「高峰秀子生誕100年プロジェクト」開催　特集上映、関連書籍、展示など大規模に展開

2023年10月3日 13:00

「浮雲」「二十四の瞳」など映画史に残る数々の傑作に出演した女優・高峰秀子。2024年の生誕100年を記念した「高峰秀子生誕100年プロジェクト」製作発表会見が10月2日、東京・帝国ホテルで開催された。

5歳で子役として映画デビュー、その後55歳で俳優業を引退するまでの半世紀の間、常にトップスターとして輝き続けた。300本以上の出演作を残した俳優としての功績、そして文筆家としての活躍に限らず、人として、女性としての生き方、美学、何を大事にし、何を失っていたのかなどを、現代の若い世代にも知ってもらいたいとの想いから、プロジェクト実行委員会が発足。高峰さん出演作の上映のほか、関連書籍の刊行、高峰さんの足跡をたどる様々なイベントが、今月から催される。

プロジェクト実行委員会会長で、小豆島町町長の大江正彦氏は「プロジェクトを通じて高峰さんの人としての素晴らしさをより多くの方に知っていただき、その魅力を次の100年に繋げていくことができれば、主催者としてこれほど嬉しいことはございません。平和の尊さ、人の優しさ、思いやりという高峰さんが大切にされ、私たち人類が普遍的に大切にしなければならない本質的な価値について、生誕100年をきっかけに伝えていければと考えています」と意気込みを語った。

プロジェクトサポーターで女優の名取裕子は、「九州の映画祭で目礼を交わしただけですが、スクリーンで見て、ご本を拝見していた高峰さんがそこにいらして。小粒だけど綺麗なパールのネックレスと花柄のワンピース姿がとても美しく、ああ、本当に素晴らしい女優さんだと。凛とした美しい潔さがあり、本物である方。女優としても人としても憧れております」と在りし日の高峰さんと遭遇した一日を振り返った。

同プロジェクト委員で、松山善三・高峰秀子夫妻の養女である松山明美氏は「皆さんありがとうございますと言いながら、ちゃぶ台返しのようなことを申し上げますが、高峰は私を怒っていると思います。（プロジェクト発足を）喜んでいないと思います。なぜなら高峰は自分のために人様の手を煩わせたりすることが嫌いでした」と謙虚な高峰さんの人柄を伝え、「でも、客観的に見て、あの人は（生誕100年プロジェクトを開催する）値打ちのある人」と力を込める。

「すごく面白い人で、ずば抜けて頭が良かったです。そして人の気持ちのわかる人でした。晩年でしたが、私はあの側にずっといてこんな人には二度と会えないだろうと思っていました。そういう意味で、本人がどう思おうと、私は勘当されようが何だろうが、私は今の方に、これからの世代の方にも高峰という人間を知ってもらいたいと思いました」とプロジェクト開催の意義を強調した。

この日の会見には、東宝株式会社市川南取締役専務執行役員、松竹株式会社井田寛執行役員メディア事業部部長、株式会社KADOKAWA山下直久取締役代表執行役、一般社団法人日本映画製作者連盟星野哲事務局長も参加し、高峰さんの出演作品などについて語った。

上映、イベント開催情報は公式サイト（ https://www.takamine-hideko.jp）にて随時更新される。

▼現在開催が決定している上映、イベントなど

■池袋・新文芸坐
日程：2023年10月15日（日）～31日（火）
上映作品：「浮雲」「張込み」「名もなく貧しく美しく」「山河あり」など計１２作品
講　演：10月15日（日）午後
養女・文筆家　斎藤明美トーク＆サイン会

■香川県立ミュージアム
日程：2023年11月11日（土）
上映作品：「カルメン故郷に帰る」
講演会：11月11日（土）15時～
養女・文筆家　斎藤明美講演
演題「高峰秀子のあきらめない人生」
■池袋・新文芸坐
日程：2024年1月1日（月・祝）～3日（水）
上映作品：近日決定

■大阪九条・シネ・ヌーヴォ
日程：2024年2月3日（土）～
上映作品：近日決定

■ラピュタ阿佐ヶ谷
日程：2024年3月6日（水）～5月4日（土・祝）
上映作品：＜昭和の銀幕に輝くヒロイン高峰秀子　少女スタア時代篇＞
「綴方教室」「チョコレートと兵隊」「樋口一葉」「秀子の應援団長」など計11作品
講演会：3月9日（土）
養女・文筆家　斎藤明美　トーク＆サイン会

■高知県立県民文化ホール
日程：2024年4月7日（日）
上映予定：「女が階段を上る時」「衝動殺人～息子よ」「母」3本立て
講演会：4月7日（日）
養女・文筆家　斎藤明美　講演会

■鎌倉市川喜多映画記念館
日程：2024年11月　約2週間
＜3人の映画監督と高峰秀子＞
上映予定：近日決定
■東京都写真美術館

※映画上映は今後も順次増える予定。
▼展覧会
■高峰秀子生誕100年特別展「高峰秀子が愛したきもの」展
現在でも松山家に保管されている高峰秀子が愛した貴重な着物の数々を一挙初公開。
日程：2024年3月27日（水）～4月9日（火）
会場：日本橋三越本店
入場無料

■高峰秀子生誕100年大特別展
「逆境を乗り越えた大女優高峰秀子の美学」
女優として、エッセイストとして、そして人間としての高峰秀子、その全生涯を、貴重な愛蔵品とビジュアルによって描く。
日程：2024年3月28日（木）～5月6日（月・祝）
会場：東京タワー1F RED°TOKYO TOWER特別会場
入場料：前売　大人1,100円（税込）/当日　大人1,500円（税込）

■写真展
「巨匠が撮った高峰秀子」写真展（予定）
写真界の巨匠土門拳・木村伊兵衛・秋山庄太郎・大竹省二・早田雄二・立木義浩・操上和美などがファインダー越しから見た高峰秀子を一挙に公開。
日程：2024年11月9日（土）～12月8日（日）
会場：東京都写真美術館地下1階展示室
入場料：未定
▼高峰秀子関連書籍の発刊
＜新刊・新刊予定＞
【文藝春秋】
「高峰秀子の言葉」（23年3月刊行）
「高峰秀子の引き出し」（24年5月刊行予定）
【キネマ旬報】
「直筆イラスト入り高峰秀子日めくり言葉31」（2023年10月刊行予定）
「松山善三・高峰秀子写真集　ふたり（仮題）」（2024年秋刊行予定）
【筑摩書房】
「高峰秀子ベストエッセイ」（22年10月刊行・重版）
「高峰秀子　暮らしの流儀　決定版」（24年刊行予定）
「高峰秀子　夫婦の流儀　決定版」（24年刊行予定）
【河出書房新社】
「高峰秀子のウー、うまい！」（22年10月刊行・重版）
「私、ホント食いしん坊なんです」（23年9月刊行）
「高峰秀子と作家たち」（24年10月刊行予定）