後まで目が離せません。
本作の中心となる家族役に、堤真一さん、石田ゆり子さん、清原果耶さんら、演技派俳優がキャスティングされています。中でも清原果耶さんの演技は秀逸です。時間を追うごとに変化する雅の心情が、手に取るように伝わってきます。幸せで平凡な家族がしだいに壊れかけていくさまが、実によく描かれているので、観客は自分に近い立場の人物に共感しながら観ることができるでしょう。
ただ、タイトルにあるような、家族それぞれの望みより、事件の真相がわからぬうちから、騒ぎ立てるマスコミと、誹謗中傷に走る周囲の人物への嫌悪感のほうが、よほど強く心に残りました。平凡で幸せな家族がわずか2.3日のうちの犯罪者扱いされる昨今の風潮は、本当に腹立たしく思います。以前見たリチャード・ジュエルを思い出し、あいかわらずのマスゴミぶりに怒りがわくとともに、もし自分の身に起こったらという恐怖、抗う術のない絶望感を覚えました。
そんな生き地獄のような生活に落とされた家族に、どんな真相がもたらされるのか。結末は、ぜひ自分の目で確かめていただきたいです。
人権の問題を考えさせられる映画
一部の事件では犯罪被害者家族も犯罪被害者加害者も表裏一体で、その人たちの人権を社会全体で考える必要性を考えさせられる映画だった。
特に何の非もない犯罪被害者の人権のことは、しっかり社会全体で考えていくべきことだと感じる。
日本で起こる様々な事件も、当初犯罪者として社会的に糾弾される対象になっていたかと思えば、無罪が確定したら、コロっと悲劇のヒロインに仕立て上げるマスコミ。さも自分が正義だと言わんばかりの無責任なマスコミや評論家とか。
ただ、映画でなくても実際にこうした事件はリアルにあるわけで、そうしたリアルなドキュメントの方が心にぐっと刺さる。
ノンフィクションの映画なので、もう一歩の足りなさを感じた。
考えさせられるプラスの点と、映画としての物足りなさのマイナス点の観点からの評価。
子を持つ親として考えさせられた。
行方不明なのか?夜遊びなのか?家出なのか?
そんな息子を想う家族の葛藤。
見終わった後は、かなり気持ちがしんどかった。どーんと何故か落ち込みました。
わが子が「被害者」になるのか「加害者」なるのか。
つまり「殺される」側になるのか「殺す側」になるのか。
マスコミとSNSの無責任な言動や報道に憤りを感じながら、投稿や報道に振り回されない人間になりたいとも思った。
どのみち救われない
空が赤く燃えている。家族の心情と夕日の赤がシンクロして胸が痛い。
父、母、妹、息子の友人、マスメディア、世間。それぞれの「望み」が交錯しながらラストに向かって加速して行く。
父親がリアル。息子を信じながらも今後の生活や家族の行く末を考えなくてはならない。父親ってきっとそうなんだろうなと。
一方母親が腹をくくって息子を待つその姿に母の確固たる情愛を感じた。恐ろしいほどに。
ただ、そんな母親の一言に一気に胸がざわついた。
「まだ望みはある」
この「望み」って何だろう。母親として決して吐露できない心の内を表したような言葉。強烈に印象的だった。
俳優陣もいつもとはイメージの違う役柄で、セリフにもリアリティがあって皆さん素晴らしかったです。
実社会でも誹謗中傷なんて言葉を毎日のように耳にする昨今。そのあり方を今一度考えさせられるような作品でもありました。一方的に相手を責めることに正義など到底存在しません。
そして事件はいくつもの「望み」の中、ひとつの終わりを迎える。それがどんな結末であってもハッピーエンドにはならない。
それでも空が静かに凪ぎてゆく。
展開が早くてどんどん引き込まれました。見応えあり!
男親としては・・・
母親と父親の考えの違いなのか、はたまた個人の考えなのか。
親としては子供が加害者であっても生きて帰って欲しい?
いや、子供を信じて加害者であって欲しい?
私は後者、妻は前者。真っ二つでした。
家族構成が近いこともあって、感情移入しました。
辛い 上手い 苦しい
それぞれのキャストの感情の演じ方が上手すぎて引き込まれる。
信じる、 受け入れる 、疑う、憎しみ、望む、志す、色んな感情が入り交じっていて苦しかった。
情報が伝わらないと憶測で物事が進んでしまう。ほんと怖い世の中だ。
望んだ結末とは?
ケガでサッカーを挫折した高校生の息子持つ両親と受験を控える妹。行方不明になり、殺人事件に関与していると疑われる息子に対する、家族それぞれの望みを描いたドラマ。
親しかった少年が殺害され、その加害者と疑われる息子。しかし間もなくして、もう一人少年が殺害されたとの情報が入る。行方不明の息子は本当に加害者なのか、或いは…。
実力派キャストで彩られるサスペンスドラマ。
加害者か被害者かわからない行方不明の息子に対する、父親、母親、そして妹と、家族それぞれの思いがズッシリとのしかかってくる作品。
当然、本当に本当の望みは家族皆一緒のはず。
しかし、浮かび上がってきた状況からは、どう転んでも最悪になることは粗間違いない。
そうなったときに、息子がどうなっているのがせめてもの最善となるか、この点での家族それぞれの望みの違いが、なんとも言えず心を締め付ける。
勿論父親だってそんなことは望んでいない。しかし確かに、現実的に目を逸らせない問題が山積みになるし。。
妹さんもね。「わからない年齢じゃないでしょ」って、確かにわかりはするだろうけど、それは14、5の女の子が背負うには重すぎる。一番可哀そうだったかな。
車内で父親にぶつける本音はリアル。ベストシーンを挙げるなら敢えてここかも。
…等々、様々な人物の望みが微妙に異なっているので、少しずつ事実が浮かび上がってきても、それが好転なのか悪化なのか何とも言えず、どんな気持ちで観ればよいのか…。
良い意味で混乱させられっぱなしだった。
殺害された少年の葬式に行こうと家を出て行ったシーンとか特に。二人の表情が対照的。
そしてマスコミはまた意気揚々と…。
映画じゃなくて、リアルの世界でも本当にこんななんですかね?
とにかく、涙なしでは観られない良作でした。
映画でそんなに泣く方ではない自分も、友達のお爺さんと建設の社長さんが来たシーンで遂に崩壊。場内もすすり泣く声がちらほら。
私は子供はいませんが、もしいたならば、それでも間違いなく友達思いで勇気のある子になってほしいと望むでしょう。
邦画はホラーとコメディしか名作はない、なんて思っていた私も、もっと邦画を観ようかなと思わせてもらえた作品だった。
加害者でも被害者でも地獄
加害者であるよりは被害者であって欲しいと望む父親、加害者でもいいから生きていて欲しいと望む母親。家族にとってはどちらの結果も地獄のようなもの。
でも、やっぱり自分の身近な人だったら加害者よりは被害者の方がいい…
結末はなんとなくは分かってはいたけど、マスクの下で鼻水が止まりませんでした。
しかし、マスコミの人って仕事とはいえ現実でもあんなんなんですかね。人間って怖い(*_*)
それぞれの気持ちがわかるから切ない
家族愛という簡単な話ではないけれど、家族を想う気持ちに感動しました!
息子は殺害されているのか、もしくは犯人なのか、どちらに転んでも最悪でしかない状況での家族の絶望や願望、葛藤が描かれていて、とてもよかったです。
犯人であってもいいから生きていて欲しい母親、息子が人を殺すはずないと信じたい父親、どっちの気持ちも理解できて、見ていて悲しくなりました。
現実と向き合えない状況から、少しずつ親としての覚悟を決めていく2人がとてもかっこよくて切なくて…何回にも分けて泣きました。
世間からのバッシングや周りの人の冷たくなる態度など、見ていて辛くなるけど、自分がそっち側なら同じ感情になるかも…
自分が親だったらこの数日をどのように過ごすだろうとも考えたり…
最後は最後で綺麗にまとめられていて、心がすっきりして終われたので、本当にいい映画でした。
視点が凄い
この究極の望みだったら…
わたしも家族を信じたいですね。
家族の命を奪われたり、いじめられたりするのはもちろん本…当に苦しいことですが
お母さんが最後に言っていたように、家族がいじめてる側、罪の無い人の命を奪う側だったとしたら…
これはもう本当に…救われない、一生罪悪感を抱え、笑うことさえ出来なくなる位、家族を不幸にすることなのだと思うと…。
この視点いままで考えたことが無かったので凄くずっしりと余韻が残る後味でした。
リアルで丁寧で配役も良く、とても見応えある作品でした。
最後のエピソードは不要
映画のポイントが溜まって期限が近かったので、知識なく無理やり見た映画ですが、面白かった。映画館を出た後も、しみじみ良い映画だったなぁと思いながら帰りました。今更だけど、主演の二人、うまいなぁ。おかげで映画なのを忘れて映画を見てた。竜雷太の工務店親父にも本気で怒り爆発したくらい。
これを見るまで、日本アカデミー賞の受賞は別の作品だと思っていたけれど、こっちも取らせたい、悩むわぁ。って、私には何の投票券もないけど。
ただ、最後のリハビリ?介護?施設の場面から後、要る?息子が良い子だったエピソードを再度かぶせて来なきゃならん?しかも、他の人を助けたいと進路を独りだけでもう決めていたなんて不自然。非常に稀な高校生になってしまっている。どこにでも居る、そのへんの普通の息子だったけど夫婦にはかけがえがなかったでエエやん。観客の感じた辛さに追い討ちをかけるため、出来過ぎ高校生にしたあざとさで、星マイナス一つ。
予告を見て原作を読み映画を観ました。 お話、結末を知っていても 原...
予告を見て原作を読み映画を観ました。
お話、結末を知っていても
原作同様に涙が止まらない。
加害者として生きているか
被害者となって亡くなっているか
どちらを望んでも悲しくて
苦しみ方が全く違う結果が待つ家族。
自分に置き換えて考えたく無いし
意見も感想もまとまらないくらい悲しい。
原作を読んだからかもしれないけど、
細かな家族の気持ちをセリフや言葉では
映画で表されてはいないけど
それも伝わってくる演出で
なんども胸にぐっときました。
結果のその後が以外に長め
自分の家族を何処まで信じられますか?って話っすよ。冷蔵庫内のデザートやジュースを誰が食らったかすぐに犯人探しを始める自分としては、家族を信じ抜く自信無いわ~。ちっせーな、俺ってば。
苦しい映画でした。でもすごくいい。
すごく胸をつかれる、苦しい映画でした。
泣くだろうな、と予想して観に行きましたが、
予算以上というか、予想外というか、
ここまで苦しくて泣きながら震えてしてしまったのは久しぶりです。
息子は加害者か、被害者か、
どっちも苦しいですよね。
堤真一さん、石田ゆり子さん、清原果耶さん、そして石毛良枝さん、
皆さん説得力があってすばらしかったですが、
中でも息子役の岡田健史さんの、少ない出番の中での存在感が、
「信じたいし、信じられる子だ。けど、もしかしたら…?」
と、ここまで感情移入させるリアリティ感を出しているのではないかと思いました。
私はもう親目線でしか観られませんでしたが、
観賞後に見た岡田さんのインタビュー記事で
「ぜひ若い世代に子どもたちの目線になって観て欲しいです。…『家族』について考えるきっかけになったらいいなと思います。」
と答えられていて、なるほどなと思いました。
すごく良かった。
けど、ずっしり来ました。
再現ドラマという感じ
映画としてはうーん…という感じだった
ただ、このような思いをしている家族がこの世の中にいくつも存在していると思うと複雑な気持ちになる。
母なる証明を見たばかりでエンターテイメント性の物足りなさを感じた。
ただ悲しい。という感想
母親が紙袋にタッパーを詰めてもってきたシーン、娘が母へ大声を出すシーンは好きでした。
最後の記者、オイ!どっちにしろ取材しろよ!と思った。
物語は"かける"
堤監督の作品はあまりハマっておらず、「十二人の死にたいこどもたち」は昨年のワーストクラスでした。
今作は傑作です。まず役者陣の演技がピカイチに冴えています。場面はあまり転換することはありませんが、一言一言発するたびにその世界観に引き込まれていきます。冒頭で説明される家の構造が、家族同士の「望み」に説得力を増しています。
日本社会の闇をふんだんに取り込んでいて、遠慮のないマスコミ、容赦のないSNS上の誹謗中傷、正義感による外部への攻撃。おそらく現実でも似たようなことが起こっていると思い、他人感情ながら胸が痛くなりました。情報を出していないのにマスコミが駆けつけるみたいな事例で警察の無能さを自然に出している点も評価できます。(日本映画は警察を露骨に無能に描きがちなので…)
クライマックスに向かっていく展開も非常に好みです。だんだん事件の核心に迫っていき、息子が犯人じゃないと気づいた瞬間に1人目の被害者の遺族の元へ向かうシーンが切なかったです。もちろんぶん殴られるけれど、両者とも悪くないのに、つい遺族側を悪者と思い込んでしまう自分がいて心許なかったです。
息子が被害者だったと判明した時には家族同様絶望でした。邦画はせめても救いのあるエンドへと向かってくれるので、私的には報われる形はなんともありがたいです。決して救われるような展開ではありませんが、一瞬の希望よりも、未来への希望が強く描かれたので良かったです。記者の人が加害者側であって欲しかったという場面もマスコミの「望み」であることが痛々しいほど伝わってきました。
これからも続いていく人生に少しでも「望み」があると願って。ぜひ劇場でこの作品をご覧ください!
家族とそれぞれの境遇、それでも救いを望めるか
ここまで重くて苦しい邦画も珍しい。堤幸彦監督の得意とするサスペンスの要素も光った、良作映画だった。
事件の前後から流れる、重たい空気。家族の置かれている状況は、同じように見えて全く違う。父は社会を、母は家庭を、妹は将来を見ている。それぞれの境遇から、息子というピースを失ったことを受け止める。しかし、その息子が犯人の可性を含んでいるのであれば、世間の風向きが悪くなる。こだわりの家は汚され、メディアの報道は加熱する一方。 皮肉にも感じる、日当たりの良いリビング。それでも、刻々と時間は経過し、疲弊する。そのような闇でも、望みはあると信じる家族に、心が締め付けられる。最後に射す光が、彼らにとっての望みを叶えたものだったかは分からない。それは、当事者にしか。
真面目な作風だと、ここまで堤監督は強いのか。そんなことを感じさせる、今年きっての佳作だった。
落ち着けとしか言えない映画
※公開翌日に書きましたが非公開になってるのに
気が付いてませんでした
今週の目玉作…なのかな〜という感じで観賞
堤幸彦作品はハッキリ苦手です
いつも映画見た気分にならないドラマみたいな演出の
映画ばかりな印象です
テレビ屋的というのかな
今作の感想は
昭和のドラマスペシャルみたいなシナリオ
流れが掴みづらい時間軸
何もヒネリのないサスペンス要素
共感できない家族の心理
今更こういうのを見せられるのかという感じでした
堤真一は好きなんですけどね
建築設計者の旦那一登とホームワークの出版業の妻貴代美
高校生の長男規士(ただし)と中学生の次女雅の石川家
一見幸せそうに見えましたが最近ケガでサッカーが
出来なくなった規士の様子が変でしたがそのまま失踪
当然夫婦は心配しますがテレビで高校生の殺人事件が発生
数人の高校生が現場から逃走と言った報道がなされ
規士の関与が明るみになるとマスコミの取材報道や
世間に殺人犯扱いされ一家の周囲は一変
息子は犯罪にどう関わったのか?加害者か被害者か?
家族はどうであってほしかったのか?がテーマになります
なんかこの一連の流れがツッコミどころ満載でした
まず画面にいちいち日付が出るんですが
事件発生の1/5から全容が判るまで1/9と数日にも
かかわらずマスコミの過熱取材から近所からの糾弾行為
被害者の葬儀まであまりに急展開に進んでいってリアリティが
ありません
また一登は規士をたとえ被害者として生きていなくても
加害者であって欲しくない
貴代美は加害者であってもいいから生きていて欲しい
というそれぞれの望みの違いで対立しますが
なんでその二つしか選択肢がないのかわかりません
被害者でも生きている可能性はあるし
加害者でも死んでいるかもしれないし
確かに貴代美は記者から情報を得たりしましたが
全部仮定の話で作り上げられる「望み」でしかありません
なぜそんなグラッグラな軸でストーリーを進めなければ
いけないのかが最後まで理解できませんでした
だって裏返せば
旦那は仕事上の面子もある息子は被害者であって欲しい
妻は息子は生きていて欲しいから殺人犯でもいい
次女は自身の受験のために兄は被害者であって欲しい
というとんでもない望みが出てきてしまいます
まあ身内の殺人事件関与なぞ経験はありませんが
事件発生から2,3日の段階で考える事って
普通の感覚からすればただ無事で生きていて欲しい
無関係であって欲しいというだけじゃないですかね
ヘンに日付とか出すからこの辺の経時的変化が
おかしくなっちゃってます
でもって事件の描写もなんかうまくない
銃社会でもないのに2人のヤンキー2人殺害する
とは想像がつきづらい
規士が結局死んでしまうなら犠牲者は1人のほうが
考えやすかったはず
あと冒頭から出てくる石川家の自宅ですが
ハッキリ言ってコントのセットにしか見えません
パラサイトの金持ち家の家に比べてあまりにショボすぎます
青梅くらいならもっと大きい住宅でもいいだろと思います…
あと全体的に韓国映画のマネがしたいのかな〜って感じの
カメラワークや演出が多い
流行をやりたいんでしょうが没個性的です
やはり「映画を観た」感覚になれない作品でした
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