アステロイド・シティ

劇場公開日:

解説

「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督が、砂漠の街に宇宙人が到来したことから巻き起こる大騒動を独特の世界観で描いたコメディ。

1955年、アメリカ南西部の砂漠の街アステロイド・シティ。隕石が落下して出来た巨大なクレーターが観光名所となっているこの街に、科学賞を受賞した5人の少年少女とその家族が招待される。子どもたちに母親が亡くなったことを言い出せない父親、映画スターのシングルマザーなど、参加者たちがそれぞれの思いを抱える中で授賞式が始まるが、突如として宇宙人が現れ人々は大混乱に陥ってしまう。街は封鎖され、軍が宇宙人到来の事実を隠蔽する中、子どもたちは外部へ情報を伝えようとするが……。

キャストにはジェイソン・シュワルツマン、エドワード・ノートンらアンダーソン監督作の常連俳優陣に加え、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、マーゴット・ロビーらが参加。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2023年製作/104分/G/アメリカ
原題:Asteroid City
配給:パルコ
劇場公開日:2023年9月1日

オフィシャルサイト

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受賞歴

第76回 カンヌ国際映画祭(2023年)

出品

コンペティション部門
出品作品 ウェス・アンダーソン
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映画レビュー

3.5At the Cinema with Wes

2024年5月7日
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One reason to love Wes is that even if the film isn't necessarily a masterpiece one can at least enjoy the charming ditty of a colorful storybook tale with the dry humor acted by Wes' A-list friends. A tongue-in-cheek exploration of America's atom bomb nucleus, Wes keeps a simple story entertaining by giving equal time to its abundance of characters, as well as to the story's fictional writer.

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Dan Knighton

5.050年代アメリカの明るさと不安さ

2023年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1950年代、「古き良きアメリカ」がまだ残っていた頃の架空の物語だ。全てはこの監督らしくカリカチュアされ、舞台となる町「アステロイド・シティ」は殺風景ながらもなんだか楽しげな雰囲気がある。本作は劇中劇のスタイルを採用している。この街で展開されるのは筋書きのある演劇で、その舞台裏をテレビ番組で紹介している。一種のメタフィクションだが、このスタイルであることが重要だ。
アステロイド・シティは隕石が落ちてそのクレーターを観光名所としてできた街だという。宇宙への憧れと科学信仰の強かった同時代を背景するかのように、街では天才の子どもたちに化学賞を授与するセレモニーが開催されている。その授賞式の最中に宇宙人が来訪して、町は軍隊によって封鎖されてしまう。科学をたたえ、宇宙に憧れるが、漠然とした不安が漂う時代でもあったのだろう。明るい作風に不穏な空気が漂い始める。
そうした科学の明るいイメージと宇宙への憧れも恐怖も、そしてあるいは原爆開発競争を助長した冷戦に対する不安も、世間はテレビというイメージ発信装置を通じて得てきた。カリカチュアされた演劇空間をテレビで見せるという複雑な物語構造は、50年代の「古き良きアメリカ」も科学への未来イメージも宇宙も、何もかもテレビというメディア空間がもたらした幻想だったのではないかと言っているようだ。楽しい映画だが、鋭い見解を内包した作品で、近年のウェス・アンダーソン作品の中でも特に好きだ。

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杉本穂高

3.5理解しようとかいうおこがましい気持ちは捨てようと思う

2023年9月30日
PCから投稿
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村山章

4.0またひとつ風変わりで愛おしい作品が生まれた

2023年8月31日
PCから投稿

そこは淡いパステルカラーで彩られたアメリカ南西部の町。何もない砂漠地帯に取り残されたかのようなこの地に、様々な目的に持った人々が集まってくる。冒頭で明かされることだが、本作は特殊な要素を持っている。それは一言でいうと「演劇」「舞台」という構造なのだけれど、思えばアンダーソン作品にはこういった表現手法が幾度となく顔を出す。加えて「天才マックス」では屁理屈な高校生役だったシュワルツマンが、あれからひと回りも二回りも歳を重ねたかのように3人の子供の父親役を演じ、さらに作中では各分野に秀でた天才少年少女が登場するなど、往年のアンダーソン作品のトレードマークが次々と登場。全体のテイストはとてもスローでいつもとだいぶ異なるものの、一方、中盤で起こる”ある出来事”は、胸の高揚とノスタルジーが最大値に振り切れて押し寄せてくるかのよう。こんな意表をついた掛け合わせを堪能できるのもアンダーソン作品ならではだ。

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牛津厚信
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