劇場公開日 2020年10月9日

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「家族とそれぞれの境遇、それでも救いを望めるか」望み かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0家族とそれぞれの境遇、それでも救いを望めるか

2020年10月15日
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鑑賞方法:映画館

ここまで重くて苦しい邦画も珍しい。堤幸彦監督の得意とするサスペンスの要素も光った、良作映画だった。
事件の前後から流れる、重たい空気。家族の置かれている状況は、同じように見えて全く違う。父は社会を、母は家庭を、妹は将来を見ている。それぞれの境遇から、息子というピースを失ったことを受け止める。しかし、その息子が犯人の可性を含んでいるのであれば、世間の風向きが悪くなる。こだわりの家は汚され、メディアの報道は加熱する一方。 皮肉にも感じる、日当たりの良いリビング。それでも、刻々と時間は経過し、疲弊する。そのような闇でも、望みはあると信じる家族に、心が締め付けられる。最後に射す光が、彼らにとっての望みを叶えたものだったかは分からない。それは、当事者にしか。
真面目な作風だと、ここまで堤監督は強いのか。そんなことを感じさせる、今年きっての佳作だった。

たいよーさん。