ナイトメア・アリー

劇場公開日:

解説

「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞の作品賞ほか4部門を受賞したギレルモ・デル・トロ監督が、ブラッドリー・クーパーはじめ豪華キャストを迎えて送り出すサスペンススリラー。過去にも映画化されたことのある、1946年に出版された名作ノワール小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」を原作に、野心にあふれ、ショービジネス界で成功した男が、思いがけないところから人生を狂わせていく様を描く。ショービジネスでの成功を夢みる野心にあふれた青年スタンは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座とめぐり合う。そこで読心術の技を学んだスタンは、人をひきつける天性の才能とカリスマ性を武器に、トップの興行師となる。しかし、その先には思いがけない闇が待ち受けていた。スタン役を「アリー スター誕生」「アメリカン・スナイパー」などで4度のアカデミー賞ノミネートを誇るブラッドリー・クーパーが務め、2度のアカデミー賞受賞歴をもつケイト・ブランシェットほか、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラらが共演した。2022・第94回アカデミー賞では作品賞に加え撮影、美術、衣装デザインの計4部門にノミネート。

2021年製作/150分/G/アメリカ
原題:Nightmare Alley
配給:ディズニー
劇場公開日:2022年3月25日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第94回 アカデミー賞(2022年)

ノミネート

作品賞  
美術賞  
撮影賞 ダン・ローストセン
衣装デザイン賞  
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映画レビュー

3.5映像の素晴らしさと安定のタイプキャスト。

2022年3月31日
PCから投稿
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村山章

4.5巨匠デル・トロが描く心の闇と運命の螺旋

2022年3月30日
PCから投稿

人間の心というものを実に艶かしく幻想的に描いた作品だ。秘密を抱えた男が怪しげなカーニバルの一団に身を隠す。このマトリョーシカのような二重構造によって、主人公は一方で俗世から守られつつも、他方では抜け出すことのできない迷宮に囚われていくかのよう。かと思えば、本作は醜く禍々しい存在であるほど親しみと安らぎをもたらし、ノーマルに見えるものほど異常性をむき出しにするという、極めてデル・トロらしいモチーフも見え隠れする。そこでフィーチャーされる”読心術”という要素がまた面白い。誰もが人の心を知りたい、読み解きたいと願うもの。でもひとたびその安易な麻薬を手に入れると、うっかり人生を転がり落ちてしまいかねない。さらにそこへケイト・ブランシェット演じるファムファタールの司る精神分析という闇までもが口を開けて待つ。この心をめぐる攻防のなんとも魅惑的なこと。いつも以上にデル・トロの語り口と人間描写を堪能した。

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牛津厚信

4.0ブラッドリー・クーパーのラストショットは強烈過ぎる

2022年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

流れ者のスタンは獣人や芸人たちによる怪しげなショーを売り物にしている見せ物小屋に潜り込み、そこで読心術を学んで、感電ショーの人気者、モリーと2人で一座を抜け出し、都会で一旗上げようとする。時代は大恐慌時代のアメリカ。人々の顔には覇気がなく、彼らが一瞬の驚きを求めて集まってくる見せ物小屋はまるで、そんな時代の縮図のようだ。絶望感。それは映画全体に充満していて、明るい兆しがないことは最初から分かっている。ブラッドリー・クーパーがどれだけ足掻いても救われない運命にある主人公の、訳も分からず破滅に向かって突き進む道程を演じて、物凄い説得力がある。

なぜ、スタンは端から救われない運命を背負っているのか?そして、彼が悪事の限りを尽くした挙句、人生の墓場に辿り着いた時に見せる、奇妙な笑顔が意味するものは何なのか?物語の鍵になる?が、クーパーの端正な表情と熱演によって具現化されるラストショットは強烈過ぎて、しばらく席から立てなくなった。人には決して侵してはならない境界線があり、それを超えると人間ですらなくなるという恐怖が背筋を凍り付かせるのだ。

今回も凝ったセットデザインを作り上げ、俳優たちから最高の演技を引き出しているギレルモ・デル・トロだが、人間の本質を見据える鋭い観察眼は、本作でさらに磨きがかかった気がする。

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清藤秀人

4.0ギレルモ・デル・トロ監督らしさ満載だがダーク・ファンタジーではない、運命と人間性を軸に描いたダークなサスペンス・スリラー映画。

2022年3月25日
PCから投稿

「シェイプ・オブ・ウォーター」が第90回アカデミー賞で作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞と最多4冠に輝いたギレルモ・デル・トロ監督の最新作。
本作でも第94回アカデミー賞で作品賞に加え撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞の計4部門にノミネートされています。
本作は「パンズ・ラビリンス」や「シェイプ・オブ・ウォーター」のような❝ファンタジー要素❞を出来るだけ排して、1940年前後の現実世界を舞台に、運命と人間性を軸に描いているデル・トロ監督の新境地的な作品となっていました。
そして、その難しい世界観を映像化すべくブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラなどの演技派俳優陣が脇を固めていて彼らの演技力にも引き付けられます。
物語自体は良くも悪くもデル・トロ監督風味が満載の「ダークさ」が根底にありながら、淡々と進んでいきます。
とは言え、華やかなショービズ界が舞台になっているため、トリックの心理戦やウラ話などがあり、興味を引き続ける手法は流石でした。
映画の完成度は高いものの題材等も含め、割と好みが分かれる作品でしょう。
デル・トロ監督の新境地として見ておきたい作品だと思います。

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細野真宏