パーフェクト・ケアのレビュー・感想・評価
全174件中、161~174件目を表示
後見人描写のリアリティと全員悪人のエンタメ感
前半では、アメリカの成年後見人制度のエグさにとまどいつつ、冒頭から見せつけられるマーラのヴィランぶりに、強い悪役が現れた時のワクワク感を感じた。
後半はどんどんバイオレンスに傾いてゆき、マーラのメンタルとフィジカルのあり得ないほどのふてぶてしさを見せつけられる。こちらはもはや口をぽかーんと開けて「マーラすげえ……」となるしかない。
マーラの後見人としての振る舞いがどこまでリアルなのか気になってちょっと調べてみると、NHK「BS世界のドキュメンタリー」で放送された「偽りの後見人」という番組の情報を見つけた。2018年にカナダで製作された、ネバダ州の後見制度を悪用した犯罪のドキュメンタリーだ。
高齢者が病院にかかった後に、後見人を名乗る人物が自宅に現れ、本人を介護施設や精神病院に送り込んで薬漬けにし財産を奪う、こんな行為が州内で横行したそうだ。しかもその後見人は裁判所によって選任された合法な立場にあり、偽りの報告書を作成した医療助手や補助裁判官もグルだったという。親族が訴えを起こしても裁判所が却下し、結果的に後見人の行為にむしろお墨付きが与えられてしまう、といったことが多発した。
現地マスコミがこの問題を報道するようになってからようやく一部の後見人が逮捕される、ということがあったという。
この内容を見る限り、作中での後見人の描写はそんなに誇張されたものではないのかも知れない。曲がりなりにも一見合法で他人の財産をあそこまで勝手に処分出来る手段が存在することに、背筋が寒くなる思いがした。
一方、後半でマフィアを相手取っての殺るか殺られるかの攻防は、マーラの腹の据わり具合とローマンのマフィアの矜持が共に見事で甲乙付け難く、もうどっちが勝ってもあっぱれという、社会問題よりエンタメに振った楽しい気分で見ていた。
死にそうな目に合わされた後、採算度外視で適法性もぶん投げてマフィアを叩きに行くところなど、不覚にもカッコいい。下手したら何もかも失う無謀な行動を自然に見せるロザムンド・パイクの存在感も素晴らしい。こりゃマフィアに見込まれますわ。
通奏低音として散りばめられたフェミニズム描写は、マーラのマフィアと対峙してなおひるまない強さに説得力を持たせている。彼女を口先だけで脅してきた男たち、確執ある母親への憎しみに、彼女の金への執着と度胸の源泉があるのかも知れない。
ラストはマーラというキャラクターの因果応報もあるだろうが、マフィアも消せなかった悪徳後見人の象徴のような人間を被後見人の家族が撃ち殺すというところに、現実の後見人制度への強烈な批判が込められているように見えた。ベタだがきちんと座りのいいところに落ちて、すっきり満足。
悪人VS悪人
大きく分けて2つの陣営がある。一方は女中心のグループで、悪徳医者、密売人と繋がった宝石商、後見人ビジネスで老人相手に搾取する介護業者。もう一方は男中心のグループで、小男のボスを中心とした、麻薬取引に手を染めるロシアンマフィア。この二つの陣営がジェニファーという老女を取り合い抗争をする。どっちも金が主たる行動原理で、どちらにも分かりやすい正義がない。あえて男女を分かりやすく分けたことで、性差がそのまま共感の違いに繋がるのだろうか。特に悪を許せるようなコメディもない。悪人同士が喧嘩しあって、結局見えるところでどちらかが勝てば胸糞悪くなるから、バランスとったエンディングに持っていくことになる。最後の30分はチープなスパイ映画みたいに、駆け足でその帳尻合わせを行うことになった。最後は伏線回収して、まあそうだよね。観賞後、なぜか怒りを覚えた映画。ほんと救いようがない。
全 員 悪 人
娯楽映画に道徳観なんて求めちゃいけないということを思い出させてくれた作品
後見人と医師と家裁vs◯◯◯◯のクセして善人が皆無という凄まじい構図
主人公のしぶとさが歴代ホラー映画の悪役が束になっても敵わんレベル
なお内容と描写はフェミ寄りでした
【I Care A Lot/アニマルスピリッツ】
「I Care A Lot」は、オリジナル・タイトルだ。
もう、いっぱいやってんのよ!って感じだろうか😁
この作品は、予想外に面白かった。
ロザムンド・パイク目当てってのもあったのだけれども、介護でどんなストーリーなのよ…みたいな軽い気持ちで行ったら、とんでもなかった😁
是非、どんな結末がと云うより、どんな結末だったら納得出来るのかを思案しながら観て欲しいように思う。
(以下ネタバレ)
この作品に出てくる登場人物は、ほぼ悪い奴らだ。というか主要な連中は、かなりの悪党だ😁
世の中の正義とか、介護とか、社会問題とかひとつも考えちゃいない。
常に第一にあるのは、自分のこと、金のこと。
アニマル・スピリッツだ。
今、メディアやSNSに、弱者を切り捨てるつもりはないと、事あるごとに一生懸命弁明している、竹中平蔵も、そんな奴だと思う😁
だから、この作品は、どんなエンディングだったら、自分は納得することが出来るだろうかと思案しながら観るべきだ。
そして、エンディング…。
あなたは、ご納得出来きましたか?
あなたが考えた、これが一番の落とし所でしたか?
どうでしたか?😁
僕は、これしかないなと思いました。
勧悪懲悪
曲者だらけの登場人物の過去が語らずとも透けて見える
いけ好かない女が法の抜け穴を武器に暴力と対峙する
詰めの甘い悪漢たちも配役の妙で納得
恋人役のエイザゴンザレスがすごくイイ
「テルマ&ルイーズのスカーフェイス」にワクワクする
お話の筋がバラバラでわかりにくいのは確かだけど…
今年188本目(合計252本目)。
いわゆる医療ものの映画ではないので(それらはちらっとしか出ない)注意です。
最初こそ裁判所が出たり、民法がどうだの後見人が同だのと言った法律チックな話が進みますが、後半は完全にアクションものになります(裁判所なども全く出てこなくなる)。ただ、主人公が女性という都合もあるのか、ある程度武器の使用について配慮はあるようです(単なるスタンガンを使っている等)。
うーん、どうなのかな…。予告の範囲でこういう展開は普通想定しないし、1~2週間前の予告から読み取れる内容をはるかに超える展開になるので、そこをどう評価するか…というところに全部尽きてしまうと思います。
個人的にはこういう展開はありだと思ったくらいです。
なお、日本では法定後見人がつく場合でも、ここまでムチャクチャやるとすぐに解任されますし(民法)、状況によっては刑法にも問われえます(今回はもう言うまでもないので省略)。
個人的には下記が気になったところです。知識があると混乱するというタイプです。
---------------------------------------
(減点0.3) 序盤、法廷バトルをしているところに「(判決に不満があるなら)再審請求しろ」という部分がありますが、この「再審請求」が何を意味するのかが微妙です。
お話をさらに進めると、法定後見人をつけるつけないの決定をするのは家裁なので(ここは日本も同じ)、どうも「(不服があるなら)控訴しろ」という意味で言いたいのかなとも思えますが、そうであれば「控訴」と書くのではないかと思います(日常用語の範囲ですし)。
一方で、日本の行政不服審査法には「再審査請求」という語があったり、行政も司法の役割を一切やらないわけではなく、「準司法的作用」という扱いで「裁判所もどき」の場所はあったりします。日本では「海難審判」などがあげられます。これは行政権による「裁判に準じた取り扱いをされるもの」です。
この「再審請求」が何を指すのかまるでわからず(おそらく「控訴」の意味で見たほうが妥当)、知識を持っている人はかなり混乱します。
※ いわゆる死刑確定に対して「再審の訴え」というのはありますが、家裁の決定に対して「再審の訴え」というのはないので(控訴すれば良いだけなので)。
もっとも、日本とアメリカでは法体系が違うので一概に言えませんが、何を言いたいのかもよくわからないので、「多分こうだろう」という推測しかできません(かつ、控訴したと思われる第二審の話は一切でない)。
一応にも法律を扱う話題なのですから、語の翻訳はちゃんとして欲しかったです。
---------------------------------------
穴場!良かった。
カネの亡者の女後見人とマフィアの対決。一見お洒落?明るい映像からのサスペンス。
余裕ぶっこいて軽く観てたら面白い‼️
悪徳女を潰せーって、マフィアを応援してたら、中々手強い。頭いいから負けない。どっちも悪だが、マフィアに勝ってと願う始末(笑)
最後の最後でドンデン返し!
お薦めです。
いろいろ、恐ろしい。
いやー、面白かった。こんな後見人制度なんて本当にあるの?と思いつつ、ありえるよなー、なんて恐ろしくなった。悪人だらけだし二転三転の展開にどうなっていくやら、と転がり方が面白すぎ。転がり方にもやもや膨らむもちょっとだけスッキリできる結末に納得。面白かった。
ライオン女、スケールと覚悟が違う!
ロザムンド・バイク、かっちょいい!最初の赤の背中ジッパーのワンピースに始まってどのワンピースもパンツスーツも靴もかっこいい。色もサイズも彼女にぴったり。
女を侮辱する暴言を男から吐かれても唾を顔にかけられても全くめげずに言い返す、その姿に清々しさすら覚えた。ただでは負けない、死なないタフガイ。愛する人のために、金づるのために、上昇志向隠さず抜群の体力・生命力で脳みそフル回転!水中からの脱出もスタントダブルなし!さすがロザムンド!女がこういう役をやるからいい!
ロザムンド・バイクありきの作品か─
巧妙な内容に、結構ハラハラドキドキ感がありましたが、ダーティーな登場人物のいずれにも感情移入できなかったため、どうなろうとねー・・・と思ったりもして、それほど結末とかオチへの興味は湧いてこなかったけれど、あんなんでいいの?と少しだけ思っちゃいました。でも、ああでもしないと退場してくれないような印象を持ってしまうくらいに、ロザムンド・バイクは力強かったです。
とはいえ、この嫌らしい内容は、いろんな意味で知っておいていいのかもしれません。無理あるところも多かったですけど、面白かったです。
『ゴーン・ガール』に匹敵する怪演を披露するロザムンド・パイクが憎たらしい主人公を生き生きと演じるクライム・サスペンス
主人公は凄腕の法定後見人マーラ。助手で恋人のフランシスとともに言葉巧みに高齢者のターゲットに近づき医師と結託して家族のケアが不十分と主張してターゲットの法定後見人となり、グルになっている介護施設にブチ込んで薬漬けにしてターゲットの資産を売り捌くのが彼女の常套手段。そんなマーラが次に狙いを定めたのはジェニファー。立派な家に一人で暮らし身寄りもない彼女をいつもの手口で介護施設に送り込み資産を片っ端から売り払っていくが、実はそこに不審な影が忍び寄ってきていた。
いつも温厚で優しい女性ばかりを演じている印象があるダイアン・ウィーストが演じるジェニファーがここで見せるのは不敵な笑顔と狂犬のような凶暴さ。ジェニファーを助けようと画策する謎の男をピーター・ディンクレイジが演じているので、マーラがどんどん追い込まれていく様が非常にリアルですが、そんなマーラを演じているのが『ゴーン・ガール』で演じた強烈なキャラクターが印象的なロザムンド・パイク。彼女が最悪の窮地で発揮するタフさがこちらが想定してきた筋書きをあっさりと裏切り、あっと驚くエンディングまでのテンションが張り詰めた展開は見ものです。
フランシスを演じているのは『ベイビー・ドライバー』で鮮烈なヴァイオレンスを披露したエイザ・ゴンザレス。彼女のシャープな美しさも本作の魅力の一つです。
全174件中、161~174件目を表示