祈り 幻に長崎を想う刻(とき)

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祈り 幻に長崎を想う刻(とき)

解説

被爆後の長崎で焼け落ちた浦上天主堂に残るマリア像を人知れず運び出そうとする2人の女性を描いた人間ドラマ。1959年に発表され、第6回岸田演劇賞、第10回芸術選奨文部大臣賞を受賞した田中千禾夫の戯曲「マリアの首 幻に長崎を想う曲」を映画化した。1945年8月9日午前11時2分、長崎市に投下された2発目の原子力爆弾。その瞬間、人口24万人のうち約7万4000人の命が奪われた。東洋一の大聖堂とうたわれた浦上天主堂も被爆し、外壁の一部を残して崩壊した。それから12年の時が過ぎた昭和32年。カトリック信徒の鹿と忍を首謀者とする一味が、浦上天主堂跡から被爆したマリア像を盗み出した。彼女たちにはマリア像を盗み出す、ある理由があった。鹿役を高島礼子、忍役を黒谷友香がそれぞれ演じ、田辺誠一、金児憲史、村田雄浩、寺田農、柄本明、温水洋一らが脇を固める。監督は「ある町の高い煙突」の松村克弥。

2020年製作/110分/G/日本
配給:ラビットハウス、Kムーブ
劇場公開日:2021年8月20日

スタッフ・キャスト

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(C)2021 Kムーブ/サクラプロジェクト

映画レビュー

5.0感動した

2022年8月25日
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山本

3.0これが岸田國士戯曲賞受賞作品?

2021年8月29日
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鑑賞方法:映画館

原作は田中三千夫の戯曲「マリアの首」で、岸田國士戯曲賞を受賞している。その戯曲の映画化である。
私事で恐縮だか、今年の春夕食時にビールを飲んだ。その後、居間で眠くなりそのまま寝てしまった。1時間位眠っただろうか、ぼんやりした頭の中に突然原爆が炸裂し外が真っ白になり、次に熱線に襲われ、大声を出して頭の中が真っ暗なった。死んだんだと悟った。夢だと分かり安心したが、暫く恐怖で動くことができなかった。66年生きて、こんな夢を見るのは初めてだった。もしかすると、前世で私は広島或いは長崎での犠牲者じゃないかと思うようになった。私が生理的に殺人や流血、残虐場面を嫌うのは、前世での体験を避けようとしているかもしれない。
さて、この映画の評価である。原作を読んでいないのでなんともいえないが、映画化する際に、余分なものを入れ込み過ぎた気がする。看護師をしていながら夜には売春をする高島礼子。保母をしながら、夜は場末で詩集を売る黒谷友香。この設定もおかしい。共にカトリック信者で教会の再建を願っている。ともに美人だが、演技が固い。悪い作品ではないが、また良い作品とも言い難い。戯曲の舞台をそのまま映画に撮った方がよかったと思わせる作品だ。

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いなかびと

4.0差別と偏見に対するアンチテーゼ

2021年8月26日
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鑑賞方法:映画館

 この映画では「原爆の後遺症に苦しむ者」と「キリスト教徒」といった当事者が周囲の人間からの偏見に耐え時には戦わなければならない姿が映し出されていた。差別を恐れ医者に行かない被爆者も誰かに頼りたい心情は隠せない事を描きつつ、それとは別に傷痍軍人、売春婦といった当時の社会的弱者達もまた周囲からの偏見と差別を避けるように懸命に生きる姿が描かれていた。

 生きる為には売春婦もヤクザもお互いを利用し合っていたし、左翼の人間が原爆被害者を自らの影響下に置こうとするのも自然な成り行きであった時代。こういった微妙なバランスは崩れ易くヤクザの間では抗争を生み、被害者の信仰が影響力行使に邪魔になればキリスト教への偏見を利用して弾圧に転じる左翼の姿は現代にも通じる人間集団が起こす宿痾の様に感じさせられた。

 実際、日本社会では「原爆症」と「キリスト教」は戦争に負けた傷跡と弾圧の過去というある種「見たくないモノ」と定義つけられているような気がする。この映画は自分とは異なる者への差別と偏見が社会のいたるところに潜んでいることを示唆している。

 原作を知る人達からは物足りないとのネット上の評価はあるものの、おそらく切り捨てられたフィルムを繋ぎ合わせればもう一つの映画が出来そうなボリュームの内容を110分という尺の中で表現する難しさを感じさせられた気がします。

 松村克弥監督の前作「ある町の高い煙突」では井出麻渡と渡辺大の役割分担を今回の「祈り」では黒谷友香と高島礼子に演じさせ、「尖った部分」を「まろやかな部分」が抱えるように場面を回す手法が取られていた。前作は事実の積み重ねを理路整然と構成されていたのに対して今回は信仰という大変微妙なテーマを後半部分でギアを上げてファンタジー風に描いていたのは、松村監督に引き出しの多さが感じられました。

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多摩地区の高齢者

3.0【マリアの首】

2021年8月23日
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この作品は、何度も再演され、岸田賞も受賞している有名な戯曲「マリアの首」を映画化したものだ。

だが、残念ながら、過去に観た、映画と舞台を融合させたような実験的な作品や、映画なんだけど舞台を観ているような錯覚が心地よい作品という水準にまで達しているとは思えなくて、改めて戯曲の映画化には工夫が必要だなと考えてしまった。

この何度も再演された舞台を映画として記録して公開した方が良かったのではないかとさえ考えてしまう。

偉そうに、すみません。

あと、僕個人としては、実際に被曝し壊れたマリアの像、つまり、マリア像の頭部は、信者の代表者や、大学の先生などによって大切に保管され、後に、天主堂に返還され、バチカンも訪れるなどしていることを知っていたことも影響してしまったかもしれません。

ただ、浦上第四崩れの話と、原爆遺構として、旧天主堂を残そうとする積極的な動きが出てこなかったことは、カトリック信者に対する差別が、ずっと残っていたことが大きな理由だろうと再確認させられて、より多くの人々が知るべき物語だとは思った。

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ワンコ
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