劇場公開日 2021年8月20日

  • 予告編を見る

「これが岸田國士戯曲賞受賞作品?」祈り 幻に長崎を想う刻(とき) いなかひとさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0これが岸田國士戯曲賞受賞作品?

2021年8月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

原作は田中三千夫の戯曲「マリアの首」で、岸田國士戯曲賞を受賞している。その戯曲の映画化である。
私事で恐縮だか、今年の春夕食時にビールを飲んだ。その後、居間で眠くなりそのまま寝てしまった。1時間位眠っただろうか、ぼんやりした頭の中に突然原爆が炸裂し外が真っ白になり、次に熱線に襲われ、大声を出して頭の中が真っ暗なった。死んだんだと悟った。夢だと分かり安心したが、暫く恐怖で動くことができなかった。66年生きて、こんな夢を見るのは初めてだった。もしかすると、前世で私は広島或いは長崎での犠牲者じゃないかと思うようになった。私が生理的に殺人や流血、残虐場面を嫌うのは、前世での体験を避けようとしているかもしれない。
さて、この映画の評価である。原作を読んでいないのでなんともいえないが、映画化する際に、余分なものを入れ込み過ぎた気がする。看護師をしていながら夜には売春をする高島礼子。保母をしながら、夜は場末で詩集を売る黒谷友香。この設定もおかしい。共にカトリック信者で教会の再建を願っている。ともに美人だが、演技が固い。悪い作品ではないが、また良い作品とも言い難い。戯曲の舞台をそのまま映画に撮った方がよかったと思わせる作品だ。

いなかびと