運び屋のレビュー・感想・評価
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44マグナムを35カメラに替えてから
拝啓、ハリー・キャラハン様
あなたが44マグナムを35カメラに持ち替えてから、
ずいぶん経ちますが、まだまだ世界は暴力にあふれ、
平和ではありません。
僕があなたを知ったときはブルース・リーと同じように
ワルモノをバッタバッタと倒してました。
そして決めセリフの「Go ahead Make my day」
今作のgo ahead の足取りや背中の哀愁に改めてグッときてしまいました。
『グラン・トリノ』あたりからでしょうか、
映画の中のテクニックとしてオーバーラップはよくありますが、
自分の人生とのO.L.や娘さんとの共演はもはや、映画のつくりとしてフィクションでもない、ノンフィクションでもない、ドキュメンタリーでもない・・・
たまたま話しをしていたらそこにカメラがあった・・・
せっかくだから映画にしているだけ・・・・
そんなゴダールもビックリしそうな文法とか公式という型を破るという離れ業、いや適当にやっているだけと言わんばかりですね。
It's a Wonderful Life.
色即是空
空即是色
ほとんど解脱の境地でしょうか・・・。
もっともっとみせてください。
敬具
※真心ブラザーズの歌詞はいい
内田裕也さん訃報
クリント・イーストウッドにずっと魅せられっぱなしだった。シワがいい。背中がいい。手の震えがいい。家族のこと以外の問題はどってことない。外で認められることよりも、家族の役に立つことの方がずっと、大切。そんなことを「運び屋」から改めて気づかされた。「運び屋」アールは、ずっとその反対に生きてた人生。残りわずかな人生で、家族の大切さに気づく。今日、内田裕也さんの訃報が届いた。彼の歌う「朝日のあたる家」から伝わる人間らしい「後悔」は、運び屋「アール」のそれとなぜか重なった。やっぱりさすがの詩的な作品だった。
映画職人の手練の技を堪能。
『恐怖の報酬』みたいにヤバイものを運ぶ映画は色々あるけど、こちらはハラハラドキドキより、どこか飄々としてトボけた調子が、主人公のキャラと相まって楽しめました。家族との確執、刑事とのダイナーでの会話など、人情もののポイントを押さえて、余裕で2時間弱の尺にピタリと納めるのは、まさに職人技!88歳だからこそ、肩の力が抜けたモノづくりができるんですね〜。
いい映画なんだけど
もう少し、スカッとするか、
どんよりした気持ちになるか、
あっても良かったかな。
別れた奥さんに付き添ってた間に、何で見つからないんだろう?とか、運び屋としての苦悩や後悔とかが無かったので、物足りなかった。
法廷で家族が心配してるのも、結局お金って見えてしまった。命を顧みず、奥さんを看取ったわけですが。
劇的にすると、グラントリノと似てるとか言われるかな、、。
私が、映画なんだから、、。
そういう終わり方を勝手に期待してしまったのが、いけなかったかもしれません。
最後の潔さ
宣伝では脅されて運んでいるのか、自ら運んでいるのか分からなかったけど、お金の力で失われた家族との時間を取り戻した主人公。
結局お金によって⬇
皆が集まる。
尊敬される。
充実感、達成感、人間の欲求が満たされる快感。
最後は地獄に落ちると思われたが、ちゃんと自分でケジメをつけた潔さ!感動
文句なしのイーストウッドの秀作
クリントイーストウッドここにあり、まだまだこれから、心を揺さぶる作品を世に放って下さい。麻薬の運び屋は正しい姿ではありませんが、人生の大先輩が及ぼす心を通して、家族の大切さを見事に描いています。最後にコリン捜査官が自ら捕えたアールに対して、体を大事に〝Take care of yourself, OK?" と優しく声をかけました。きっと、家族の大切さを教えてくれた先輩に敬意を払ったのでしょう。Family is important thing, but I put work in front of family. と後悔しているアールの気持ちがコリンに伝わっていたのでしょう。
そこには、長年の人生経験が生み出した、威厳さ、寛容さ、何事にも動じない強い心が、良きものも悪しきものも、若きものもを飲み込んでしまう凄みが有ります。
遊びすぎのジジイに誰か怒ってあげて
『ビッグフィッシュ』観た後にこの『運び屋』とじいちゃん系が続いてしまい20代の私には堪えるものがあった。
クリント・イーストウッドが演ずる破天荒ていうか自由きままな90歳のアールが麻薬カルテル組織を翻弄していたのは笑える。
リップクリーム塗ってる場合かよと色々ツッコミたいコメディ映画。
また家族愛のシーンでも、吉本新喜劇を笑えなくした版ぐらいの茶番感もあったが、全体的にこんな人生送れるのが一番幸せなのかもしれないと思わせてくれた。
けれども最後の法廷場面でのおじいちゃんを家族みんなが許してあげるのがどうも納得いかない。
誰か叱れよコラ
とてもいい。でも理由がわからない。 強烈なカットや話の構成でもない...
とてもいい。でも理由がわからない。
強烈なカットや話の構成でもないけど、安心して身を任せられる。ジーンとする。素晴らしかったなあ。
これまでにない「軽さ」
今までのクリント・イーストウッド監督作品のイメージとは打って変わって「軽さ」の目立つ映画だった。
ひょんなことから悪事の片棒を担ぐことで大金を手に入れた主人公の老人。これまで家族にして来なかった事を埋め合わせる様に景気よくそのお金を使う彼だったが、最終的にはその仕事を手放した時に、ようやく大切な真実にたどり着くという皮肉。
女好きで意地っ張りで憎まれ口ばかり。見方によっては最後の最後まで自分勝手な主人公だが、残り僅かな人生に対して、自らの罪を正面から見つめて結末を受け入れる、潔い人物にも描かれている。
主人公が飄々と「軽く」描かれる事で、その結末の重さが際立つと感じるかもしれないし、むしろ前向きなラストと捉えられるかもしれない。
大きく観客の感情を揺さぶってくる様な作品ではないが、ジワっと心に残る映画だった。
ただ、個人的な好き嫌いで言うと、『普通』。
やはり彼の作品は、あの重苦しい雰囲気あってこそ。
這いつくばる様にして悩み、葛藤し、苦しんでもなお、人は思い描いたゴールにたどり着くことなんかできなくて…でも、だから尊いんだ、って教えてくれる。
そんな彼の作風が好きなので。
イーストウッド渾身の演技が光る
体力的にこれが最後の主演映画になるのかなと言う思いで必ず映画館で見に行こうと思い行ってきた。
見終わった瞬間は感動の涙が一雫。
しかし後になってからの方が映画のシーンを思い浮かべて考えに浸る事ができる映画なように思う。
人生は選択の連続で省みる時には年老いてしまい戻る事が出来ない。
彼が映画を通してこれからの若者に残すメッセージを私は受け取りました。
これからお父さんになる人…是非見てください!
イーストウッド監督の映画に通底するもの
この映画を観て確信しました。
クリント・イーストウッド監督は『仕事に真摯に取り組む人』そして『仕事として引き受けたことは当たり前のようにきちんとすること』への関心と敬意と感謝の気持ちが本当に強いのだと思います。
『ハドソン川の奇跡』では、機長を始め事故に関わった人たちが、それぞれの持ち場で出来ることを最大限に発揮する姿、或いは発揮しようとした姿を丁寧に描いていました。
『グラン・トリノ』や『ミリオンダラーベイビー』でも主人公は、一度引き受けた仕事(役割)について、自分が出来る範囲においてすべての力を出し切っていたはずです。
本作の主人公も動機や行いの正当性を抜きにすれば、持てる力を誠実に手抜きすることなく仕事に注いでいました。
あの最後の仕事だって、家族との触れ合いの後であれば、何かが吹っ切れ、当初予定の場所ではなく、積み荷ごと警察に駆け込む選択肢もあったと思うのですが、家族との関係性の再生はそれはそれとして、仕事についてはきちんと所定の場所に届けようとしていました。
しかしながら、イーストウッド監督はそれを殊更凄いことだと強調するのではなく、『自分の仕事』として引き受けた以上、持てる力(技量も経験も)は最大限誠実に発揮するのが
人として自然なこと、当たり前のこととして描いているのです。
経済的な側面だけでなく、『仕事』とか『役割』といったものが、たとえ社会の中でどれほど小さなものであっても、人が人として存立し得るプライドの基盤であり、敬意をもって認め合うものなのだと教えてくれます。非合法ではあっても、仕事を通じてメキシコ人たちと生まれた関係性(極めて限定的ではあるが一定の信頼関係も存在した)の中でやり甲斐を感じていたのは確かなことなのです。だからこそ、自分の仕事、と認識した行動については誠実に振る舞わなければいけないのです。
イーストウッド監督の演出は比較的静かで、あまり抑揚なく描かれますが、どの作品もいつも深く染み渡ってくる感動を与えてくれるのは、監督自身が〝映画を作るという仕事〟に誰よりも誠実に取り組んでいるからだと思います。
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