望みのレビュー・感想・評価
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テーマがしっかりした芯のある映画
ストーリーは単純でありながらも、カットの画角、キャストの表情、脚本の展開、これで観客を引きこむので、監督の素晴らしい手腕と思いました。自主映画を撮っているので、作り手側からの感想に近いけれど、なるほどなぁっていう感心させられる映画でした。
特に、堤真一、石田ゆり子、の演技はさすがでした。なにげない、裕福そうな幸せな家庭が、ひとつの出来事で急展開して、それぞれの想いが裸になっていく中で、家族の絆を感じさせる映画でした。
サスペンス調になりがちなところを、しっかり家族の絆にテーマを置いた軸のある映画とも思いました。
重く、苦しく、それでも目が離せない
予告で、事件の真相をめぐるサスペンスのおもしろさを感じて、原作未読のまま鑑賞してきました。予想とは異なるテイストでしたが、家族が互いを思う気持ちや、真相が明らかになったときの切なさややるせなさを感じ、なかなかおもしろかったです。
ストーリーは、家を出たきり行方がわからなくなった息子が、殺人事件に関与した疑いがもたれ、残された両親と妹が、事件の真相をめぐって思い悩むというものです。息子は加害者として生還するのか、被害者として殺されてしまっているのか、どちらに転んでも不幸しかないという状況が、わりと早い段階からもたらされます。そんな中、父、母、妹がそれぞれの立場で、規士はこうあってほしいと望むのですが、その思いにはズレがあり、それが家族の関係をギクシャクさせていきます。そのさまが、重く、苦しく、それでもテンポよく描かれ、最後まで目が離せません。
本作の中心となる家族役に、堤真一さん、石田ゆり子さん、清原果耶さんら、演技派俳優がキャスティングされています。中でも清原果耶さんの演技は秀逸です。時間を追うごとに変化する雅の心情が、手に取るように伝わってきます。幸せで平凡な家族がしだいに壊れかけていくさまが、実によく描かれているので、観客は自分に近い立場の人物に共感しながら観ることができるでしょう。
ただ、タイトルにあるような、家族それぞれの望みより、事件の真相がわからぬうちから、騒ぎ立てるマスコミと、誹謗中傷に走る周囲の人物への嫌悪感のほうが、よほど強く心に残りました。平凡で幸せな家族がわずか2.3日のうちの犯罪者扱いされる昨今の風潮は、本当に腹立たしく思います。以前見たリチャード・ジュエルを思い出し、あいかわらずのマスゴミぶりに怒りがわくとともに、もし自分の身に起こったらという恐怖、抗う術のない絶望感を覚えました。
そんな生き地獄のような生活に落とされた家族に、どんな真相がもたらされるのか。結末は、ぜひ自分の目で確かめていただきたいです。
人権の問題を考えさせられる映画
一部の事件では犯罪被害者家族も犯罪被害者加害者も表裏一体で、その人たちの人権を社会全体で考える必要性を考えさせられる映画だった。
特に何の非もない犯罪被害者の人権のことは、しっかり社会全体で考えていくべきことだと感じる。
日本で起こる様々な事件も、当初犯罪者として社会的に糾弾される対象になっていたかと思えば、無罪が確定したら、コロっと悲劇のヒロインに仕立て上げるマスコミ。さも自分が正義だと言わんばかりの無責任なマスコミや評論家とか。
ただ、映画でなくても実際にこうした事件はリアルにあるわけで、そうしたリアルなドキュメントの方が心にぐっと刺さる。
ノンフィクションの映画なので、もう一歩の足りなさを感じた。
考えさせられるプラスの点と、映画としての物足りなさのマイナス点の観点からの評価。
子を持つ親として考えさせられた。
行方不明なのか?夜遊びなのか?家出なのか?
そんな息子を想う家族の葛藤。
見終わった後は、かなり気持ちがしんどかった。どーんと何故か落ち込みました。
わが子が「被害者」になるのか「加害者」なるのか。
つまり「殺される」側になるのか「殺す側」になるのか。
マスコミとSNSの無責任な言動や報道に憤りを感じながら、投稿や報道に振り回されない人間になりたいとも思った。
どのみち救われない
空が赤く燃えている。家族の心情と夕日の赤がシンクロして胸が痛い。
父、母、妹、息子の友人、マスメディア、世間。それぞれの「望み」が交錯しながらラストに向かって加速して行く。
父親がリアル。息子を信じながらも今後の生活や家族の行く末を考えなくてはならない。父親ってきっとそうなんだろうなと。
一方母親が腹をくくって息子を待つその姿に母の確固たる情愛を感じた。恐ろしいほどに。
ただ、そんな母親の一言に一気に胸がざわついた。
「まだ望みはある」
この「望み」って何だろう。母親として決して吐露できない心の内を表したような言葉。強烈に印象的だった。
俳優陣もいつもとはイメージの違う役柄で、セリフにもリアリティがあって皆さん素晴らしかったです。
実社会でも誹謗中傷なんて言葉を毎日のように耳にする昨今。そのあり方を今一度考えさせられるような作品でもありました。一方的に相手を責めることに正義など到底存在しません。
そして事件はいくつもの「望み」の中、ひとつの終わりを迎える。それがどんな結末であってもハッピーエンドにはならない。
それでも空が静かに凪ぎてゆく。
展開が早くてどんどん引き込まれました。見応えあり!
男親としては・・・
母親と父親の考えの違いなのか、はたまた個人の考えなのか。
親としては子供が加害者であっても生きて帰って欲しい?
いや、子供を信じて加害者であって欲しい?
私は後者、妻は前者。真っ二つでした。
家族構成が近いこともあって、感情移入しました。
辛い 上手い 苦しい
それぞれのキャストの感情の演じ方が上手すぎて引き込まれる。
信じる、 受け入れる 、疑う、憎しみ、望む、志す、色んな感情が入り交じっていて苦しかった。
情報が伝わらないと憶測で物事が進んでしまう。ほんと怖い世の中だ。
望んだ結末とは?
ケガでサッカーを挫折した高校生の息子持つ両親と受験を控える妹。行方不明になり、殺人事件に関与していると疑われる息子に対する、家族それぞれの望みを描いたドラマ。
親しかった少年が殺害され、その加害者と疑われる息子。しかし間もなくして、もう一人少年が殺害されたとの情報が入る。行方不明の息子は本当に加害者なのか、或いは…。
実力派キャストで彩られるサスペンスドラマ。
加害者か被害者かわからない行方不明の息子に対する、父親、母親、そして妹と、家族それぞれの思いがズッシリとのしかかってくる作品。
当然、本当に本当の望みは家族皆一緒のはず。
しかし、浮かび上がってきた状況からは、どう転んでも最悪になることは粗間違いない。
そうなったときに、息子がどうなっているのがせめてもの最善となるか、この点での家族それぞれの望みの違いが、なんとも言えず心を締め付ける。
勿論父親だってそんなことは望んでいない。しかし確かに、現実的に目を逸らせない問題が山積みになるし。。
妹さんもね。「わからない年齢じゃないでしょ」って、確かにわかりはするだろうけど、それは14、5の女の子が背負うには重すぎる。一番可哀そうだったかな。
車内で父親にぶつける本音はリアル。ベストシーンを挙げるなら敢えてここかも。
…等々、様々な人物の望みが微妙に異なっているので、少しずつ事実が浮かび上がってきても、それが好転なのか悪化なのか何とも言えず、どんな気持ちで観ればよいのか…。
良い意味で混乱させられっぱなしだった。
殺害された少年の葬式に行こうと家を出て行ったシーンとか特に。二人の表情が対照的。
そしてマスコミはまた意気揚々と…。
映画じゃなくて、リアルの世界でも本当にこんななんですかね?
とにかく、涙なしでは観られない良作でした。
映画でそんなに泣く方ではない自分も、友達のお爺さんと建設の社長さんが来たシーンで遂に崩壊。場内もすすり泣く声がちらほら。
私は子供はいませんが、もしいたならば、それでも間違いなく友達思いで勇気のある子になってほしいと望むでしょう。
邦画はホラーとコメディしか名作はない、なんて思っていた私も、もっと邦画を観ようかなと思わせてもらえた作品だった。
加害者でも被害者でも地獄
加害者であるよりは被害者であって欲しいと望む父親、加害者でもいいから生きていて欲しいと望む母親。家族にとってはどちらの結果も地獄のようなもの。
でも、やっぱり自分の身近な人だったら加害者よりは被害者の方がいい…
結末はなんとなくは分かってはいたけど、マスクの下で鼻水が止まりませんでした。
しかし、マスコミの人って仕事とはいえ現実でもあんなんなんですかね。人間って怖い(*_*)
それぞれの気持ちがわかるから切ない
家族愛という簡単な話ではないけれど、家族を想う気持ちに感動しました!
息子は殺害されているのか、もしくは犯人なのか、どちらに転んでも最悪でしかない状況での家族の絶望や願望、葛藤が描かれていて、とてもよかったです。
犯人であってもいいから生きていて欲しい母親、息子が人を殺すはずないと信じたい父親、どっちの気持ちも理解できて、見ていて悲しくなりました。
現実と向き合えない状況から、少しずつ親としての覚悟を決めていく2人がとてもかっこよくて切なくて…何回にも分けて泣きました。
世間からのバッシングや周りの人の冷たくなる態度など、見ていて辛くなるけど、自分がそっち側なら同じ感情になるかも…
自分が親だったらこの数日をどのように過ごすだろうとも考えたり…
最後は最後で綺麗にまとめられていて、心がすっきりして終われたので、本当にいい映画でした。
視点が凄い
この究極の望みだったら…
わたしも家族を信じたいですね。
家族の命を奪われたり、いじめられたりするのはもちろん本…当に苦しいことですが
お母さんが最後に言っていたように、家族がいじめてる側、罪の無い人の命を奪う側だったとしたら…
これはもう本当に…救われない、一生罪悪感を抱え、笑うことさえ出来なくなる位、家族を不幸にすることなのだと思うと…。
この視点いままで考えたことが無かったので凄くずっしりと余韻が残る後味でした。
リアルで丁寧で配役も良く、とても見応えある作品でした。
予告を見て原作を読み映画を観ました。 お話、結末を知っていても 原...
予告を見て原作を読み映画を観ました。
お話、結末を知っていても
原作同様に涙が止まらない。
加害者として生きているか
被害者となって亡くなっているか
どちらを望んでも悲しくて
苦しみ方が全く違う結果が待つ家族。
自分に置き換えて考えたく無いし
意見も感想もまとまらないくらい悲しい。
原作を読んだからかもしれないけど、
細かな家族の気持ちをセリフや言葉では
映画で表されてはいないけど
それも伝わってくる演出で
なんども胸にぐっときました。
結果のその後が以外に長め
自分の家族を何処まで信じられますか?って話っすよ。冷蔵庫内のデザートやジュースを誰が食らったかすぐに犯人探しを始める自分としては、家族を信じ抜く自信無いわ~。ちっせーな、俺ってば。
苦しい映画でした。でもすごくいい。
すごく胸をつかれる、苦しい映画でした。
泣くだろうな、と予想して観に行きましたが、
予算以上というか、予想外というか、
ここまで苦しくて泣きながら震えてしてしまったのは久しぶりです。
息子は加害者か、被害者か、
どっちも苦しいですよね。
堤真一さん、石田ゆり子さん、清原果耶さん、そして石毛良枝さん、
皆さん説得力があってすばらしかったですが、
中でも息子役の岡田健史さんの、少ない出番の中での存在感が、
「信じたいし、信じられる子だ。けど、もしかしたら…?」
と、ここまで感情移入させるリアリティ感を出しているのではないかと思いました。
私はもう親目線でしか観られませんでしたが、
観賞後に見た岡田さんのインタビュー記事で
「ぜひ若い世代に子どもたちの目線になって観て欲しいです。…『家族』について考えるきっかけになったらいいなと思います。」
と答えられていて、なるほどなと思いました。
すごく良かった。
けど、ずっしり来ました。
家族とそれぞれの境遇、それでも救いを望めるか
ここまで重くて苦しい邦画も珍しい。堤幸彦監督の得意とするサスペンスの要素も光った、良作映画だった。
事件の前後から流れる、重たい空気。家族の置かれている状況は、同じように見えて全く違う。父は社会を、母は家庭を、妹は将来を見ている。それぞれの境遇から、息子というピースを失ったことを受け止める。しかし、その息子が犯人の可性を含んでいるのであれば、世間の風向きが悪くなる。こだわりの家は汚され、メディアの報道は加熱する一方。 皮肉にも感じる、日当たりの良いリビング。それでも、刻々と時間は経過し、疲弊する。そのような闇でも、望みはあると信じる家族に、心が締め付けられる。最後に射す光が、彼らにとっての望みを叶えたものだったかは分からない。それは、当事者にしか。
真面目な作風だと、ここまで堤監督は強いのか。そんなことを感じさせる、今年きっての佳作だった。
それぞれの望み
どちらになったとしても苦しい。
母親としての気持ちも
父親としての気持ちも痛いくらいわかる。
無くなっていたと思っていた物が部屋から見つかった辺りからは涙が止まらなかった。
陽の光の使い方が素晴らしい。
冷静でいるのは無理な話
行方不明となった息子が、殺人事件に関与している可能性があると共に、もう1人殺されているという噂が流れる中で、息子は犯人なのか、被害者となっているのかと揺れる家族の話。
ケガをしてサッカーを断念し、交友関係や生活が変わっていった高校1年生の長男が、年明けのある日帰宅せず、行方が判らない状況で、彼の友人と思しき少年の遺体遺棄事件が発生。
更に、現場から走り去ったとされる高校生らしき少年2人ともう1人が行方不明で、もう1人殺されているという噂が聞こえてくる。
警察は当然ながら捜査状況を教えてくれず、マスゴミも世間も騒ぎ始め、近付いてきた雑誌記者から貰う情報に不安が募り、一喜一憂どころか色々勘繰り嵌まって行く一方。
もちろん無事で、更には犯人では無いのがベストだけど、追い詰められて振り回されて…加害者であるか、被害者であるかと悪いことを考えてしまうのは必然だよね。
想いの根幹は一緒だけれど、先々のことを考えて、万一犯人でもと覚悟を決める母親と、それでも犯人じゃないことを強調する父親。
ただ、「思いたい」と頻繁にいうんだよね。
思っているのとのと思いたいの差は非情に大きいんだよなぁ。
ネガティブなことが重なる中で、リュックの中味、卓上収納等救われる面も。
そして妹の御守りは胸アツ。
そして結末へ向けて、この作品がみせたいもの、訴えかけていることは良くわかるし、とても自分の好みの話なんだけど、だからこそ、リードの仕方で強引に煽っている様に感じるところが勿体なく感じた。
それと、全てが明らかになった後、内藤と母親の件は時期尚早過ぎてしっくり来ない。
ストーリーに救いを求めるなら、それこそ内藤の出番だし。その後の流れはまだわかるけど、その空気一辺倒はやっぱり少し早く、物足りなく感じた。
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