破戒のレビュー・感想・評価
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希望に満ちた学園ドラマ風
原作未読。
題材の重さはあれど何度も映画になるわけだ。
最後は希望で終わる。学園モノとしてみれば出来すぎた結末。
一番怖かったのは同僚教師に打ち明ける場面。今まで抱いていた印象通りの反応をしてくれるのか、それとも180度違った反応が返ってくるのか。打ち明けてみなければわからない。その怖さといったらないだろう。
矢本悠馬演じる土屋が良い人すぎた気もするけれど。
描かれる世間と周りの優しい人々とのギャップが過ぎるように思えた。
上手くまとめられた脚本
原作をaudible で聴き、予想外に面白かったので映画を見てみました。原作は86時間かかる長編小説です。それを2時間の映画に上手く凝縮しています。父親の死や実家への帰省、猪子蓮太郎の病など、いくつかの重要場面がばっさり省略されていますし、台詞も、原作の登場人物とは違う人が喋っていたりしますが、全体のメッセージは損なわれることなく描かれています。
主人公が影響を受ける猪子蓮太郎は、原作では大声を出して主張することはなく、物静かな思想家という印象です。
猪子蓮太郎の誇りと自由な教師のドラマ
原作そのものを読んだわけではないけれども、主人公の態度への批判があるという評判を知っていたので、水平社百周年に相応しい映画作品なのかと思いながら観てみることにした。ネット評では、新しく付け加わったところもあるけれども、概ね原作に忠実に描かれているという。猪子蓮太郎が自分が賤民階級の出自であることを堂々と明かし、誇り高く闘う姿勢を示したことは、大いに評価すべきではないかと感じた。主人公は、確かに良心の呵責に苛まれて学校から去ることになるけれど、身分を気にしない恋人を得ることができ、理解ある友に見送られるとともに、原作を少し変えたとされる教え子の小学生たちからも見送られる最後は、『いまを生きる』他のような、現代にも通じる自由な教師のドラマとしても位置づけられるであろう。竹中直人氏、本田博太郎氏、大東駿介氏等の悪役振りも、はまり役であった。
破戒とはそういう意味合いだったのか
文学史で知った限りの島崎藤村とその作品『破戒』
中身は全く知りませんでした。
こういう題材だったのか。
レビューを見ていると、差別を知らないとかこんな事がというなものが結構見受けられ逆に驚き。
私はいま50代半ばですが、小学校の時には訳も分からず道徳教育の時間が時間割にあったし(その頃は差別問題とは無意識)親や大人に「あの辺に近づくな」と言い聞かされた経験がありました。
社会の歴史でも江戸時代の士農工商穢多非人までしっかり覚えさせられた。
前置きはさておき
当時はもっと色濃く世の中にあった風潮だったのでしょう。
ストーリーから伝わってくる迫力がハンパなく、演じてるキャストの名演にこの作品の品質が増してます。
ホントに素晴らしい出来です。
冒頭の田中要次さんと息子のシーンが全編の軸となり、このワンシーンが無ければ成立しない。
途中のセリフでもありましたが、身分の差別は無くなっても差別の無くならない世界は無い。
確かにな〜と考えさせられました。
差別とはいかに重い罪かを教えてくれる作品。
もう、随分昔に「新潮文庫の百冊」の一つとして読了しました。今回Netflixで何気なく見たのですが、とても良かった。今がどうか分からないが私の頃は確か教科書で「穢多非人」を教わりました。
丑松を演じた間宮祥太朗さんが良かった。特に猪子の事件後に仰向けで顔を歪めている場面が印象に残った。
父の教えを破って出自を隠さずに生きようと決めるまでの丑松の葛藤が丁寧に、ある意味淡々と描かれていて共感できました。
アメリカを笑えない酷い差別があからさまにある時代が日本にもあったのだという事実と、これほど赤裸々ではなくても現在も様々な差別があることを考える機会となる映画でした。
差別は弱い者がすること
山深い田舎で暮らす知人が結婚する時に、祖母が結婚相手が部落の出か調べたと言っていたことを思い出し根深いんだなと思った。差別はそう簡単に無くならないと言うセリフと重なった。弱い者が差別をする、差別をして自分が上の身分だと思うことで自分を保つのだろう。差別に苦しむ間宮祥太朗の表情泣けた。
特に情報もなく有名な小説だったということも知らずに見ました。 今で...
特に情報もなく有名な小説だったということも知らずに見ました。
今では簡単に配信で見られるので、その前にしょーもない映画を見ていて
なんか時間を無駄にしたなーと思い、次はいつもは選ばないような
映画でも見ようという軽い気持ちでした。
静かだけど美しく良いストーリでした。
言葉遣いも所作も美しくていいなあと、
もうこんな日本は見られないんだなと違う視点で
寂しくなってしまいましたw
部落差別は教科書で習っただけで、ふーんくらいの知識。
今でもどうして出自で差別されて忌み嫌われなくてはいけないのか
理解できない。
私でも思うのだから当時の当事者の方たちは
筆舌に尽くしがたい思いをしたに違いないと思う。
どんなステータスの人でも孤高に信念を持ち
生きていく人は素晴らしい人だと思う。
逆に人を見下し影口ばかりを叩く人たちは
どんなに地位が高くても名誉な職に就いていても
さもしく寂しい人なんだろうなと思う。
そんなことを考えさせられる映画でした。
差別は無くならない…
悲しいけど、本当だ。すごく有名な作品なので、どんなお話なのか知りたくて観た。そんな安易な気持ちて観たのだが、思いの外感動してしまった。後半は涙が止まらなかった。大体、破戒の意味も理解していなかった。恥ずかしながら、破壊という言葉の別字かなと思っていたくらいだ。今はわかる。父親の戒めを破ったということが… 117年も前の小説だから、古さを感じてしまうのではと心配していたが、そんなことは全くなかった。原作を読んでいないので、よくわからないが、とても真面目に作られた印象を受けた。丑松が少し良い人過ぎるが、だからこそその誠実さに涙なくしてはいられなかった。自分が教える生徒たちにも、大事な親友にも、好きな人にも、自分の出自を隠さなくてはならないなんてどんなにつらいだろうか? 最後の決断は頭が下がるばかりだ。 丑松にはどうか幸せになってほしい。
脚本の加藤さんが小学生にも見てほしいと言われていたので小4の娘も一...
脚本の加藤さんが小学生にも見てほしいと言われていたので小4の娘も一緒に鑑賞。
まだ難しいかなと思ったけど、娘がこんな無意味なことをしていた時代があったんだと言っていたので見せて良かったなと。
主人公の決意や覚悟が繊細に描かれて希望に向かう終わりは強いメッセージとして残った。主人公の間宮祥太朗さん、親友の矢本悠馬さんのお芝居がとても良かった。
思ったよりハッピーエンド
もっとエグイどろどろした話と映像かと想像していましたが、綺麗な俳優さんたちとサラリとしたストーリー展開で高学年の子供たちと観られる映画作品だと思いました。
ただし、主人公の心情を思うと居たたまれない壮絶な内容で、世間や子供たちに嘘をつき通す罪悪感と好きな人にも告白できない後ろめたさと色んな感情が沸き上がり考えさせられる作品でした。誰にでも一つや二つ人には言えない隠し事があるとすれば、誰でも共感できる内容かなと思いました。ただし自分に非が無く自分では改められない隠し事を抱える重さは計り知れないものがあると感じました。
周りではすすり泣く方が結構いらして心に何かしら刺さる作品だと思います。
恋愛ものとして捉えるとハッピーエンドなのかなと感じました。
60年ぶりにリメイクされた見応えのある不朽の名作
現在でも存在すると言われる日本の部落差別をテーマに自分の出自を隠し生きている人々やその周辺で起きる出来事を描く骨太のドラマ
テーマは重いですが、作品全体の雰囲気はそんなに暗くなく、むしろ爽やかな後味の残る秀作で観やすいです
島崎藤村さんの名著の3度目で実に60年ぶりの映画化とのこと
主人公である被差別部落出身の青年 瀬川丑松を間宮祥太朗さんが熱演
見た目が男前でシュッとしてて誠実そうで、且つ出自をひた隠しにして生きているためか常に不安を背負いどこか落ち着かない雰囲気と憂いのある難しい役をしっかり演じており素晴らしかったです
瀬川が惚れる女性 志保役を演じた石井杏奈さんが和装が似合い清楚でとても綺麗です
志保もまた瀬川に思いを寄せますが告げられない、控えめな女性を確かな演技で好演しています
明治後期を描いた映像もノスタルジックで美しい
所々酷い差別描写がありますが、今でも根深く残ると言われる本当にあった日本の歴史、皆が知っておくべきと思いました
小説の題名は有名だが、このような内容だとは知らなかった
かなり前だが自分が大阪の某大学に入った時、教養課程の中に部落問題の講義があり、生まれて初めてこんなことがあることを知ってショックを受けたことを思い出した。映画の中で主人公が自分の出自を子供達に説明する場面には涙が出た。
名作を損なわない出来栄え
島崎藤村の破戒、中学で受験のために読んだときはあらすじを追っただけで終わってしまったが、大人になって読んだ時、ものすごく衝撃を受けた作品だった。
どの国にも身分制度の歴史はある。日本にももちろんあった。けれど、差別はそれとは根本的にちがうのだと思い知らされる。
この時代の部落民の扱われは壮絶で、でも事実なのだ。
丑松が親友に漏らす心の叫び、そして最後に子供達に語る言葉の一つ一つが心に沁みた。子供達が強い心で差別とは無縁の大人になってくれる、そんな未来を描ける良い映画だった。主演の間宮祥太郎の演技が素晴らしかった。
部落差別問題を扱った重厚な作品。 部落出身であることを堂々と明かし...
部落差別問題を扱った重厚な作品。
部落出身であることを堂々と明かして活動する作家が最高にかっこいい。
一方、出身地を隠しながら教師をする主人公も決して責められない。
部落差別は現代でも存在すると聞いているので、明治時代はまだまだあからさまに行われていたことは想像に難くない。
その中でも希望を持ったエンディングは爽やかだった。
勧善懲悪っぽい。辛口でしょうか。
原作を読んでいないのですが。
多分、人生は複雑です。多層的で、矛盾だらけで、混とんとしている。一部を切り取ると、そこには一定の一貫性はあるのだけれど、それだけでわかったつもりになるのは表面的にすぎない。明治の文学を現代によみがえらせるとしたら、複雑さの味付けが不可欠です。
明治においては藤村は偉大な作家であったろうし、部落差別は重い問題なのだけれど。これは児童向けの映画を見ているような気分になりました。
差別する側にも、される側にも、もっと何かがあっていい。
いつかもう一度、どこかの監督に、大きくアレンジした現代の『破戒』を描いてほしい。分かりにくさの中に、真実のようなものが滲み出してくる、味わい深い『破戒』があるとすればどんな作品になるのか。そんな作品を見てみたい。
ちょっと、欲張りでしょうか。
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