ソナチネのレビュー・感想・評価
全40件中、1~20件目を表示
難しいけど怖い
................................................................................................
多くの組を取りまとめる大親分の指令でたけしが沖縄へ行く。
傘下の中松組が他の組とモメて加勢を求めて来たと聞いていた。
しかし行ってみると、大親分側から提案してたけしを来させたらしい。
そんな中、爆弾が仕掛けられて多くの手下が死に、たけしと中松らは潜伏生活へ。
しかしそこに刺客が現れ手下が殺され、さらに中松も殺される。
敵の手下を捕まえて拷問したところ、全てが罠だったことが分かる。
大親分がたけしを疎ましく思い、中松組とまとめて殺すべく画策してたのだった。
たけしはマシンガンで敵の会合を襲って皆殺し、そして自殺。
................................................................................................
やっぱりたけしの作品は怖い。
主人公には平気で人を殺す冷徹さと無邪気さが同居してる。
だから思い詰めたら何をするか分からない怖さがある。
でもこの当時の北野映画ではもっとひどいヤクザが多かったから、
この作品はまだ怖くない方じゃないかとは思うけどな。
タケちゃん、バウ
エレベーターでの撃ち合い、ホテルでの銃撃戦、寺島進が撃たれるシーンなど、人が死ぬシーンの見せ方が、お見事。
月明かりの北野ブルー、久石譲の音楽、赤土の土埃り舞うワインディグロード、大杉漣の怒号、勝村久信の能天気さ、などなど相まって芸術性とコメディーが絶妙なバランスで存在している、タケちゃんならではの傑作。
また新文芸坐でオールナイトやって欲しいな〜。
20231206 新文芸坐
情熱的な芝居では語れない気持ちを語る「無表情」の芝居。
◯作品全体
本作を制作するにあたり北野武監督は「よくあるヤクザ映画のストーリーをそのままどうやって崩せるか」と考えたという。その手法の一つとしてアートチックなモチーフ演出がよく挙げられるが、個人的にヤクザ映画からの文脈から逸脱しているのは「表情の乏しさ」だと思う。
主人公・村川をはじめ、部下のケンや片桐、そして相手役の高橋は感情を表に出すことがほとんどない。沖縄の隠れ家に行くまではそれが顕著で、銃を向けられているときや事務所を爆破されたときでさえも無表情だった。那覇空港で村川たちを出迎える中松組の構成員も無表情で、必要以上の会話もない。「ヤクザ映画の文脈」でいうならば会話劇によって共闘関係や裏切りの展開に向けて意味を作るだろうし、村川たちから見た中松組の第一印象を会話や芝居で演出するはずだ。本作ではそれをせず、様々なシーンで「無表情であること」によって微かな意味しか与えない。それによって村川側・相手側、双方の意図に見立てがつきづらく、展開が読めない緊張感が常時漂っていた。
この演出が、因縁を細かく語って結末をド派手に映す「ヤクザ映画の文脈」とは異なるものだった。
「ヤクザ映画の文脈」の中心にある表情の演出を例示すると、「仁義なき戦い」では物語を動かすときには必ず感情的な芝居がある。濃度の濃い芝居が「情」の表現としても、戦後広島の活気としても生かされていて、そうした芝居の濃度がヤクザ映画の象徴にもなったと思う。そして北野監督はこうした物語を動かす感情の部分を「よくあるヤクザ映画のストーリー」と表現したのではないか、と思う。
更に言うと北野監督作品である「アウトレイジ」も本作とは表情の芝居に差異がある。「アウトレイジ」ではアクションこそが物語の転換点となり、その場面では殺す側と殺される側で恫喝と恐怖のコントラストがある(稀に恫喝と恫喝が衝突するが)。椎名桔平演じる水野はクールな印象もあるが、上司がいない場面では感情を剥き出しにしたり警察官を挑発して人間味ある人物としても描かれている。登場人物の節々に情を感じる点が本作のアプローチとも明確に違う部分だ。
本作で無表情が印象的だったシーンとして村川の部下・ケンが殺し屋に撃たれるシーンがあったが、このシーンも既存のヤクザ映画であればドラマティックな芝居があるのかもしれない。ただ、ここでは村川の心情に沿った「無表情」が表現されていた。
隠れ家で時間を持て余しながらもゆったりと過ごし、柔らかい表情が増えていく村川たち。長い長い一本道の先にある隠れ家と砂浜は、さながらオアシスだ。しかしそのオアシスは当然一生のものではなく、殺し屋が現れることで一瞬にして沖縄へやってきた当初と同じ無表情に戻る。隠れ家に来た当初は悪夢にうなされ、無表情で息をひそめていた村川たちがようやく緩みはじめたところで、村川を再び地獄へと連れ戻すような無表情と無音を与える。ここのシーンは演技の足し算ではなく、引き算で見せる静寂の演出に息を呑んだ。
こうした無表情の演出は村川の本心にも紐づけされている。そのことがわかるのは幸に強い男はかっこいいと言われた村川のセリフだ。
「怖いから、撃っちゃうんだよ」
怖いからこそトリガーを引く。村川たちは冷たい銃口を向けるように、冷たい無表情によって必死に自分を護っていたのだと感じた。このセリフに続く「あんまり死ぬことばかり怖がっているとな、死にたくなっちゃうんだよ」という言葉はラストシーンの暗示のようだった。周りの人間が消されていき、報復としてアサルトライフルを撃ち鳴らす。トリガーを引くことが恐怖の証だとするならば、乱射される銃声とマズルフラッシュは慟哭のようなものだろう。
序盤、ケンに対して「疲れちゃったよ」と冗談めかしながらつぶやいた村瀬にとって、のどかな空気が流れる隠れ家は、さながら楽園だったのかもしれない。そこへ向かう一本道で自殺する村瀬の無表情は、本物の楽園にたどり着けなかった悲哀と死への恐怖を饒舌に語っていると感じた。
「泣く」「怒る」ではなく「無表情」だからこそ強く伝わる感情が、一貫した演出によって生み出されていた。
◯カメラワークとか
・最初に広く大きな海が映された時には面を食らった。それまで映されていた空間は、狭い事務所や雀荘、古いバンなど、とにかく窮屈だった。雀荘の主人が海に沈められるシーンも、夜の真っ暗な海だった。そこから急に青く、解放感ある海が映されるのは相当なインパクトがあった。その時にはわからなかったけど、話が進むにつれてこの海は別世界の演出だったのだと気づいた。
・無邪気に遊ぶケンたちの後ろで静かに準備を始める殺し屋を引きで撮るカットがかっこよかった。
◯その他
・劇伴がすごく良かった。隠れ家のシーンの劇伴は特に幻想的で、静寂さとのつながりが素晴らしかった。
・村川ひとりだけワイシャツで居続けるのは、単に孤独の演出だけではなくて、服装から表情を読み取らせないような意図もあるような気がした。部下の片桐は赤色のアロハシャツを村川から「似合っていない」とからかわれていたが、その服を、色を選ぶというだけで、その人物が透けて見えてしまう。村川の無表情はここにもあるのではないか、と思ったりした。
ヤクザは沖縄では天国?
ただ、ヤクザが夏の沖縄に行けば、楽しく暮らせるという内容しか覚えてません。
ヤクザの権力闘争を説明する台詞が1回だけありましたが、その内容を理解
できないと、この映画全体が意味不明です。
名優・大杉漣氏を世に送り込んだ映画として有名ですが、大杉さんが何処に
どの役で出ていたかも、記憶にありません。
最後は、ネタバレになるので書きませんが、多くの場合の北野武監督が
俳優ビートたけしを映画に出せば、ああいう結末になるという…例のアレです。
この映画が興行的不発に終わったため、北野を映画界に引き入れてくれた
奥山和由氏とも犬猿の仲になって決別!
以降は、皆が知る通りに奥山氏は松竹を突然解雇され、その後は映画界を
干されて、大ヒットする様な作品を作れなかった。
一方、北野武は順調に映画を作り続け、大きな映画賞も得られた。
奥山氏が松竹を解雇後に「自分を映画界に引き入れた恩人であるから
いつかは恩返しをしたい」と述べていたが、現在に至るまで北野と奥山氏が
組んで作成した映画は無い…
恩を仇で返す人間か……?
北野武監督の作品の中でも芸術寄りの作品
以前から見て観たかった作品。
基本的にヤクザ同士の抗争を描いたバイオレンス映画であるが、間に抗争中であることを忘れるようなシーンが入っているのが良い。
全体的にセリフも良かったと思いますが、ちょっとストーリーが分かりにくかったのが残念かな。
久石譲が担当した劇中の音楽はすごく良かった。
絵画的で、アートっぽい。
まあまあ…
海外で絶賛された作品と期待してたんだけど…
ガッカリ…
他の方のレビューを読んで納得。
絵画的で、アートっぽいですね。
キタノブルーも、いっぱい出てくるし…
確かに!そうか!そう観たら!
でも…
『ソナチネ』より、普通に『アウトレイジ』が好き♪(永野さん風で)
静かな空気と暴力
極道の世界に辟易する組長の村川は、上部組織の命令で友好組織の救援のために沖縄に向かうことになるが…。
北野武監督作品。沖縄の風景と久石譲の音楽によって生まれた静かでのんびりとした空気感の裏で人が死にまくる同監督の映画の中で最も芸術性が高いと個人的に思う作品です。
67点
北野武監督兼演者ビートたけし代表作品。
当時の絵の汚さ、雑な格好、心は子供なまま拳銃を手に大人になってしまった彼ら、全てが美しくて、儚くて、悲しくて。
間違いなく後世に語り継がれる傑作です。
是非。
映画でしか表現できないからこそ映画が作られた感覚
数十年ぶりに、今度はDVDを購入して観た。
いまみても、色褪せてなくて、見入った。
感じるのは虚無感。死に向かっていく。
突然ガツンと現れる銃撃戦。
ストーリではなく映像で表現されている。
セリフも少なく、表情。それも静止画のような表情。
死という題材が美しい絵で織りなされている感覚。
闇に閉ざされたビルの中で、マシンガンをぶっぱなししているときに窓から漏れる銃撃光。
それに照らされる黒い車の屋根。
行われていることは殺人なのに、映像が美しいという。
なんとも言葉で表現しにくいからこそ、映像で表現されている。
映画でしか表せないものが表現されているからこそ、映画が作られたという。
まさに映画で表現するのは何かという、本質をついている映画だと思う。
初めて見た北野武監督作品。
新文芸坐にて鑑賞。
20歳の私が初めて見た北野作品。
めちゃくちゃかっこ良かった。
かっこ良さの中に垣間見えるユーモア。
作り込み過ぎてなく、程よく力が抜けたような映像が心地良かった。
また見たいし、もっと北野作品見たいと思った。
北野武
初めて映画館で見て思ったけど、DVDレンタルして家で何回も見たのに、北野映画は配信ないからわざわざTSUTAYA行って何回も借りて見たのに、今日が1番「ソナチネ」好きだなーって感じた。
今までは「ソナチネ」かなー、「HANA-BI」かなー、「3-4x10月」かなーなんて考えたりしてたけど、今日をもって圧倒的に「ソナチネ」が1番好きになった。でも、明後日また「その男、凶暴につき」と「3-4x10月」見たら、変わるんだろうなーって思うと明後日が本当に楽しみ。
冒頭、テーマ流れ始めた瞬間にめちゃくちゃテンション上がってやばかった。
銃の音とBGMの音量が家で見た時とは全然違って、やっぱり映画館で見る映画とそれ以外のところで見る映画は別物なんだなーって感じた。
これから、また映画館で上映されることがあるなら、何度でも見に行こうと思った。
映画のブラックホール
この映画は「ありがちなヤクザ映画のストーリー」を採用しています。ストーリー自体に特殊性はありません。それによって監督北野武の個性が浮き彫りになるように作られています。
またこの映画の特徴は、料理に例えるなら「食材はひと通り集めて包丁も入れたが、火だけ入れてないので食べれない状態」の映画だと言えます。監督がわざとそのようにしたのであり、この映画はヒットしませんでしたが、観た客は度肝を抜かれました。「火が通ってて食べられない。ほかにこんな映画観た事ない」という衝撃でした。ひとことで言えば、絵が陳腐なのです。火が通ってないので。焦げ目も香ばしさもありません。火が通ってない事をどうするのか?というと、何十年も放置しておけば作品は時間と共にゆっくりと燃焼する事になり「嘘臭さのない、本当の火が入った状態になるだろう」となります。つまり年月によって自然な香ばしさが出てきて、いぶし銀のビンテージ感が出てくるはずです。あれからもう28年経ったので、今見るとそのようにとても味のある映画に見えます。これは監督の予想通りです。しかしリアルタイムで観た当時はとにかくそんな、スクリーンから感じられる監督の意図が前代未聞でぶったまげました。北野武は絵ヅラが陳腐である事を屁とも思っていません。
そんな映画創作というもの、そのものに対する実験性がこの映画にはありました。
乾いた暴力
「暴力」を石垣島の浜辺で天日干しして味を極限まで濃縮したような映画。潮風に当たっていたため塩の風味もあり、かなり美味しい。
特に、たけしがニヤニヤしながら自分のこみかみに銃口を当てるシーンはいつまで経っても口の中に味が残る 最高のバイオレンスだった。
アート性を強く感じた
美しかった
絵画を観ていてるかのような色彩と構図
アート性を強く感じた
アルル時代のゴッホの絵画の様な明るい光線と色彩
ゴーギャンのタヒチでの絵画を思わせる南の島の強い光線と鮮やかな色彩
主人公と親しくなる女は乳房を出して立つ
有名なゴーギャンのタヒチの女の絵のモチーフだ
ただ独り白いシャツを最後まで着通す主人公
ラストシーンでそれは赤く染まるのだ
冒頭の銛に刺され貫かれたナポレオンフィッシュ
空は赤く飛び散る
ナポレオンとは親分のこと
それを銛で突き殺す
血で赤く染まり、血しぶきは頭上に飛び散る
つまり冒頭で物語は完結しているのだ
しかしそれでは映画にならない
だから100倍に希釈して私達観客にこういう事なのですと説明していたのだ
そう思えば全て得心がいった
エンドロールが終わり、監督の名前が出たあとに写されるのはひまわりと南の島の浜辺
監督が種明かししているではないか
海外でこそより高く評価されるのも当然だろう
久石譲の音楽のクオリティが大変に高い
本作のアート性を高め更に気品すら与えている
人間らしいやくざ
やくざの抗争。ドンパチ以外に
仲間と一緒にはしゃいだり、
微笑ましいシーンが沢山ある。
怖いから撃っちゃうんだよ。
あんまり死ぬの怖がるとな
死にたくなっちゃうんだよ。
最後のシーン、このセルフ思い出した。
たけしさんの目のギラギラ感がすき。
セクシーさもあり、かっこいい。
拳銃撃つ時、隠れたりせずに直立不動で撃つのが
印象的だった。プライドなのかな。
相変わらず、あっという間に次々とひとが死んでいく。
あっさりと。
車内のラジオが、寄席か漫才なのが芸人らしさを出しているなと思う。
今回は朝焼けや、青空、海など
ビューティーカットがいくつかあった。
全40件中、1~20件目を表示