ビッグ・アイズのレビュー・感想・評価
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つまらないわけではなかったけれど、おもしろいわけでもなかった。 大...
つまらないわけではなかったけれど、おもしろいわけでもなかった。
大きな盛り上がりもなく、結末も「まあこうなるんだろうな」と予想した通り。クオリティの高い再現VTRを観ているようだった。
ゴースト
「6才のボク」を同じ日の午前中に見て、今年見た中で最高の映画とレビューしたばかりなのに、ベクトルは違えど同日中に同じレベルの映画を見れるとは。
事実は小説より奇なりというのはまさにこの事。
本人お墨付きの実話映画なのに、練り込まれた原作があってもおかしくないほどの数奇なストーリー。
そして素晴らしい絵画作品の数々に、ティム・バートン節とでも言うべき鮮やかな色合い。
映画とはかくあるべきという芸術的な作品だった。
ちなみにウォルターは顔も声も話し方も行動も全て甦ったように思えるほど似ていると、マーガレット本人が仰ったそうな(笑)
やはりフィクションものは、 とてつもなく強い力をもっている。
美大時代から、キーン夫妻のことは知っていた。
しかしこんなにも、
理不尽で滑稽なストーリがあったなんて!
実写を撮らせても、さすがのティムバートン。
こういうストーリーは
観客を味方に付けて悪者を徹底的に悪く描きがちだけど、
切なく哀れに描くことで
見事なバランスをとっているのには感心した。
いやいや
マーガレットだって、悪いとこあるじゃんって、
思ってしまったほどだ。(男だからかも)
ティムの世界観は、健在。
オープニングのカラフルで美しい映像から、
全編にわたってアートディレクションはこだわりぬいている。
50年代から始まる、
街並みやファッションやクルマのディテールも完璧で、
それだけでも充分楽しめる。
そしてエンドロールの写真は、
この作品をいっそう感銘深いものにしていた。
もちろん2時間足らずで全てを説明はできないから、
ツジツマは少し置き去りにされるけど。
やはりフィクションものは、
とてつもなく強い力をもっている。
今のところ、今年のフェイバリットです。
テーマの扱いがフェアで良かったです。
旦那さんに弁護の余地は無いと思うのですが、その割には奥さんに肩入れし過ぎていないのがフェアで良かったです。
アートのあり方に関する話は人によって様々な解釈があると思うので、バランスをとるのがとても難しいテーマなのではないでしょうか。
まして、ビジネスや夫婦間の力関係まで考慮するとなると…。
それでも、社会的に立場の弱い奥さんに寄り添うような温かさは感じられて、その控えめな温かさにむしろグッときました。
登場人物の心情を代弁するような衣装や美術もとても素敵でした。派手さは無いのですが、見終えた後、何かたくさんきれいなものを見たような印象が心に残りました。
やっぱクリストフ・ヴァルツはサイコー!
ストーリーは予告編から想像できる内容だが、テンポが良くて最後まで楽しめた。
どんな作品も、売るためにはプロデュースが大事。嘘さえなければこの夫婦は良いコンビなのに勿体無い!
主役二人の演技が良くて、特に夫役のクリストフ・ヴァルツが最高!
芸術家は孤高だ。
絵の作者をめぐるトラブルは、いったん起こると泥沼化するようだ。
本作は実話の映画化で、主人公のマーガレットは現在も存命で、エイミー・アダムスとのツーショットがエンドクレジットのときに出てくる。
絵のフリーマーケットのような場でウォルター(クリストフ・ヴァルツ)と出会ったマーガレット(エイミー・アダムス)は、すぐさま恋におち、しかも速攻で結婚する。
同じ芸術家と思っていたのに、ウォルターは絵を売ることに長けていて、芸術家の繊細さは持ち合わせていなかった。
そして、ウォルターは画家でさえなかった。
ひどい男だが、実際のウォルターは既に亡く、死人に口なしの状態で映画化したところに、少しだけ釈然としないものを感じる。
これがティム・バートン監督作。らしさは感じないが、この物語にひかれた彼の思いは込められている気がした。
芸術家は孤独なのかもしれない。
ウォルターって詐欺師みたいなもんじゃん!
自分の友だちや娘に嘘をついてまで、仕事をし続けなくてはならないなんて信じられない。確かにウォルターの口八丁や営業努力で絵は売れるようになったかもしれない。おかげで、お金持ちになったかもしれない。でも、セレブとのつきあいで華やかに過ごすウォルターに比べ、マーガレットはひたすら家の中に引きこもって絵を描くだけ。よく耐えたと思うし、最後はああなって良かったと思う。私はあの大きすぎる眼が不気味に感じられて好きになれないけれど、内気なマーガレットの気持ちの発散する場所が、絵だったのだと思うし、深い悲しみが感じとれる。芸達者な主演二人の演技に目が離せなかった。
うーん、可も無く、不可も無く…
ティム・バートン×ダニー・エルフマンの割りに、普通だった。
60年代にアート界を揺るがす事件があった事は分かった。
この時代に女性が自立する事は、社会的に認められず、男性に従事すべきとされていた事も分かった。(レボリューションナリー・ロードも同時代だったし)
でも、特に感銘もインパクトもなかった。
あの絵(ビッグ・アイ)の意味、存在価値が伝わらなかったから。伝えなかったから。
多分、普通に忘れ去ってしまう一本。
それにしても、裁判で負けても、自分が描いたと主張し続けた彼のフェイクな人生って、何の価値があったのだろう?
ウソのようなホントの話
ティム・バートンが作るフツーの映画はなかなか見ごたえがありました。旦那が佐村河内氏で嫁が新垣氏という感じですね。まさにウソのようなホントの話でした。
何かが足りない・・・。
非常に判りやすい映画です。クリストフ・ヴァルツ扮する夫の画家がエイミー・アダムス扮する妻の画家が描いた作品を自分の作品であると喧伝し、一時的に有名人とはなったものの、最後には嫌気がさした妻から告発され、破滅していく過程を描写した映画なのです。最大の見せ場は法廷でクリストフ・ヴァルツが被告と証人の一人二役という芝居を打って出て、見事に自滅していくところでしょう。しかし、何かが物足りないのです。クリストフ・ヴァルツの壊れ方が何とも予定調和的なのです。描き方が大人しいのです。いつものティム・バートンのように破目を外したところがないのです。もしかして、この映画を撮っているときティム・バートンは体調が優れなかったのかもしれません。映画からエネルギーが発散されていないのです。
そうは言っても大きな目の子供を描いた夥しい絵画はなかなか、素晴らしいものがありました。
何かが足りない・・・。この「何か」が何であるのかはティム・バートン自身が一番、良く知っている筈なのですが・・・。
美人コンテスト
皆さんは株式投資の世界での『美人コンテスト』ってご存知でしょうか?「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も高い女性に投票した人達に賞品を与える投票」、この場合「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」という結果になる理論。
Artの世界もまさにその通り。ご存知の通り、私ごときがモネを批判したり、ミレーの『種撒く人』を薄汚い絵と。Artは実は美人コンテストに左右されてきた世界。そういう矛盾を滑稽にかつ巧妙に描いた作品。そしてティム・バートンを天才と感じた作品、ユーモラスも溢れるこの作品、絵が好きな人にはとくにお勧めです。
ティム・バートンも「普通」の映画を撮る
主役二人の演技はさすが(というかこの二人なら当たり前)だし,ティム・バートンが普通の映画を撮れるのもわかった.概ね良いのに食い足りない感触が残るのは実話ベースだからか,身体がバートン節を求めてるからか…
実話は難しいかな
これって、ティム・バートンが実話をもとに作った初めての映画かな? 実話っていう制約があるせいか、いつものファンタジー的開放感がなかなか見られなかった印象でしたね。んー、ティム・バートン監督は大好きだけに、ちょっと残念。彼も大人になったってことかしら?
クリストフ・ヴァルツの嫌な奴っぷりは十分でしたし、エイミー・アダムスのちょっと口を開けた驚きの表情も良かったです。でもやっぱり、もっと盛り上げられたような気がするんですよね、これ。
(追記)
あ、『エド・ウッド』が実話ベースの作品でありましたね・・ 『エド・ウッド』は大好きでしたね。
「作品」としてはそこそこ
とても刺激的、衝撃的な内容の実話でした。
絵を描く才能を持った女と、セールスの才能を持った男、二人が組めば最高のコンビになれるはずだったのに、その組んだ手は今にも離れそう・・・。
男の方は本当に浅ましく、自分への自信が溢れ出て周りが見えなくなってしまい、後半はただただ嫌ーな男。それに振り回される女、娘が可哀想。
けれど守るもののため、それに耐え続け、そして諦めをも感じ始める女の気持ちもわかるし、男も自分が持っていなかったものへの執着が人よりも強すぎて自分を見失ってしまったのだと考えると、なんとも虚しい。
今回は最近のティムバートン作品とは少し違った感じであることにも注目されていて、私もそれを期待して見に行きました。
これまでは美術は最高だけど、映画として、ストーリーや展開がちょっと・・・。というものが多かったからです。
正直「映画」としては普通だと思います。実話がすべてというか、他の人がお金をかけてもこのような感じになったのでは?と思います。展開は後半盛り上がってほしいところで失速・・・そのまま畳みかけてほしいところでちょっとしつこい足踏み・・・というような印象があり、観終わったあとに悪い気はしませんが、すごい「実話」だったなというだけで、もう少し「映画」としての魅せ方があったのではと思います。
演出は控えめだけど、主演2人の演技が圧倒的!
こんなことが実際にあったなんて驚き!当時大人気だったらしい、大きな瞳の女の子の絵は知らなかった。可愛いけど悲哀に満ちて不安な気持ちにさせる異形の者はいかにもティム・バートン好みの題材。気弱で人付き合いが苦手ながら芯の強い複雑な女性をエイミー・アダムスが見事に体現。腹立つ程口がうまく商才があり軽薄な詐欺夫をクリストフ・ワルツが完璧に演じていて、憎々しくも思わず引き込まれた。アートとは何か、ポップアートとは何か、芸術と商売の関係、アートとイラストの境界線など、皮肉も効いていてなかなか考えさせられた。
美大生が観るといいんじゃないかな。
実在するアーティストのマーガレット・キーンに興味があり観ました。
幸か不幸か、ティム・バートン色は薄くストーリーに集中出来ました。
ウォーホルが活躍していた時代にこんな作家が居たなんて!
今でこそPOPアートの代名詞のウォーホル、彼のエディション物のシルクスクリーンにも多少の影響を与えたのかと思うと、興味深い。
そしてこの時代からアートのシステムがまるで変わらない事に落胆しました。
才能・政治・チャンス、アーティストっていつの時代もピュアに作品を創り出すだけではダメなんですね。
観方によれば芸大で勉強するより、この1本でアートビジネスがよく理解出来ますw
作品自体は実在する2人の人生を描いたにしてはティム・バートンらしくおとぎ話の様で薄っぺらい感じがしました。
ティム・バートンのインパクトのあるビジュアルを求める人には向かない作品かと思います。
一人の人間が呑み込まれ支配される過程が描かれる作品。
良かった。
60年代、実際に起きたゴーストペインター事件を基に。
芸術家の妻が、詐欺師の夫に呑み込まれ支配される過程を丁寧に描いています。
入口は「便宜上」という軽い感じで。
その後は回数と期間をかけて既成事実に。
表の評価を確立すると同時に、ゴースト側を社会から隔離し裏に追いやってしまう。
関係性が崩れそうになると、共犯関係を強調し社会の批判/弾圧をチラつかせ必要以上に恐怖を煽る。
一人の人間が呑み込まれ支配される過程が実感出来ました。
特筆すべきはウォルター・キーンを演じるクリストフ・ヴァルツ。
彼のニヤケ顔、スイッチが入った際の話術/身振り手振り。
弱者に見せる本当の顔。
根っからの詐欺師を体現しており、話全体に納得感、そしてコメディ要素を付加。
醸し出す小者感も含めて思わず笑う場面が多々ありました。
特に終盤、裁判所で見せる一連の茶番。
権力者、その場の実権を握る人物への媚びた顔。
観衆を呑み込み自身側に取り込む話術。
…からの窮地に陥った際の最終手段。
上映時間106分溜まりに溜まった気持ちが一気に解放される素晴らしい瞬間でした。
一人の人間が呑み込まれ支配される過程が描かれる本作。
作中の芸術品の扱いも感慨深く。
通して描かれるのは芸術の不確かさ。
誰もが確かなモノを持たない中で跋扈する権威主義と物語性。
専門家が評価したから、又は感動的な逸話があるから。
作品自体ではなく、作品に付随する評価や物語に惹かれ手に取る姿は印象的でした。
自ずと昨年の佐村河内事件を連想させる題材ですが。
鑑賞後「ゴースト側も詐欺の片棒を担いでいたんでしょ」とは簡単に言え難くなる。
見え難い側面を映し出した作品だと思います。
オススメです。
全86件中、61~80件目を表示