劇場公開日 2023年5月26日

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THE WITCH 魔女 増殖 : インタビュー

2023年5月25日更新

“最強の魔女”になった韓国の逸材シン・シア 血まみれバトルの秘話、キム・ダミとの共演を語る

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革新的な遺伝子技術による人体実験で殺人兵器と化した女子高生ク・ジャユンの無敵の強さ、予測不能なストーリーが話題となった「The Witch 魔女」。劇場公開後にはSNSで口コミが広がり、DVDレンタルと配信での推定視聴者数が100万人を超えるほどの人気ぶりとなった。

監督を務めたパク・フンジョン(「新しき世界」「V.I.P. 修羅の獣たち」)は“同作をユニバース化する”という壮大な構想を描いていたようで、その“魔女ユニバース”の幕開けとなるのが「THE WITCH 魔女 増殖」(5月26日公開/R15+指定)だ。

主人公の“少女”を演じることになったのは、韓国の新鋭シン・シア。1400人以上が参加するオーディションを勝ち抜き、映画初主演を飾ったという逸材だ。同作のプロモーションでは来日も果たし、撮影秘話を披露。流暢な日本語での挨拶も注目を集めていた。

今回、そんなシン・シアにインタビューを敢行。オーディションや撮影の裏側、共演者とのエピソードだけでなく、今後の目標についても話を聞いた。


【「THE WITCH 魔女 増殖」あらすじ】

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韓国・済州島の秘密研究所「アーク」が何者かに襲撃され、むごたらしい殺戮のなかで、ひとりの少女(シン・シア)が生き残る。彼女は、遺伝子操作で超人的なアサシンを養成する「魔女プロジェクト」の実験体だった。初めて研究所の外に足を踏み出した少女は、心優しい牧場主のギョンヒとその弟デギルのもとに身を寄せ、少しずつ人間らしい感情に目覚めていく。

しかし、並外れたスーパーパワーを秘めた少女を危険視した「魔女プロジェクト」の創始者・ペク総括は、彼女を抹殺するため、スゴ腕の女性工作員チョ・ヒョンを送り込む。時同じくして「アーク」を壊滅させた超能力者集団「土偶」と、地元の犯罪組織も牧場に押し寄せ、ミステリアスな少女との壮絶なバトルの火蓋が切って落とされる。


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――なぜ“俳優の道”を歩み始めたのでしょうか? その理由も含め、オーディションに参加することになった経緯を教えてください。

高校1年生の時、ミュージカルにのめりこんでいました。1週間に3、4回も観劇するほど大好きだったんです。ですから、そこと関連した仕事がしたいと思うようになりました。そこから「俳優になろう」と決心したのは、高校3年生の頃。「THE WITCH 魔女 増殖」については、この作品は新人の女性が主人公になる映画ですよね? 韓国では、新人の女性が主人公に抜てきされるという映画は多くはありません。ですから、私にとっては貴重な機会でした。しかも、前作を既に拝見していて、とても面白かったんです。その続編に出られるかもしれない……“オーディションを受けない”という選択肢はありませんでした。

――オーディションはどのようなことを行いましたか?

まずは準備をしていた演技を見せました。そこから「他にやってみたい演技があれば、やってもいい」と言われたので、別のパターンを見せたんです。続けて「他にはないの?」と言われたので、舞踏を見せることになりました。

――合格の通知は、パク・フンジョン監督から直接あったそうですね?

はい、間もなくオーディションの結果が出ると聞いていたんですが、なかなか連絡が来なかったんです。だから“残念な気持ち”でいました。少し気分転換をしようと……タコ焼きを買って食べようとしていたところに、監督から連絡がきました。その時に「合格したよ」という風に聞かされたので、とても嬉しかったです。

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――では、「THE WITCH 魔女 増殖」の脚本についての感想をお聞かせください。

最初に読んだ時は、一瞬にして作品の世界観にハマってしまい、一気に読み上げていました。それほど“少女”が神秘的な存在だったんです。前作以上に世界観が拡張していき、さまざまな人物の物語が展開していきます。アクションの比重も大きくなっているので、そういう点でも楽しめると思います。

――前作「The Witch 魔女」のファンだったそうですが、どのような点が面白かったのでしょうか。

ピュアな少女が、実は途轍もない力を持っていた……そのギャップが一番気に入りました。実はちょっと臆病なので、バイオレンスな描写を観るのは苦手で……目を隠しながら観るような感じでした(笑)。

――役作りでは「ハンナ」「モーガン プロトタイプ L-9」などの映画を参考にされたそうですね。他にはどのような作品をご覧になりましたか?

“少女”は超能力を操る役です。ですから、超能力が出てくるドラマや映画はたくさん見ました。例えばドラマの「アンブレラ・アカデミー」や映画「ハリー・ポッター」シリーズ、マーベル作品。超能力が登場する作品は、かなり鑑賞しました。

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――今回の出演で芝居の楽しさや難しさに気づいたことはありますか?

その両方が同時に存在しているという感覚がありました。難しいけれども、とても楽しいという不思議な感じです。普通は「難しい」と感じれば「辛い」という気持ちになると思いますが、今回はやればやるほど楽しむことができたんです。特に“少女”の姿を肉体と言葉、表情を使って表現していく。その姿を自分で見つめ直すという流れが楽しかったです。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

とても良かったです。(“少女のキャラクター設定があるため)劇中では無表情を貫いているんですが、もともとの私は表情が豊かな方なんです。本番に入る前は活気に満ちた感じですが、いざ本番に入ってカメラが回ると無表情になってしまう……(笑)。

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――共演者の中では、特にコミュニケーションをはかった方はどなたでしょうか?

ギョンヒ役のパク・ウンビンさんです。本当にたくさんのお話をさせていただきました。私にとって本作は初めての長編映画でしたので、パク・ウンビンさんが色々助けてくれました。それは劇中の展開にも言えることですよね。初めて外の世界に出た“少女”を、ギョンヒが助けてくれる。その関係性と似ていたので、役に入り込むことができました。

――“少女”に関して言えば、破壊的な一面だけではなく、思わずクスっと笑ってしまう部分もありますよね。そのなかでも“間髪入れずに食べまくる”という食事のシーンがとても印象に残っているのですが、どのような意識で臨みましたか?

“少女”は秘密研究所で育っているので、あのような美味しいものを食べたことが一度もありませんでした。理性で考えるよりも、本能で動くんじゃないかなと思ったんです。ですから、本能のままに演じてみました。そして、私はもともと食べることが大好きなんです(笑)。

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――撮影地は済州島です。冒頭のシーンは降り積もる雪の“白”と鮮血による“赤”の対比が非常に美しいシーンとなっています。この雪ですが、済州島では60年ぶりの大雪だったそうですね。

脚本には、もともと「雪が降っている」という設定はありませんでした。ところが突然大雪が降り、膝の高さくらいまで積もってしまったんです。偶然撮影することになったのですが、“少女”を演じている私は裸足で臨まなければいけませんでした。寒くて大変でしたが、結果として、本当にきれいな映像に仕上がっています。あのような環境で撮れてよかった……雪に感謝しています。

――この“雪”のシーンは、撮影全体のいつ頃撮ったものなのでしょうか?

実は最初に撮ったシーンなんです。髪を少しだけ剃っていたり、血のりを浴びていたり……なかなか血まみれになるという機会はありませんよね。体に血のりを施した瞬間「私は“少女”になったんだ」と感じていました。雪原を歩いている少女の体には、血がついています。このシーンを見ると、まるで雪のように世の中の事を全く知らない少女の世界に、血が一滴落ちたかのような……そういうことを暗示しているような気がするんです。神秘的でもありますし、とても思い入れがあるシーンです。

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――物語後半、さまざまな登場人物たちが入り乱れた形のアクションシークエンスが存在します。このシーンの迫力は本当にすさまじいものがありますよね。撮影に関しては、どのような点に気をつけましたか?

あのシーンでは“見えないものが見える”という演技も必要でした。ですから、たくさんのことを想像する必要があったんです。事前に色々なことをイメージしていましたね。本来は見えてはいないのだけど、自分には見えている――そう考えながら演じていました。

――前作の主人公ジャユンを演じたキム・ダミさんも思わぬ場面で登場します。共演してみていかがでしたか?

私は、前作が本当に好きだったんです。だからこそ、前作の“ジャユンの世界”に、私が“少女”として入り込み、一緒に演技をするということ自体が印象的でした。そういうことを考えながら、ジャユンと対峙していたので、最初は鳥肌が立っていました。

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――今後の展望についても教えてください。どんな俳優になっていきたいですか?演じてみたい役柄もあれば教えてください。

どんな俳優になっていけばいいのか――。これは、毎日のように考えていることです。一番大切にしていることは「初心を忘れずに、一生懸命に、最善を尽くして演技をする」ということ。今回は口数も少なく表情も乏しい役だったので、次回はたくさん喋って、表情が豊かな役をやってみたいです。

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――共演してみたい方、タッグを組んでみたい監督はいますか?

この世界には素晴らしい俳優さんがたくさんいすぎて……皆さんと共演してみたいと願っています。可能な限り、たくさんの作品に参加して、立派な先輩俳優たちと共演したいです。監督に関しては、パク・チャヌク監督とご一緒できる機会があれば良いなと思っています。特に「別れる決心」「渇き」といった作品が大好きなんです。

――“魔女ユニバース”第3作の進捗はどうなっているのでしょうか?既に脚本をもらっていますか?

詳しい内容はまだ知りません。ただ監督の頭の中には、壮大な世界があるということだけは言えます。確かに次の“魔女”は存在しています。私自身も期待しています。

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