彼岸のふたり

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彼岸のふたり

解説

現在の大阪・堺市の界隈に室町時代に実在したと言われる伝説の遊女「地獄太夫」をモチーフに、愛を知らずに育った少女の成長と葛藤を描いたドラマ。

児童養護施設で育った西園オトセは施設を巣立ち、ホテルの清掃係の仕事を始める。自立の道を懸命に模索するオトセだったが、幼少時に受けた虐待のトラウマが幻影となってつきまとう。そんなある日、彼女の前に14年間音信不通だった母・陽子が現れる。金が目当てだと気づきながらも再会の喜びに抗えないオトセは、相反する2つの感情に揺れ動く中、職場のホテルで騒動を起こし解雇されてしまう。一方、母の定食屋を手伝いながら地下アイドルとして活動する広川夢は、自身が妊娠したことに気づくが、お腹の子の父親であるマネージャーに言い出せないままステージに立つ。

アイドルとして活動している朝比奈めいりが主演を務め、「14歳」の並木愛枝が母・陽子を演じる。俳優でもある北口ユースケが長編初メガホンをとった。

2022年製作/90分/G/日本・アメリカ合作
配給:新日本映画社
劇場公開日:2023年2月4日

スタッフ・キャスト

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(C)2022「彼岸のふたり」製作委員会

映画レビュー

4.5捉え方は自由だが…

2024年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

あまり見たくない場面から始まるこの作品は、虐待から逃れたものの、親という絶対的な存在とのトラウマ、その過去への向き合い方の「一例」として描かれている。
この作品は、一例とみなさなければならない。ならないと思う。
主人公オトセの幼少期を見させられれば、同情しないわけにはいかない。
その彼女が18歳になって児童養護施設から旅立つ。
施設側も子供たちも、みなオトセの巣立ちとこれからの幸せを期待している。
オトセの母の身勝手さは一般的には目に余るものの、母という絶対的存在はオトセにとって変えることなどできない。
この心境は、彼女の特別なケースなので彼女自身でなければ理解するのは難しい。
しかしおそらく、親が子を思うベクトルよりも子が親を思うベクトルの方が強い。親が毒親でも虐待する親でも子供にとってベクトル値はそれだけ強いと思う。
ベクトルとは単に想いで、そこにポジティブもネガティブも加算される。つまりどうあれ、加算されていく方が子供なのだ。
ユメは地下アイドルグループ。彼女には父がいない。自分の夢を持ちながらも、母に甘えながらも、今ある微妙な幸せ感を感じている。
彼女は大人以上に大人的な考え方を持っている。妊娠という大きな出来事は、基本的には幸せそのものだが、彼女にとって、母にとっても喜べるものではないはずだ。
しかしユメは起きた出来事をそのまま受け入れる決心をする。通常そこに至るまでには大きな葛藤があってしかるべきだが、作品の主軸がオトセなのでそこには触れられていない。
オトセは、コンサート会場で精いっぱい自分自身を表現していたユメを見て涙を流したのは、自分との比較があったからだろう。
しかし彼女はユメに、妊娠したこととアイドルを引退したことを告げる。このときオトセは自分自身との向き合い方の違いに気づかされたのだろう。
似たような年代のふたり。おそらくオトセにとって、ユメの考え方に衝撃を受けたのだ。謎の男の声を無視しながら、彼女は実家へと歩き出す。
謎の男はオトセの別人格。彼女が持ってしまったトラウマそのもの。彼女のもう一つの声。
幼少期に彼の声に従い家を飛び出し、彼の声と対峙することになればその彼を殺してしまいたくなる衝動に駆られる。それが自損行為となるのだ。
以前オトセは男の声に救われたが、ついに対峙しなければならない時が来る。
母の本性 母の正体 殺してしまいたい母 その代役をしようとする謎の男 包丁を持ったオトセを見た母は「殺して、お願い」と叫ぶ。
オトセの葛藤と対峙、アクセルとブレーキを同時に踏むように包丁を突きたてながらその刃を握りしめる。
母への憎しみよりも母への愛情が勝ったとき、男は消えたのだろう。
オトセがいつも食べるハンバーグは子供の大好物の象徴だ。母のためにハンバーグ弁当を買う彼女に福引券が渡される。
3等賞 自転車 それは歩くスピードを象徴している。 オトセの人生が好転しスピードアップしたのだろう。
さわやかな風を感じなら自然と笑顔になって行く彼女の横顔のアップで作品が終わる。
自分自身 自分の過去 トラウマ それとの向き合い方、あるいは対峙の一例。
オトセにとっての方法が母に対する赦し。
母にとっては娘の殺意を受け入れること。
これができたことでようやくスタートに立った二人を描いた作品。
作品情報を見たが「地獄大夫」とか関西では有名なのかな。タイトルはそれと掛けられているようだがまったく意味不明だったところが残念だった。

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R41

2.5「五尺の身体を売って衆生の煩悩を安んじる汝は邪禅賊僧にまさる」

2023年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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いぱねま

5.0凄惨な映画かと思いきや。。

2023年2月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

木村拓哉と綾瀬はるかの信長作品がにぎやかに報道される中、レイトショーで本作を見ました。
児童虐待の凄惨なシーンから始まる今作ですが、全体を通して根底に流れるのは、人が前向きに生きていく姿勢で、鑑賞後は登場人物たちの明るい未来を願わずにはいられませんでした。
エンディングは人それぞれの捉え方がある作品かとは思いますが、個人的には願望も含めハッピーエンドだと考えています。
地下アイドルのフェスもエンタメ要素として差し色になっていて、同シーンで児童虐待で心を閉ざしていた主人公が涙を流すシーンは無言でありながらすごい迫力でした。
お母さん役の並木愛枝さん、作品中でお母さんに対する印象が540°変わりました。180°×3。怪演!!

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ぴんも

4.0自転車

2023年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

気になっていた映画を仕事帰りに池袋で。もっときつい話かと思ったけど、思いのほかライトでクスッと笑えるとこもあったりで見やすかった。アイドルの話はなくても良い気もしたけど。途中苦しいけど希望を持てるようなラストは、個人的にはすごく好きだなぁと思った。お母さん役の人すごい。配信されたら、もう一回見てみたい。

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arupakanohaha

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