82年生まれ、キム・ジヨン

劇場公開日:

82年生まれ、キム・ジヨン

解説

平凡な女性の人生を通して韓国の現代女性が担う重圧と生きづらさを描き、日本でも話題を集めたチョ・ナムジュのベストセラー小説を、「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチョン・ユミとコン・ユの共演で映画化。結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨンは、母として妻として生活を続ける中で、時に閉じ込められているような感覚におそわれるようになる。単に疲れているだけと自分に言い聞かせてきたジヨンだったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになってしまう。そして、ジヨンにはその時の記憶はすっぽりと抜け落ちていた。そんな心が壊れてしまった妻を前に、夫のデヒョンは真実を告げられずに精神科医に相談に行くが、医師からは本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう。監督は短編映画で注目され、本作が長編デビュー作となるキム・ドヨン。

2019年製作/118分/G/韓国
原題:Kim Ji-young: Born 1982
配給:クロックワークス
劇場公開日:2020年10月9日

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映画レビュー

4.0チョン・ユミの刹那的な表情に息をのむ

2020年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染 ファイナル・エクスプレス」の名コンビ、チョン・ユミとコン・ユという人気俳優を起用しながら、韓国の現代女性が担う重圧や生きづらさをしっかりと描いており、改めて韓国映画の多様性や底力を味わえる作品です。

原作は日本でも話題を集めたチョ・ナムジュのベストセラー小説ですが、監督はこの作品が長編デビュー作だというのには驚かされます。また、まるで他人がのりうつったような言動をするようになる主人公ジヨンを演じるチョン・ユミの刹那的な表情や全身から醸し出す雰囲気には息をのみました。

結婚していて、家事や育児を奥さんに任せてしまっている世の男性にとっては少々心苦しくなるシーンもあるかもしれませんが、結婚をしていなくても、女性目線と男性目線で違った見方ができる作品だと思います。また、世代によって受け止め方も異なってくるでしょう。

男と女、他人とは、果たしてどこまで理解し合えることができるのか、見るものに問いかけてくる作品です。

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和田隆

3.0応援したくなる

2024年4月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

育児ノイローゼになったキムジョン
周りの何気ない言葉や中傷で傷つき、自分を押さえ込んでだんだん病んでいく。
診察してもらうまでがどんなに大変な事であるか、まだまだ育児休暇に対して大きな偏見があるということがわかった
世の中で苦しんでいる人達を応援したくなった

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千恵蔵

4.5社会的差別と孤立。踏ん張らなければ飲み込まれる。

2024年4月11日
iPhoneアプリから投稿
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Rei

4.5あなたのせいじゃない

2024年1月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

amazonにて視聴。原作も映画も気になっていたのにタイミングが合わず、やっと観ることができた。
舞台は韓国だけれど、まんま日本じゃん!というのが、序盤の感想。特に、今はまさに正月。長男の嫁と姑との関係は、今年もそこかしこで繰り広げられたのではないか。
かく言う自分も、大晦日には長男の家にお邪魔して、もてなされた立場。我が家の場合、主に台所に立っていたのは長男のほうだったが、映画を観ながら「今後も素直に、長男とその嫁さんへの感謝の気持ちを忘れないようにしよう」と固く心に誓った。
中盤からは、家制度が、女性の犠牲の上に成り立ってきたエピソードに加え、社内での男性優位主義や女性の性的な搾取などが、絶妙な取り上げ方で描かれる。
その中で起こる主人公のジヨンの憑依は、病名とすると、解離性同一症の憑依型ということになるのかもしれないが、その要因は、彼女を取り巻く環境と生育歴そのものに他ならない。
つまり、彼女自身のせいではないのだ。
けれど、彼女のことを大切に考える夫や実母ですら、どこか彼女自身に理由を探してしまっているように思われるところがもどかしい。
しばらく前に、ブルデューのディスタンクシオンを取り上げたNHKの100分de名著という番組で、社会学者の岸政彦さんが、「“あなたのせいじゃない”と言い続けるのが社会学」と語っていて、心に響いた。
ブルデュー曰く、「私たちは生み落とされたそのときから、身振りや言葉遣い、趣味、教養といった体に刻み込まれていく文化能力をも相続していく。そのように相続された文化資本の多寡は、自らが属する社会的階層によってあらかじめ決定づけられ格差を生み出していく要因になっているにもかかわらず、“努力によって獲得されたもの”と誤認されることで巧妙に隠蔽される」(NHKのHPより引用)とのこと。夫や実母もとらわれているのは、ここなのだと思う。
歴史的に積み重なり、形作られてきた様々な因習を覆していくことは、容易いことではない。しかし、昨今、コンプライアンスという言葉と共に、悪しき習慣が少しずつ見直されてきていることも事実。
主語を大きくして、改革を訴えるプロパガンダより、この映画のように、1人の歩みに丹念に寄り添うことの方が、多くの気付きを与えてくれる。
10年後、20年後、この映画を観た時に「あの頃はまだそんなこと言ってたんだ」と笑えるような、フェアな社会が実現してることを、ちょっと夢みている。

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sow_miya
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