クーリエ 最高機密の運び屋

劇場公開日:

クーリエ 最高機密の運び屋

解説

ベネディクト・カンバーバッチが主演を務め、キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた実話を基に、核戦争を回避するべく奔走する男たちの葛藤と決断をスリリングに描いたスパイサスペンス。1962年10月、アメリカとソ連の対立は頂点に達し、キューバ危機が勃発。英国人セールスマンのグレヴィル・ウィンは、スパイの経験など一切ないにも関わらず、CIAとMI6の依頼を受けてモスクワへと飛ぶ。そこで彼は、国に背いたGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)の高官ペンコフスキーとの接触を重ね、機密情報を西側へと運び続けるが……。グレヴィル・ウィンをカンバーバッチ、ペンコフスキーを「名もなきアフリカの地で」のメラーブ・ニニッゼが演じる。「追想」など映画監督としても活躍する舞台演出家ドミニク・クックがメガホンをとった。

2020年製作/112分/G/イギリス・アメリカ合作
原題:The Courier
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2021年9月23日

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映画レビュー

4.0スパイ映画の醍醐味満載

2023年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

何でもないセールスマンが、冷戦時代に核戦争を回避する重要情報を運んでいたという逸話の映画化。スパイ映画の醍醐味が色々詰まっていて見ごたえたっぷりのサスペンスドラマだった。
普通のセールスマンがモスクワで商談を装い情報源に接触。その情報源の男と親密な関係となり友情が芽生えてくるが、ソ連当局にバレそうになると、西側は男を見捨てようとする。主人公は、嫌々やっていたスパイ仕事にもかかわらず、最後の任務は友情のために自ら志願する。秘密の任務ゆえに家族にも話せない。任務を取るか(この映画の場合、友情も混じる)、家族を取るかの板挟みの展開は、スパイ映画の定番だ。
スパイは陰で働くため、その功績が公に称えられることがない。家族にすら話せないぐらいなので、誰からも認められることがない、だからこそ、己の信念のために行動する姿が胸を打つ。そんな感情を描けるのがスパイ映画だ。これが実話であるということも感動を倍増させる。ベネディクト・カンバーバッチは素晴らしいパフォーマンス。後半の変りように驚く。

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杉本穂高

4.0いわゆる"巻き込まれ型映画"プラスαの味わい

2021年9月30日
PCから投稿

楽しい

怖い

東西冷戦時代、ソ連の機密情報を西側にリークする見返りに亡命を希望する情報提供者に接触を試みたのは、商売で頻繁に東欧諸国に出入りするイギリス人セールスマンだった!?このトンデモなミッションを発案したMI6とCIAは、プロのスパイを一般人に仕立てるよりも、一般人にスパイをやらせた方が、より自然に見えると踏んだのだ。これ、スパイ映画としてかなり捻ったストーリーのように感じるが、ナント実話の映画化なのだそう。この分野にはまだまだ掘り起こされてない鉱脈が眠っていそうである。

その結果、まかり間違えば即、捕らえられて拷問&出国禁止になるかも知れない危険なミッションを、観客は傍観者よりもやや近距離で、主人公と一緒に体験することになる。そのスリルとサスペンス、そして少しのユーモアは、何も知らされていない人物が訪れる危機をスレスレで回避していく、いわゆる"巻き込まれ型映画"独特の味わい。最大の見せ場は、対極的な立場にあるセールスマンと情報提供者の間に芽生える友情と、その行方。演じるベネディクト・カンバーバッチと旧ソ連・グルジア(現ジョージア)出身のオレグ・ペンコフスキーが醸し出すケミストリーが、過去に起きた事実を身近なところまでグッと引き寄せてくれる。

歴史の裏には必ず人間のドラマがある。それを再認識させる上出来の実録スパイ映画だ。

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清藤秀人

4.0ル・カレ的な人間味あふれるスパイ物語

2021年9月27日
PCから投稿

007のような武闘派とは違い、実際のリアルなスパイは無闇に戦わないし、輝かないし、むしろ人の印象に残らないような外見の持ち主でなければならないことは、例えばル・カレを代表とするスパイ小説からも明らかだ。本作は実話ベースなだけあって、伝統的なリアルスパイの佇まいや雰囲気、さらにはキューバ危機を背景とする国際情勢までもが緊迫した手触りを作り出す。だが、肝となるのはカンバーバッチ演じる主人公の人となりだろう。軍や諜報部上がりの生粋スパイではなく、元々は単なるビジネスマン。それゆえプロフェッショナルに徹しきれない”ブレ”が彼を窮地に陥れ、なおかつ、そこで際立つなけなしの人間性こそが本作の味わいに深みを与える。決して派手ではないものの、二国間の往復や、時に家庭内の風景なども織り交ぜながら上質な人間模様を紡ぐ手腕は高く評価したい。カンバーバッチの演技の底知れなさにも思わず感嘆のため息がこぼれる作品だ。

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牛津厚信

4.0知られざる「第3次世界大戦」の回避の舞台裏。こういう実話を知らせるのに映画は有効だと改めて実感。

2021年9月24日
PCから投稿

1960年代の初頭は、アメリカとソ連が核武装競争を繰り広げ、いつ「第3次世界大戦」が起こってもおかしくない雰囲気でした。特にソ連が、アメリカを射程においたキューバに核ミサイル基地を作った際、その緊張がピークとなります。
1962年10月16日にアメリカの偵察機がキューバ上空から核ミサイル基地の撮影を行い、「人類史上最も危険な13日」とも呼ばれる「キューバ危機」が起こります。
アメリカはソ連と交渉するも不調に終わり、10月22日にケネディ大統領がテレビ演説をする有名な映像があり、その後も一触即発の事態が起こります。
そして、10月28日にソ連側がミサイル撤去を決め、第1書記がモスクワ放送で発表、という流れになるわけですが、そもそも、なぜアメリカはキューバの核ミサイル基地の存在を知ることができたのでしょうか?
この世界の命運を決めた現実の背景には、1人のイギリスのセールスマンの存在が大きくあったのでした。

アメリカにGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)の大佐から「核戦争の危機を回避する手助けをしたい」という申し出があり、その機密情報のやり取りをするためにCIAがイギリスのMI6に出向きます。
そして「イギリスのセールスマンが、何も知らない状態でソ連にセールスをしに行き、ソ連の高官とやり取りをすれば、ソ連のKGBの注意もそらせるはず」というアイデアを提案します。
果たしてアメリカとソ連の両陣営にスパイが多くいる中で、本当にこのようなミッションが上手くいくのでしょうか?
そこには、意外な過程と現実があったのでした。
そもそも「クーリエ」とは「外交伝書使」の事ですが、この最高機密を運び出す過程で何が起こったのかは、本編を見るのが一番早いと思います。
もちろん、CIA諜報員は複数の人物を一人の女性にして分かりやすくするなどの工夫(脚色)もあります。そして、決して派手な作品ではありませんが、製作総指揮も務めたベネディクト・カンバーバッチのもと丹念に史実を伝えている良質な作品だと思います。

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細野真宏
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