法廷遊戯のレビュー・感想・評価
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2023年の邦画で個人的には1番面白かったです!
(完全ネタバレですので、必ず映画鑑賞後にお読み下さい)
※本来の長いレビューは時間的に不可能なので短く。
この映画『法廷遊戯』は、個人的には見た範囲の2023年の邦画の中で1番面白かったです。
この作品が優れているのはまず、
・父の名誉を回復しようと生きる結城馨(北村匠海さん)
・社会や人々に対する絶望と復讐心を持ちながら清義だけは信じている織本美鈴(杉咲花さん)
・美鈴を救いそして社会や人々を救おうとしている久我清義(永瀬廉さん)
の3人の登場人物の一貫性です。
そして3人それぞれが自身の目的(父の名誉の回復、社会や人々への復讐、美鈴と社会や人々の救済)のために法律を利用し駆使します。
私はまずこの映画の最後まで貫かれた3人(あるいは他の登場人物も含めて)の一貫性に感嘆しました。
さらにこの映画は展開がスピーディーで二転三転し、日本映画にありがちな冗長さが全くない作品でした。
エンターテインメントとしても大変優れた作品だと思われました。
そして映画の描写はディティールの点で大変リアリティある描写になっていたと思われます。
例えば途中に出てくる検事や傍聴席の記者といったちょっとした役の人にもリアリティがあり、法廷での審理も私が知る限り全く違和感なく最後まで見ることが出来ました。
かつ最後には、表層や党派的にしか見ない社会の人々や識者に対して、ナイフを突き立てる映画にもなっていました。
これは今現在も進行中の、物事を多角的に検証し見ようとしない日本の社会や識者に対する問題の現状を正確に指さしていて、現在性や社会性ある作品にも仕上がっていると思われました。
この登場人物のそれぞれの一貫性、展開のスピード感と二転三転、いま日本で起こっている問題の本質に到達している内容、などから、個人的には文句なしの鑑賞した中では2023年のNO.1の邦画だったなと思われています。
永瀬廉さん、北村匠海さんの演技も素晴らしく、杉咲花さんに至っては圧巻の演技だったと思われています。
大変面白かったです。ありがとうございました。
面白く無い
原作は割と出版されて直ぐの頃に読んだ。正直、映画向きの内容では無いと思ったので映画化と聞いて「はぁ?」と。まぁ、そのまま何時上映されたのかも気にせず、配信に来たので鑑賞。
「えっ、上映時間90分?そこそこページ数の有る本だったし、過去の話を途中で挟んだりするから90分じゃ無理だろ」と思った。まぁ、当然に色々とカットはしてるんだが、結果余計に分かり憎いし、何も伝わらない。しかも、冒頭の無辜ゲームの演出、なんかカルトの集会?みたいな描写。いっそのこと、このゲーム全部カットで良いんじゃね?って程。この序盤で、作者が伝えたい事は他のシーンにセリフで入れれば済む程度だし。
結局、演出だけ妙に凝って、中身を削ってるからミステリーとしても中途半端。(まぁ、ドクター・デスとそらのレストランの監督だしなぁ)。杉咲花は上手いんだけど、ここで、この演技させたら浮くでしょって感じ。
興行成績の割に初期のレビューが沢山、そして高評価、そしてその人らの殆どがこの作品だけしかレビューしてないと言う、如何にもアイドル主演の作品らしいレビュー。ファンの気持ちは分かるけど、けっして演者の為にはならないよ。
星1.5位でも良いんだけど、帳尻合わせの為に0.5にしておきます。
話題性重視のつくりが鼻につく
孤児院で育った久我清義(永瀬廉)と織本美鈴(杉咲花)が余程の秀才なのか、頑張ったのか司法試験に合格、ともに弁護士の道へ、同級生の結城馨(北村匠海)の父親の痴漢冤罪事件を巡って3人の葛藤が延々語られる。キンプリとコメディ向きの杉咲花がシリアスな役を演じるのは無理があるが若者向けに仕上げるためのマーケティングなのでしょう。
つくり方によっては大人の鑑賞に耐えうる法廷ミステリーにできたかもしれませんが、人物設定と脚本が余りにも稚拙なので予測可能、たいしたミステリーにはなりませんでした、しかも、この後味の悪さは何なのでしょう、司法の限界に迫る社会派ミステリーにもなっていません。度を越した感情表現の多い演出、キャスティングからも話題性重視としか思えぬB級映画でした。
疑問が残る
一緒に階段から落ちたのに警察官が批判される?
救急車を呼んでいないし、ビデオだけで急に無罪になるのか?
最後に傷害罪できちんと自首したのだろうか?
いろいろと疑問が生じて楽しめなかった。
孤児院で育った子供が施設長から性的虐待を受けて、子供が助け合って犯罪まがいのことを繰り返して生きていく、というステレオタイプの設定は見飽きたし、見ていてしんどい。
役者の演技は良かったけど。
異色のリーガルサスペンス
《無罪とは検察が立件に失敗した結果に過ぎない》
法律の不備、そして盲点を平易に説明した映画でした。
とても考えさせられ、面白かったです。
日本の裁判の有罪率は99.9%。
そして証人の何%が信頼おける正しい証言をしているのでしょうか?
美鈴のついた嘘が薫の父親・佐久間悟(筒井道隆)を死に追いやる。
そう考えると怖くなり事件に巻き込まれずにいられる事を
願わずにはいられません。
《ストーリー》
ロースクール(法科大学)を舞台に無辜(むこ)ゲームという
模擬裁判を通して、
親の冤罪を命懸けで晴らそうとすると馨(北村匠海)と、
その死を誘発した犯罪に深く絡んだ美鈴(杉咲花)と幼なじみの
清義(セイギ=永瀬廉)の3人を描いたリーガルサスペンス。
原作者の五十嵐律人は34歳の弁護士で作家。
弁護士になる以前には、裁判所の書記官や事務官を経験した。
弱い者のチカラになりたいと法曹界に入り直して
弁護士になった異色の経歴の持ち主だ。
法の盲点や不備を突いた面白い作品だと思うのは、(9年前)
美鈴と清義は2人で組んで痴漢した男性を脅して
生活費や高校などの学費を稼いでいた。
美鈴は母親の自殺により養護施設に預けられて、清義と友達になる。
清義の施設長への殺人未遂は美鈴にセクハラをしてた施設長への恨み
と思われるが97分の短い映画なので端折ったものと思われます。
薫の父親・悟は警察官で、美鈴が「痴漢です!!次の駅で降りてください」
と声を上げた時
悟はすぐに警察手帳を突きつけて、
「初めてではないね!!」と、念を押す。
美鈴を電車から降ろして一緒に階段を昇る。
連行される美鈴を近くで見ていた清義は悟のリュックを掴み引っ張って、
悟と美鈴は階段を落下する。
この時美鈴は悟に傷害罪を負わせるためにわざと反動をつけて
突き落とす。
その際、薫の父親・悟は大怪我をした上に痴漢として、
起訴され有罪になり、もちろん警官を失職する。
真面目な父親はだれにも冤罪を信じて貰えずに絶望して自殺する。
そこで薫が父親の仇を討つために、無辜ゲームを口実に美鈴を呼び出して、
自分の命の引き換えに美玲を殺人犯として起訴されるように仕組む。
そして美玲の過去の父親への冤罪事件にも再審の道を開き、美鈴と清義が
裁かれるように画策する。
ここで、奇想天外なのは、美鈴の弁護をする弁護士が清義だとの点だ。
(実は美鈴と清義は、自分たちが自殺に追い込んだ悟が、
結城馨の父親だと、姓が違うため最近まで知らなかったのだ)
この映画に一つだけ大きな問題点があるとしたら、
結城馨(北村匠海)が、父親を階段から突き落とす清義(永瀬廉)を
目撃していたのに、なぜ直ぐに警官や駅員に告げなかという点です。
ここには非常に疑問を感じました。
あと杉咲花のように小柄で非力な女性が、いくら隙をついたとはいえ、
逞しい薫を死ぬ程強く刺し殺せるのか?
(でも馨は自らの死をもってしても、美鈴を罰したから、
自分で深く刺したのかも?)
杉咲花の狂ったような高笑い!!
得体の知れないクルクル変わる表情。
「市子」にしても「52ヘルツのクジラたち」にしても、
若手の実力派として目を離せない存在感ですね。
新鮮な切り口の問題作にして快作(怪作)だと思いました。
短い映画なので、端折ったストーリーもあるようです。
前半のスリリングな胃の痛くなる緊張感に較べて、
後半は駆け足で雰囲気も軽くなったのは
少し残念です。
予想以上でした
レビューなどで少し気になっていた作品でした。
有罪か?無罪か?
真実を知るのは、加害者か被害者だけ。
人を裁くのは、人ではなく法でしかない。
冒頭の学校で行う法律を使った模擬裁判が陳腐に感じたけど、それが後半の伏線になっているのかと気付かされた。
後半につれて魅了されていきました!
この作品は、原作の良さもある事ながら俳優さん達の演技にどんどん引き込まれていきました。
特に杉崎花さんの静かな部分と激しい部分の対比が見事でした。
どの役者さんも演技が素晴らしく良かったです!
原作改変と証人尋問の共通項
2023年12月6日映画館にて鑑賞。
レビューを書こうと思いつつ、3ヶ月半が経過してしまった。
馨の目的は
「無辜の父を救済する事」だ。
同害報復を大前提として、どうすれば父は救済されるのか?
父が死んだからにはミレイにも死を与えるべきか?
そうではない。それでは
「眼には眼を」ではなく「眼には眼と耳と鼻と口を」になってしまう。
ミレイの罪は殺人ではないのだから。
でもここが馨の凄いところだろう。
多くの人間は「きっかけを作った者」も「引き金を引いた者」も共に死に値する、と考えてしまうと思う。
ここで、ミレイとセイギを殺すことが復讐にはならない、と考えるところにカオルという人物の凄さを見ることが出来る。
さて、きっかけを作ったのがミレイならば引き金を引いた者は?
そう「司法」だ。
日本の刑事裁判の有罪率は99.9%。検察は面子にかけて起訴された被告人を有罪に導く。
一度確定した判決は覆らない。明らかな冤罪だとしても。
ミレイが警察に「虚偽の供述だった」と告白したくらいでは再審の扉は開かない。日本の司法機関は基本的に自らの誤りを認める事などないのだ。
再審は「開かずの門」と呼ばれているそうだ。
馨がミレイに下した罰は「再審請求の決定打となる形での罪の告白」だった。(その鍵がSDカードに収められた馨が斃れる現場映像)
と、ここまでのストーリーは比較的容易に推測可能だ。
(ただね。二転三転して面白かったーと言う声も、予測通りの展開でつまらなかったという声も、大ドンデン返しってほどじゃないじゃんという声も、大抵ここまでの話を指しているみたいなのよねぇ。)
しかし「馨を殺さなくても殺人未遂で充分目的は達成出来るではないか?」という点が疑問だった。
そう。これこそが真の大ドンデン返し。本来の馨のシナリオでは馨は死なない。SDカードの映像はあくまでも馨とミレイが打ち合わせ済みの演技だ。
馨は再審請求者の地位を手に入れるために、父親が自ら命を絶つまで無辜ゲームの開始を待ち続けていたのだから。
馨が暴こうとした2人の罪はそれぞれ「虚偽告訴」と「傷害」
虚偽告訴の時効は7年だが傷害は10年だ。そして犯行は9年前。
ミレイはセイギを守るために新たな罪を犯した。
更に凄いのは、馨は1年以上も前から「ミレイが最後にこういう行動に出るかもしれない」と予期していた事だ。だからセイギにUSBを託したのだ。
セイギが真実よりミレイの無罪を優先する事も知っていながら・・・。
沈黙を貫けば、何事も無かったように幸せに生きていける。しかしセイギはその道を選ばなかった。馨の想いを受け取ってしまったから。
2人で幸せに生きていきたい、というミレイの切実な願いを痛いほど知りながら、セイギは彼女と袂を分かち罪を償う道を選ぶ。
同害報復は制裁ではなく寛容の論理・・・。
映画制作における原作改変も、裁判の冒頭陳述や証人尋問も似たようなものだな、、、と思った。
要は裁判員(鑑賞者)への心証形成だ。
原作とまるで違う過剰な演出も(無辜ゲーム会場がおかしな秘密結社の儀式みたいな洞窟だとか(苦笑)賢ニや沼田の過剰過ぎる演技とかもすべては「心証形成」の仕掛け。
(ってか沼田って誰だよ?佐沼と権田をくっつけたの?それくらいなら権田要らないから佐沼のまんまで出してよね。この点は不満!)
描かれたピースから観客が勝手に完成させたパズルが、映画に描かれているストーリーや主題とはかなり違ったものであっても、観客が各自のパズルを星5、星4或いは星2だと思ったのならばきっとそれで良いんだよね(苦笑)
(裁判員・陪審員裁判はそれじゃ困るんだけどな!)
まぁ、でもねぇ。この高評価はちょーっとモヤるのよねぇ。(低評価もモヤるwストーリー正しく把握出来てる?って)
でも本作に関しては「是非、原作を読んで」とは言うつもりはない。
この秀逸な法学テキスト小説(笑)を、この短尺で万人ウケするエンターテイメントによく仕上げたものだ。その点は高く評価されるべきであろう。
隠された事件による殺人
乾いた感じのする映画だった。
ほぼ内面を出さない登場人物だらけ。
友人の殺人事件により裁判が開かれ、3人のそれぞれの過去が掘り下げられるのだけど、幼少期の起因となるものがこの殺人事件と絡み合う。
その中で彼が選択する答えが私には響かなかった。
誰を守りたかったのか?自分に対する代償は?
非常によく練られたシナリオ
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長瀬と花は孤児院で育ち、花を襲おうとした?施設長を長瀬が刺した。
花の暗躍もあり情状酌量されたが、長瀬と花はやがて孤児院を出た。
東京の高校に通うようになり、2人は大人から金を巻き上げてた。
電車で花が痴漢されたフリをして脅迫する手口だった。
しかしそんなある時、運悪く相手が警察官だった。
駅の階段で花を問い詰める警察官を長瀬が突き落とした。
世間では警察官の痴漢犯罪とされ、警察官は自殺。
やがて2人は大学の法学部へ進学し、天才の北村と仲良くなる。
花の部屋が盗聴される事件が起きたが、結局犯人は見つからず。
後に明かされるがこれは北村の捜査の一環だった。
2年経って長瀬は弁護士になり、急に北村に呼び出される。
行くと刺殺された北村と、血まみれの花がいた。凶器から花の指紋も出た。
これを長瀬が弁護するが、花は警察にも長瀬にも完全黙秘。
そして公判の時に花が謎のSDカードのパスを長瀬に教え、
証拠としてその場でみんなで見ることとなった。
それは北村が撮影してた、事件現場の映像だった。
北村は実は上記警察官の息子で、父親の無実を晴らしたかった。
そのために花に全てを打ち明け、そのシーンを撮影してた。
さらに自分が殺されれば、証拠物としてその映像が提出される。
これで世間が父の無実を知る、という計画だった。
SD公開直前まで黙秘するよう花に指示したのも北村だった・・。
これで全ての筋が通ったように見えたが、実はまだ裏があった。
花の偽証罪はもう時効だが、長瀬の傷害罪はまだ時効ではない。
この映像が世に出れば、長瀬も罰せられることになる。
それを防ぎたかった花が、実はビデオに映らない場所で北村を殺してた。
北村は死なずに、殺人未遂事件の証拠映像となる計画だったのだ。
ただ北村はこうなるパターンも想定できてた。さすがは天才。
北村の残した日記を長瀬が読むよう手配しており、長瀬は全てを知る。
正義感の強い長瀬は自分の罪を自白し、弁護士もやめた。
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文字で書くと長々となって今イチ分かりにくいな。
それにしてもしっかりと練られた、良いシナリオだった。
2時間弱の映画だったが、あっという間に終わって驚いた。
それだけ入り込んでたということだろう。面白かった。
あと大森南朋の、最低野郎の役が異常にウマかったw
ストーリー◎と違和感
ストーリー面白かった。
予告編での学生たちのゲーム「無辜裁判」と実際の裁判とで話が散らばって纏まりがないのかと思いきや、しっかりと繋がっておりとても見やすかった。海外ドラマの見過ぎでナイフの刺さった高さと角度から犯人はかおるより背の高い人だと思ったのだけど…倒れ込んだにせよあの角度なのかな…とか思ってしまった。どうなんだろう。みれい役の杉咲さんは演技は上手なんだろうけど別の作品であの狂った感じはみたかったですね。
期待しすぎたかも
顔、キャラの華やかさが足りなくて印象に残るシーンがほんとに演技しか基準がない
もっと突飛か、麗美さが欲しかったかも
90分と言う割には充足感はあるが、意味をもたせたシーンの後付け感が否めない、明らかに浮いていた
特に杉咲花の昔の事件がでてくる警察の図書室みたいなシーン
カメラの動き方も気になりすぎるし、みんなで床を叩く演出の意味不明さ。裁判官が無辜ゲームって使っちゃダメでしょ。教授も何かツッコめ。
盗聴のおじさんの登場の仕方も再登場も扱いも適当すぎないか?
言いたいことは分かったけど、もっと厚みが欲しかった
何かと粗が目立つ法廷サスペンス。
学生同士で行われる模擬裁判のような遊び、無辜ゲーム。この無辜ゲームがおそらく後半の法廷劇で伏線として生きてくると思ったんだけど、生きてたかな。そもそもこの無辜ゲームが本作に必要だったのかさえ分からない。結局本作がやりたかったことが何なのかがわからない。
本作のメインストーリーは清義と美鈴の共犯関係、そしてその二人によって父を奪われた馨の復讐劇。
馨としては父の冤罪を晴らしたいがためにその原因となった二人を巻き込んだ。美鈴の虚偽告訴による父の冤罪を晴らすために。
しかしそもそも元となる冤罪事件にかなり無理がある。警官であった馨の父佐久間は車内で痴漢冤罪による恐喝事件を捜査していた。それを当然所轄署は承知してるわけだし、その容疑者として拘束した女子高生が痴漢されたと言って周りが彼に嫌疑を抱くだろうか。この点がどうしても引っかかる。細かいことかもしれないがこういう法廷サスペンスは見る側も頭をフル回転させて見るわけだからどうしても細かなところが気になってしまう。
そして、公開法廷で父の冤罪を晴らすために事件をでっち上げたわけだけど、美鈴がなぜ馨の誘いに乗って裁判を受けたのかがわからない。自分の無実の証拠は映像に残ってるのだからわざわざ裁判に至る理由もない。清義の犯した傷害罪が時効になってないということで彼をかばうために裁判したということか?証拠は馨の目撃証言だけだが、事件当時馨はそのことを告発していない。日記に残してあった点は証拠能力ありとして認められるかもしれないが、そのデーターを馨の身に万が一のことが起きた保険として警察やらマスコミに自動的に送る手はずもされてなかった。あえて清義に見つけてもらうために佐久間の墓に置かれていただけで。これは清義自身に自分の罪と向き合えというメッセージなんだろう。結局美鈴が裁判を受けた理由はわからない。うーん、なんか見逃したのかな、でも再度見るほどでもないしなあ。
冤罪事件はこの日本でもかなり深刻で刑事裁判におけるこの問題を作品テーマとして訴えたいのは理解できる。ただ、本作では先の佐久間の冤罪に無理があるためにメッセージとして伝わりにくくなっている。
肝心の司法手続きのどこに欠陥があるのかが具体的に示されていないからだ。例えば現在の刑事裁判手続きでは、検察側がもつ証拠の開示請求が全般的に認められていない。認められるのは公判前整理手続きが行われる場合のみであり、その公判前整理手続きでさえ行われるのは全体の事件の2%に過ぎない。
検察側が有罪立証する証拠とは別に無罪の疑いを生じさせる証拠を握っている場合、弁護側はそれを出すように請求できないのだ。現時点では裁判官や検察の裁量に任されているだけである。だから検察側は有罪を主張する自分達が不利となる無罪を証明する証拠を意図的に隠すこともできるのだ。これによって多くの冤罪事件が生じている実態がある。そういう具体的な問題点をできれば指摘してほしかった、原作者は司法試験合格者らしいけど実務にはついてないのかな。
内容もいまいちだが、演出も難ありだった。法廷サスペンスと人間ドラマ、人間ドラマの方に重きを置いたせいなのか途中演出がもたついてる感じがした。杉咲花や大森南朋の過剰な芝居が少々ノイズにも。作品全体的にテンポはよくない、接見室での杉咲花のための演技とかも長すぎる。
そういえば清義と美鈴の関係を見ていて東野圭吾原作の「白夜行」を思い出した。女が幼いころ性的虐待を受けてからその加害者の息子である男と犯罪を共に行うようになるという内容で、本作と異なるのは女が男を結局いいように使い捨てて、自分は成功を手にするという内容だった。
奇妙な共犯関係という点では似てるし、偶然にも同じ監督によって撮られていた。ただ「白夜行」も本作もやはり演出にキレがなかった。
原作は受賞もしていて面白いのかもしれないが、本作はさほど面白いとは感じられなかった。
どんでん返しも特に驚くようなものではないし。一番驚いたのは佐久間を筒井道隆が演じていたということ。最後までどこに出てるのか気づかなかった。若いころの面影さえなくなるほど老け込んでしまったことに一番驚いた。
尺がちょうどいい
本作、北村匠海中心で開かれる裁判を皆が受け入れているのに違和感があり、そこから話がスタートする。冒頭から少しついていけない…誰に感情移入していいかわからないまま終盤に差し掛かり終わったと言う印象。尺が短くて見やすいが、もう少し永瀬廉と杉咲花の関係性を表現して欲しいかなと思いました。
人は人を裁く必要があるのか。
普段なら、観に行かないタイプの映画だけど、レビューが熱いので心が動き、出かけました。
ロースクールの学生が法廷ごっこしてて事件が起こる…的な、わっちゃわちゃした映画ではなく、想像以上に切ない作品。
人間の認知の仕方って、その人の特性や経験、知性によるので、その掛け違いが悲劇をうむ過程を観るのは、辛い。
人は失敗から学ぶ生き物なので、間違いを指摘してくれる人との出会いは、人生のターニングポイントなんだけどね。
親の立場から言えば、我が子に自殺した自分の第一発見者にならないように配慮すべきだけど、そうできないくらい父親はメンタル追い詰められていたんだろうな。
そこまで行く前に、心理面の専門家に相談に行けたらよかったね。
被害者が加害者への報復について、話し合う場面がある。
ハンムラビ法典の復讐法は、一定の説得力があると思う。
けれど、それをすると現代社会では今度は被害者だった者が罰せられるというリスクを負う。
加害者と同レベルに落ちるというのも、イヤだしね。
因果応報という法則を信じて神に委ねるのが、ベストな報復と私は考える。
永瀬廉君、以前推し出演のため観た「新信長公記」で初めて出あい、「へえ、こんな普通っぽい子が主演なんだ」と驚いた。
コメディタッチの群像劇で、大コケだったけど、彼の良さが活かされてなかったのねと今回で思った。
キラキラより、哀愁が似合う俳優さんで、20年後が楽しみ。
彼が出演する作品をまた観てみたいなと思った。
ストーリーの完成度が高く、杉咲花さんが印象的だった!!
ストーカー被害の話から入り、入り込み易かったです。一組の男女の自立と共存、そしてその程度や認識の違いを、司法の穴を絡めて上手く描いていました。杉咲花さんのメンヘラ具合が印象的でした。私なら、俺の為にありがとうと言って抱き締めたいです。北村君の役は「ダーウィン賞」を受賞するだろうと思いました。主人公が場所移動する際に、歩くシーンが頻繁に入り、他の多くの映画のように場所ワープしないのが何か良かったです。効果音がサイレントヒルみたいで怖かったです。程良く怖く、上手くまとまった内容で満足できました。ありがとうございました。
原作既読。面白かった
「原作の良さが…」と嘆く感想も見つけるのだけど、97分という「短い時間で」、しかし「座らされ続ける『映像作品』」で、原作・法廷遊戯と同じように 淡々と進みつつ徐々に明らかになる狂い、気づいたら絶望に触れているというテンポ感やスパイスの匙加減を同じように感じられたので、個人的にとても満足です。
そして作品全体を通した問いかけ、メイン3人の聡明さとそれぞれの「正義」故の歪み、沼田(原作では佐沼)の底知れぬ感はよりわかりやすくキャラクター化し表現されてたのも、観る側を飽きさせない構成でよかった。
この作品は、原作もなのだが、よくある巨大な謎に挑む推理ゲームではない。
司法の上になりたつ倫理や道徳といった人間の奥深い思考へ問いかける作品である。
観終わったあとは身体がずんと重く思考の波に飲まれる重さのある内容だが、希望のある主題歌が手を差し伸べ救ってくれた。Xで主題歌を聴いて初めて完結する映画というポストを見たが本当にその通りだと思う。
美鈴は清義と一緒に生きるためだけに人を殺し、馨は復讐の対象のはずの清義に命を賭けて父親の名誉回復と司法への挑戦を託す。
永瀬廉さん演じる久我清義が馨と美鈴の合間で揺られ揉まれているのかと思いきや、幼いときはうっかり道を踏み外してしまうほど危うくも純粋な愛と優しさと正義感を持った『清義』という人物に、美鈴と馨が人生賭けて振り回されているという構図とも受け取れるなと思った。
原作未読で観ました。話が展開するスピード感がとても心地良く、あっと...
原作未読で観ました。話が展開するスピード感がとても心地良く、あっという間の97分でした。結末を知った上でメイン3人の心情の動きが気になり計3回鑑賞。1回目はでは気づけなかった箇所もありより理解が深まったので複数回鑑賞オススメです。
どんな場面も怖いほど冷静な美鈴がとにかく不気味で、ラストシーンで感情が爆発するシーンは圧巻でした。セイギは美鈴とは対照的に優しく真っ当に生きようとしていますが実は2度も(それが美鈴を守るためとは言え)それなりの事件を起こしていて、それも別の意味で不気味でしたが、その不気味さを誰よりもセイギ自身が感じていて、事件をきっかけに最後には向き合うことができたのかなと。
過去の出来事がこの映画での重要な意味を持っていますが、過去の出来事から彼らがどういった経緯で進学するに至ったのか、未来で起きる事件がいつから企てられていたのか、セイギの生い立ちなど映画では語られない部分でもまだまだ気になることが多いので、原作も読もうと思います。
見応えあり
杉咲花演じる美鈴はサイコパスに近く、永瀬演じる清義は彼女を守りながら生きて来た。
ただその為に人を殺めたに近いことを過去にやってしまってることに気づいたところからが。
うーん、しかし痴漢冤罪事件は多々あるのだが無罪になることはないのか。
日本の司法、検察は容疑者に仕立てることしかしないのはどんな事件でもそうなのだろう。
絶坊しかない世の中。
最後に美鈴を見捨て罪を償う決心をした清義はどんな人生を歩んで行くのだろう。
美術館でクラシック音楽を観るような映画です。
モーリス・ラヴェルのボレロの調べのように物語が流れてる感覚。映像も、排他的だったり写りだっり光も暗闇も、美しい。自らの選択、選んでいない状況、選ばざるを得ない環境、幾重にも重なり交差している思い、まさにオーケストラ。人が作った不完全な法制度、それにかかる枝葉にもスポットが当てられている。上質な作品です。
全114件中、1~20件目を表示