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THE BATMAN ザ・バットマン : 特集

2022年3月1日更新

バットマンファン“じゃない”私が観てきた結果…
今年一番の衝撃を受けたし、「ジョーカー」鑑賞者は
全員観に行ったほうがいいと強く、強く思った話

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結論からお伝えしよう。3月11日から公開される「THE BATMAN ザ・バットマン」は“大傑作”だった。

今回の特集は、本作を期待していた映画アクティビスト・DIZ氏(Twitterフォロワー約16万人)と、バットマンファンじゃない映画.com男性編集者によるレビューを掲載。実際に観てきて何を感じたのか(えげつなく楽しんできた)、率直な感想を忖度なく記述していく。

なお記事の最後には、これを知っていれば本編がもっと面白くなる「5つの製作秘話」もご紹介。ぜひ読み進めて頂ければと思う。


【予告編】マスクに隠された嘘を暴け──

【レビュー①】“パティンソンの大ファン”は共鳴した
「言葉でなく、瞳で全てを語る目元の演技に注目して」

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まずは映画のある豊かなライフスタイルを提案し、SNSを中心に幅広い層から支持を集めるDIZ氏(@DIZfilms)による感想。主演ロバート・パティンソンの大ファンだという彼女は、どう観たのだろうか?




DIZ:ロバート・パティンソンはこれまで、「ハリー・ポッター」シリーズでの魔法学校の優等生や、「トワイライト」シリーズでの美しきヴァンパイアの他に、人々が美化しがちな人間の醜い部分も見事に演じてきた経歴があります。そんな彼が二面性を持った伝説のヒーロー・バットマンを演じるなんて、今回のバットマンは“ヒーローのすべて”を描く奥深い作品になるだろう、と期待を胸に試写会へ。そこで目の当たりにしたのは、全く新しいヒーローの誕生と、魂の成長を促すロマンティックなラブストーリーでした。

●ロバート・パティンソンにしか演じられない、新バットマンの魅力

今回のバットマンは復讐に燃える、一歩踏み間違えたら闇へと堕ちてしまいそうな危うさと狂気をはらんでいます。自分の中の闇と戦い続け、今にも壊れそうなバットマン(ブルース・ウェイン)の表情は、人間の善も悪も果敢に表現してきたパティンソンだからこそ演じる事が可能な領域です。

仕事も、ライフスタイルも、周りの評価に流されず、自分軸で生きる彼自身の魅力が大きく反映されていると感じました。ヒーローだからといって、完璧じゃない。本性も弱さも包み隠さず、すべてを曝け出すバットマン(ブルース)の人間らしさはとてもリアルで、いつの間にか彼の心の痛みに共鳴している自分がいました。

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パティンソンは以前、インタビューで「『バットマン』の撮影のために、パーソナルトレーナーに筋トレをするように言われたけど、ほとんど何もしていない」「70年代にはヒーローを演じる時、誰も鍛えたりしていなかった。あのジェームス・ディーンでさえ」と自身の価値観をバットマンに反映していると語っていました。

ヒーローといえば完璧に鍛え上げられた肉体のイメージがありますが、彼が新しく作り出したバットマンは、「マスクを被れば誰でもヒーローになれる」という従来のメッセージをさらに強め、自分らしくありのままの姿であるべき、と世界へ発信していると強く感じました。どんな時でも自分らしく生きるロバートの信念に基づき、新たに解釈されたバットマンは、新時代のヒーローの形として、これからのヒーロー像に大きく影響を与えるに違いありません。

彼の高い演技力だからこそ伝わる、言葉だけでなく瞳ですべてを語る目元の演技にもぜひ注目してほしいです。


●DC史上最もロマンティックなブルースとセリーナの深いラブストーリー

これまであまり語られることのなかったセリーナ・ カイルの人生が描かれることで、アクションやミステリー要素だけでなく、ブルースとセリーナの言葉を超えた心の繋がりを描くラブストーリーとしても、とても美しい作品になっています。

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過去のトラウマに苦しむバットマンと同じく辛い人生を歩んできた、のちにキャットウーマンとなるセリーナ。ブルースの前だけはマスクを脱ぎ、本来の姿になる彼女は、ブルースの魂の成長を促す大きな存在として描かれ、言葉を交わさずとも痛みを分かち合う2人の姿はまるでソウルメイトのよう。

人生で経験する哀しい出来事は、傷ついた人を癒すために起こるのかもしれない……と思えるほど、お互いの魂に寄り添い合うブルースとセリーナの関係性は、他にない愛の形です。


【レビュー②】バットマンファンじゃない男性編集者は
どう観た?「えげつない完成度と衝撃…度肝抜かれた」

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次に、映画.com編集部の尾崎(男性・30代)が鑑賞。アメコミ作品も社会派ドラマも幅広く雑食で観るという彼は、本作をどのように堪能したのだろうか?


●鑑賞前:無意識のうちにワクワクしている自分がいた

筆者は「バットマン」シリーズは“一通り観ている”くらいで、特段、バットマンに強い思い入れがあるわけではない。とはいえ本作を試写で鑑賞する前日、自分がやけにワクワクしていることに気がついた。

理由を考えてみたが、おそらくホアキン・フェニックス主演「ジョーカー」が決め手だ。「THE BATMAN ザ・バットマン」予告編から「ジョーカー」とよく似た“匂い”を感じ取ったため、「あの衝撃がまた味わえる」と無意識に脳が期待していたのだ。

かくして試写室へ入り、場内は暗転。物語が始まり“控えめに言って衝撃的”な体験をもたらした。

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●鑑賞時:気づけば、心の底から「バットマンがかっこいい」と思う

最も心に残ったのは「本物の世界で起きる出来事を観ている」という没入感。物語と世界観のリアリティがハンパではなく、権力者が大衆を搾取するゴッサムシティの“腐敗した社会状況”が、私たちが生きる問題だらけの現実世界と重なっていく。

そしてリアリティあふれる世界の上で、「どう生まれ育ったのか」から考える手法で形成された登場人物が躍動する。ゆえに主人公ブルースらは実在感を帯び、僕は気づけば、彼らを映画のキャラではなく現実の人間と見なし、深く感情移入していた。

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やがて「バットマン」シリーズであるかどうかは関係なしに、ブルースやリドラーらが苦悩し、ひとつの答えを見出す物語に自然と夢中になっていく。ヒーロー映画としてよりは、むしろ上質なサスペンスや人間ドラマを観ているように……。

さらに作品が折り返し地点を迎えたタイミングで、狙いすましたかのようにブルース/バットマンが完璧な活躍を見せる。日本版予告のラストにも収められている、爆炎をバックに歩み寄る“逆さバットマン”の姿には痺れまくった。究極に最高だ――手元のメモに賞賛の言葉を書き殴る手が止まらない。

ブルース/バットマンを心から「かっこいい」と思うシーンが連打、連打、連打。物語終盤には僕はもう、本作の熱心なファンになっていた。

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●鑑賞後:ぶん殴られた?ってくらい面白かった…ファンじゃない人こそ観てほしい“傑作”

かくして上映時間の長さを気にする余裕もなく、トイレが近めな僕が1度も催すこともなく、あっという間に物語は幕を閉じた。

恐ろしいまでの完成度と、「脳がぶん殴られた?」と思うくらいの面白さ。アクションはもちろん興奮させられ、さらにブルースの成長過程と物語の結末を体験した瞬間、エモーショナルな気持ちが全身を貫いたから驚いた。

本作を機にバットマンのファンになる人はとても多いと思うし、むしろファンじゃない人にこそ楽しんでほしいと感じた。現実の世界と物語の世界が酷似しているだけに、その点で「ジョーカー」で味わったようなどっしりとした感情も受け止められた。

アメリカはもちろん日本でも間違いなく話題になるはずで、「ジョーカー」を鑑賞した人は全員観に行ったほうがいい。本記事掲載時点で、個人的に今年一番の衝撃といえる“傑作”だった。

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監督、ロバート・パティンソンらが語る5つの裏話
「『TENET』撮影中に本作オーディションを受けた」
クリストファー・ノーランに隠し事はできない!?

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①:本作のブルース・ウェインは、ロックスターをイメージして描かれている

今回の主人公ブルース・ウェインは、ミステリアスで、やや世捨て人な雰囲気が特に魅力的。監督のマット・リーブスは、カート・コバーンやニルヴァーナをモデルに思い描いていたそうだ。

これまでのブルースとはまったく異なるキャラを目指したといい、「ブルースがリビングでジャム・セッションすると、アンプの音が老朽化したウェイン家の豪邸中に響き渡る」など、演出における重要なイメージを明かしている。

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②:ロバート・パティンソン、「TENET」撮影中に本作オーディションに参加→なぜかノーランにバレる

「ザ・バットマン」のスクリーン・テスト(オーディション)に参加することになったロバート・パティンソン。しかし当日は、メインキャストとして出演するクリストファー・ノーラン監督作「TENET テネット」の重要な撮影日だった。

当時、「ザ・バットマン」の製作は極秘プロジェクト。パティンソンはバットマンに縁の深いノーランには黙って、「TENET」撮影を1日だけ休み、こっそりオーディションを受けることにしたそうだ。

パティンソン「次の日、仕事に戻ってきたら、彼(ノーラン)は、『バットマンのスクリーン・テストはどうだった?』と言ったんだ(笑)。僕は『どうして知っているの? トップ・シークレットだったはずなのに』」

ノーランに隠し事はできない!?

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③:クリスチャン・ベールとトイレで遭遇 意外すぎるバットマン・アドバイス授かる

これまで、錚々たる面々がブルース・ウェイン/バットマンを演じてきた。今回の主演であるパティンソンは、先輩俳優たちとのほほ笑ましいエピソードを語っている。

なんとレストランのトイレで、「ダークナイト」シリーズで主演したクリスチャン・ベールとばったり出くわしたそうだ。

パティンソン「僕たちは隣同士で“小”をしていたんだ。彼は僕に『(バットマンのスーツを着たら)トイレに行くのが難しい』とアドバイスしてくれた(笑)」

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④:リドラーのモデルは実在のシリアルキラー? ゾディアック事件がキーポイントに

なぞなぞや手掛かりをあえて残し、警察やバットマンを挑発する――。リドラーの犯行は、その残忍性の一方で、無邪気な遊び心が根底にあるからこそ、観る者を震え上がらせるのだ。

リーブス監督は今回のリドラーにインスピレーションを与えたシリアルキラーの存在を明かしている。「リドラーは頭脳明晰で、非常に邪悪な計画があり、落ち着けるという理由で数字やパズルの世界に浸ってきた。(中略)アイデアを創出するのに、連続殺人犯のゾディアック・キラーを参考にした」。

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⑤:「ザ・バットマン」はどんな完成度? 監督「最もエモーショナル」

物語の始まりは、ブルースがバットマンとなってから約1年が経過したころ。映画シリーズでは初めて言及される内容であり、シリーズファンでない人でも入りやすく、一方でファンにも新鮮な驚きを与えてくれる。

リーブス監督は「若きバットマンを描き、彼が自身を改善するために努力する物語の流れを伝えたいと思った」「最も重要なことは、この映画を観客にとって満足のいく体験にすることだった」と述べる。完成させた本作、手応えのほどは?

「かつてないほど、最もエモーショナルな作品になる」――。さあ、その全貌を、あなた自身が目撃する番だ。

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