君の名前で僕を呼んでのレビュー・感想・評価
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自分より遥かに大人で、太陽のように健全で、自由で、天真爛漫に見えた...
自分より遥かに大人で、太陽のように健全で、自由で、天真爛漫に見えたオリヴァー。そんな彼だが、欲望と衝動、美への純粋な愛、若い相手を傷つけることの困惑から、その仕草や口調、美しい横顔は憂いを帯びはじめる。そのみずみずしさ、色気、狡さ、正直さ、獰猛さ、弱さ、冷たさ、寛容さの全てに、惹かれて惹かれて、しょうがない。共犯者としての絆。エリオの視点でみると、幸福であり、不必要に何度も傷つき、とてもせつなく、やるせない。二人の演技があまりにも自然で、映画だと忘れるほど。両親が素敵。
この気持ち
この気持ち。
世界中でふたりにしか分からない言葉とふたりにしか見えない風景。何もかもが美しく見えて、何もかもが不安に感じる。いつだって嬉しくて、いつだって寂しい。
ふたりの魂には、国籍も年齢も性別もなかった。純粋に「この気持ち」だけが確かだった。そして大人になった僕は思う。「この気持ち」がいかに尊いものだったのかと。
口には出さないけれど、きっと皆んなそんな素晴らしい経験をするに違いない。多分、口には出さないけれど。
ヨーロッパの夏とティモシーシャラメ
夏の光がそそぐヨーロッパの美しさと、ティモシーシャラメの未完成な危うさが魅力的。果物の甘い匂いが充満しているみたい。
英語、イタリア語、フランス語が混在し、ドイツ語の朗読もあり、言語の境界はあいまいだ。アプリコットの語源のように変遷していく。性や自己と他者の境界のように。
エリオの性はまだゆらいでいて、知的な両親の元で育った彼にあるのは、ただまっすぐに欲望をぶつけること。彼はゲイに目覚めたのではなく、心を通じた相手がオリヴァーだっただけ。エリオの心の動きが繊細に表現され、二度とない17歳の夏を閉じ込める。
オリヴァーのマッチョで支配的な振る舞い。肩幅が広くて自信家のアメリカ人。彼はいつでも主導権を握りたがる。
エリオとオリヴァーの思いが通じた後、それまで自信たっぷりだったオリヴァーは常に不安な表情を浮かべるようになる。反対にエリオは生き生きし出す。愛を知った者、その愛を恐れる者。
理解ある素晴らしい両親、美しく優しい女友達、邸宅、秘密の場所、才能、そして別離、描かれているのはこうであったらという理想の10代なのかもしれない。もう若くはない私たち、何かを逃してしまった私たちにあの頃の気持ちのはかなさと永遠さを思い出させてくれる。
蝿が気になるが、蝿はタナトスだろうか。オリヴァーとエリオがキスする場面、マルシアに冷たくする場面、暖炉の場面…。
この映画はアイヴォリーの「モーリス」と呼応している。アイヴォリーが監督だったらとも思うが、それは叶わぬ夢。
個人的にはアーミーハマーがマッチョすぎて苦手だったのと、いつ好きになったのかが今ひとつわからず、前半乗り切れなかった。でもとにかくラストの暖炉の長回しだけで100万点。
映像美はもちろんストーリーの本質に気付いた瞬間鳥肌が立ちました
一見、昨今話題となるLGBTをテーマにした映画かと思われますがそれだけではない事に気がつくと、父親の言葉、登場人物の設定など全てが意味を持ち鳥肌が立ちました。
フランス映画の様な映像美はもちろんで、「北イタリアの夏」のオレンジ色の光や、青々とした緑の使い方、そこに加わるピアノの音が非常に印象的でした。
視覚聴覚共に楽しめるので是非映画館でみてほしいです。
心の保湿効果
全てがゆったりとほどよい大人の映画。成熟した豊かな自然であり、人々であり、ゆとりある空間、肉体の美しさ。愛情も、イタリアの風景も、音楽も、観ている自分にじっくり溶けこんできました。愛情があらゆるところに満ち溢れていて、豊か。せかせかした乾いた毎日を過ごしている自分に、潤いを与えてくれました。
肉体美と純愛
北イタリアの一夏の恋。
川で泳いで本を読んで夜遊びして。
秘密の場所
重なる素足
官能的なアプリコット
吐いた後のキス
携帯電話のいらない恋
素のままを愛する
知的な会話
両親の理解
君の名前で僕を呼んで
自分もこんな環境で10代を過ごしたかった。
本当に一人きりになれる場所が欲しかった。
純粋に恋愛感情を抱きたくなる。
曲を聴けばいつでもあの世界に戻れる。
両親の存在の大きさ
昔の自分なら美しい男性同士の恋に心を奪われただろうけど、今の自分はエリオとオリヴァーを見守るエリオの両親の寛容さ、優しさに胸を打たれた。とくに最後の父親の言葉は一言一言が宝石のように輝いていた。北イタリアの美しい景色も素晴らしかった。
途中、ギリシャローマ時代の彫刻やハドリアヌス帝の名など同性愛的なイメージが散りばめられていた。ただ父親の言うようにこれは単なる同性愛にとどまらない魂の触れ合いの物語なんだと思った。
「景色と音楽と間がすてき」
北イタリアの田舎の情景が、とにかく美しく、
そこに流れる音楽、
戸を閉める音、駆け上がる靴音、
少し古い、階段や床の軋む音、
ラジオのスピーカー音、
そして、セリフ一つ一つの間と、
音が消えるタイミング
調和が取れていて
すごく美しい作品でした。
ゲイ二人の話だからか
女性客多く、
「ハッピエンドじゃないのショックー」という声が聞こえ、
「黙ってろ!」と思ってしまう私。
今よりずっと差別意識が強い時代の話なので、
十分にハッピーエンドな話です。
美少年とオトナ男性の美しい映像美と恋模様
評判がいいので、見に行きました。
どこの映画館も満席でようやく確保できました。
淡い恋心をうまく少ない言葉は仕草で表現しており、じわじわと面白さを感じる映画でした。
あの主役ふたりの美貌がなければ台無しな映画だと思います。
全てが凝縮されていた父親の言葉。
完全に油断してしまっていた。
ラストの父親の言葉は、ものすごく大事なことを話していた。
もう一度、聞きたい。
しっかりと胸に刻みたい。
私はこの場面を焼き付けるために、もう一度この映画を見に行くかもしれない。
息子の背中をどれだけ押してくれたことか。
次作、『サスペリア』もとても楽しみ!
淡々と描かれた、1980年代の北イタリアの避暑地の雰囲気にジェイムス・アイボリーのエッセンスが感じられとても良く、そこに流れる坂本龍一などのBGMが、その雰囲気を引き立て心地よい。
エリオ少年の物語であるものの、彼を支える両親の常識にとらわれ無い想いに感動しました。
17歳のエリオに心をシンクロさせピュアな作品の世界観に浸れる良い作品でした。
ルカ・グァダニーノ監督の次作、同じイタリアのダリオ・アルジェント監督作品『サスペリア』のリメイク?が今からとても楽しみです。
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