イノセンツのレビュー・感想・評価
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子供たちが陥る落とし穴は「狂気」ではない。
説明文には「次第に狂気へと変わっていく」と書いてあるのだが(公式サイトでも「とりかえしのつかない狂気」とある)、果たしてあの子供が陥ったのは狂気だろうか。幼い日には誰もが抱いたもどかしい感情が、おそらく超能力によって増幅され、そして歯止めがきかなくなるリミットを超えてしまう。超えた時点で狂気なのかもだけれど、この映画の子供たちは全員、ごく当たり前の感情に振り回されているに過ぎず、気持ちと気持ちの掛け違いを極端なカタチで表現したらこうなったのではないか。それくらい本作で描かれているエモーションは普遍的だし、決して特殊な子供たちの物語ではないのだと思っています。
子供たちの静かなる内面模様に心掴まれる
北欧から届く映画には、日常を別の角度から、あるいは内側から提示するものが多い。この『イノセンツ』も子供たちのサイキックスリラーといえばそれまでだが、描写の端々に一筋縄ではいかない感覚が溢れ、序盤の「つねる」という子供ながらの小さな悪意を起点として、まだ右も左も分からない主人公たちの感情がいかに振り切れていくのか、期待させるし、不安にもさせる。「童夢」にインスピレーションを受けているだけあって、団地が舞台となのは当然であるし、やがて目覚める彼らの力は不可能を可能とし、希望にも、また暴走の火種にもなりうる。だがここで注目すべきは内面の描写であり、最初の「つねる」という行為がいかに変容していくのかという姉妹の関係性の成熟には心奪われるものがあった。興味深いのは、超能力をメタファーとして捉えると、子供をめぐる社会のあり方を描いた映画のようにも思えること。これまた北欧らしいなと感じ入った次第である。
思ってたより童夢
思ってたより童夢だったけど、童夢くらいのスペクタクルが欲しかった。予算の関係で無理だったのだろうけど…。童夢ベースの超能力スペクタクルはクロニクルの方が圧倒的だし映画としてもおもしろい
監督は童夢を読んでいるに違いない
子供たちの静かな超能力バトル。
監督は童夢に影響受けていると思う。
もちろん童夢のような派手な展開はないが、団地、子供、超能力、障害者
そしてラストのベランダから覗く子供達など。
大人の知らないところで静かに超能力の戦いが激化していく様子は良かった。
ただ、幼い子に過激な事をさせるのは見ていてちょっと心が痛むかな。
あのような過酷な争いは大人でもなかなか耐えられるものではないからね。
まあ、むしろ子供だからこそ持ち得る残酷さが出来たのかもしれないが。
派手な演出こそないがじわじわとくる恐怖が、平凡な日常に大人が気づかないところで
迫ってくる様子がいい。近くにいる大人は誰も役に立たないという状況はなかなか面白いと思う。
ベンは邪悪だけど、家庭環境をもう少し描いても良かったかもしれない。
ベンが人を傷つけることに躊躇がないのはサイコパスだからなのか環境によるものなのか
わからなかったからね。猫を殺すシーンはサイコパスの象徴なのかとも思ったが、、
前半も面白かったんだけどちょっと静かすぎて退屈かも。
まあ、後半も静かだけどね。
アニメ的なバトルが多い中、静かなバトルでも盛り上がるんだなあと思いました。
良かったと思う。
舞台のノルウェーの団地は結構日本のものと似ていて日本人に総入れ替えしても
普通に気づかないかも。
無垢…しかし邪悪
北欧産サイキックスリラーの佳作。
子供達だけの物静かな戦いだが、残虐で怖い…
猫のシーンはかなりショッキングだ。
主人公の少女の知恵と勇気には驚いたが
最後、母親に号泣するくだりには無垢で純粋な
少女を見て取れて、何だか安心した…。
あのラストシーンは色々と想像できそうで
そのあたり上手く出来ている。
大人には、秘密。
原題
The Innocents
ノルウェー題名
De uskyldige
感想
大友克洋「童夢」からインスピレーションを得た驚異の映像に、世界が震撼&絶賛
『ミッドサマー」『LAMB/ラム』に続く北欧発のサイキック・スリラー
退屈な夏休み。無垢な子供たちの遊びが、狂気に変わる。
終始不穏な雰囲気が漂いゾッとする作品でした。やっぱり子供って怖いです。
子供たちの静かなる団地サイキックバトルでした。
ベンの純粋な残虐性が恐ろしかったです、猫にトドメを…母親に…。
痛々しい描写ありです。
イーダ、アイシャ、ベンの子役らの自然な感じの演技もよかったです。アナの自閉症の演技は難しかっただろうに…
ラストも静かに終わりましたね。
※衝撃の夏休みが始まる
サイコキネシス
8月10日(木)
吉祥寺に行ったのでUPLINK吉祥寺で「イノセンツ」を。シニア料金が1,300円になっていた。
以前から言っているが、北欧の映画は油断ならない物が結構多い。本作も仲々だ。
夏休みに団地に引越して来た姉妹、姉が自閉症で言葉を失っているので母親は姉に手を掛け、構ってもらえない妹は面白くない。夏休みで学校にも行かないから友達もいない。ヴァケイションで出かけている家族も多く団地も閑散としている。そんな中で姉妹は二人の子供と仲良くなるのだが…。
この二人と彼らの母親との関係の描写が足りない。この後に起こる事件の伏線になるだけにもう少し描いて欲しかった。
ハリウッドならラストのサイコキネシス対決は派手になる所を抑えた形で終わったのが北欧風か。
映画は面白いのだが、猫が…。妹は蛇が嫌い。猫好きと蛇嫌いには、しんどいシーンがある。要注意。私もビックリした。猫と蛇は一緒に出ないよ!
言い忘れたけど、自閉症の姉役の娘は演技が上手い。元ネタは大友克洋。監督が大友克洋好きらしい。
天才たちの競演
ベンやばい、邪悪すぎる。アイーシャは最初から最後までかわいい、これは無垢な天使。イーダは最初憎たらしさ故にブサイクにしか見えなかったのが中盤から可愛い女の子にしか見えなくなる。そしてアナ、ディカプリオ以来の天才現るって感じ。見終わってからあの人生最悪の映画の一つテルマの脚本家だとしり、しかもこの映画も脚本を書いてると知り驚きアンド見る前に知らなくて良かった。知ってたら絶対見なかっただろうから。邪悪ベンは今までもいじめられてたろうし、それまでその力を使わなかったのはヘンだなと思うけどアナと出会ってみんな覚醒されたと見るとつじつま合うから良し。ベン役の子、英語が話せるならアレックス・ウルフくんの後釜狙えるな。
猫のシーンはやめて欲しい
幼い頃には生と死の事などは漠然としか分からず、それが昆虫など自分より弱い者へ流れてしまうこともある。人はそうして成長していくのだと思うが、本作に登場する子どもらはそれと同時に不思議な力を見出してしまうのである。本作で描かれるのは「無自覚な狂気」であり、それが一番怖いものだと改めて感じた。
初めこそイタズラ程度だったものが次第に狂気を帯びて来るようになる描写は何とも言えないリアルさがあって怖かった。その興味本位から生まれた狂気の矛先が猫に代わり(このシーンが猫好きには非常に不快である)、挙げ句の果てに人に行ってしまうという重いテーマの作品なのである。
物語にはそれほど大きな起伏も無い様に思えるが、平坦にも思える映像が彼らの心情だと思うと尚更怖い。 本作の注目すべきはメインキャストを演じた子役たちだ。主人公の障害を持った姉と、段々と狂気じみてくる少年、特にこの2人の動向から目が離せなくなる。彼らには退屈な夏休みという事しか共通点は無く、それが絡み合ってここまでの事態に発展するとは誰が想像しただろうか。舞台は日本で言う団地の敷地内のみ、能力の発端等も不明、子ども目線で全て描かれるという閉鎖的とも言える条件で良くここまで広げられたと思う。世間一般どこかヒーロー映画疲れが言われている昨今、そこに一石を投じる映画なのかもしれない。
子供達の演技の凄み
超能力を持ってしまった子供の力に対する
純粋な好奇心と、そこから自然と方向を変えていく悪意
みたいなものが、とても丁寧に描かれて、
観ていてストーリー展開に引き込まれてしまう。
北欧の作品に共通する、全体を覆う雰囲気もいい。
静かだけど激しいラストもいい。
純粋で無垢な最高のサイキックホラーですね。
子役達の演技は圧巻で、アンナ役の自閉症の子供を演じるのは、素晴らしい。
団地に住む子供達の設定は、素晴らしくほんとに様々な家庭環境下に置かれているのは、真実味がありストーリーに入り込みました。
サイキックと連想すると、バーン💥ドーンなど派手なアクション、人体破壊などあるかと思わされますが、まー静かにジワジワと恐怖心に変わる映像と音響が素晴らしい👀
子供の純粋で無垢なゆえに、残酷にもなり得る。
そこにプラスされて、サイキックを手にしたらさぁどうなるのか?
ハラハラ、ドキドキが最後まで持ってイカレましたねー。
最高でした。
大人は判ってくれない
テルマ(2017)の脚本家が監督にまわってつくった映画。
少女アイダは引っ越し先の団地でテレキネシスやテレパシーがつかえるベンやアイシャに出会う。自閉症の姉アナも精神感応ができるようだ。
当初はあそび仲間だったベンはサイコパス気質があり、能力をつかって人を傷つけるようになったので対立する。
道徳倫理や社会通念のない子供が凶悪な能力をもっていることが、基地外に刃物のような様相を呈し、見ていてすごくはらはらした。息詰まる映画だった。
映画は見たままの印象で、いじめや無理解な大人などの寓意は読み取れるものの、とくに明らかなメッセージにはなっていない。
が、子供らは大人の理解できない高度な能力をつかって大人の解決できない問題に対処しようとしている。その豊饒ともいえる子供らの能力世界から見たとき、大人たちの経済的な生活の諸問題などが、ばかばかしいものに見えるという構造において、皮肉や風刺が成立している。
アイシャの母は台所でいつも泣いているが、大人らは各々、生きづらい俗世間をどうにか生きていかなければならないゆえに、つねに自身の悩みと屈託に沈んでいる。それが無関心や無理解の態度となって子供にあらわれる。
一方で子供らはテレキネシスやテレパシーをつかって人類の敵となるであろう邪悪を倒そうとしている。
ところが大人からは子供は子供でしかなく、アナは意味をもたない非言語の自閉症スペクトラムにしか見えない。
de uskyldigeという原題を翻訳機にかけたら“あどけない”とか“罪のない人”などと翻訳された。
じっさいには恐るべき能力をもった者が、端からは(大人からは)無力なde uskyldigeにしか見えないということの逆説をこの映画は言っている。
いずれにしてもたんに異能の子供らを描いたのではなく複合の寓意を持たせようとしている感じがあった。ともすればベンは「大人は判ってくれない」のジャン=ピエール・レオに見えなくもない。
この感じはテルマにも通じていて、テルマは見た人毎にいろんな印象のある映画だった。個人的なテルマの解釈は「宗教二世の悲劇」であり、それはこんな感じ。
テルマは厳格な信者夫婦の子に生まれた。つづいて弟のトロンが生まれるがなんらかの要因で死なせてしまう。両親は悲しみから逃れるために、何かと小賢しいテルマに弟の死の責任をかぶせる。心因性の発作も悪魔憑きのようにとらえて抗精神病薬を飲ませてテルマをグルーミング=手なずける。
こうしてテルマは両親にコントロールされて育ったが、親元を離れ寮生活をはじめ、アニャに出会いお酒をのんだり性的な高ぶりを経験し、また自身の診療歴を知って、両親によるグルーミングから徐々に覚めていき、最終的にアニャとふつうの学生らしい生活をつかみとる。
この解釈のばあいは超常現象の描写がぜんぶ両親の妄想であり、もとよりテルマは発作がある以外はふつうの子だったが、肥大した狂信者である両親には彼女がモンスターに見えていたのだった・・・。
この映画イノセンツもそのように大胆な解釈もできるようになっていて、すなわちそれぞれの自由な想像に委ねるという特長が作家・脚本家として優れていると思った。
imdb7.0、RottenTomatoes97%と73%。
姉と私の忘れえぬひと夏の経験。子供はみんなイノセンツ。
福祉国家として有名なノルウェー、かつては移民政策にも積極的で一時期移民の数は人口の一割を超えるほどに。しかし極右過激派の男がその移民政策に反対して連続テロ事件を起こした。「ウトヤ島、7月22日」はそのテロ事件を描いた作品。その事件をきっかけに保守政党が政権を握りノルウェーは移民規制に舵を切ることとなった。そんな経緯があるだけに移民の子供が悪役の映画なんて作って大丈夫なのか、ただでさえ移民には風当たりが強いというのに。この監督は移民反対派の人間なのかな。
監督のインタビュー記事を読むと、オーディションで人種性別関係なく演技力で選んだら結果的にあのキャスティングになったとのこと。移民という設定自体はキャストが決まった後に改編したらしい。ちょっと勘ぐりすぎたかな。
小学生の頃、捕まえたバッタの足を友達が楽しそうに一本一本むしり取っていた光景は今も脳裏に焼き付いている。無邪気でたわいもない子供の遊び、しかし残酷でもある。他者への思いやりの感情がまだ芽生えてない幼き頃、そんな幼少期のひと夏を描いた異色の作品。
それぞれの事情を抱えた子供たち、イーダはまだ幼く甘えたい盛りにもかかわらず両親は自閉症の姉につきっきりで、その寂しさを紛らわすためかまたは姉への嫉妬からか細かな嫌がらせをしたり、虫を殺したりしている。
ベンは母子家庭で体にあざがあることから母親から虐待を受けてるようである。アイシャはソマリア難民の母親が夫を亡くしたばかりで情緒不安定。そして自閉症のアナ。そんな問題を抱える四人がひと夏をともに過ごす。四人は無二の親友になれるかと思われた。
だがベンの抱える闇は深刻だった。涙を流しながらも動物をたやすく殺してしまうほど、もはや心のバランスを失いかけていた。監督は善悪の分別がつかない頃の子供時代はみなそれなりに悪いことをしたものだというが、昆虫を殺すのと哺乳類を殺すのとではわけが違う。人間と同じ赤い血が流れてる動物を快楽で殺せる人間は過去の実例からもわかる通り次は人間を標的にするものだ。
母親の命を奪ってしまったベンは歯止めが利かなくなり三人に対しても牙をむく。そんなベンに三人が立ち向かう。自閉症のアナは唯一の理解者アイーシャを奪われてベンと対峙する。互角の能力を持つ二人だが、そこに同じく能力に目覚めたイーダが加勢して二人は勝利するのだった。
この経験で少しだけ成長し、イーダとアナの絆は深まった。そしてお絵描きボードにただ殴り書きをしていたアナの手が止まるラストカット、彼女の進歩をうかがわせるシーンだと解釈した。
幼少期の忘れえぬ甘酸っぱい成長譚とサイキックスリラーを足したような作品。ただサイキック描写の部分は少々物足りなかった。大友克洋の童夢にインスパイアされたなんていうもんだからどんなアクションが見られるかと思ったら肩透かしを食らった。
サイキックアクションといえば古くは「スキャナーズ」の頭部破裂、血管浮き出しまくりの血しぶき出まくりから、北斗百裂拳を食らった悪党が体を爆裂させるかのような「フューリー」の人体大爆発までと、ありとあらゆるサイキック描写を堪能してきた自分としてはいささか物足りない。かといって心理的に怖がらせてくれるかと思いきや「シャイニング」には遠く及ばない。監督のインタビューを読むとどうもサイキックホラーというジャンル分けも無理があった気がする。やはり子煩悩な監督が描いた子供たちの幼少期の成長譚ととらえるのが無難なんだろう。
演技力で選んだというだけあって四人の子役の演技は圧倒的だった。難しい役どころを見事に演じていた。
子供故の残虐性、無邪気さは狂気をはらむ
穏やかで眠たくなるような序盤だが退屈には感じさせない不穏で静かな展開だが、徐々に確かに強大になる力
感情がコントロールできないことからの暴走、とも言いきれないところがこの映画の深みであって、大人であってもその狂気は毎日のように世間を賑わせている
終盤、少女の決心には心動かされるものがある
そして最も静かで壮絶なラストバトルには息を呑む
勝ったがそこに善悪は存在するのか?
とんでもないものを観た感覚だ
大友克洋作『童夢』は読んでいるが、北欧ならではの寒々しさと無駄も派手さもない冷たい雰囲気が物語に混ざり合い感情に訴えかけるものとなっていた
めちゃくちゃ面白い
次は私?!
大規模マンション内で起きる連続殺人事件、超能力少年少女たちによるサイキック・バトル、そして問題のラストシーンが、大友克洋による漫画『童夢』にそっくりだという。監督のエスキル・フォクト本人が白状しているので間違いないだろう。私は本作を観ていてパク・フンジョン監督の『The witch』をふと思い出したのだが、ド派手なアクションの代わりにこの映画、恐怖がジワジワと忍び寄ってくる北欧らしい静かな雰囲気が特徴だ。
自閉症の姉アナを持つ妹のイーダ、テレパシー能力に優れたアトピー少女アイシャ、そしてアナと同等のサイコキネシスが得意技のベン。ほぼ育児ネグレクト状態のベンは近所の子供たちから除け者にされているられっ子で、引っ越してきたイーダに自分の能力を見せて友だちになる。アイシャは言葉が喋れないアナの気持ちを伝える通訳のような存在で、超能力ごっこで盛り上がった4人はすっかり意気投合仲良しに。しかし、心に闇を抱えていたベンは次第に狂暴化、女子3人でなんとかベンの暴走を食い止めようとするのだが...
4人の中で最も強力な能力を持っているのが、実は自閉症のアナであり、さすがのベンも一対一の勝負では歯が立たない。しかしこのアナ、アイシャのヘルプがなければ喋ることもままならず、肝心な時に「ウ~ん、ウ~ん」うなってるだけてまったく役に立たない。このじれったさが実に効いていて、静かなトーンながら緊張感が常に場を支配しているのである。身の危険を察知したノンケ少女イーダはベンをノラネコ戦法?で排除しようとするのだが.....
アナの血を引いているイーダ、そしてマンションの窓から、アナ姉妹vsベンのラストバトルを観戦していた子供たちも、おそらく超能力者だったのではないか。つまり、北欧の森に佇むこのマンションは超能力者の子供たちだらけだった、という設定だ。彼ら彼女らはアイシャやベンのように、移民のワンオペ家庭で親から満足な愛情を注いでもらっていない子供たちだったのではないだろうか。この点、両親がちゃんと揃っているイーダ姉妹の家族とは若干異なっているのである。
親に潰されそうになった子供は大人の気持ちを読むようになると、『ナイトメア・アリー』のインタビューでギレルモ・デル・トロが語っていたが、ベンやアイシャの場合もまさにそれ。現在3組に1組が離婚している日本においても、親の愛情に飢えている子供たちがおそらく急増中のはずであり、もしかしたらもしかするのである。恐るべき宿敵をやっつけて一件落着の姉妹だったが、今度はママの愛情をめぐって仁義なきサイキックバトルを繰り広げるのかもしれない。「次は私?」なんたって超能力に目覚めたイーダには前科があるのだから。
名作です。
子供たち同士の心理変化とその戦い。
子供たちの繊細な心理描写がとても上手く描けています。
悪はただの悪ではなく純粋が故の行動であり、子供たちにとってはアリを殺すのも猫を殺すのも同じ価値なのでしょう。
もちろん人も…。
この映画の魅力は何を言っても子供たちの演技が物凄いです。
少年役の演技の上手さはピカ一でこの少年じゃなかったらこの映画は成り立たないぐらいです。悪役ですが子供とは思えない最高の演技をしてくれています。
あと、おねーちゃんの役の女の子も凄く上手です。
見てない人は是非視聴を。
危険な遊び
イーダ(9歳)
その姉で自閉症のアナ
アラブ系のベンジャミン(ベン)
インド系のアイシャ。
この3人の少女と一人の少年のサイキック・ホラー映画です。
引き込まれました。
不思議で神がかりで邪悪で無垢(?)
でもって、少しはズルい。
でもアナはめっちゃ無敵でかっこよかった!!
自閉症の子どもはある意味で選ばれた子どもかも知れない。
特殊能力を持つ故に、
言葉が話せない、
他者と意思疎通が出来ない、
相手の顔を見ない、
などの代わりに、
聴こえないものを聴き、
見えないものを見、
細密な絵画や、作曲、計算、ジグソーパズルなどが得意、
だったりする。
この北欧ホラーは子どもたち4人がサイキック能力を持ち、
その中の一人が邪悪な心を持っていたことから、
不気味な事件が多発する。
「ミッドサマー」と「LAMB/ラム」の不思議な魅力に取り憑かれた私は、
この映画のまた一味違うサイキック・スリラーにも引き込まれました。
子ども4人が主役。
ノルウェーの低所得者向けの団地に越してきたイーダと姉のアナ。
アナは自閉症で言葉を離さない。
イーダに近づいて来た少年・ベンは見たところアラブ系の顔立ちをしている。
ベンは小石を超能力で移動させたり、大木を真っ二つに折ったりできる。
小石や大木ならまだしも、悪意はエスカレーターして行く。
もう一人の少女・アイシャはインド系の優しい少女。
顔や手ににアトピーなのか白斑がある。
アイラはブランコに揺られていたアナとなぜか意思疎通が出来るようになる。
そしてベンのサイキック能力は人に向かって、
いじめっ子の脚を折ったり、
大人を操っていじめっ子を殺させてしまう。
そして、
遂には自分と敵対して来るアイシャを憎み、
危険を感じたベンは、
アイシャの母親の意思を操ってアイシャを
惨たらしく刺殺させるのだ。
無敵に思えたベンだが、畏れを感じたイーダは
ベンを歩道橋から突き落とす。
それでも平気だったベン。
しかしアイシャを殺されたアナは
最強のサイキッカー。
主導するのはアナ。
水辺に立っと波がさぁーっと押し寄せて来る。
そして砂がサーっと引いてくる。
そしてベンは遂に‼️
この映画が特異なのは、大人が徹底的に無力で蚊帳の外であること。
子どもたちだけの孤独な闘い、
イノセンスとの訣別、
それをメタファーにして描いた成長物語なのだ。
日本の漫画「童夢」by大友克洋の40年前の作品をベースにしている。
北欧と日本・・・遠くとも意外と近いのだと感じた。
そしてこの映画のヒロインは自閉症のアナ!!
アナの超能力はギフト。
アイシャのためにも強く生きてほしい。
タイトルがまさに…
このタイトルから、子供の残酷さを描いたホラーだと思うじゃないですが。それも、間違ってはないけど子供の絶望のようにも思える。主要登場人物のうち2人は、移民ではないかと思えるしシングルマザー家庭に見える。もう一人は自閉症の姉を抱えた家族。大人に頼れない子供達の物語。
なお、サイコスリラーとあるけど、一昔前なら、超能力バトルといっていい内容。
⚠️ネタバレ 猫は死にます。しかも序盤に(ジョバンニ)。
夏休みにノルウェー郊外の団地に引っ越してきたイーダと知的障害を持つ姉のアナ。
意思疎通が図りづらいアナと遊ぶのがつまらないイーダは超能力が使える地元の少年ベンと出会い、姉を放置して2人で遊ぶようになる。
一方で、アナに近寄ってきたのは心を読むことの出来る少女アイシャ。
特殊な能力でコミュニケーションを取れることを知った4人の子供たちは秘密の遊びを通して仲良くなっていく。
しかし、子供たちの無垢な感情は次第に暴走を始め……
いや、面白い。
まずポスターからしてセンスを感じる。
力が反転した世界、子供が純真だとか力が弱く儚げな存在だとかそんな常識を180度ひっくり返してくる、とんでもない映画。
子供の純粋な悪意、本能的な残酷さが描かれるが、それが人間、動物として本来の姿なのかもしれない。
この残酷さは罪ではない。だからこそ厄介だ。
大人が絶対踏み入ることのできない子供だけの世界は、一見非科学的で空想の世界のようにも思えるが彼らにとっての現実だ。
力が弱くまだ世界を知らない子どもたちだからこそ、超能力という最強の武器を手にしてしまえばもう誰にも止められない。
この映画の何がすごいって描写のリアルさ。
つい最近成人した自分の中でさえ子供の頃の経験や感覚は忘れてしまっている部分が大きい。
しかし、この映画を観ている間だけははっきりと幼少期の感覚を思い出すことが出来る。
子供が作っているのではないかと疑ってしまうほど子供の感覚で作られたスリラー映画。
それでいてカメラワークや音楽などどれを取っても良い。
またホラーやスリラーの一面だけではなく死や命について呆気なくも丁寧に描いているのも印象的。
緊迫感の張り詰めるシーンと少し心が温まるようなシーンが交互にやってきたりして感情ジェットコースターだった。いい感じに思いっきり疲れた。
様々な解釈の出来そうなラストシーンも必見。
作品全体の余韻も凄く、鑑賞後に色々と深め甲斐がありそう。
北欧ホラーは一見どれも一辺倒に見えるが実際鑑賞すると全く違う顔を見せる。
観るか結構迷っていた作品だったが観れて本当に良かった。
静かな街で繰り広げられるサイキックバトル。
どのキャラクターも責められないし、逆にそこまで好きにもなれないんだけど(子供たちの演技力は素晴らしすぎる)、唯一好きだったのがアイシャのお母さん。
幸せになって欲しかった……😢
子供達だけの静かな戦い
ほぼ、童夢と言われるけど童夢読んだことないので読んでみたい。
映画としては、すごく良いクオリティだと思う。
面白かったところは、子供達にそれぞれ
ヤングケアラー、親の精神病、ネグレクト、虐待、いじめなどの社会的問題の背景も含めて4人にカルマ値の様なものが設定されているようにみえるところで
自閉症のお姉ちゃんアナが1番白く、次にアナとテレパシーがあるアイシャ、主人公イーダは中立からやや黒寄りベンが1番黒くダークサイドに近いってなっていて。
主人公がカルマ値が悪方向に振っている状態で物語スタートなのが秀逸だなと思った。
子供は無垢な天使ではなく、社会環境や教育、コミュニティによって善悪の判断が成長していく過程と物語が上手く噛み合ってる。
超能力の正体的はなんなのかと考えてみても超常現象とゆうよりは
大人への成長の過程で忘れてしまった子供の感性や想像力による不思議なものってゆう解釈ができるのも好き。
(その辺りはパンフレットの監督インタビューが補助線として読み応えがあった)
主人公のイーダが子供特有の残酷さを持ち合わせていながら、自分で考え、悪と自分の責任を認識し、邪魔だと思っていた姉と手を繋いで戦う一夏の成長物語。この映画の中に大人は出てくるけど子供達に介入せず、ただただ背景として存在するのみで「子供の世界」を馬鹿にすることなく尊厳を持って、クールな目線で捉えてるかっこいい作品だった。
最後の戦いは興奮したし、うんと小さな子供や犬しか気づかない静かな戦いかっこよかった。
悪役として登場するベンは、力が強まることでどんどん暴走し人や動物を傷つけてるが
加害をしたあとに、涙を流したり
本当に孤独を感じている子供でもあって、ただの邪悪な存在として描かないのも、厚みがあって良かった。
子役達は皆んな魅力的だったな。
映画館で鑑賞
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