青春18×2 君へと続く道のレビュー・感想・評価
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岩井俊二的抒情と台湾恋愛映画らしい甘酸っぱさの好配合
個人旅行で二度訪れた台湾が大好きだ。本作の台湾パートで舞台になった台南に行ったときは、駅の近くでスマホのマップを見ながらきょろきょろしていたら穏やかな青年が話しかけてきて、目指していた旧跡や夜市を案内してくれた(最初は親切なふりをして後でガイド料を要求してくるパターンかと警戒したが、純粋に善意の若者だった。疑ったことを恥じつつ、夜市の食事でささやかなお礼をした)。民泊のホストのおばちゃんが、近所の食堂で朝食を御馳走してくれ、それから原付バイクの二人乗りで駅まで送ってくれたこともあった。「青春18×2 君へと続く道」は18歳の台湾男子ジミー(シュー・グァンハン)と日本人旅行者のアミ(清原果耶)が出会う物語だが、そんな良い思い出もあってどちらかというとアミのほうにより強く感情移入して観た気がする。
台湾人作家による紀行エッセイ「青春18×2 日本漫車流浪記」を映画化する企画がまず台湾で立ち上がり、台湾人プロデューサーのロジャー・ファンから藤井道人監督に声がかかり、日本側からの出資も集まって日台合作の本作が実現したという。18歳のジミーのバイト先のカラオケボックス店でアミが住み込みで働くようになるパートは、2人が訪れる映画館でポスターが貼ってあったグイ・ルンメイのデビュー作「藍色夏恋」に通じる甘酸っぱい青春恋愛物。そしてそこで2人が観た「Love Letter」の監督である岩井俊二の代表的な諸作に共通する抒情性が、36歳のジミーが旅する日本パートで優勢になる。これらの2つの魅力がうまく配合されて相乗効果が生まれており、台湾と日本の合作映画の幸福な成功例と評価できるだろう。
清原果耶は同世代の女優の中で抜きん出た演技力があり、3度目のタッグとなる藤井監督も彼女の魅力を的確に引き出している。もう1人の主演シュー・グァンハンに比べると出番が少ないのが物足りないが、ストーリーの都合上しかたないか。清原の今年2本目の出演作「碁盤斬り」がイタリアの映画祭で批評家賞を受賞したというニュースも最近あった。彼女の海外での認知度が高まり、外国映画にも起用されるような国際派女優としてさらに飛躍してくれることを大いに期待する。
これまで日台合作などの映画は多くあれど、ここまで機能した作品は初めてか。これは「余命10年」の藤井道人監督の手腕によるものか?
これまで日台合作の映画は多く製作されていましたが、正直なところそれほど効果を感じなかったり、出来にも課題がありました。
ところが本作を見て驚いたのは、極めて自然かつバランス良く、合作映画の相乗効果を上げていたのです!
私の感覚では、何も「日台合作映画」に限らず、全ての合作映画でベスト級の相乗効果を発揮できていると思います。
これは、台湾の描写から始まり、日本の描写もバランスが良く、主人公の台湾人ジミーの描写、日本人のアミの描写など、無理なく自然に必然性を持ちながら構築できているからでしょう。
本作のメガホンをとったのは藤井道人監督。
文句なく名作だった「余命10年」を撮れた監督なので、やはりポテンシャルが高いのでしょう。
本作も名作と言っても問題はないでしょう。
実際に細かく分析しても、特に無駄なシーンも無ければ、約2時間の尺も問題ありません。
ただ、「余命10年」と比べてしまうと、「大きく心を揺さぶるパワー」のようなものが、やや欠けているのかもしれません。
展開等も含め、本来であれば、もっと「より心を掴むようなシーン」になっていてもよかったと感じるからです。
そういう意味では「楽曲などの使い方の工夫で、もっと高いクオリティーの作品になった可能性」は否めず、強いて言えばそこが減点要素でしょうか。
とは言え、一般の映画としては十分なクオリティーの作品で、見て損はない作品だと思います。
あらゆる演出、展開がひとつひとつ意味があり、エンドロールまでしっかりと繋がっている
ある意味ベタなストーリー展開であるが、その構成、演出、映像によってずっと観ていたくなる作品になっていた。
よくある恋愛ドラマの見ている、こちらが恥ずかしくなるような演出はほぼなく、そのようなノイズがないのでしっかりと入り込むことができる作品であった。
あらゆる演出、展開がひとつひとつ意味があり、エンドロールまでしっかりと繋がっている感があり質の高い映画だなと感じた。
藤井監督の画のトーンは画を見るだけで藤井監督の作品と分かる、そんな個性を持った監督が次から次へとこれからも生まれてきて欲しいと感じた。
ジミー再生の旅へ
*18年後アミのふるさとに行く決心をしたジミーは列車の旅に出た。今まで行きたかった町を巡り、素晴らしい景色、ローカル線の空撮がとても美しく、ご当地で出会う人たちの優しさや暖かさににふれ『心』が解放されていったのかも知れない。そしてとうとうアミの故郷へ。
そこはどうしても行きたかった場所。
行かなければならなかった場所。
*そしてジミーにとってアミとの『想い出』は彼の生きる『糧』となった・・
*アミの透明感とものうげな姿が美しく、台南の暖かさとレトロなところが郷愁を誘う。
*ジミーの18才の初々しさからの歳を重ねるごとのメガネの変化と横顔が美しい
*『ラブ・レター』へのオマージュのような優しさ。ミスチルのエンディングが優しい。さすが藤井監督、とっても沁みる作品でした。
日本と台湾の風景の良さとともに、前向きになれる映画
雪国のきれいな風景、台湾の雑然とした街並みを俯瞰したショットで立体的に描かれ、日台の魅力がつまっている。
何度も繰り返される、回るショット、寝ているときの横向きのアングルなど印象的なものも、過去のショットとのつながりが想起される。
ちょうど、『あの頃、君を追いかけた』を見ていたので、そこともランタンの演出がつながっており、楽しめた。
清原果耶は、あまり見てこなかったが、演技はうまく、快活でありながら、秘密を抱える難しい役を演じられていた。
全体的に多くを語らない情緒的な演出で心で感じるところが多かったのだが、
一方であの結末が見えてくる時点で、どうしてもハードルが上がってしまう。
お涙頂戴のわかりやすい展開、演出、音楽。エンディングのミスチルも、心情をそのまま歌詞にしているのを字幕で出すのはいただけない。
とはいえ、一定感動できる演出になってグッと来るものはあった。
ターゲット層として、若い世代を意識してはいるのだろうで、わかりやすさと、感じ取ってもらう部分のバランスを、取ったのだと想像した。
ゲームを売上の主軸としてきているサイバーエージェントが制作しているのも、物語でもある、ゲーム事業からのリスタート、という点とリンクしていて意図を感じる。
スタートアップ業界で、突っ走ってきた人が見るとより、共感できるかもしれない。
はっきり言おう、「子ども騙しの映画」。
今年の誕生日がくれば、69歳になる。競馬に例えれば、最終コーナーを廻ってあとは死のゴールへと走り抜けるだけ。
そんな老人が観ると、微温的で感傷が有るのみの映画だ。三島由紀夫は「感傷的」を目の敵にしていた。彼の作品には鑑賞性が殆どない。あったとしても意図的に行われている。抒情的と感傷的は違うと私は考えている。この映画は感傷的だらけで、逃げ出したくなる。また、余分な物語が多すぎる。なぜ、カットしないのだろう。90分で収まる映画ではないか。その方がもっと余韻を味わうことができるのではないかと思う。
NHKの朝ドラで15歳の清原果耶を知って、将来を楽しみにしていた。昨年は舞台でジャンヌ・ダルクを演じ、演劇評で褒められていた。私に言わせれば、子供騙しの映画に出演して嬉しいのだろうか。そんなことを映画を見ながら、考えていた。
涙が止まらず、、、
以前から気になっていた映画だったので、台湾から帰ってきて数日後に見に行きました。あらすじなどは全く知らず、どんな話かさえ分からないまま鑑賞しました。
本当にただの偶然ですが、私も台南の町で映画の中の2人のような出来事を経験したばかりでした。映画を見ながら、自分の体験と映画の内容が重なり、とてもじゃないけれど他人事とは思えませんでした。
そういった背景もあり、非常に感情移入して見ることができました。
4.5にしたのは、結末がよくある展開だったからです。この手の恋愛映画にはよくある話だなと思ってしまいました。ただ、調べてみたところ、これは実話を元にして作られている映画ということなので、その点を考慮して考え直すと、全然ありきたりな展開ではなかったのかもしれません。
本当に旅は何が起こるか分からないです。分からないから面白いし、楽しいのです。これはただの他人が経験した話ではなく、いつか自分も体験するかもしれない、そんなまだ見ぬ旅の話だなと思いました。
若い頃にこんな経験はしなかったけど・・・
場面場面がそれぞれ一枚の絵のように美しく常に優しい気持ちにさせてくれる作品です。
ストーリー的には奇をてらったわけでもなく想像を超えるものではなかったけれど、だからこそひとつひとつの場面を丁寧に仕上げなければいけないし、演者のみなさんがきちんとそれに応えて演じているなと感じます。
途中で泣かせて最後は納得して終わるで、エンドロールでミスチルの曲を聴いてまた泣いてしまいました。
ジミーと一緒に旅をした気分になりました。自然と感情移入していた自分がいました。清原果耶さん、台湾似合うな〜。
素敵な作品でした。
美しい風景に胸キュンの初恋ストーリー
台湾でのひと夏の初恋物語。(台湾だから夏じゃないかもしれんけど)
美しい風景、スクーターの二人乗り、胸キュン(死語?)する事間違いなし。
台湾と日本、風景も時代もカットで変わっていくけど、まったく混乱が無いのは、さすが藤井道人監督。
それに、ほんのチョイ役まで素晴らしい役者だらけ。
ただ、ストーリー展開はベーシック。
旅に出たくなった
シュー・グァンハンが演じたジミーの18歳と36歳での演技の差が素晴らしく違和感を全く感じない。
アミがどんな想いで旅に出て、何を思ったかが清原果耶の演技により見事に表現されていた。特に泣きの演技が良い。
黒木華や道枝駿佑は出番は少なかったけど旅の途中での出会いを象徴していて良い。こんな人いそうだなと感じた。
私も旅をすることで立ち止まって自分を見つめ直したいと思った。
心にしみた
心に染みる良い映画でした。
ジミーが彼女がすでにいないことを知っていながら「会いに来た」のが分かって、涙腺壊れました。
ベタな展開で、序盤からすでに結末の想像はつくんだけどそこに行き着く過程が心に沁みる。
年上の可愛い女性に惹かれてドギマギしながら頑張るジミーは擦れてない18歳男子あるあるでいい感じ、アミも距離を取りながらも(そうせざるを得ない)彼への好意を滲ませて甘酸っぱい青春描写がとても心地良く、カラオケ店の人々も良い人ばかりで見ていて幸せな気持ちになる。バイクの二人乗りは鉄板ですね。
台南の風景、鈍行列車でめぐる日本の各所の風景、特に雪景色が、叙情的で心地よく、ジミーの旅の途中で出会う人達もさり気なく温かい。台湾と日本の、ランタン祭りの光景、特にランタンが夜空に舞い上がっていくさまを下から追った映像には、なぜか泣けてしまった。
シュー・グァンハンも清原果耶も、役柄にも映画の雰囲気にもぴったりで完璧と思いました。
清原果耶はどこか儚げで、ああやっぱりと思うし、18歳と36歳のジミーを演じ分けたシュー・グァンハンが素晴らしい。なんとなく控えめで尖ってない普通の男子なのが良いんですよね。
いい映画を観ました
観客に一部情報を隠す手法がちょっと嫌
今日本で一番の売れっ子であろう藤井道人が監督・脚本を務めた最新作で期待に違わぬ大傑作である。こんなに上手い職人監督を他に知らない。なんといってもここ5年間で「新聞記者」「宇宙でいちばんあかるい屋根」「ヤクザと家族」「余命10年」「ヴィレッジ」「最後まで行く」「パレード」等々…そして本作と硬軟織り交ぜ作り(作らされ?)続けていてさらに今年松竹と東映でも新作が公開を控えているというのだから化け物なのか?くれぐれも過労死しないようご自愛願いたいと祈るばかり。今作は圧倒的にオーソドックスな純愛青春ラブストーリーでSLAMDUNKや岩井俊二Mr.Childrenなんかをちりばめちゃってるもんだから若者からおじさんシニアまで映画館に来た人をもれなく大泣きさせてくれる。画の切り取り方が上手いと思わせる面と山田洋二の如く出発する列車の扉の別れをきっちり切り返して見せる正当性、それこそバイオレンスアクションからプラトニックラブまでどんだけの映画制作経験をしているんだ?2周目を疑う。だって祭りの夜歩く二人が手をつなぐか触れ合うのか?を寄ったり引いたり見せるだけでこんなにわくわくさせてくれる映画に何年ぶりにお目にかかったことか!ジミー役の台湾の子を筆頭に華&瞳のW黒木、清原果耶と役者がことごとく良くて安心して観ていられることがありがたい。
⭐︎4.0 / 5.0
5月4日(土) @映画館
青春18×2 君へと続く道
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人生に「岐路」は沢山あって、同じだけの「後悔」もあって
それでも「記憶」はいつも優しく、落ち込んだ心に寄り添う😌
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あまり好まないジャンルの作品、でも高評価で気になり鑑賞しました。 ...
あまり好まないジャンルの作品、でも高評価で気になり鑑賞しました。
展開は割とスローでしたが、美しい映像と役者さん達の自然体の演技に魅了され最後まで心地良かったです。
ラストに向けて涙涙でした。
青春時代を想い出させる映画
清原果耶さんが好きで今までの映画も全て観てきたが、今回の映画もまた素晴らしい演技で感動した。
若かりし頃の青春時代を想い出させるシーンの数々には思わず感情移入してしまう。
清原果耶さんは泣きの演技が最高で年甲斐もなくつられて泣いてしまった。
エンドロールで流れるミスチルの曲を聞きながら頭の中で今観たばかりのシーンが次々と思い出され余韻に浸ってしまった。
エッセイ映画
こういう映画、嫌いじゃない。原作がエッセイらしいので、リアリティのある部分も多く、共感できる部分や、ラストの語り等は結構きた。
けど、長いわりに無駄も多く。カットを引っ張り過ぎてたり、正直、ダルく思える部分が多かった。
60分から90分に纏まった映画なら、もっと良かったかなと思う。
ジミーかわいすぎ
初恋の続きを追うロードムービー
現在と過去を切り替えながら進行するが、主人公のジミーが同じ人物と思えないぐらい演じ分けられていてスゴイ。
過去編でアミとジミーは普通にイチャコラしてるけど、アミは踏み込まず壁を作っている。
あーこれフラグですね
はいはいフラグフラグ…
…フラグゥ――――!!!
こんなの分かっていても泣くわ。
映像もきれいだし、ジミーかわいすぎだし、もちろんアミもかわいい。
登場人物みんないい人。暖かい気持ちになれる。黒木華がチョイ役で出てきてビックリした。なんでもうまいなこの人…。
泣ける恋愛映画観たいならオススメ!
眩しくて綺麗な青春映画
日本と台湾の合同制作映画ということだったので、気になって見に行った。
儚くて美しい青春映画というだけでなく、これからの生き方を考えさせる映画だった。過去と現在を行き来しながら進んでいく作品だが、ジミーが若返ったりちょっと老けたりと台湾の俳優の方の演技が素晴らしいと思った。
主題歌も聴くたびに、2人のことを思い出すような素敵な曲だった。2人が電車でミスチルのなんの曲を聞いてるか気になった。
ジミーが残したもの
ジミーにとって、生まれてからの18年と、そこから現在に至る18年は全然違うようでも、それぞれの青春があったと思う。
旅人に出会った人は、その人に何かを残していく。それを実感できる日本の旅だった。ロードムービーとしても最高な映画だった。
ジミーはアミに何かを残せたのか気にかけていたが、その問いが映画の終盤で明らかになる。
ジミーのおかげでアミは生きたいと思うようになったのではないか。その、生きたいと思う原動力が、『誰かに会いたい』だなんて、なんて素敵なラブストーリーだろうか。ジミーはアミにとってかけがえのないものをのこした。だからこそ、アミが亡くなっていたのは切ない。
また、亡くなっていることを知りつつ、アミにサヨナラを言うために、会いに来たという真実は、映画の終盤で、その切なさを増長させる。
結果だけ見たら、すごく悲しいのだけれども、観終わった後は全く嫌な気持ちにはならず、心地よい余韻が広がる。それは、18年の歳月を経て、ジミーがアミとの約束を果たしたからだと思う。彼は、過去に出会った人の思いを胸にしまい、新しい青春を始めようとしていると感じた。
映画館で観れて良かったと思う理由の1つがミスチルのエンディング。あの曲だけで、涙が込み上げてくる。
恋愛映画ではない!これは30代男性の再出発のロードムービー!
恋愛映画っぽい宣伝になってて敬遠してる人もいそうなのが勿体無い。エンディングの主題歌まで噛み締めて観てほしい映画。
そして「主演の演技」と「展開が読めるからこその良さ」を絶賛したい映画。
「主演の演技」については18歳と36歳を演じ分けるシューグァンハンさんが素晴らしい。交互に見せられる演出なのに違和感が全くない。異国から来た4つ上の女性にドキドキする18歳の青年と、築き上げたものもたった一つの約束も無くしてしまった36歳の男のどちらもちゃんと見える。仕草一つ一つに違いがあって素晴らしかった。
「展開が読めるからこその良さ」については、そのままの通り。予告でもあらすじでも「そうなんだろうな」と予想はついたし実際展開は変わらない。でも、だからこそ18歳の頃の日々の眩しさが尊く感じられたんだと思う。視聴者はどうなるか予想はつくのに、18歳の主人公だけは気付かないままでもどかしく、無情な時間の流れに取り残された男の後悔がよく分かるようになってる。異国からきた女性の想いを知るために、初恋の思い出を辿りながら旅をして人生を再出発する男の映画としてとても良かった。
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