ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソン

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ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソン

解説

人間を殺したくない吸血鬼と死を望む青年の出会いを描いたカナダ発のダークファンタジー。

人間社会に溶け込みながら、密かに人間を狩る吸血鬼たち。そんな彼らの中で、サシャは感受性が豊かなあまり人間を殺すことができないという致命的な問題を抱えていた。生きるために必要な血の確保を両親に依存し続けてきたサシャだったが、両親はそんな彼女を血気盛んないとこのドゥニーズと共同生活させることに。サシャはドゥニーズから自分で獲物を狩るよう促されるが、どうしても殺すことができない。心が限界を迎えた時、自殺願望を持つ人間の青年ポールと出会う。人間社会でいじめを受け、どこにも居場所がないと感じている彼は、サシャに自分の命を捧げようと申し出るが……。

「ファルコン・レイク」で注目を集めたサラ・モンプチが吸血鬼サシャを演じ、新人俳優フェリックス=アントワーヌ・ベナールがポール役で共演。短編作品がトロント国際映画祭やベルリン国際映画祭にノミネートされた経験を持つアリアーヌ・ルイ=セーズ監督の長編デビュー作。

2023年製作/91分/カナダ
原題:Humanist Vampire Seeking Consenting Suicidal Person
配給:ライツキューブ
劇場公開日:2024年7月12日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
アリアーヌ・ルイ=セーズ
脚本
アリアーヌ・ルイ=セーズ
クリスティーヌ・ドヨン
  • ポールフェリックス=アントワーヌ・ベナール

  • スティーブ・ラプランテ

  • ソフィー・カデュー

  • ノエミ・オファレル

  • マリー・ブラッサール

  • パトリック・イボン

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フォトギャラリー

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映画レビュー

5.0英語タイトルをカタカナにしただけの邦題が酷いですが映画自体は大傑作です

2024年5月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2023年10月開催のサンパウロ国際映画祭での鑑賞作品1本目。カナダ産ホラーコメディで“自殺願望のある人を探しているヒューマニストのヴァンパイア”ってタイトルだけで観ることに決めました。

ヴァンパイア一家の一人娘サシャは少女の頃に贈られたプレゼントが原因のトラウマに囚われてしまいヴァンパイアなのに年頃になっても牙が生えてこなくなってしまい、路上でピアノ演奏をして日銭を稼ぐ時以外は自宅に引きこもって輸血用の血を摂取しながら暮らしていた。いつまで経っても成長しないサシャに業を煮やした両親は彼女を家から追い出して自立している従姉妹のデニースと共同生活させ、自力で人間狩りをさせようとするが本人は全くやる気が起きない。そんなサシャの前に現れたのは自殺願望のあるポール。彼は彼女が吸血鬼であることを受け入れ自らの命を差し出そうとするが、今一つ納得がいかないサシャはポールに彼が死ぬ前にやっておきたいことを一緒にやろうと提案する。

人間とヴァンパイアの心の交流を描いた私が愛してやまない『ぼくのエリ』からの影響が色濃くて思わずニヤニヤしてしまうわけですが、人間であるオスカーの葛藤を描いた『ぼくの〜』に対してこちらはヴァンパイアであるサシャと人間のポールの葛藤を両方描いている点が異なります。前者ではオスカーの前に現れる救世主がエリであるのに対して、こちらではサシャの前に現れる救世主がポールと真逆になっている点も非常に興味深いところ。ヴァンパイアの話ですがその根幹にあるのはティーンエイジャーの抱えるもやもや。誰にも理解してもらえず孤立した二人が偶然出会い共鳴し合い、お互い考えたことのなかった突破口を切り開く展開は猛烈に爽やか。『ゾンビ』や『ブレイド2』といったホラー作品だけでなく、『バッファロー‘66』へのオマージュもあったりして血塗れなのにクスクス笑えるし、ラストシーンではアノ映画のパロディで締めるという痛快さも相俟ってエンドロールでは拍手喝采となりました。これぞ国際映画祭の醍醐味。主演のサラ・モンペティが醸すいかにもヴァンパイアな雰囲気が鮮烈。虜になりました。

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よね